リュカ数列は,1, 3, 4, 7, 11, 18, … と続きます。
この中で,1 番目である 1 と,3 番目である 4 だけが,平方数であることを証明していきます。
<n が偶数の場合>
リュカ数列の偶数番目には,平方数は現れない。
(証明) 背理法で証明します。
リュカ数列の偶数番目に,平方数が現れると仮定します。
この章では,リュカ数列 において, が偶数のときは は平方数にな らず, が 4 で割ると 1 あまる整数のときは のときのみ平方数にな り, が 4 で割ると 3 あまる整数のときは のときのみ平方数になるこ とを証明していきます。
自然数の平方数は, と,い
つまでも続いていきますが,隣同士の平方数と平方数の間は,
と,どんどん広がっていきます。
もっとも間がせまいのは, のときです。
ところで,定理 3-10により,次のことがわかっています。
が整数のとき,
つまり, 偶数 です。
は平方数ですから, 偶数 も平方数ならば,平方数と平方数の間が 2 し かはなれていないことになり,矛盾します。
矛盾の原因は,リュカ数列の偶数番目に,平方数が現れると仮定したことで した。
よって,リュカ数列の偶数番目には,平方数が現れないことが証明できまし た。
(証明終)
<n が 4 で割ると 1 あまる数の場合>
が 4 で割ると 1 あまる数の場合,リュカ数列 が平方数になるのは, のと きだけである。
(証明) のとき, は,確かに平方数です。
そこで, ,つまり, のときに, が平方数になったと仮定 し,背理法で矛盾を導きます。
は,4 でわると 1 あまる整数ですから, は 0 より大きい 4 の倍数で す。そこで, とすると, は 0 より大きい偶数です。
ここで, を素因数分解してみます。
を素因数分解したときに,3 が何回現れるかに注目します。 回現れたと し, とします。ただし,3 が 1 回も現れないこともあるので, は 0 であることも考えられます。
は偶数だったので,素因数分解すると 2 がふくまれています。 を で 割ったときの商が ですが,3 で何回割っても, の中の素因数である 2 は そのまま残っているので, の中にも,素因数 2 は残っています。つまり,
は偶数です。
また, は を 3 で割れるだけ割った残りですから, の中に,もう 3 は ふくまれていません。つまり, は 3 の倍数ではありません。
で, ですから,
と表せることになります。
ただし, は 0 以上の整数で, は 0 より大きい偶数でしかも 3 の倍数で はない数です。
ここで,定理 3-15により,次のことがわかっています。
が整数で, が偶数で 3 の倍数でないとき,
は で割り切れる。
この式を,何回も利用します。
に を代入して,
は で割り切れる。… 1 回目
に を代入してマイナスにして,
は で割り切れる。… 2 回目 に を代入して,
は で割り切れる。… 3 回目
このように,i 番目ならば に を代入して,しかも偶数回目のと きはマイナスにして,式をどんどん, 回目まで作っていきます。
回目は奇数回目ですから( のときも, なので奇数で す),マイナスにはせず, に を代入することになり,
は で割り切れる。… 回目 ところで,
でしたから, です。よって, 回目の式の中の,
は になり, は になります。
よって, 回目の式を書き直すと,
は で割り切れる。… 回目 もう一度,式だけ並べると,次のようになります。
は で割り切れる。… 1 回目 は で割り切れる。… 2 回目 は で割り切れる。… 3 回目
………
………
は で割り切れる。… 回目
これらの,1 回目の式から 回目の式までを足します。
すると,1 回目の式の と 2 回目の式の が打ち消し合 い,2 回目の式の と 3 回目の式の が打ち消し合い,と いうように,どんどん打ち消し合って,結局,
は で割り切れる。
となります。
ところで, です。 また,定理 3-17により
が偶数で 3 の倍数でないとき, は で割ると あまる。
から,
は 4 で割ると 3 あまる数 で割り切れる。
となります。
ところで,定理 4-4 により,次のことがわかっています。
ある整数が,4 で割ると 3 あまる整数で割りきれるとき,その整 数を素因数分解すると,必ず 4 で割ると 3 あまる素数がふくまれ る。
ということから, には,4 で割ると 3 あまる素数がふくまれるは ずです。
しかし, が平方数なら,定理 4-1によって,
が整数のとき, を素因数分解したときに,4 で割ると 3 あまるような素因数は現れない。
と矛盾します。
矛盾の原因は, が 4 で割ると 1 あまる数で, のときに, が 平方数であると仮定したことにあります。
よって, が 4 で割ると 3 あまる数のとき,リュカ数列 が平方数 になるのは, のときだけであることが証明できました。
(証明終)
<n が 4 で割ると 3 あまる数の場合>
が 4 で割ると 3 あまる数の場合,リュカ数列 が平方数になるのは, のと きだけである。
(証明) 証明は,<n が 4 で割ると 1 あまる数の場合> と非常によく似ています。
のとき, は,確かに平方数です。
そこで, ,つまり, のときに が平方数になったと仮定し,背 理法で矛盾を導きます。
は,4 でわると 3 あまる整数ですから, は 0 より大きい 4 の倍数で す。そこで, とすると, は 0 より大きい偶数です。
ここで, を素因数分解してみます。
を素因数分解したときに,3 が何回現れるかに注目します。 回現れたと し, とします。ただし,3 が 1 回も現れないこともあるので, は 0 であることも考えられます。
は偶数だったので,素因数分解すると 2 がふくまれています。 を で 割ったときの商が ですが,3 で何回割っても, の中の素因数である 2 は そのまま残っているので, の中にも,素因数 2 は残っています。つまり,
は偶数です。
また, は を 3 で割れるだけ割った残りですから, の中に,もう 3 は ふくまれていません。つまり, は 3 の倍数ではありません。
で, ですから,
と表せることになります。
ただし, は 0 以上の整数で, は 0 より大きい偶数でしかも 3 の倍数で はない数です。
ここで,定理 3-15により,次のことがわかっています。
が整数で, が偶数で 3 の倍数でないとき,
は で割り切れる。
この式を,何回も利用します。
に を代入して,
は で割り切れる。… 1 回目 に を代入してマイナスにして,
は で割り切れる。… 2 回目 に を代入して,
は で割り切れる。… 3 回目
このように,i 番目ならば に を代入して,しかも偶数回目のと きはマイナスにして,式をどんどん, 回目まで作っていきます。
回目は奇数回目ですから( のときも なので奇数で す),マイナスにはせず, に を代入することになり,
は で割り切れる。… 回目 ところで,
でしたから, です。よって, 回目の式の中の,
は になり, は になります。
よって, 回目の式を書き直すと,
は で割り切れる。… 回目 もう一度,式だけ並べると,次のようになります。
は で割り切れる。… 1 回目 は で割り切れる。… 2 回目 は で割り切れる。… 3 回目
………
………
は で割り切れる。… 回目
これらの,1 回目の式から 回目の式までを足します。
すると,1 回目の式の と 2 回目の式の が打ち消し合 い,2 回目の式の と 3 回目の式の が打ち消し合い,と いうように,どんどん打ち消し合って,結局,
は で割り切れる。
となります。
ところで, です。 また,定理 3-17により
が偶数で 3 の倍数でないとき, は で割ると あまる。
から,
は 4 で割ると 3 あまる数 で割り切れる。
となります。
ところで,定理 4-4 により,次のことがわかっています。
ある整数が,4 で割ると 3 あまる整数で割りきれるとき,その整 数を素因数分解すると,必ず 4 で割ると 3 あまる素数がふくまれ る。
ということから, には,4 で割ると 3 あまる素数がふくまれる はずです。
しかし, が平方数なら,定理 4-2によって,
が整数のとき, を素因数分解したときに,4 で割ると 3 あまるような素因数は現れない。
と矛盾します。
矛盾の原因は, が 4 で割ると 3 あまる数で, のときに が 平方数であると仮定したことにあります。
よって, が 4 で割ると 3 あまる数のとき,リュカ数列 が平方数 になるのは, のときだけであることが証明できました。
(証明終)
以上のことから,リュカ数列の偶数番目には平方数は現れず, が 4 で割ると 1 あまる数の ときは,1 番目の 1 のみ, が 4 で割ると 3 あまる数のときは,3 番目の 4 のみが平方数であ ることがわかりました。
結局,リュカ数列に現れる平方数は,( 1 番目の)1 と,( 3 番目の)4 だけであることが証明 できました。