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米軍基地沖縄経済発展阻害論の証明

ドキュメント内 著者 阿波連 正一 (ページ 76-93)

第1節 序

米軍基地過重負担の土地所有権構成により、沖縄の過重負担の「米軍 基地は沖縄経済発展の最大の阻害要因である」ことが判明した。それは、

沖縄の米軍基地問題の本質が、沖縄は、近代民主国家である日本という 主権国家のなかの米軍基地過重負担による植民地であるということを意 味する。したがって、辺野古訴訟の本質は、沖縄経済発展の最大の阻害 要因である過重負担である米軍基地を建設するために辺野古沿岸域を埋 立て承認することは、「埋立地の用途」としての「米軍基地」の埋立てを 承認することは、埋立法の趣旨である「国民経済の向上に資するもの」

という「公共の福祉の増進」に照らして、「国土利用上適正かつ合理的な ること」に著しく反することになり、強い違法性を帯びることになるの である。

まず、基本的な論点となるのは、何故、過重負担の米軍基地過重負担 は沖縄経済発展の最大の阻害要因となるか、である。それは、日本が、

したがって、沖縄が自由主義経済(国民経済発展)の原動力・基盤であ る土地所有権を土地利用権原の根幹としているからである。つまり、土 地所有権は特定人(地主)が特定地(所有地)の上下の時空間を法令の 制限内において自由に使用及び処分する権利(民法206条・207条)であ り、その土地所有権の客体である土地が、①現在及び将来における国民 のために限られた資源であるとともに、②国民の生活及び生産に通じる 諸活動の共通の基盤であり、また、③その土地の利用が他の土地の利用 と密接な関係有するものであり、そして、④その価値は主として人口及 び産業の動向、土地利用の動向、社会資本の整備その他の社会的経済的 条件によるものであること等公共の利害に関係する特性を有しているか らである(国土利用計画法1条、土地基本法2条参照)。そして、自由、

民主主義、法の支配という近代的諸価値を編成原理とする近代民主国家 である日本及び米国は、自由主義経済の原動力・基盤である土地所有権 の合理的制限を通じて、国民経済の発展・向上という公共の福祉の増進

(公共性)に寄与することを目的に、自由主義経済を間接的にコントロー ルするのである。

このような自由主義経済システムのなかで、かつては、沖縄経済は米 軍基地に依存し、沖縄は基地経済であったが、現在では、米軍基地が沖 縄に依存し、米軍基地が沖縄に寄生するという沖縄は米軍基地過重負担 による植民地となっているのであり、その象徴的で、歴史的現実として

「米軍基地は沖縄経済発展の最大の阻害要因である」ということである。

そこで、本章では、「米軍基地は沖縄経済発展の最大の阻害要因をであ ること」(米軍基地沖縄発展阻害論)を、まず、翁長知事の「10.7高裁判 決研究集会」挨拶で確認し、次に、その阻害要因の内容が、どのように 証明されるか、その阻害要因の内容を考察する。

第2節 米軍基地沖縄経済発展阻害論の内容

米軍基地は沖縄経済発展の最大の阻害要因であることが勝機の論点と なり得る客観性を検討する前提として、翁長知事の「10.7高裁判決研究 集会挨拶」の内容を改めて述べることにする。沖縄県の米軍基地跡地利 用の経済効果の内容の予告的な機能をもつからである。また、その挨拶 の内容を構成する、①米軍基地の関連収入のGDPの変遷、②基地跡地利 用の直接経済効果、③経済波及効果の重要な雇用誘発効果、④自治体財 政で重要な経済波及効果の税収効果、⑤沖縄県の基幹産業の観光産業の 現況、⑥誤解されている沖縄振興予算の真実、そして、以上を踏まえて、

結論として、本稿に言う沖縄県の勝機の論点⑦「(米軍)基地は沖縄経済 発展の最大の阻害要因である」ということの展開となり、本稿の考察の 対象と結論が提示されているからである。

「那覇市長時代を含め、これまで多くの方々と対話、懇談を行ってきた が、いまだに、①『沖縄は米軍基地で食べている』という風説がまん延 している。終戦直後、基地関連収入のGDPは50%あったが、27年後の 1972年には15%、今では4.9%。②米軍基地の跡地利用についても、那覇 市の新都心は大型ショッピングセンターや総合運動公園などができ、25 年前まで52億円の軍用地料であったが、返還後は1634億円の経済効果が うまれた。③雇用についても基地時代は芝刈りや、家の修繕などで180人 程度だったが、今では100倍の1万8000人が働いている。④当然税収も増 えている。⑤また沖縄への観光客は、2016年度には840万人になると県は 試算していて外国人観光客も目標を5年前倒しし、200万人の大台達成を 見込んでいる。航空会社もアジアの主要都市から4時間圏内、24時間使 用できる那覇空港を物流拠点にしている。世界の資本が『ホテルをつく りたい』など県庁にどんどん来ている」と述べ、「⑥沖縄振興予算につい ても誤解が多い。1972年の本土復帰時は国からの予算を得るノウハウが なかったため、沖縄開発庁(現沖縄振興局)が間に入り、他県と違い年 末に一括計上される方式が採られることになった。各都道府県は、土木 や教育、福祉など、それぞれの分野別で国から受けとっているが、沖縄 は一括して受けとっているだけ。沖縄県でも他の都道府県でも、国から 受け取っている補助金の内容内訳は同じで、沖縄だけ特別に上乗せされ ているわけではない」「⑦いま、沖縄は大きく発展していこうとしている が、基地があるから何にも前に進まない。『沖縄は基地で食っている』と いうのはもう30〜40年前の話であって、『基地は沖縄経済発展の最大の阻 害要因である』ということをしっかりとご理解いただきたいと思います

(①〜⑦筆者挿入」

この挨拶で留意すべきことは、指摘されている7点のうち①②③④⑤

⑥の関連において、それを踏まえて、⑦「米軍基地は沖縄経済発展の最

大の阻害要因であること」が証明されることで、辺野古訴訟の最高裁判 所における勝機の論点なり得るということであり、本章は、そのことを 証明する考察となる。

第3節 米軍基地沖縄経済発展阻害論の証明

米軍基地が沖縄経済発展の最大の阻害要因であるということは、どの ように証明されているのであろうか。その阻害要因の内容は、いかなる ものであろうか。その核心の証明は、米軍基地の跡地利用の返還前と返還 後の、②経済効果、③雇用人数及び④税収の比較によって証明されている。

「②米軍基地の跡地利用についても、那覇市の新都心は大型ショッピン グセンターや総合運動公園などができ、25年前まで52億円の軍用地料で あったが、返還後は1634億円の経済効果がうまれた。③雇用についても 基地時代は芝刈りや、家の修繕などで180人程度だったが、今では100倍 の1万8000人が働いている。④当然税収も増えている。」

つまり、翁長知事の挨拶では、特定地域(那覇新都心地区)の米軍基 地跡地の返還前と返還後の土地利用の経済効果の側面で、第1に、返還 前の米軍基地の土地利用の経済効果(軍用地料等)の52億円と返還後の 多様な土地利用の経済効果の1634億円の比較、第2に、雇用人数の側面 で、返還前の180人程度が返還後の100倍の1万8000人への増加、第3に、

その経済効果の増に伴う税収の増加によって、米軍基地が沖縄の経済発 展の阻害要因であることを証明している。第1の基地返還前後の経済効 果の比較を、後述する沖縄県の統計データを基にする調査における「活 動による直接経済効果」(以下「直接経済効果」)でみる。より詳しくみ ると、那覇新都心地区の既返還跡地利用の「直接経済効果」は、返還前 は、年間で、地代収入、軍雇用者所得、米軍等への財・サービスの提供 額、基地周辺整備費等、基地交付金の総額52億円、返還後は、年間で、

卸・小売業、飲食業、サービス業、製造業の売上高、不動産(土地、住

宅、事務所・店舗)賃貸額の総額1634億円となり、返還後の直接経済効 果は32倍となっており、米軍基地は経済発展の阻害要因であることが統 計データに基づいて額をもって証明されている。つまり、特定地域(那 覇新都心地区)の米軍基地跡地利用の直接経済効果が基地返還前・後の 莫大な差額をもって、「米軍基地は沖縄経済の最大の阻害要因である」と いうことが証明されている。 

したがって、問題は、何故、既返還米軍基地跡地の特定地域(那覇新 都心地区等)の返還前後の土地利用の経済効果の比較でもって、「米軍基 地」一般がつまり「米軍基地は沖縄の経済発展の最大の阻害要因である こと」と判断できるか、証明となるかである。言い換えると、何故、米 軍基地は「マイナスの経済効果」を産むのかである。基地返還跡地利用 の経済効果の側面で返還前後の経済効果に大きな違いで証明される米軍 基地の「マイナスの経済効果」は、沖縄の米軍基地過重負担のもとでの

「米軍基地」の経済効果の本質だからである。したがって、特定地域の米 軍基地の「マイナスの経済効果」が沖縄の「米軍基地」は「マイナスの経 済効果」である即ち「米軍基地は沖縄の経済発展の最大の阻害要因であ る」と沖縄県の翁長知事は断言することができるのである。

そこで、本質的論点は、沖縄の米軍基地が「マイナスの経済効果」を 産むのは米軍基地の経済効果の本質であるとして、その本質は何かとい うことになる。

沖縄の米軍基地の「マイナスの経済効果」の本質(原因)は、国民経 済の原動力・基盤である土地所有権が広大な米軍基地の土地利用に固定 化されていることである。言い換えると、特定地域が米軍基地から解放

(返還)されると国民経済の原動力である土地所有権が起動することにな り、当該地域の土地利用上の経済効果が米軍基地と比較して飛躍的に増 加することになる(後述する最高裁判決の「国土利用上の効用」である)。

「米軍基地は沖縄の経済発展の最大の阻害要因であること」を証明するこ

ドキュメント内 著者 阿波連 正一 (ページ 76-93)

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