第 7 章 結 論
7.2 結論
第1章「緒論」では,ガスケット付き管フランジ締結体の密封性能評価の観 点から,ガスケット特性の把握,締付け方法,外荷重の検討の必要性を述べる とともに,ガスケット付き管フランジ締結体の従来の研究を展望して解決すべ き課題を明確にし,本研究の目的を述べている。
第2章「内圧を受ける金属平型ガスケット付き管フランジ締結体の応力解析 と密封性能」では,金属間接触による金属平型ガスケット単体での密封特性試 験を行いガスケット平均接触応力と漏えい量の関係を測定することにより,密 封特性に影響すると思われるガスケット材質,接触幅および表面粗さの影響を 明らかにしている。また,金属平型ガスケット付き管フランジ締結体(呼び径2 インチ)を対象に有限要素法(FEM)応力解析および漏えい量測定試験を行い,
金属間接触により発生する塑性ひずみ量とガスケットの密封特性を検討するこ とにより密封機構の考察を加え,ガスケット平均応力と降伏応力の比がほぼ 1 となると密封性能が極端に向上することを示している。さらに,締結体におい ては,その比が1より小さくなることを示している。
第3章「内圧と曲げモーメントを受ける金属平型ガスケット付き管フランジ 締結体の応力解析と密封性能」では,金属平型ガスケット付き管フランジ締結 体(呼び径 3 インチ)に内圧および曲げモーメントを作用させた時の漏えい量 測定試験とFEM応力解析により求めたガスケット接触応力分布との関係を明ら かにしている。また,内圧および曲げモーメントの荷重作用の順番の影響をう ず巻き形ガスケットのそれと比較し,金属平型ガスケットを用いた締結体の場 合には荷重作用の順番の影響はより小さいことを示している。
第4章「内圧を受ける金属製リングジョイントガスケット付き管フランジ締 結体の応力解析と密封性能」では,RTJフランジ締結体(呼び径3インチおよび 20インチ)について漏えい量測定試験を行うとともにRTJガスケットと平底V 形リング溝との接触面での接触応力をFEM応力解析により求め,リングジョイ ントガスケットの形状の違いによる密封特性を調べ,オーバル形を用いた締結 体のボルト初期締付け力はオクタゴナル形ガスケットを用いた締結体のそれよ り小さくても十分なガスケット接触応力が得られ密封性能が確保できることを 示している。また,呼び径 3 インチの RTJフランジ締結体をトルク管理法によ るボルト締付け軸力のばらつきの程度を実験的に求めるとともに密封性能に及 ぼす影響を調べ,ボルト初期締付け力のばらつきの中で最も小さいボルト軸力 で一様に締付けた締結体とばらつきがある締結体の漏えい量がほぼ同じ結果で あることを示している。すなわち,ボルト初期締付け力のばらつきが大きいと
漏えい量が増加することを明らかにしている。
第5章「ガスケット付き管フランジ締結体のボルト初期締付け方法に関する 検討」では,リングジョイントガスケット付き管フランジ締結体(呼び 3 イン チおよび20インチ)のステップ毎のボルト初期締付け力の測定を行い,ボルト 締付け軸力のばらつきにおけるボルト締付け管理方法の影響を締付け係数 αAに より整理し,ボルト締付け手順による影響は少ないがソフトガスケットの締付 け係数のそれより大きい約1.9であり,ボルト軸力管理法の適用を提案している。
また,ソフトガスケット(うず巻き形ガスケットおよびジョイントシートガス ケット)を用いた管フランジ締結体のボルト締結をエアー駆動の工具(エアー インパクトレンチおよびエアートルクレンチ)を用いてボルト軸力の遷移を測 定し,いずれの工具においても締付け係数が1.5以下であり,適用時間などの締 付け条件を規制すれば,VDI2230に記載されている値(2.5~4.0)より小さい値 になることを示している。
第6章「金属ガスケットを用いた管フランジ締結体の設計指針」では,本研 究で得られた知見から金属製ガスケットに塑性ひずみを与える締付け力に着眼 した今までにない合理的な金属製ガスケット付き管フランジ締結体の初期ボル ト締付け力の決定方法を提案し,設計フローチャートおよび設計計算例を示し ている。
第7章「結論」では,本研究で得られた成果を要約するとともに,金属ガス ケット付き管フランジ締結体からの想定外の漏えいを防止し,さらなら安全性 の向上のために残された課題について言及している。
これらの研究成果によって,金属ガスケット付きフランジ締結体の漏えい防 止に関する現実問題への取り組みをさらに進めることが可能となるが,さらな る安全性向上のために今後解決すべき研究課題は以下のとおりである。
1) 圧力降下法や石けん膜流量計では計測できない微少漏えい領域および高 温下における金属ガスケット単体および締結体の漏えい量測定法の確立。
2) 高温,内圧および曲げが作用する金属ガスケット付き管フランジ締結体 の密封性能評価。
3) オクタゴナル形RTJ ガスケットのシール面の最適傾斜角およびオーバル 形とオクタゴナル形RTJガスケットの使用選択基準の確立。
4) ボルト締付け方法とその管理方法の詳細検討。