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第 3 弾

ドキュメント内 !"# $%&'( (ページ 32-35)

1. はじめに

 臓器移植には密室性が不可欠である事 は和田心臓移植当時と変わっていないよ うに思う。臓器移植法制定前の大学病院 では、心停止後に数多くの臓器移植が行 われたが、記者が臓器提供者の遺族に接 触する事は厳禁とされ、「万一記者が極秘 で接触していたという情報を掴んだ大学 病院は、即座に記者クラブから当該新聞 社を排除した」と当時の某新聞記者が教 えてくれた。このためその後も接触しな いことが暗黙の了解となり、臓器移植法 制定後もこの関係は続いている。従って これまでの移植法に基づいて実施された 70 数例で、記者がドナー家族や遺族を取 材して報道した記事は皆無に近い。全て は医師・病院側が公表する一方的な情報

と、初めのうちは実施されていた病院側 の記者会見を基にまとめられた報道だ。

2. 肉親の悔しさが付きまとう 

 私が事実を知りたい一心で駆けつけた事 例がある。1998 年 6 月宮城県古川市立病 院で提供された第 3 例目だ。臓器提供者 は交通事故で搬送された 20 歳代の若い男 性。救命に専念すれば助かるはずと素人考 えではあるが直感した。仙台駅で車をレン タルして 2 時間位走った。当時カーナビ 等は無い。地図を確認しながらやっと尋 ね当てた。そして幸運にも家に上げても らい、お父さんのお話を聞く事が出来た。

 ドナーのお父さんは話しているうちに 徐々に悔しさや疑問、不満を語るように なった。場合によっては裁判もしたいよ

うな意向であった。ところがそのとき座 敷の奥からおばあさんが出てこられ話を 制止された。お父さんは気まずくなって 話さなくなった。間が持たなくなってそ の日は引き上げざるを得なかった。私た ちは次回お会いする時には弁護士紹介も 含めて準備しておく事を打ち合わせて、2 度目の訪問をしたが今度は留守でお会い できなかった。交通費を考えてしまいそ れ以降ご両親とはお会いできなかったが、

お父さんの悔しさは今も忘れられない。

 前回報告した第 4 例目大阪府千里救命 救急センター事例では、家族の若いお嬢 さんに会って少しの時間であったがお話 をした。「承諾した以上は……」と声を詰 まらせていた。移植法制定以前の事例で は阪大病院での事例がある。ドナーの妻 は私がお会いした時は「お金もたくさん かかると言われ承諾した」と胸のうちを 話していたが、後日のテレビ放映では「病 院は夫が頭に受けた症状の治療に専念し てくれていると思っていました」と述べ て、移植用に早々と臓器保存治療を優先 していた病院に対して怒りを込めて訴え ていた。密室医療では看取られる者の人 権や尊厳が守られる保証はない。

3. 臓器提供者 " 野ざらし" にされた    9 時間半

 上記のタイトルは週刊宝石(1999 年 7 月 15 日付)が第 3 例目古川市立病院の事 例で報道した題名である。男性が搬入さ

れた 6 月 9 日 22 時過ぎでは意識レベル 200JCS で自発呼吸もあった。そして CT 所見では「外傷性くも膜下出血、気脳症、

左硬膜下血腫、右硬膜下血腫」が認めら れていた。直接診察したのは若い医師で 後で上司である脳外科医長に電話で相談 している。その時医長は電話を受け、診 察もしないで「手術適応なし、経過観察 せよ」と指示し、男性は搬入から翌朝 8:

50 まで有効な治療を放棄されたままで あったと記述されている。男性が臨床的 脳死と診断されたのは 11 日 14:50、そ して 13 日 11:05 法的脳死判定開始であ る。この病院は体制が整備されていなかっ たことから急遽倫理委員会や脳死判定委 員会を開き、判定マニュアルを承認して 判定作業が行われた為に法的脳死判定を 実施するまでに時間が経過した。しかし ここでまた重大な法違反を犯した。病院 は患者や家族の個人情報を守るべき立場 でありながら、家族が提供を承諾する前 から市長や議会議長、警察に年齢や住所 に加え臓器提供の見通しまで報告してい た。更に問題は脳死判定時に最も重要な 脳幹検査で、脳幹反射の確認は低温刺激 が必須で氷水を 50ml 以上耳に注入して前 庭反射を確認すべきところを、24℃の空 気で代用して脳幹反射消失と結論してい た。後に行われた厚生労働省の検証委員 会報告書でも、この点については適切で なかったと触れられている。加えて無呼 吸テストを実施する際の「動脈血炭酸ガ ス分圧が 35 〜 45 水銀柱ミリを確認後が

必須」をも守っていない。この事例も私 たちは弁護士会に人権救済の申し立てを した。その結果日本弁護士連合会は 2003 年 3 月 13 日付で次のような勧告を出した。

 「法的脳死判定における前庭反射消失検 査及び無呼吸テストは臓器の移植に関す る法律、同施行規則、厚生省脳死判定基 準の補遺、脳死判定基準覚書、臓器移植 法の運用に関する指針に定められた検査 方法を採らなかったものであり、患者の 生命兆候を見落とした危険を無視するこ とはできず、しかもそれらは患者の真意 に反し自己決定権を侵害したものであり、

人権侵害であると判断されます。今後同 様なことが起こらないよう、……遵守し て脳死判定を行うよう勧告します」。

4. 密室性を進めた厚生労働省

 検証報告書の内容を臓器提供者の遺族 が了解した上でないと公表できないよう に決めた行政は、その次には病院の記者 会見も制限し、更には臓器提供事例が発 生した後ネットワークが会見して公表さ れていた簡単な実施報告もされなくなっ た。ドナーの人権が守られているか否か を判断できる情報は制限される一方だ。

密室性、閉鎖性を高める事では決して移 植のために早められる死を防ぐことは出 来ない。むしろ、この先に見えるのは、

いつか来た道「和田心臓移植」でしかない。

平野 敏夫

(亀戸ひまわり診療所)

▼ 曲目リスト オデオンプリモローサ

エスコレガンド ( 滑りながら ) フォン・フォン

エポニーナ バンビーノ サガス ( 利口者 )

つかまえたぞ , カヴァキーニョ ! メニーノ・デ・オーロ ( 寵児 ) 打ち明けブレジェイロ ( ならず者 ) アメノ・レセダ

ドゥヴィドーゾ ( 半信半疑 ) バトゥーキ

マリーカリオカ

館野泉は以前から北欧の曲の演奏で有名でしたが、最近 は「左手のピアニスト」としてマスコミで取り上げられる ことが多くなりました。7年前、演奏中に脳出血を発症し 右半身の麻痺が残ったのですが懸命のリハビリで回復しま した。しかし両手でピアノを弾くまでには至らず、左手の ピアニストとしてカムバックしたのです。リサイタルに行 きましたがとても左手だけで弾いているとは思えない豊か な音でした。この CD は、倒れる前の演奏で、ブラジルの 作曲家エルネスト・ナザレーのタンゴ曲です。この作曲家 はあまり知られていませんがブラジルでは人気で「ブラジ ルのショパン」と呼ばれているそうです。思わず体が動く ような曲も多いのですが、ゆったりした甘い曲もあります。

タンゴ・パッション

〜館野泉、ナザレーを弾く

レーベル : ダブリューイーエー・ジャパン 1998/7/25

収録時間 :62 分  ASIN: B00005HHXA

労働者住民医療2009.1/2 34

 前回は三省合同委員会による化審法見 直し作業が終わって、国がパブリックコ メントを募集していることを書きまし た。その際、部分的な見直しよりも、「化 学物質政策基本法」を制定し、一元的で 総合的な化学物質管理制度に改めようと いう意見を述べました。筆者は昨年 6 月 から「化学物質政策基本法を求めるネッ トワーク(略称 ケミネット)」を結成 し、各地の NGO・市民団体、消費者団体 などと連携し、署名活動を展開していま す。この運動への協力のお願いするため にも、なぜ取り組んでいるのかをお話し ます。

日本の法規制は隙間だらけ

 日本の化学物質管理法制は省庁縦割 り、目的用途ごとに細分化しているため、

どうしても法規制に隙間が出てきます。

実例を 2、3 紹介してみます。

 たとえば、アスベスト問題では、1975 年に労働安全衛生法で、吹き付けアスベ

スト作業が禁止されましたが、アスベス トの使用を禁止したわけでないので、ア スベストの代替品として使用された吹き 付けロックウールの中に 5%未満のアス ベストが含まれていました。この作業は 1995 年まで続けられ、現在、除去対象 の建物が大幅に増加した原因になってい ます。EU での禁止など国際的な動きの 中で、アスベスト含有建材の製造が禁止 さ れ た の は 2004 年 10 月 の こ と で す。

労働者のための規制・作業の制限は行わ れましたが、アスベスト工場周辺の住民 に対する規制・環境対策はなく、工場周 辺住民への被害が拡大し、各地で多くの 方が悪性中皮腫で苦しむ原因となりまし た。今なお、アスベストの大気環境基準 や室内環境基準は定められていません。

 また、家庭用のシロアリ駆除剤は農薬 取締法(農水省)では農業用でないため 農薬として登録されていません。ハエや 蚊などの衛生害虫は人の健康保護のため に薬事法(厚労省)で医薬部外品として

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