2.5.4 有効性の概括評価
2.5.4.2 第Ⅲ相ピボタル試験(VIEW 1 試験及び VIEW 2 試験)
2.5.4.2.1 方法
第Ⅲ相ピボタル試験である VIEW 1 2 VIEW 1 試験)と VIEW 2 試験(5.3.5.1-3 VIEW 2 試験)は、ラニビズマブに対する VEGF Trap-Eye の非劣性を検証することを目的とし た無作為化二重盲検 4 群並行実薬対照試験である。本試験では、滲出型 AMD 患者を対象に VEGF Trap-Eye の硝子体内投与の有効性、安全性及び忍容性を 2 年間にわたり検討した。VIEW 1 試験 と VIEW 2 試験の実施方法及び解析方法は、実施地域及び信頼区間の調整等以外は統一されてい る。このような 2 本のピボタル試験では、臨床的に妥当であると考えられる非劣性の検証が可能 であった。
両ピボタル試験では、試験当時の標準的治療、ラニビズマブを実薬対照として選択し、0.5mg を 4 週ごとに投与した。ラニビズマブの PRN 投与を対照とした場合、VEGF Trap-Eye に有利な方向に偏った結果をもたらす可能性があったためである。
両ピボタル試験で採用された有効性の主要評価項目は、ラニビズマブの販売承認の根 拠となった試験において用いられた評価項目と同じであった。つまり、VEGF Trap-Eye 開発プログラムのピボタル試験のデザインは、対照薬にとって不利なものではな かった。
各試験において、非劣性の限界値を、ラニビズマブ群と各 VEGF Trap-Eye 群の差の信 頼区間(VIEW 1 試験では 95.1%、VIEW 2 試験では 95%)の上限値が 10%を下回る 場合と事前に規定していた。この条件は、規制当局との合意に基づいて決定し、現時 点において臨床的に妥当であると考えられる。VEGF Trap-Eye の用法用量
両ピボタル試験では、VEGF Trap-Eye の 3 つの用法用量群(0.5Q4 群:4 週ごと 0.5mg 投与、
2Q4 群:4 週ごと 2mg 投与、2Q8 群:8 週ごと 2mg 投与)とラニビズマブ群(4 週ごと 0.5mg 投 与)を比較した。
第Ⅱ相試験の主要評価(12 週)では、0.5mg の 4 週ごとの投与では、2mg の 4 週ごとの投与と ほぼ同じ効果が認められたため、有効性が期待できる最低用量として 0.5mg を設定した。
また、第Ⅱ相試験で 4mg(最高用量)を投与した際、2mg 投与時より効果の増強は認められな かったことから、第Ⅲ相試験では 2mg を超える用量を設定しなかった。
さらに、第Ⅱ相試験の結果から、VEGF Trap-Eye 2mg の用法に 8 週ごとの投与間隔の群を設定 した。2mg の単回投与後 8 週目での視力の改善の程度は、2mg を 4 週ごと投与して 8 週目で得ら れた結果とほぼ同じであった。このことから、有効性を損なうことなく、負担を軽減できる長い 投与間隔(8 週ごと)が適用可能であることが示唆された。
第Ⅲ相ピボタル試験の 2 年目には、1 年目に達成した視力の改善がどのように維持されるかを 探索的に評価するために、再投与基準を満たした場合あるいは前回投与から 12 週間経過した場 合に治験薬を投与するレジメンが用いられた。各投与群で、1 年目と同じ治験薬及び用量が用い られた。
被験者
第Ⅲ相ピボタル試験(VIEW 1 試験及び VIEW 2 試験)に適格な被験者は、AMD による初発の活 動性中心窩下 CNV 病変(傍中心窩病変を含む)が FA により確認された 50 歳以上の男女であった。
各被験者は片眼(治験対象眼)のみに治験薬投与を受けた。スクリーニング時における被験者の 治験対象眼の BCVA は 20/40~20/320(文字スコア 25~73)であった。スクリーニング時の治験 対象眼の CNV 病変面積は、総病変面積の 50%以上を占めることを必要とした。
第Ⅲ相試験に用いられた選択基準は、ラニビズマブの開発プログラムに含まれる 3 つのピボタ ル試験すべての選択基準を統合したものであった。いずれの試験にも、AMD の 3 つの CNV 病変サ ブタイプすべて(occult 型、minimally classic 型、predominantly classic 型)の患者が組み 入れられた。これらの選択基準により、十分に視力改善の可能性がある被験者が選択された。
表 2.5- 6に示したように、適格であった被験者を 4 つの投与群いずれかに無作為に割り付け、
各来院時に治験薬を投与した。無作為化された被験者の年齢は 49~99 歳、平均年齢は 76 歳で あった。
なお、国内で合計 101 例の被験者が VIEW 2 試験に割り付けられた。その内訳は表 2.5- 6の[]
内に示す。
表 2.5- 6 VIEW 1 試験及び VIEW 2 試験における投与群の概要[国内被験者]
Group Treatment No. of subjects randomized / treated
VIEW 1 VIEW 2 Combined
RQ4 0.5 mg ranibizumab every 4 weeks 306 / 304 303 / 291 [25/25] 609 / 595 2Q4 2 mg VEGF Trap-eye every 4 weeks 304 / 304 313 / 309 [26/26] 617 / 613 0.5Q4 0.5 mg VEGF Trap-eye every 4 weeks 304 / 304 311 / 297 [25/25] 615 / 601 2Q8 2 mg VEGF Trap-eye every 8 weeksa 303 / 303 313 / 307 [25/25] 616 / 610
Total 1217 / 1215 1240 / 1204 [101/101] 2457 / 2419
a:Subjects in the 2Q8 group received 2 mg VEGF Trap-Eye every 4 weeks from baseline to Week 8, and then a sham (i.e. pretend) injection every other visit through Week 48.
Source: Module 5.3.5.3-3, Integrated Analyses, Table 1.1.1/1
有効性の主要評価項目
主要評価項目を、52 週目に視力を維持(ベースライン値と比較した場合の視力低下が、ETDRS チャートによる判読文字数 15 文字未満と定義)している被験者の割合とした。この評価項目は 視力の適切な指標として規制当局に広く認められている。
この有効性の主要評価項目は、実薬対照としてラニビズマブが選択されたことから決定された。
VIEW 1 試験及び VIEW 2 試験のいずれにおいても、主要評価項目として、ラニビズマブの検証試 験で用いられたものと同じ項目が選択された。これはラニビズマブの開発及び承認時における臨 床上及び規制当局の判断を反映したものであった。今回の申請のため、現時点で新たに臨床開発 を行う場合に、より望ましいと考えられている臨床的評価項目(BCVA 文字数が 15 文字以上増加 した被験者の割合、BCVA 文字数の平均変化量など)を有効性の追加の評価項目として検討した。
主要な解析はラニビズマブに対する VEGF Trap-Eye の非劣性の検証とし、52 週目に視力を維 持している被験者の割合におけるラニビズマブと VEGF Trap-Eye と差に対する信頼区間(VIEW 1 試験では 95.1%、VIEW 2 試験では 95%)e)を算出した。事前に規定した以下の順序に従って、
それ以前の比較で非劣性が認められた場合にのみ次の比較を行うという条件のもとで検定した。
比較 1: 4 週ごとに 2mg の VEGF Trap-Eye 対ラニビズマブ
比較 2: 4 週ごとに 0.5mg の VEGF Trap-Eye 対ラニビズマブ
比較 3: 8 週ごとに 2mg の VEGF Trap-Eye 対ラニビズマブいずれの試験の治験実施計画書でも、非劣性の限界値を 10%と規定していた。両試験の併合 解析においても、同様に 10%の非劣性の限界値を主要な評価に用いた。なお、規制当局からの 助言(2.5.1.4を参照)に従って、両試験の併合解析において、探索的な観点から、7%や 5%の 限界値も検討した。
e:信頼区間は VIEW 1 試験では 95.1%、VIEW 2 試験では 95.0%であった。この違いは、非盲検下で独立安全性モ ニタリング委員会により行われたデータレビューの際に用いられたα補正の方法の有無によるものである。
有効性の副次評価項目
VEGF Trap-Eye の両ピボタル試験では 4 つの有効性の副次評価項目を定義し、事前に順序付け した仮説検定に従い群間比較を行うことで、ラニビズマブ群に対する優越性を検討した(表 2.5- 7)。
表 2.5- 7 ピボタル試験(VIEW 1 試験と VIEW 2 試験)の有効性の副次評価項目:検定の順序 Entries denote the VEGF Trap-Eye dose group to be tested against 0.5 mg ranibizumab Q4 (RQ4)
Endpoint category
Visual acuity Quality-of -life Morphology
Testing order
BCVA as measured by ETDRS letter score:
Change from baseline to Week 52
Proportion of subjects who gained 15 or more lettersfrom baseline to
Week 52
Total NEI VFQ-25 score:Change from baseline to Week 52
Change in CNV area:
Change from baseline to Week 52
1 2Q4
2 2Q4
3 2Q4
4 0.5Q4
5 0.5Q4
6 0.5Q4
7 2Q8
8 2Q8
9 2Q8
10 2Q4
11 0.5Q4
12 2Q8
NEI VFQ-25: National Eye Institute 25-item Visual Function Questionnaire(米国国立眼科研究所の25項目からな る視覚機能アンケート)
その他の有効性評価
52 週目に達成した有効性変数の改善がどのように維持されるかを検討するために、第Ⅲ相ピ ボタル試験の 2 年間(96 週まで)の有効性結果について、探索的な評価を行った。52 週目と同 様の評価変数に加え、「Dry Retina」(OCT で網膜内嚢胞様浮腫及び網膜下液を認めない)を達 成した被験者の割合及び 2 年目の投与回数別の有効性について評価した。
2.5.4.2.2 結果及び考察
各試験の解析及び併合解析のいずれにおいても、評価可能なすべての部分集団(年齢、性別、
人種、ベースラインの視力、病変のサブタイプ及び病変面積)における有効性の結果は、各試験 及び併合データにおける被験者集団全体での結果とそれぞれ整合性が確認された。このため、日 本人被験者以外の部分集団解析の結果は以下の項には記載していない。最大の解析対象集団
(FAS)での結果と治験実施計画書に適合した対象集団(PPS)での結果においても、同様の結果 が得られており、有効性評価の結果はよく整合していた。
2.5.4.2.2.1 有効性の主要評価項目
両ピボタル試験(VIEW 1 試験及び VIEW 2 試験)では、最終評価スコア外挿法(LOCF 法)を用 い、PPS を解析対象集団とし、1 年間の治験薬投与後に視力を維持している被験者の割合に対し て、解析を行った。事前に規定された有効性の主要な解析により、VEGF Trap-Eye の 3 つの用法 用量群すべてにおいてラニビズマブ群に対する非劣性が一貫して示された。実際、各試験のすべ ての比較において、ラニビズマブ群と各 VEGF Trap-Eye 群との差の信頼区間(CI)上限値
(3.1%以下)は、非劣性の限界値(10%)よりかなり低かった(表 2.5- 8)。
また、併合データよる非劣性限界値を最低値の 5%とした探索的な解析においても、VEGF Trap-Eye のすべての用法用量群において、ラニビズマブ群に対する非劣性が示された。
両ピボタル試験の結果が整合していたことから予想されるように、両試験の併合データを用い た解析からも同様の結果が得られた。すなわち、VEGF Trap-Eye の 3 つの用法用量群はいずれも ラニビズマブ群に対し非劣性であり、併合解析における群間差の CI 上限値(1.7%以下)も事前 に規定された非劣性の限界値よりかなり低かった(表 2.5- 8)。
これらの結果の頑健性を評価するために実施されたすべての感度解析でも、主要な解析から得 られた結果が確認された(2.7.3.3.2.1.1.1)。
VEGF Trap-Eye の両ピボタル試験において、実薬対照ラニビズマブ群が示した、有効性の主要 評価項目における奏効率(視力を維持している被験者の割合が 94%超)は、ラニビズマブ承認 の裏付けとなったピボタル試験(偽注射を対照とした ANCHOR 試験31),32)と MARINA 試験30)における 奏効率とほぼ同様であり、VEGF Trap-Eye の有効性の評価結果の妥当性が更に裏付けられた。
VEGF Trap-Eye 開発プログラムにおける両ピボタル試験の試験デザインと実施方法は、硝子体内 投与による抗 VEGF 療法の有効性の評価に適していたと考えられる。
以上、これらの結果は、(導入期に 4 週ごとの投与を 3 回行った後)維持期に 8 週ごとに 2.0mg を投与する VEGF Trap-Eye 療法の有効性は、既存の最良の治療法であるラニビズマブ 0.5mg の月 1 回投与の有効性と同程度であるという結論を明確に裏付けている。導入期の後、8 週ごとに VEGF Trap-Eye 2mg の投与を受けた被験者の投与回数が、ラニビズマブ群の被験者の投 与回数の半分程度であるにもかかわらず、ラニビズマブと同程度の有効性を示す結果が得られた ことは特に重要である。