2.5.5.1 安全性評価の計画
ここでは、既に完了した、若しくは申請時に実施中の 11 の臨床試験から得られた、硝子体内 投与を受けた被験者 3,237 例における、VEGF Trap-Eye の臨床的安全性の裏づけとなる情報を示 す。
安全性の考察は、主として、滲出型 AMD を対象とした同じデザインの第Ⅲ相試験 2 試験(VIEW 1 試験及び VIEW 2 試験)の 1 年目の併合データ(プール 1)の解析結果に基づき行った。プール 1では、VEGF Trap-Eye の投与を受けた被験者数は計 1,824 例であった(8 週ごと 2mg 群の被験 者は 610 例)。また、終了した滲出型 AMD を対象とした第Ⅰ相試験及び第Ⅱ相試験(502 試験、
603 試験、508 試験)の 1 年目の併合データ(プール 2)も補足的に用いた。眼科的血管疾患を 対象に実施したすべての臨床試験の安全性データ(プール 3)の結果を示した。さらに、申請時 には、実施中であったプール 1 のいずれの試験(VIEW 1 試験及び VIEW 2 試験)でも 2 年間の治 験期間が完了し、20 年 月時点で 2 年間の結果が得られたため、プール 1 の 2 年間の安全性 データについても補足的に用いた。
これらのプールに使われた臨床試験の一覧を表 2.5- 13に示す。
安全性解析対象集団を対象に、プール 1、プール 2 及びプール 3 の安全性を評価した(
表 2.5- 14)。安全性解析対象集団には治験薬の投与を受けたすべての被験者を含めた。被験 者は投与に従って解析した。
盲検下での重篤な有害事象の解析には、データカットオフ日以前に重篤な有害事象を発現した 全被験者を含めた。
2 年間の安全性に関しては、プール 1 において 2 年目に入った被験者集団を対象に、安全性の 評価を行った。2 年目に入った被験者集団には、以下のいずれかの基準を満たした被験者を含め た。
・
52 週で再投与基準の評価が行われている(基準を満たしたか否かは問わない)・
52 週以降の来院がある・
52 週までに中止していない長期安全性試験(702 試験)での全組み入れ集団(試験に組み入れられたすべての被験者)を 対象とし、データを示した。
表 2.5- 13 安全性評価のためのデータの併合(プール 1、プール 2、プール 3)及び各試験の 評価資料又は参考資料の区分
Studies Database Pool 1
Primary safety
Pool 1 Supportiv
e safety
Pool 2 Supportiv
e safety
Pool 3 Exposure
only
AMD VIEW 1 (評価) up to 1 year
VIEW 2(評価) up to 1 year
VIEW 1 (評価) up to 2 year
VIEW 2(評価) up to 2 year
VGFT-OD-0502 (評価) from Week 12 up to 1 year
(flexible dose regimen employed)
*
VGFT-OD-0508 (評価) from Week 12 up to 1 year
(flexible dose regimen employed)
*
VGFT-OD-0603 (評価) up to 1 year
VGFT-OD-0702(参考) cut-off date: 20 (pre-filled
syringe versus. vial) up to 36 months
DME VGFT-OD-0512(参考) up to 6 weeks
VGFT-OD-0706 (参考) up to 6 months
Number of subjects treated with VEGF Trap-Eye (Safety Analysis Set)
1824 1824 203 2230
* For exposure analysis (Pool 3) single dose parts are included
2.5.5.2 被験者の内訳及び曝露量
プール 1 では計 2457 例のうち、RQ4 群に 609 例、2Q4 群に 617 例、0.5Q4 群に 615 例、2Q8 群 に 616 例が無作為に割り付けられた。このうち RQ4 群の 595 例、2Q4 群の 613 例、0.5Q4 群の 601 例、2Q8 群の 610 例の計 2419 例に投与が行われ、2245 例(91.4%)の被験者が 1 年目を完 了した。
プール 1 において 1 年目に予定された VEGF Trap-Eye の投与回数は、2Q4 群 13 回、2Q8 群 8 回、
回、0.5Q4 群 13 回、ラニビズマブ群では 13 回であった。安全性解析対象集団における 1 年目の 実薬の平均投与回数(偽注射を除く)は、RQ4 群 12.3 回、2Q4 群 12.3 回、0.5Q4 群 12.2 回、
2Q8 群 7.5 回であった(表 2.7.4- 26)。プール 2 では、計 230 例(508 試験 159 例、502 試験 51 例、603 試験 20 例)が無作為化された。プール 2 の平均投与回数は 2.5 回(508 試験 4mg 群)~3.6 回(4mg 統合群)で、全体の平均は 3.3 回であった(表 2.7.4- 40)。
2.5.5.3 TEAE の全体的な発現状況
プール 1 の 1 年目において、試験治療下で発現した有害事象(Treatment-emergent adverse event:TEAE)、治験対象眼及び僚眼の TEAE、TEAE の重症度、治験薬と関連があると判断された TEAE、TEAE による治験の中止あるいは治験薬の投与中止、重篤な有害事象及び死亡の発現率は、
各投与群で同程度であった。注目すべき TEAE 及び重篤な注目すべき TEAE を発現した被験者の割 合も各投与群で同程度であった。
2.5.5.4 死亡及び重篤な TEAE
本申請時のデータ集計では全体で計 39 例の死亡が報告された。その内訳はプール 1 の 1 年目 における被験者 26 例(表 2.7.4- 102)、プール 2 の被験者 2 例(詳細は 2.7.4.2.1.2.2)、長 期延長試験である 702 試験の被験者 8 例(表 2.7.4- 104)及び糖尿病黄斑浮腫に対する 706 試 験の被験者 3 例で(詳細は 2.7.4.2.1.2.4)あった。治験薬との関連があるとみなされた死亡例 はなかった。702 試験(502 試験、603 試験及び 508 試験の長期延長試験)の被験者 2 例は最初 の試験を終了した後、治験薬投与前に死亡した(2.7.4.2.1.2.3)。死亡率に投与群間の不均衡 はみられなかった。
プール 1 の 1 年目において、治験対象眼の重篤な TEAE の発現率は低く、各投与群間で同程度 であった(2.3%、55 例)。ほとんどの事象は、注射手技(硝子体内投与)に関連した、あるい は疾患の進行によるものであった。治験対象眼に最も高頻度に生じた重篤な TEAE は、視力低下
(reduced visual acuity)(0.5%、13 例)、網膜出血(retinal hemorrhage)(0.4%、9 例)及び眼内炎(endophthalmitis)(0.2%、6 例)であった(表 2.7.4- 105)。
プール 1 の 1 年目において、13.8%(335 例)の被験者に、眼以外の重篤な TEAE が 1 件以上 発現した。これらの被験者の内訳は、4 週ごとのラニビズマブ群が 13.9%、4 週ごと 2mg の VEGF Trap-Eye 群が 12.4%、4 週ごと 0.5mg の VEGF Trap-Eye 群が 14.5%、8 週ごと 2mg の VEGF Trap-Eye 群が 14.6%であった。眼以外の重篤な TEAE のほとんどは「心臓障害」(器官別大分 類)に分類され、心筋梗塞(myocardial infarction)(0.7%、17 例)、心房細動(atrial fibrillation)(0.7%、16 例)、冠動脈疾患(coronary artery disease)(0.4%、9 例)及 びうっ血性心不全(cardiac failure congestive)(0.3%、8 例)が含まれた。発現率の高 かったその他の眼以外の重篤な TEAE は、転倒(fall)(1.0%、24 例)、肺炎(pneumonia pneumococcal ) ( 0.9 % 、 21 例 ) 、 慢 性 閉 塞 性 肺 疾 患 ( chronic obstructive pulmonary disease)(0.5%、11 例)であった(表 2.7.4- 113)。
2.5.5.5 試験中止に至った TEAE
試験中止に至った TEAE は、そのほとんどが注射手技に関連した、又は疾患の進行によるもの であり、AMD の患者集団にみられる有害事象を反映していた。
プール 1 の 1 年目において、TEAE のため治験薬投与を中止した被験者の割合は、2.3%(計 56 例)であった。治験薬投与中止に至った TEAE のうち最も発現率が高かったものは、網膜出血
(retinal haemorrhage)(0.2%、5 例)、視力低下(reduced visual acuity)(0.2%、4 例)、網膜剥離(retinal detachment)及び脳血管発作(cerebrovascular accident)(それぞ れ 0.1%、3 例)、狭心症(angina pectoris)、心筋梗塞(myocardial infarction)及び肺の 悪性新生物(lung neoplasm malignant)(それぞれ 0.1%未満、2 例)であった(表 2.7.4-126)。
プール 2 において TEAE のため治験薬の投与を中止した被験者の割合は、3.4%(計 7 例)で あった。これらの事象は、網膜剥離(retinal detachment)、四肢膿瘍(abscess in a limb)、
骨髄炎(osteomyelitis)、副鼻腔炎(sinusitis)、便秘(constipation)、結腸癌(colon cancer)及び皮膚弛緩症(cutis laxa)であった(表 2.7.4- 131)。
長期安全性 702 試験で中止に至った TEAE は、プール 1 及びプール 2 で報告された TEAE と同様 であった〔黄斑変性(macular degeneration)、視力低下(VA reduced)、転移性非小細胞肺癌
(non-small cell lung cancer metastatic)〕。これらの事象はいずれも、治験責任医師によ
り 治 験 薬 と の 関 連 性 は な い と 判 断 さ れ た ( 〔 参 考 〕 5.3.5.4-1 、 702 試 験 、 本 文 後 リ ス ト 14.3.2.3 参照)。
2.5.5.6 注目すべき有害事象
注目すべき有害事象(5.3.5.3-1 Definition of AEI)は、MedDRA の基本語を 1 つ以上含み、
AMD に対する全身又は硝子体内投与による抗 VEGF 療法と関連性があることが既に確認されてい る、又は理論上考えうるあるいは可能性がある有害事象とした。事前に規定された注目すべき有 害事象は以下の事象であった。
動脈血栓塞栓事象
免疫原性による全身反応
高血圧
鼻粘膜のびらんおよび潰瘍
網膜色素上皮断裂
胚胎児毒性
眼内炎症反応(疑われる病因は問わない)
眼圧が新たに 21mmHg を超え、治療を要する(ただし、硝子体内投与直後の一過性の 上昇は除く)
眼圧 35mmHg 以上(いずれかの時点、治療を要する)
角膜浮腫(corneal edema)(疑われる病因は問わない)
特に注射部位における、新たに発現した強膜病変
治験対象眼における臨床的に意味のある BCVA の低下
免疫原性による眼の非感染性炎症反応さらに、治験責任医師が、注射手技に関連して発現したとみなした場合には、以下の事象も注 射手技による注目すべき有害事象に分類した。
結膜下出血または結膜出血
注射部位の軽度一過性疼痛
眼圧の一過性上昇
投与直後の硝子体浮遊物および視覚障害
ブドウ膜炎
眼内炎
外傷性白内障
網膜円孔または網膜剥離
局所前処置(麻酔薬又は betadine 石鹸)に対するアレルギー反応
眼内出血注目すべき有害事象の解析では、VEGF Trap-Eye 群とラニビズマブ群における発現率、重篤度、
発現のパターンについて評価した。臨床的に意義のある差を示唆するパターンはみられなかった
(詳細は 2.7.4.2.1.5 を参照)。
前述の注目すべき有害事象の MedDRA 用語検索は、一般に、用語を広範囲に特定することを目 的 と し て い る 。 さ ら に 、 動 脈 血 栓 塞 栓 事 象 に つ い て 、 APTC ( Antiplatelet Trialists' Collaboration)が採用した基準55 )に従い、判定委員会が盲検下で分類を行った。判定の詳細は、
5.3.5.1-3 Study VIEW 2 Appendix 1.9.3 に記載している。動脈血栓塞栓事象は、非致死的心筋 梗 塞 ( non-fatal myocardial infarction ) 、 非 致 死 的 虚 血 性 脳 卒 中 ( non-fatal ischemic stroke)、非致死的出血性卒中(non-fatal hemorrhagic stroke)あるいは血管性又は原因不明 の死亡と定義されている。
プール 1 における 1 年目の APTC 定義による動脈血栓塞栓事象の発現率は、VEGF Trap-Eye の 投与を受けた被験者全体では 1.8%(1,824 例中 32 例)、ラニビズマブ群では 1.5%(595 例中 9 例)であった(表 2.7.4- 167)。
サルに VEGF Trap-Eye を硝子体内投与した非臨床試験では、鼻びらん(Nasal erosions)が報 告された。プール 1 において、160 例の被験者を対象として特別な耳鼻咽喉科系サブスタディ
(鼻粘膜の内視鏡検査を含む)を行い、残り 1,044 例の被験者を対象として耳鼻咽喉科系障害に 該当する TEAE の評価を行った(ベースライン時、12 週目及び 1 年目に耳鼻咽喉科医が評価)。
いずれにおいても、VEGF Trap-Eye 群とラニビズマブ群の間に鼻びらんあるいはその他の耳鼻咽 喉科系疾患に発現率の差は認められなかった。
2.5.5.7 臨床検査値の異常及びその他の全般的な安全性パラメータ
プール 1、第Ⅰ相試験、第Ⅱ相試験及び長期の安全性試験において、ベースライン時から 52 週目までの血液生化学検査値又は血液学的検査値の平均値及び中央値には、何ら変化の傾向は認 められなかった。また、これらの試験において、尿検査値にも、何ら傾向は認められなかった。
プール 1 の 1 年目において、各投与群の収縮期血圧及び拡張期血圧の平均値及び中央値に、
ベースライン値からの変動がみられたが、明らかな経時的傾向はみられなかった。プール 2 と長 期安全性試験においても、バイタルサインの平均値及び中央値に、ベースライン値からの変動が みられたが、明らかな経時的傾向はみられなかった。
プール 1 及びプール 2 において、心電図の測定値のベースライン値からの平均変化量は概して 小さく、明らかな経時的傾向はみられなかった。長期の安全性試験では、心電図検査は実施され なかった。
免疫原性については、2.5.3.4で述べる。
2.5.5.8 副作用
予測される VEGF Trap-Eye の副作用を特定するため、プール 1 で 1 年目に発現したすべての TEAE(注射手技と関連があるとみなされるものを含む)について、検討を行った.本項では、
個々の被験者で報告された事象に対する治験責任医師の治験薬あるいは注射手技との関連性に関 する判断とは別途、関連性なしと判断された事象も含め、個々の TEAE の用語の基本語ごとに検 討を行った結果を示している。検討に際し、プール 1 を選択したのは、同じデザインの 2 本の比