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2.5.6.1 ベネフィット

滲出型 AMD を対象とした VEGF Trap-Eye の第Ⅲ相プログラムとして 2 本のピボタル試験が実施 された。それぞれの試験において、8 週ごとの投与を含む 3 種類の VEGF Trap-Eye の用法用量

(4 週ごと 0.5mg、4 週ごと 2.0mg、8 週ごと 2.0mg)と、実薬対照ラニビズマブ(4 週ごと 0.5mg)が比較された。公表されているラニビズマブの比較対照試験の中で、最も優れた有効性 が示されている用法用量(4 週ごとの 0.5mg 投与)を本試験の対照とした。この用法用量で投与 されるラニビズマブに対して、VEGF Trap-Eye の非劣性を検証することが、適切であると判断し た。

第Ⅲ相試験の有効性の主要評価項目並びに副次的評価項目の結果から、確実なベネフィットが 示された。これらの試験の結果から(各ピボタル試験と併合データの解析では、検討されたパラ メータすべての結果が同様であった)、VEGF Trap-Eye の 4 週ごと 0.5mg 及び 4 週ごと 2mg の投 与スケジュールのみならず 8 週ごと 2mg(月 1 回の投与を 3 回行った後)の異なる用法用量で、

4 週ごと 0.5mg のラニビズマブ投与に比べて視力の改善効果が劣らないことが確認された。これ らの試験で検討された有効性の副次評価項目及び追加の有効性評価項目の結果からも VEGF Trap-Eye が臨床的に意義のある視力改善をもたらし、その効果がラニビズマブと同程度である ことが一貫して示された。

部分集団解析の結果、VEGF Trap-Eye は、腎機能、肝機能あるいは糖尿病の状態に関係なく、

AMD に対して有効であることが示された。

2 本のピボタル試験(VIEW 1 試験と VIEW 2 試験)の結果から、VEGF Trap-Eye の治療によっ て、承認されている標準薬のラニビズマブより少ない投与頻度でラニビズマブと同様の効果が得 られるという重要なベネフィットが示された。これによって、注射の処置そのものに伴う負担が 軽減されること並びに患者の毎月のモニタリング回数が減少するというさらなるベネフィットが もたらされる。投与頻度を少なくすることにより、患者及びその介護者の経済的、時間的負担も 軽減できる。次回の受診までの視力悪化を気に懸けることなく受診の頻度を減らすことによって、

受診に関連するすべての負担を軽減することができる。VIEW 1 試験及び VIEW 2 試験では、4 週 ごとのラニビズマブ投与に対する 8 週ごと 2.0mg の VEGF Trap-Eye 投与の非劣性が検証された。

つまり、VIEW 1 試験と VIEW 2 試験で示された、視力の改善・維持のベネフィットに加え、導入 期以降は追加のモニタリングを必要とせず、2 カ月に1回の治療により来院回数を半減させると いうさらなるベネフィットの可能性が示された。こうした治療方法によって、患者とその介護者 及び医療従事者の負担が大きく軽減されうる。

VIEW 1 試験と VIEW 2 試験の臨床的有効性と有害事象のデータを用い、ラニビズマブに対する 費用効果分析(質調整生存年:QALY)を実施した。モデルに組み込まれた費用には、治療費、治 療に関連して発現する有害事象に対する費用、さらに治療中のモニタリング費用から失明に至っ た場合にかかる費用までが含まれている。8 週ごと 2mg の VEGF Trap-Eye はラニビズマブに比べ 費用対効果に優れていると考えられる。

また、VIEW 1 試験と VIEW 2 試験の 2 年目には、再投与基準を満たした場合、あるいは前回投 与から 12 週間が経過した場合に治験薬投与が行われ、1 年目に達成された視力の改善は、この 投与方法で、2 年目もおおむね維持されていた。投与 2 年目には、VEGF Trap-Eye 2mg の用量で、

約半数の被験者では 3 カ月ごとの投与で視力は良好に維持されており、このような病状の安定し た患者では、3 カ月ごとの投与で治療が可能であると考えられた。

ベネフィットに対する不確定要素の評価

この臨床開発プログラムのもとに実施された試験は、いずれも適切にデザインされ、ICH-GCP 基準を遵守して実施された。試験デザイン及び内容は規制当局の勧告に従ったものであり、これ らの試験では、有効性の主要評価項目とすべての副次評価項目、またすべての部分集団解析に一 貫した確実な結果が得られた。事前に規定された評価項目についてラニビズマブに対する非劣性 が検証されたこと、並びにラニビズマブの結果がラニビズマブ承認の基盤となった 2 本の試験

(ANCHOR 試験と MARINA 試験)の成績と同様であったことから、本剤によるピボタル試験の結果 の信頼性が示された。さらに、すべての感度解析において主要な解析の結果が確認され、解析結 果の頑健性も示された。有効性の主要評価項目が各ピボタル試験で 10%の非劣性限界値を満た しただけでなく、ピボタル試験の併合データによる解析においても非劣性が証明された。

以上のことから、VEGF Trap-Eye のベネフィットに対する不確定要素は少ないと考えられた。

2.5.6.2 リスク

VEGF Eye について実施された臨床プログラムの安全性データの結果から、VEGF Trap-Eye は忍容性が高く、安全性プロファイルも容認可能なものであることと結論付けられた。これ らの安全性データからリスク因子として特定されたもののうち、眼内炎は、早期に診断し適切な 治療をしなければ、永久的な視力喪失に至るリスクがあるため、重要なリスクとして特定した。

この他に、以下の 2 つの重要な潜在的リスクが特定された。

(i) 動脈血栓塞栓:このリスクは全身的な VEGF 阻害療法に伴い増加する。しかし、硝 子体内投与時の曝露量は全身曝露時よりはるかに低い。本剤投与により、全身の VEGF 阻害に起因する動脈血栓塞栓に関連する有害事象(心筋梗塞、脳卒中、血管 死等)が発現する可能性がある。国内外で実施された第Ⅲ相試験〔プール 1(2 年 間)〕における動脈血栓塞栓関連事象の発現率は、本剤投与群全体で 3.3%

(1,824 例中 60 例)であった。

(ii) 胎児毒性:ウサギの胚・胎児毒性試験(3~60mg/kg を器官形成期に静脈内投与)

において、母動物の体重減少、流産、着床後胚死亡及び胎児奇形(外表、内臓及び 骨格奇形)の増加が報告されている。別のウサギ胚・胎児毒性試験(0.1~1mg/kg を妊娠 1 日~器官形成期に皮下投与)において、胎児奇形(外表、内臓及び骨格奇 形)の増加が報告されている。妊娠ウサギにおいて、本剤の胎盤通過性が認められ た。妊婦又は妊娠している可能性のある女性に対しては、VEGF Trap の投与は推奨 できない。

これらの重要な特定されたリスク及び重要な潜在的リスクは、本邦における添付文書(案)の

「使用上の注意」に、脳卒中を重大な副作用として記載し、さらに脳卒中の危険因子のある患者 を慎重投与に、また、「その他の注意」に動脈血栓塞栓に関連する有害事象について記載するこ とによって十分な注意喚起を行い、リスクの軽減をはかることとした。また、市販後調査計画書 にも記載を行い、検討する項目としている。さらに、妊婦又は妊娠している可能性のある女性に ついては「禁忌」とし、「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」に記載し、注意喚起を行っている。

リスクに対する不確定要素の評価

臨床開発プログラム中に設けられた VEGF Trap-Eye の安全性データベースは、申請用法・用量

(1 年にわたり 8 週ごと 2mg)の投与を受けた 621 例を含む VEGF Trap-Eye の投与を受けた合計 1,824 例の安全性データから構成され、薬剤の安全性及び忍容性プロファイルに関する網羅的で 頑健な評価データを提供している。このデータには、第Ⅲ相試験における 2 年間の VEGF Trap-Eye の注射、計 26,366 回が含まれている。さらに第Ⅰ相試験と第Ⅱ相試験の長期延長試験では、

被験者 157 例が最大 44 カ月間 VEGF Trap-Eye の投与を受けている。その安全性プロファイルは、

第Ⅲ相試験で認められたものと同様であった。

このように十分な安全性データに基づき VEGF Trap-Eye の安全性及び忍容性が示されたこと、

及び硝子体内投与時の全身曝露量が極めて低いことから、リスクに対する不確定要素はかなり少 ないと考えられる。本剤上市後、医薬品安全性監視(ファーマコビジランス)を継続することに より市販後におけるさらなる情報を収集し、検討・評価を行う。

2.5.6.3 バランス

ベネフィットとリスクの抽出

滲出型 AMD は進行性の疾患であり、治療しなければ不可逆性の視力喪失に至る。本剤の硝子体 内投与の主な目的は、望ましい安全性プロファイルのもとで視力を改善したり、あるいは少なく とも視力を維持したりすることである。VEGF Trap-Eye を(i)4 週ごと 0.5mg、(ii)4 週ごと 2.0mg、(iii)(4 週ごとの注射を 3 回行う導入期の投与後)8 週ごと 2.0mg の用量で 1 年間投 与した時の有効性のデータから、既承認のラニビズマブの月 1 回 0.5mg の投与と同程度の持続的 な有効性が証明された。治験の 2 年目には、VEGF Trap-Eye 2mg の用量で、約半数の被験者では 12 週ごとの投与で視力は良好に維持されており、2 年目以降にはこのような病状の安定した患者 では、3 カ月ごとの投与で治療が可能であると考えられた。

このように、VEGF Trap-Eye は 2 カ月ごとに投与することで注射手技に伴うリスクを最小限に 抑えられる可能性がある。

また、VEGF Trap-Eye が視力の改善及び維持に有効であることに加えて、必要な注射の回数及 びモニタリングのための患者の来院回数を少なくできることから、患者の QOL を更に改善できる 可能性がある。

ベネフィットとリスクのバランス

ラニビズマブと同程度の有効性と良好な安全性プロファイルを維持しながら VEGF Trap-Eye の 投与間隔を延長できるとすれば、VEGF Trap-Eye のベネフィットはリスクを上回ると考えられる。

硝子体内投与の頻度を減らすことができる VEGF Trap-Eye の用法用量(1 カ月ごと、3 回の初 期投与後、2 カ月ごとの硝子体内投与)は、(i)注射に関連する有害事象のリスクを減少させ、

(ii)中間モニタリング来院を不要とし、(iii)患者、その介護者、医師、並びに医療制度全 体への負担を軽減する点で、患者に有益となる可能性を有する。

以上のことから、滲出型 AMD 患者において 3 回の毎月投与後に 2 カ月ごとの VEGF Trap-Eye を 投与する治療には、リスクを明らかに上回るベネフィットがあると考えられる。

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