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競売(オークション)のメカニズム・デザイン

ドキュメント内 コンセッションの勧め (ページ 87-94)

したがって、提示される価格と販売数量の間に滑らかなトレードオフは存在しない。

・「一括的な競争」。すなわち、各コンテストは、一期間における一人の供給者の総売上高と比 較して大きい。

・「すべてのコンテストは新しいコンテスト」。言い換えると、一つのコンテストの結果が他の コンテストを決定するといった「ロックイン」は存在しない。

・「新規供給者の当該市場への参加が容易である」こともある。

・入札プロセスを伴う。

 上から三つの特徴を持つ市場は、ベルトラン価格設定で見られるものであり、実際に競争の結 果を保証するには二人で十分である。上から四つの特徴はコンテスタブルな市場に類似してお り、そこでは一人もしくは多くの潜在的な供給者がいれば、競争の結果を確保するのに十分であ る。入札プロセスを利用するかどうかは、関係がない。入札プロセスを含む市場は、必ずしも他 の四つの特徴を必要としない。したがって、入札プロセスを利用する市場が、ベルトラン競争な いしコンスタブル市場から得られる特徴を持っているとは仮定できない。すなわち、入札者たち が市場支配力を持ち、その支配力が簡単に浸食されるとは思えない。

(2) 合併分析が入札プロセスの存在によって大きく変わるわけではない。入札プロセスが利用 される市場も、ほかの市場と同様の経済的な力に従うことになる。どんな合併分析でもそう であるように、競争上の制約を理解することは重要である。合併当事者はそうした制約に従 うべきである。また、経済モデルの選択を実際の市場環境分析で基礎づけることも重要であ る。合併分析に用いられる競争当局のほとんどの手法は、入札プロセス市場に対して頑健

(robust)であり、良い結果を提供すると考えられる。

 既存の市場シェアは、入札の有無に関係なく、必ずしも将来の競争について情報を与えてくれ るものではない。事前の競争と事後の市場シェアというかたちで概念を区分するのが有益であ る。また、事後の市場シェアは、必ずしも入札市場での競争の激しさを反映するものではない。

 重要なポイントは、将来的な入札機会において信頼できる入札者を見分けることである。これ は、既存および潜在的な競争の標準的な分析と、同様である。潜在的な入札者が識別され、参入 障壁が評価される。各潜在的な入札者が等しく将来の入札競争の勝利になるとは限らない。

 既存事業者が優位性を持つところでは、すなわち過去に特定の顧客に販売したことで将来にも 彼に販売できるようなところでは、既存の市場シェアが大きいということは、通常、市場支配力 を持っていることを示すものでもある。

 SSNIP テスト「小幅であるが、有意かつ一時的でない価格引上げ」テスト( small  but  sig-nificant  and  non-transitory  increase  in  price   test)を用いた市場の画定は、時々、二つの理由 で入札プロセスを持つ市場においてその適用が難しくなる。第一に、価格は契約ごとに異なる可 能性があるからである。同じことは、価格が契約ごとに別々に設定されるような他の市場にも当 てはまる。第二に、SSNIP をそれに加算できるようなはっきりとした価格がないことである。

なぜなら、競争は連続的というより、同時に起こるからである。これらの困難にもかかわらず、

SSNIP テストの根底にある代替性の概念は、関連市場の画定に利用できる。非価格要因は、需 要と供給の両方で、代替性の大きさを測るのに役に立つ。非価格要因には、とりわけ製品の特性 と用途、独自の生産設備ないしプロセス、個々の購入者、販売者の専門知識、および業界関係者 の意見などが、含まれる。

 製品差別化がなされている市場での合併効果分析は、合併当事者間に競争があるかどうか、す なわち彼らは相互に重要な競争上の制約を課しているかどうかをめぐり展開される。合併当事者 の製品が彼らの第一および第二の選択肢であるような、また合併が競争効果をもたらすような、

そのような重要な顧客のサブ集合(subset)があるかもしれない。たとえ、合併当事者の製品が 第一、第二の選択肢である可能性はわずかだとしても、合併には競争効果がある(おそらく、競 合者間で、輸送コストの相違などで、コストの違いがある場合の非差別的な製品に対しても同様 の分析が成り立とう)。

(3) 定量的な分析技法は、競争上の制約を確認するために、入札プロセスから得られるデータ にも適用できる。

 そのような技法の一つに頻度分析がある。合併当事者がお互いに出会う頻度を見るには、関連 製品の売上高のすべてを、もしくは大部分を調査してみることである。もしくは、合併当事者の 製品が顧客にとって第一または第二の選択肢となる頻度からも学べるかもしれない。また、企業 がある特定の顧客層に供給するのに、入札など用いないパターンを見つけ出すこともできよう。

その場合には、即座に、彼らが本当に供給できないのかどうか、さらなる調査が必要となる。二 つの差別化された製品の類似性を分析するための他の技法には、次のようなものがある。製品特 性の評価、調査の利用、もしくは顧客の意見を推定する他の分析道具の利用、場合によっては「自 然実験(natural  experiment)」。なお、自然実験とは、一時的な理由で、市場から一つの製品を 突然に消したとき、何が起こるかという実験である。合併当事者が代替性の高い財を提供する場 合にあっても、もし第三者が常に各入札競争に参加し、代替性の高い財を提供するならば、合併 の競争効果は制限されることになろう。

 もう一つの技法は誘導型推定(reduced form estimation)である。これは例えば、入札(割引)

価格と入札者の数の関係、入札者の身元、および買い手ないし製品の特徴を推定することを意味 している。起こりうるデータ問題は、何人の入札者がいるかわからないことである。というのは、

競り上げないし公開オークションでは、入札を行う前に何人かの入札者は脱落するかもしれない からである。ほかの問題としては、入札者の人数といった要因の変化より、価格の変化を引き起 こす監視できない要因が存在することである。例えば、それは落札の好ましさに影響を与えるよ うな価格の変化があるかもしれない。この技法は、企業が非協調的に行動することを仮定してい るが、他面、共謀が起こる可能性は、合併シミュレーションのような競争効果の構造モデリング よりも、この技法を用いたほうが問題は少ないことを示している。もう少し微妙な問題は、「製 品位置づけの再配置(repositioning)」である。供給者が差別的な製品を提供しているとき、合 併後の事業体が合併前に提供していたものとは異なる特性を持つ製品を再配置して提供すること もできる。これは、価格の上昇に加え、合併による競争の変化であろう。

 オークションの分析は、入札期間中、入札者が何を観察しているかによっても、影響を受ける。

すなわち、彼らはライバルの身元、ライバルの入札額、そしてそれがいつわかるのかが問題にな るのである。誰が、いつ、どの程度の額を入札するのかを観察するのはむずかしい。入札期間中 に何を観察できるのかについての見解の相違が、経済モデルの選択に影響を与えた一例が、

Oracle と PeopleSoft の合併案件であった。その合併では、一部のアナリストは、入札者はライ バルの身元を知っていて、ライバルを退けるために、追加の入札を行ったと主張したが、他のア ナリストは、入札者は、ライバルに低い入札額を入れさせることができるほど、彼らについて良 い情報を持ってはいなかったと主張している。前者は、公開ないし競り上げオークションで市場 をモデル化し、後者は封印入札オークションでモデルを設定した。さまざまなモデルは、合併の 競争効果についても異なる予測を生む。入札と関係がない、さまざまな分析技法が、合併評価に 適用されていることに留意すべきである。

(4) いわゆる「共通価値オークション」市場での合併は、信じがたい市場環境のなかでしか、

競争を増進できない。「共通価値オークション」では、入札者は、自分たちが入札している ものの価値を知らない。その基本的な考え方は、さまざまな入札者の持つ情報を結合するこ とで、入札者に評価値の見積りでより大きな自信を与え、彼らはより積極的に入札するよう になるであろう、という点にある。しかし、競争は、信じがたい特殊な場合でしか、増進さ れることはない。一般的に、通常の理由から、かかる合併は競争を減退させるように思える のである。

(5) 入札主催者(bid-takers)は、自分に有利になるようにオークションのルールを変更する ことでは、合併の反競争的効果を防ぐことができない可能性がある。彼らは、オークション

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