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磁束変調伝達方式の磁気ギアの理論

第 7 章 :結論

2.2 磁束変調伝達方式の磁気ギアの理論

2.2.1 磁束変調原理とトルク式

ポールピースを用いた一般的なSPM型磁気ギアの構造を図2.3(a)に示す。図2.3(a)より, 磁気ギア の構造は円筒状に高速ロータ, 固定ポールピース, 低速ロータから構成されており,各ロータの表面には 永久磁石が配置されている。図2.3より,モータのシャフト軸に結合した高速ロータが回転すると,高速 ロータの磁石起磁力が固定されたポールピースのパーミアンスにより磁束変調される。この変調された磁 束成分に低速ロータの極対数を合わせることで,低速ロータと高速ロータは磁気的に結合し, ギア比を高 速ロータと低速ロータの極対数の比で得ることができる。

従来のSPM型磁気ギアの動作原理とトルク式は, SPM型バーニアモータの原理に基づいて導出できる (付録Aを参考)[68][70]。SPM型磁気ギアの動作原理とトルクの発生原理を数式を用いて示す。SPM 型磁気ギアのパラメータを図2.3(b)に示し,動作原理図を図2.4に示す。

(a)構造 (b)パラメータの表記

2.3 SPM型磁気ギアの構造

高速ロータの磁石起磁力は次式として表せる。

Fh=Fhmcos{Zhh−ωht)} (2.7)

また,低速ロータの磁石起磁力は次式として表せる。

Fl =Flmcos{Zll−ωlt)} (2.8)

ただし, Fh:高速ロータの磁石起磁力, Fhm:高速ロータの磁石起磁力振幅, Zh:高速ロータの極対数, θh:高速ロータの磁極中心を基準とした機械角度,ωh:高速ロータの機械角速度,Fl:低速ロータの磁石 起磁力, Flm:低速ロータの磁石起磁力振幅,Zl:低速ロータの極対数,θl:低速ロータの磁極中心を基準 とした機械角度,ωl:低速ロータの機械角速度である。このとき,図2.4より,θh,θlをポールピースの中

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2.4 SPM型磁気ギアの動作原理

心を基準としたθを用いると下式として表せる。

θh=θ−δh (2.9)

θl =θ−δl (2.10)

ただし,δh:高速ロータの磁極Nの中心とポールピースの中心との偏差角度,δl:低速ロータの磁極Nの 中心とポールピースの中心との偏差角度である。式(2.9),(2.10)を式(2.7),(2.13)に代入すると,各ロー タの磁石起磁力は次式として表せる。

Fh=Fhmcos(Zhθ−Zhωht−Zhδh) (2.11) Fl =Flmcos(Zlθ−Zlωlt−Zlδl) (2.12)

また,ポールピースのパーミアンスは次式として表せる。

Pp =Pp0+Ppacos(Zpθ) (2.13)

ただし,Pp:ポールピースのパーミアンス,Pp0:ポールピースのパーミアンスの直流分,Ppa:ポールピー スのパーミアンスの振幅,Zp:ポールピースの数である。このとき,高速ロータおよび低速ロータの磁石 起磁力はポールピースのパーミアンスによって磁束変調されると,エアギャップ中の磁束は下式で与えら れる。

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φ= (Fh+Fl)Pp

=FhmPp0cos(Zhθ−Zhωht−Zhδh) +FlmPp0cos(Zlθ−Zlωlt−Zlδl) +1

2FhmPpacos{(Zp+Zh−Zhωht−Zhδh} +1

2FhmPpacos{(Zp−Zh)θ+Zhωht+Zhδh} +1

2FlmPpacos{(Zp+Zl−Zlωlt−Zlδl} +1

2FlmPpacos{(Zp−Zl)θ+Zlωlt+Zlδl}

(2.14)

ただし,φ:エアギャップ中の磁束である。式(2.14)より,第1項および第2項は各ロータの極対数に応 じた空間次数を持つ基本波磁束成分である。第3項,第4項は高速ロータの起磁力に対してポールピース のパーミアンスにより変調された変調磁束成分であり, ポールピースの数Zpと高速ロータの極対数Zh

の和と差の空間次数を有している。同様に第5項,第6項は低速ロータの起磁力に対してポールピースの パーミアンスにより変調された変調磁束成分であり,ポールピースの数Zpと低速ロータの極対数Zlの和 と差の空間次数を有している。このときギア比を得るための極対数とポールピース数の条件式は次式で与 えられる。

Zl =|Zp±Zh| ⇐⇒Zh=|Zp∓Zl| (2.15)

上記, 式(2.15)を満たすとき, 低速ロータと高速ロータは磁気的に結合し, ギア比を高速ロータと低速

ロータの極対数の比として次式のように得ることができる。

Gs=±Zl

Zh

(2.16) ただし,Gs:SPM型磁気ギアのギア比である。式(2.16)のギア比の符号は高速ロータに対する低速ロー タの回転方向を表す。式(2.15)より,Zl =|Zp+Zh|を満たすときギア比の符号+はとなり,低速ロー タと高速ロータは同方向に回転する。また,Zl =|Zp−Zh|を満たすときギア比の符号は-となり,低速 ロータと高速ロータは逆方向に回転する。ギア比を用いて, 高速ロータと低速ロータのトルクと回転速度 の関係は次式として表せる。

Tl =GsTh (2.17)

ωl = 1 Gs

ωh (2.18)

ただし,Tl:低速ロータのトルク,Th:高速ロータのトルクである。式(2.17), (2.18)より,低速ロータの トルクは高速ロータに対してギア比に比例し, 回転速度はギア比に反比例する。このとき,高速ロータお よび低速ロータの平均トルクは磁気エネルギーの変化量より次式から得ることができる。

T = ∂Wm

∂θ = 1 2π

0

φ∂F

∂θdθ (2.19)

ただし,T:磁気ギアのトルク,Wm:磁気エネルギーとする。ここで,式(2.11),(2.12),(2.14)を式(2.19) に代入すると,高速ロータ及び低速ロータの平均トルクは次式で与えられる。

Th= 1

4FhmFlmPpaZhsin{−(Zlωl∓Zhωh)t−Zlδl±Zhδh} (2.20)

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2.5 負荷角に対する伝達トルクの原理図

Tl= 1

4FhmFlmPpaZlsin{−(Zlωl∓Zhωh)t−Zlδl±Zhδh} (2.21) 式(2.20),(2.21)より,各ロータの平均トルクは,高速ロータの起磁力振幅,低速ロータの起磁力振幅,ポー ルピースのパーミアンス振幅,各ロータの極対数の積をトルク係数として表せる。また,Zlωl∓Zhωh= 0 の条件を満たすとき平均トルクを生じ,−Zlδl±Zhδh =αとすると各ロータの平均トルクは負荷角を用 いて次式で表せる。

Th= 1

4FhmFlmPpaZhsin(α) (2.22)

Tl= 1

4FhmFlmPpaZlsin(α) (2.23)

ただし,α:磁気ギアの負荷角とする。式(2.22), 式(2.23)より,負荷角に対するSPM型磁気ギアの伝達 トルクを図2.5に示す。図2.5より, 高速ロータ及び低速ロータのトルクはα=π2 の条件を満たすとき最 大トルクを生じる。磁気ギアはそのトルク係数から伝達可能な最大トルクが決まっており,負荷が最大伝 達トルクを超えると負荷角が90deg以上となり高速ロータと低速ロータは脱調する。

2.2.2 高速ロータ , ポールピース , 低速ロータの角速度の関係

磁束変調伝達方式の磁気ギアにおいて高速ロータ, ポールピース, 低速ロータの角速度は次式が成り立 つ[72]

Zhωh+Zlωl(Zh+Zlp= 0 (2.24) ただし,ωp:ポールピースの角速度である。また上式おける極対数とポールピース数の条件は|Zh−Zp|

=Zlを選択した場合である。式(2.24)と磁気遊星ギアの式(2.2)を比べると,高速ロータの角速度がサ ンギアの角速度,ポールピースの角速度がキャリアの角速度, 低速ロータの角速度がリングギアの角速度 に対応しており同一の関係式で表されていることがわかる。したがって,磁束変調伝達方式の磁気ギアに おいても高速ロータ, ポールピース, 低速ロータの入出力を変えることで減速比が変化し3つの動作モー ドを得ることができる。式(2.24)の磁気ギアの角速度の関係を利用することで無段変速機に応用するこ とができる[57][60]

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