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研究活動

ドキュメント内 GLOCOL 年報 2012 (ページ 47-88)

1.GLOCOL 共同研究

GLOCOLでは、2008年度から、GLOCOLのミッションである国際的な教育、研究、実践支援をさらに発展させる可能性

のある研究に対しGLOCOL共同研究を公募し、実施している。2012年度は兼任教員提案型(本企画・萌芽企画)と学外連携 型(本企画・萌芽企画・次世代ワークショップ)を募集し、兼任教員提案型で本企画2件、萌芽企画2件、学外連携型で次世 代ワークショップ1件を採択し、GLOCOLのグループごとの共同研究2件と、2011年度から継続の学内連携型共同研究を合 わせて、下記8件の共同研究が実施された。

1)防災・減災・災害復興と国際協力

Disaster prevention, post-disaster reconstruction and international cooperation

<学内連携型>

【代表者】

山内直人(国際公共政策研究科教授)

【メンバー】

辻  毅一郎(大阪大学名誉教授)

渥美公秀(人間科学研究科教授)

中村安秀(人間科学研究科教授)

出口一郎(工学研究科教授)

常田賢一(工学研究科教授)

宮本裕司(工学研究科教授)

松野明久(国際公共政策研究科教授)

大谷順子(人間科学研究科准教授)

吉富志津代(GLOCOL特任准教授)

 

【研究プロジェクトの概要】

阪神・淡路大震災、四川大地震、インド洋津波、東日本大震災などの経験を踏まえ、巨大災害後の復旧・復興、およ び巨大災害に備えた防災・減災のための公共政策を考え、諸外国、特に発展途上国に対する国際協力にどのように役立 てるか、といった論点について、研究組織内および外部専門家からのフィードバックを得て検討を進めた。

  特に、ハード防災とソフト防災の補完的関係、官民役割分担、コミュニティや寄付・ボランティア、ソーシャル・キャ ピタルの役割などを現存する記録やデータを用いて評価・分析した。また、大災害の前後を比較し、住民の防災意識や コミュニティの相互扶助がどのように変化したか、建築や土木の災害対応がどのように進んだか等について調査データ を集め、それらを解析した。

 

【2012年度研究成果の概要】

本プロジェクトに関連するシンポジウム等を以下の通り実施した。

1)アメリカ非営利学会におけるパネル討論の実施

ARNOVA(Association for Research on Nonprofit Organizations and Voluntary Action)の第41回年次大会(2012

年11月15-17日、アメリカ・インディアナポリス)において、東日本大震災に関する90分のパネル・セッション

を企画し、研究報告を行った。

Does Catastrophic Disaster Change the Civil Society and Philanthropy? The Case of Tohoku Earthquake in Japan, as moderator, 41th ARNOVA Annual Conference, Indianapolis, USA, November 15-17, 2012.

パネリスト

田中弥生(大学評価・学位授与機構准教授)

奥山尚子(大阪大学社会経済研究所特任助教)

川脇康生(国際復興支援プラットフォーム上席復興専門官)

山内直人(大阪大学大学院国際公共政策研究科教授、本共同研究代表者)(モデレーター)

2)GLOCOLセミナー「防災・災害復興と国際協力」の開催(下記参照)

3)GLOCOL/ヒューライツ大阪 共催イベント「福島の人と神戸の人がつながる日〜復興への語らいとソウル・フラ ワー・モノノケ・サミット ライブ〜」の開催

【共同研究プロジェクトの発展】

山内が研究代表として実施してきた科研費基盤研究(A)「研究課題:ソーシャル・キャピタルの統計解析と公共政策 に関するフロンティア研究」(2009年度〜2012年度)の後継研究事業として、基盤研究(A)「研究課題:ソーシャル・

キャピタルと安全・安心社会の構築:震災を踏まえた公共政策研究」(2013年度〜2017年度)を申請中である。このな かに、本共同研究の成果を踏まえ、ソーシャル・キャピタルが防災・災害復興に与える影響に関する研究を盛り込んで いる。日本NPO学会が実施する震災特別プロジェクト「東日本大震災における民間支援の軌跡と動向調査」(2012年〜

2016年)と連携し、シンポジウムや研究会の共催、研究成果の相互活用などを進める計画である。

● 第94回 GLOCOLセミナー 防災・災害復興と国際協力

【開催日・場所】

2012年12月14日、大学院国際公共政策研究科(OSIPP)棟6階会議室(豊中キャンパス)

【言語】

日本語

【プログラム】

開会:山内直人(大学院国際公共政策研究科教授)

石渡幹夫(世界銀行上席防災管理官)「世界各地の災害対策と国際協力」

渡部正樹(国連人道問題調整事務所神戸事務所長)「国際人道システムと国連の役割」

杉本明文(兵庫県防災監)「東日本大震災の教訓を踏まえた今後の防災対策と地域間協力」

質疑とパネル討論

石渡幹夫、渡部正樹、杉本明文

モデレーター:川脇康生(国際復興支援プラットフォーム上席復興専門官)

【概要】

災害リスク軽減に向けた防災対策と地域間協力・国際協力のあり方につい て、この分野の専門家の参加を得て議論することを目的とし、特に、東日本 大震災に代表される大規模広域災害等における、被災地支援・受援のあり方 などについて、参加者とともに議論を深め、今後の国際防災協力に求められ る方向性を見出した。

【講師紹介】

石渡幹夫(世界銀行上席防災管理官)

東京都出身。東京大学大学院工学系研究科都市工学(修士)修了。1988 年 建設省(現国土交通省)入省、在ネパール日本大使館、英国クランフィール

ド大学防災研究所研究員、アジア開発銀行都市開発専門官、国土交通省河川計画課企画専門官、浜田河川国道事務所長 などを歴任。2005 年より国際協力機構国際協力専門員として、インド洋大津波復興支援、アジア、アフリカにて気候 変動適応、防災、平和構築を担当。2011年10月より現職で東日本大震災の教訓プロジェクトを担当。国際協力学博士。

渡部正樹(国連人道問題調整事務所神戸事務所長)

大阪府出身。早稲田大学政治経済学部卒業。英国ロンドンスクールオブエコノミクス修士課程修了。1997 年海外経済 協力基金に入行。国連難民高等弁務官事務所ザンビア・ルサカ地域事務所、同ジュネーヴ本部、国連人権高等弁務官事 務所ジュネーヴ本部を経て、国連人道問題調整事務所・調整対応部・アジア太平洋課人道問題担当官(スリランカ・東 日本大震災担当)。2012年1月より現職。

杉本明文(兵庫県防災監)

兵庫県出身。京都大学法学部卒業。兵庫県入庁後、長期ビジョン部夢ビジョン課長、県民政策部政策室課長、西播磨県

民局副局長兼企画調整部長、農政環境部農政企画局長、北播磨県民局長を歴任。2011年4月より兵庫県副防災監。2012 年4月より現職。

川脇康生(国際復興支援プラットフォーム上席復興専門官)

兵庫県出身。1984年兵庫県庁入庁。都市住宅部政策課、土地政策局企画室、兵庫県立大学事務局等を経て、2010年よ りアジア防災センター研究部参事、国際復興支援プラットフォーム事務局上席復興専門官。2011 年度より大阪大学大 学院国際公共政策研究科客員教授。

【備考】

主催:GLOCOL

共催:国際公共政策研究科NPO研究情報センター

2)多移民国家におけるマイノリティ国民のアイデンティティの解明:中東・カタルの事例から A Study on Identity Construction of the Minority Nationals in the Migrant Majority State

―In Case of The State of Qatar

<兼任教員提案型(萌芽企画)>

【代表者】

近藤久美子(言語文化研究科教授)

【メンバー】

Abdullah Baabood(カタル大学湾岸地域研究所所長)

津田  守(GLOCOL教授)

Steven Wright(カタル大学人文科学部准教授)

辻上奈美江(東京大学特任准教授)) 石井正子(人間科学研究科准教授)

常田夕美子(GLOCOL特任准教授)

堀拔功二(日本エネルギー経済研究所研究員)

【研究プロジェクトの概要】

本研究では、カタルにおいてマイノリティである自国民のアイデンティティが、国家、宗教、伝統や富の配分、セキュ リタイゼーションの観点からどのように形成されているのかを解明する。先行する UAE をめぐる研究では、ナショナ ル・アイデンティティが国家的問題として設定され、治安・文化・アイデンティティをめぐる議論が行われてきた。他 方カタルでは、現在までのところそのような言説はあまり見られない。本研究においては、UAEの検証データを比較資 料としつつ、政治体制や人口規模、経済構造、そして外国人労働者の構成を整理することを準備段階としておこなう。

その上で、これまでにカタル人の外国人労働者に対する姿勢や意識について質量的調査を実施するなどの実績がある、

現地カタル大学の社会経済調査研究所(Social and Economic Survey Research Institute)との共同作業を将来的に行う。

 

【2012年度研究成果の概要】

自国民の割合が 12%になったカタルの事例をもとに、中東におけるいわゆる湾岸新興国の外国人移民労働者と自国民 の関係、そして自国民の国民意識の有り様またその形成について、カタル大学の研究者を招聘して公開シンポジウムを 行い、問題提示と現状報告を行った(次ページ参照)。

シンポジウム前の研究会において、掘抜氏より湾岸地域の現状を統計学的に説明いただき、石井氏から移民労働者(特 に女性)の抱える問題について説明があった。

シンポジウムではSteven Wright氏により、現在のカタルの状況、特に2020年ワールドカップ開催に向けて急激なイ ンフラ整備が行われていることや、移民労働者たちの人権をめぐる問題などが明らかにされた。Abdullah Baabood氏か らは、自らアラビア語を母語とする立場でありながら主として英語を話す方が多いことを例にあげ、カタルにおける言 語状況、カタル人の「国語」としてのアラビア語の実情が伝えられた。このことについては、従来の「『アラブ』という のは、日常アラビア語を母語として話す人をさす」という定義に再考が求められる好例となった。

ドキュメント内 GLOCOL 年報 2012 (ページ 47-88)

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