1.社学連携
1)足もとの国際化連続セミナー
この事業では、セミナーという発信の機会を設け、その企画から運営までのプロセスにおいて「足もとの国際化」を 促進することを目的としている。2010年度からは、ミックスルーツの若者たちのエンパワーメントとネットワークづく りのためのセミナーを企画している。今年度は以下の活動を実施した。
● プレイベント:スティーブン・マーフィー重松教授来日記念講演 日時:2012年9月7日
場所:ステューデント・コモンズ(豊中キャンパス)開放型セミナー室 主催:GLOCOL
企画:ミックスルーツ・ジャパン
講師自身の日本とアイルランドのルーツを「ケルティック侍 ― ある少年の成長の旅」と題 したモノローグによって演じ、その終了後に「あなたは日本人ですか?」とい
う質問を軸にクリティカルシンキング(critical thinking)エクササイズを行っ た。また、11名のミックスルーツの人々の人生を通して、彼らの無数のアイデ ンティティがどのように変化し形成されてきたかを検証した新著書「When Half is Whole; Multiethnic Asian American Identities」を紹介。参加者自身も ミックスルーツ当事者が多く、共感をもちながら、自らのアイデンティティを 考える機会となった。
● ミックスルーツ・アカデミックフォーラム 日時:2012年10月27日〜28日 主催:GLOCOL
企画:ミックスルーツ・ジャパン
協力団体:ワールドキッズコミュニティ、FMわぃわぃ
(1) 若手研究者発表会 2012年10月27日9:00〜12:00
・司会:岡村兵衛(神戸大学博士課程)
・発表者:吉田シマ(ユタ大学博士課程)、レイチェル・ゴック(ウィスコンシンマディソン
大学博士課程)、アラル・ケンザ宝(大手前大学・甲南女子大学講師)、ディスネル・グタラ(関西外国語大学講師)
・ゲスト発表者:ケン・イシカワ(GLOCOL招へい研究員)「Children of the Pearl, Children of the Sun: The Lives and Struggles of Japan's Unacknowledged Children」
・コメンテーター:ジェリー・ヨコタ(言語文化研究科教授)、リリアン・テルミ・ハタノ(近畿大学総合社会学部准教 授)、柴田佳子(神戸大学国際文化学研究科教授)
応用言語学から母語教育と日本語教育、アメリカにおけるミックスルーツの研究と日本での研究の比較、音楽やポッ プカルチャーでのミックスの表象など、多彩な観点から 4名の若手研究者が発表を行った。また、その発表分野の研究
者がコメンテーターをつとめ、ゲスト発表者としてGLOCOL研究員が発表する機会にもなった。
(2) 公開シンポジウム「日本の多文化社会モデルとは̾ミックスルーツを考える」2012年10月27日14:00ࠥ17:00
・司会・進行:吉富志津代(GLOCOL 特任准教授)
基調講演(1):打村 明(日系ユースネットワーク事務局長)
「ミックスルーツとしての強さを使って人を繋ぎ、世界を良くする方 法: Samuraidea プロジェクト」
基調講演(2):アイシャ・フクシマ(米 TEDx スピーカー、Raptivism 代表)
「レプティビスム:ブラッカニーズ・パワー!」
・ショートフィルム上映「Neither Here nor There」(30分)
・パネル・ディスカッション 進行:須本エドワード
パネリスト:基調講演者 & トムリンソン・マリサ & 石川ホベルト(MC Beto)
ラップパフォーマンス:アイシャ・フクシマ & MC Beto
(3) フォーラム[2]「沖縄とミックスルーツを考える」 2012年10月28日9:00
〜12:00
沖縄とミックスルーツ。それは時にタブーともされるトピックもあるが、目を 背けずに向き合ってきた当事者が、沖縄とミックスルーツに関する課題を議 論。
・発表者:島袋まりあ(カリフォルニア大学リバーサイド校比較文学外国語学部 准教授)平野マリア(活動家)タムリン ソン・マリサ(琉球大学 博士前期課程)
(4) パネル・ディスカッション & ミニパフォーマンス 「Blackanese and Proud!」2012年10月28日14:00〜17:00 二人のアーティストをロールモデルとして、招待された10代のミックスルーツの後輩達との対話。
パネリスト:アイシャ・フクシマ、矢野デイビッド ファシリテータ:坂下史子(関西外国語大学 講師)
研究発表のみならず、ラップパフォーマンスや映像などの多様な表現方法によって、言語、アイデンティティ、文化、
政策などについて、忌憚のない本音での意識共有と議論ができ、今後のつながりへの期待がもてた。これにより、これ までマイナスイメージであったミックスルーツの当事者が核となり、地域社会にプラスにはたらく社会変革の原動力を 実感する機会となった。
2)ヒューライツ大阪共催
人権をテーマにしたセミナーを開催することにより、社会に何らかのムーブメントを起こすことを目的に、ヒューライツ大 阪と共催するセミナーを、今年度はその拡大判として以下のような内容で、開催した。
● 福島の人と神戸の人がつながる日
〜復興への語らいとソウル・フラワー・モノノケ・サミット ライブ〜
【開催日・場所】
2013年1月18日、神戸市立地域人材支援センター
【プログラム】
14:00〜 いろいろな種類のカレー屋台、被災地の特産物販売など 16:00〜 トークセッション 南相馬市のみなさんを中心に
【概要】
阪神・淡路大震災から18年、東日本大震災から2年が経とうとしている。
福島は、自然災害だけではない原発の被害によってコミュニティが分断さ れ、排除が生まれている。これは日本全国どこでおきてもおかしくない現 象で、大きな自然災害の被災者同士だからこそわかりあって語り合えるこ とがある。何が起きていて、今後の復興にむけて何をしたらいいのか、参 加者約80名が、ともに考え連携して行くためのセッションになった。これ を多くの人と共有できるよう、大阪大学院生が記録をしてテープおこしと 編集をし、この内容を文章でも残すことにしている。
カレー屋台村では、このイベントのための環境にやさしいメニューとと
もに、オーバニックココアやジンジャーティー、大槌町のラーメン等に舌鼓をうちながら、東北各地の特産物や、フェア トレード、作業所の品物にも多くの参加者が関心を持ち、手に取っていた。
社会運動をするロックミュージシャンのソウルフラワーもののけサミッ トのライブでは、阪神・淡路大震災で生まれた名曲「満月の夕」をはじめ、
東北の大衆民謡にも観衆は感動し、大合唱をしながら、歌でも神戸と東北 の人たちがつながった。
【備考】
主催:大阪大学グローバルコラボレーションセンター、大阪大学OSIPP 山内研究室、ヒューライツ大阪、特定非営利活動法人エフエムわ いわい
協力:カレーの力を信じてるプロジェクト、南相馬ひばりエフエム、特 定非営利活動法人多言語センターFACIL
3)ワン・ワールド・フェスティバル
【開催日・場所】
2013年2月2日、3日、大阪国際交流センター
【概要】
ワン・ワールド・フェスティバルに GLOCOL のブースを出展した。ブースでは、
GLOCOLの説明パネル、海外インターンシップの説明パネル、海外フィールドスタディ
の写真などを展示し、GLOCOLの教員およびアソシエイツがブース来場者にGLOCOL の活動を説明した。海外フィールドスタディ参加学生による、プレゼンテーションが行 われ、来場者へ経験の共有と討議が行われた。
【プログラム】
2月2日
(医学系研究科D1 山中珠美)「パラオ:グローバル化時代の生活習慣変化と健康問題」
(タイFS 参加者)「GLOCOLフィールドスタディ『少数民族の伝統的生活と近代化 による変容』」
(人間科学研究科M2 原田さおり)「カレン族の子どもと中等学校教育」
(工学研究科M2 宇賀田徹)「タイ山岳民族の宗教観」
(文学研究科M1 野田達也)「カレン族の歴史認識について」
(医学系研究科M1 赤井一樹)「ハッキヤ村の公衆衛生」
(人間科学研究科M1 李燕然)「ジョムトン高校の外国語教育」
2月3日
(人間科学研究科M1 原田貴之)「パラオ:グローバル化時代の生活習慣変化 と健康問題」
(医学系研究科M2 長谷川みゆき)「パラオ:グローバル化時代の生活習慣変 化と健康問題」
2.他機関との連携
1)人間の安全保障コンソーシアムへの参加
「人間の安全保障コンソーシアム」とは、人間の安全保障に関する教育と研究に携わる高等教育機関の緩やかな連合体であ る。2007年9月に正式に発足し、同年より毎年一回、研究大会を開催してきた。当初、名称を「人間の安全保障教育研究コ ンソーシアム」としてきたが、2011年度に、コンソーシアムを母体とした個人加盟の「人間の安全保障学会」が設立され、組 織名を「人間の安全保障コンソーシアム」に改称している。
人間の安全保障学会は、2012年9月29日および30日の両日、愛知大学名古屋校舎にて学術大会を行った。同会場にて、
人間の安全保障コンソーシアムは、9月29日の13時から、文理癒合の学際的教育研究の交流の場を設ける狙いから、中部大 学の福井弘道教授を報告者とした会議を行った。また、12月15日には、中部大学にて臨時の運営会議を行い、次年度の人間 の安全保障学会で行う企画について、ブレインストーミング的な議論を行った。
GLOCOL は、教育・研究の両面で人間の安全保障を重要なコンセプトのひとつと位置づけており、設立当初から、同コン
ソーシアムに参加している。2012年度に行われた、運営会議にも出席している。
2)地域研究コンソーシアムへの参加
地域研究コンソーシアム(JCAS)は、世界諸地域の研究に関わる研究組織、教育組織、学会、そして地域研究と密接に関 わる民間組織などからなる、新しい型の組織連携である。GLOCOLは幹事組織の一つとして、理事会、運営委員会に参加し、
とりわけ社会との連携をめざした実践的な地域研究、キャリア・パス、次世代育成に関わっている。
2012年度は、JCASの幹事組織の一つとして、JCASにおける地域研究の推進とGLOCOLの実践、研究との連携の強化を 目的として、研究交流促進プログラムおよび次世代ワークショップに共催し、共同研究、次世代ワークショップの課題の公募 を行った。
またGLOCOL自身がJCAS研究交流促進プログラムに応募し、共同企画講義「エスノグラフィを書く」を実施するととも
に、大阪大学の他の部局や関連団体、研究者のJCASへの加盟やプログラムへの参画を橋渡しした。
2013年度は、JCASでの活動を通して他の加盟組織との連携や海外研究・教育機関との連携をすすめ、GLOCOLにおける 特色ある地域研究のさらなる前進を図る。