1.わたくしの内発的研究イノベーション 1-1.採種プロセス-gathering seeds process
1-1-1.Every daily research
夜9時前後に寝て、4時前後に起きる規則正しい生活を送る。講義のあ る3日も、無い4日もまず講義とゼミナール用の教案を書き、最初の頃 は、奥さんに清書してもらっていたが、後には、ワープロ打ち、パソコン 打ちしてもらっています。講義とゼミナールの準備の後には、新聞―全国 紙3紙、地方紙1紙、経済紙3紙を、休刊日以外は全面をチェックし気に なった記事を赤ボールペンで丸で囲み、出典をNK(日経の略)、Y(読 売)と書き、日付け(1995.4.8)とをメモし、その面だけ抜き取りに入れる。
気になった記事は、読んだ時に頭に浮かんだ感想や疑問と更に詳しく調べ ることを原稿用紙最少10枚分まとめる。この作業は毎日必ず行なう。
1-1-2.Every weekly research
毎週末土日曜日に、大学図書館に行き、経済週刊誌、日本語の月刊誌、
大学やシンクタンクのジャーナル、英語とドイツ語のジャーナルの目次を チェックし、アンテナに引っかかる記事をコピーして、土曜日、日曜日に ざっと目を通し、頭の腐ってくるものや、可も無し不可も無しのもの、知 的刺激を受け脳が活性化するものとに峻別し、脳を活性化させない著者の ペーパーは2度と読まないようにして、読むべき著者を絞り込む。
アンテナに引っかかった新聞、雑誌記事に関しては、ウィークデーに企 業の広報室に電話して取材するか、直接会社に出かけ取材し、メモにまと める。北海道でも九州でも電話を掛けたので、電話代が月数万円かかるの が普通だった。
1-1-3.Every monthly research
毎日集めた新聞記事とそのメモ、毎週読んだ雑誌記事のメモ類、ジャー ナルのメモ類を、月末にまとめてチェックし直し捨てるものと残るものに 分け、捨てるものもメモは残し、袋に入れて保管する。
野村総研の月刊の『ノムラサーチ』を購入し、その巻末の30ページに渡 る記事で新刊図書のタイトルと出版社の紹介記事と、BRIEFING という 項目に官庁統計、生保・銀行系シンクタンク等の調査資料の概要紹介が掲 載されていて、IT での記事検索ができない時代だったので、直接資料請 求の依頼状を出し、『ノムラサーチ』が休刊するまでは、バブル崩壊直後 までは親切に送付してくれる所が多く、貴重な資料が入手できた。
1-1-4.365日研究するコンビニエンス亭主
この research seeds gathering は、365日病気の時以外は休むことなく 続けてきている。「教育ファースト」、「研究セカンド」の方針を貫き通し、
両者のhappy combinationを実行してきている、わたくしを新婚時代の我 が家の奥さんは、「コンビニエンス亭主」というあだ名をつけてくれた。
1-2.育苗プロセス- nursing seedling process
育苗プロセスでは採種プロセスにおいて、毎日の原稿用紙10枚分のメモ を、毎週末に全体を通して見直し、不必要な資料を捨て、残った資料とメ モを一緒に袋に入れておいた研究のヒント部分を、月末にすべて通して再 再度見直し、メモ以外は捨てる資料と両者ともに残す資料類とを区分し、
さらに袋に入れたまま保管するものと、タイトル名を記してA4版クリア ファイル化する資料類とに分ける作業を行なう。
1-3.開花プロセス- flowering process
それまで続けてきた、every daily research, every weekly research, ev-ery monthly researchで、毎日書き溜めてきた原稿用紙10枚のメモを元に して、夏休み3か月、春休み3か月にworking paperにまとめるよう努力 をする。
最初の内は、1回の長期休暇中に1本まとめるのが精一杯だったが、慣 れるに従い研究生産性が飛躍的に上昇し、3~4本くらい書き上げられる ようになってきている。
1-4.結実プロセス- fruiting process
開花プロセスにおいて、夏、春の長期休暇中に、それまで毎日書き続け た10枚の原稿用紙と、「毎月末にまとめたメモ」を素材にして、4ヶ月分 のメモを基に書いた「working paper」は、研究初期の頃は、3年分くら いのものをまとめて、論文原稿や学会報告用原稿、研究会報告用原稿に清 書して、半年間熟成期間を置くようにした。
1-5.収穫のプロセス- harvesting process
半年くらい前に書き上げていた論文原稿を、最終的に読み直しをして、
特に誤字脱字の有無の確認と、論理的に明晰であるかどうかに焦点を合わ せて微調整を行ない、論集や報告用レジュメの許容ページ数以内に収まる
ように、字数を調整し、完成原稿として投稿か口頭発表を行なう。
(補足):新聞記事、雑誌記事、ジャーナル等の情報から、ヒントや問題 点に気付かされて研究をスタートさせることは、もちろん多くの場合に生 じるので、厳密な意味での純粋に栁川に個人的な idea のみによって研究 が行なわれるわけではないが、日々の情報から「何を独自に感じ取り」、「ど のような独自の研究を推し進めるか」は、栁川の個人的主導によるもので あることに、「内発的」という用語を用いていることに注意されたい。
(このような集中的な研究は体力的な制約もあり、50代を迎えるととも に不可能になった。)
2.わたくしの外発的研究イノベーション方法
2-1.Request response new research approach
①学習塾開倫総合研究所主催 MBA講座(1年間)
月2回の市民向け講演 聴講生の質問から idea が浮かぶ(この講 演会は、テーマと講演内容も100% 自由で、既存の working peper を 使用し、聴き手の反応を探ることができた。)
② 栃木県自治研修所 係長級研修、部長級研修、初任者研修(年1回5 年間1990年代)テーマは少子高齢化社会の到来とその原因と影響と 行政経営の財政危機とサービスの方法
キーワード: 少子高齢化社会日本の将来,晩婚化,非婚化,自発的シ ングル,不本意シングル,結婚紹介ビジネス,税収不足,
社会保障費の増大,年金問題,医療費問題,老人介護,
自治体財政の悪化,不良県債,行政サービスの品質維持 と平等化
(この学習会は、全く新しい行政経営学の学習機会を提供してもらい、
かなり早くスピーチを切り上げディスカッション・タイムも長く取ら れ、現在 hot issue となっている問題群を感想や質問書から多くの研
究課題に気付かされたco-research-innovationであった。)
③経営者との勉強会(戦略と管理(S&A)研究会)
2年間わたくしが週1回問題提起の報告をして熱心な質疑応答が なされ、その場で答えることの出来なかった多くの宿題を出された。
(この研究会は、学会報告の何倍もの緊張感を感じさせられた。経営 実務家からの質問は、経営現場での文字通りの命がけで掴み取ってき た、経験に基づいた鋭く真剣な難問の連続で、わたくしはしばしば 立ち往生し、帰宅後宿題を懸命に解いた。これは user の質問主導の research innovationと名付けうるものだろう。)
④日本生産性本部 戦略的リーダーシップ講座(1泊2日、4年間継続)
教材の選択と演習方法は、講座担当者に委ねられたので、わたくし の論文と収集していた雑誌のケース・スタディーを使って行なったが、
常時本部職員が監視し内容をチェックするという予備校方式であった ので、かなりの緊張感を感じた。20年ぐらい前で12万円の料金だった ので、受講生の要求水準も高かった。(演習終了後9時から12時まで の飲みながらの受講生との話し合いの方が、演習時間グループ別討論 よりも活発で、業種毎にリーダーシップの課題が大きく異なり普遍的 スタイルの無いことが明らかとなり、わたくしなりの助言はしたが、
コンサルタント能力はまだまだ未熟であることに気付かされ、もっと 実務の世界を詳しく深く勉強しなければならないと決心し、自ら辞職 を申し出た。これは User の質問主導の研究イノベーションであった と言えよう。)
⑤ JA 宇都宮中央会 中核人材育成講座(年/4回,4年間)企業現場で 働く人々の抱えている人材教育。最後に全参加者の JA の組織改善提 案プレゼンテーションがあり、わたくしが一人ずつコメントする。
向こうで用意した教材が、余りに内容が薄いので、戦略、マーケティ ング、組織、リーダーシップも全て自前主義で演習を行なったら、新 しい2種のテキストに変えてそれを使うように指示してきたが、他人
の教科書を使うのなら自分以外でもできるので無視続けたら、4回か ら2回に減らされ、翌年解任されるという初めての経験をした。(参 加者全員が、各個別 JA の組織改革案を提出し全体発表会を行ない、
それを複数の審査委員で審査し、優秀者の決定と表彰式を行ない、そ の後の打ち上げパーティーにわたくしだけが招かれ、全員の発表に対 してコメントするように求められた。他の審査委員たちと違って発表 の間中内容を聴き洩らさないようにメモを取り、適切なコメントを10 数人分まとめることは大変困難な作業であったが、主催者側は全く気 付かずにいた。若い職員の熱意に応えようとして提出レポートに書き 直しのアドヴァイスの電話を随分行なった。
⑥ 教育経営品質研究会(5回)開倫塾塾長林明夫氏主催の学習塾経営者 と学習塾雑誌編集者の研究会のゲスト・スピーカーとしての講演 (わたくしの基調報告に対して、出席者から矢継ぎ早に質問が出され、
わたくしが精一杯答えるというactiveな学習会である。相互に学び合 うco-innovation型の研究会だと言えるだろう。)
2-2.Knowledge Worker’s Side Business research Innovation
① 上場企業マニー(株)非常勤監査役(月1回の取締役会出席義務、任 期5年)ナスダック上場以前に同社に「独創固有技術」についてのイ ノベーションにお伺いしたご縁で上場直後に松谷社長さんご本人がお 1人で大学まで勧誘にお出になり、光栄に感じるとともに、経営の最 高意思決定の現場に参加できるという研究者にとり有難いお話を快諾 し、月1回の取締役会への出席と依頼された講演と、3つの事業部間 の責任者の方の作成された次年度の戦略案を一緒に相談しながら企画 立案するという専攻学問を実務に実践応用するという滅多にない機会 に恵まれた。これは完全に、participative co-innovation processだと 言えるだろう。
社外監査役の中立性と独立性とを担保することと、わたくしが報酬