第 4 章 配 当平準 化とその 要因: 国際デー タによ る実証分 析
3. サンプ ル・セ レクショ ンとデ ータ
4.4 目標配 当性向 と配当平 準化に 関する分 析
91
表 4 - 6
SOA の非対称性に関する分析結果 (続 き)
パネル C: SOADec を従属変数とし た回帰分析の 結果
(1) (2) (3) (4)
係数 t 値 係数 t 値 係数 t値 係数 t 値
LOWN 0.30*** 4.14 0.29*** 3.92
INSTOWN -0.07 -0.86 -0.02 -0.28
BANKOWN -0.15 -1.05 -0.05 -0.52
D_PI 0.16*** 3.47 0.23*** 4.50 0.23*** 4.62 0.17*** 2.99 D_FI 0.29*** 6.02 0.33*** 5.80 0.32*** 6.18 0.29*** 5.45 Revised-ADRI -0.00 -0.18 -0.04* -1.78 -0.04* -1.84 -0.01 -0.33 LnASSET -0.01* -1.93 -0.01** -2.11 -0.01** -2.12 -0.01** -2.20 LEVER -0.14*** -3.18 -0.13*** -3.05 -0.14*** -3.08 -0.01*** -3.30
CASH 0.09 0.71 0.09 0.80 0.09 0.77 0.08 0.67
SALESGROW 0.00*** 3.60 0.00*** 3.75 0.00*** 3.63 0.00*** 3.56
AvROA 0.27* 1.97 0.26* 1.87 0.27* 1.90 0.27* 2.03
ROARISK 0.07 1.37 0.07 1.35 0.07 1.35 0.07 1.44
TANGIBLE 0.12** 2.14 0.12** 2.14 0.12** 2.15 0.11** 2.19 Constant 0.50*** 3.58 0.05*** 3.58 0.49*** 3.38 0.30** 2.14
Industry
dummy Yes Yes Yes Yes
Adj.R2 0.07 0.06 0.07 0.07
N 4,723 4,723 4,723 4,723
***:1%水準で有意; **:5%水準で有意; *:10%水準で有意
92 Michaly (2011) のモデル (推計式 (3) ) では、目 標配当性向 は各企業の配当 性向のメディア ン と し て定 義 さ れて い るの に 対し 、Lintner (1956) の モ デル (推 計式 (2) ) で は 当期 利 益
(Eit) の係数をSOALintner で除 した値として計算 され ている。第 1段階で 、目標配当性向 を
従属変数、各国の配当税制を 示すダミー変数 (D_PI、D_FI)、revised-ADRI、これ以 外のコ ントロール変数を独立変数 とした回帰分析を 行 い、第 2段階で SOAの回帰 分析を行う。な お第 1段階目の推 計において、独立 変数のうち 各国の配当税制を示すダミ ー変数 (D_PI、
D_FI) と revised-ADRIの 3つが操作変数とし て 採用されているため、第 2段階目の推計で
はこの 3変数を外している 。
表 4 - 7
2 段階最小二乗法を使用した SOA に関する推計結果
表4-7はSOAを 従 属 変 数 と し 、2段 階 最 小 二 乗 法 によ っ て 推 計 し た 分 析 結 果で あ る 。 第 1段 階 で 目標 配 当 性 向 を 従 属 変 数、配 当 課 税 ダミ ー (D_PI、D_FI)、Revised-ADRI、他 の コ ン ト ロ ー ル 変 数 を 独 立 変 数 と し た 回 帰 分 析 を 行 っ てい る 。モ デ ル (1) で は 、Lintner (1956) の モ デル (推 計 式 (1)) か ら 算 出 し た 目 標 配 当 性 向 を 使 用 し て いる の に 対 し 、モ デ ル (2) で は目 標 配 当 性 向 と し て 、企 業 の配 当 性 向 の メ デ ィア ン を 採 用 し て い る 。第2段 階 で は 、SOA (モ デ ル (1) で はSOALintner、モ デ ル (2) で はSOALM) を 従 属 変 数 と し た 推 計 を 実 施 し て い る 。 操 作 変 数 は 、 配 当 課 税ダ ミ ー (D_PI、D_FI)、Revised-ADRI を 採 用 し て い る 。な おSOAに 関 し て は 、上 下 1%を 異 常 値 と見 なし 削 除 し て い る 。t値 は、国 別 に 計 算し たclustering standard error に 基 づ い て 算 出 し てい る 。配 当 課 税 に 関す る 情 報 を 利 用 で き な い国 に つ い て は 、本 章の 分 析 か ら 外 し て い る 。 変 数の 定 義 は 、 表4-1に 提 示 して い る 。
内生変数 SOAL intner
Target dividends estimated from equation (2)
SOAL M
Target dividends proxied by the firm’s median payout ratio times net income
操作変数 Revised-ADRI, D_PI, D_FI
(1) (2)
第 1段階 第 2段階 第 1段階 第 2段階 係数 t値 係数 t 値 係数 t値 係数 t値 Target
dividends 1.59*** 3.07 1.60*** 4.79
LOWN 0.08 1.30 0.09 0.98 -0.07*** -2.99 0.33*** 6.43
INSTOWN 0.03 0.53 -0.15 -1.63 0.05 0.94 -0.10 -1.36
***:1%水準で有 意; **:5%水準で有意; *:10%水準で有意
93
表 4 - 7
2 段階最小二乗法を使用した SOA に関する推計結果 (続き )
内生変数 SOAL intner
Target dividends estimated from equation (2)
SOAL M
Target dividends proxied by the firm’s median payout ratio times net
income
操作変数 Revised-ADRI, D_PI, D_FI
(1) (2)
第 1段階 第2段階 第1段階 第2段階 係数 t 値 係数 t 値 係数 t値 係数 t 値
BANKOWN 0.04 0.53 -0.19 -1.43 -0.04 -0.63 0.01 0.13
D_PI 0.10*** 2.56 0.09*** 3.02
D_FI 0.20*** 3.63 0.17*** 4.32
Revised-ADRI -0.02 -1.08 -0.01 -0.53
LnASSET 0.01 1.58 -0.04*** -3.35 -0.01** -2.20 0.01 1.10
LEVER -0.11** -2.48 0.25*** 4.55 0.01 0.18 -0.04 -0.62
CASH -0.02 -0.25 0.19 1.40 -0.16*** -3.05 0.35*** 3.26
SALESGROW 0.00*** 5.58 -0.00 -0.39 -0.000 -1.40 0.00*** 3.40 AvROA 0.30*** 3.74 -0.36** -1.98 0.11*** 3.22 0.07 0.52
ROARISK 0.05 1.18 -0.06 -1.20 0.02*** 2.58 0.03 0.60
TANGIBLE -0.04 -0.63 0.10 1.04 -0.04* -1.73 0.10*** 3.04 Constant 0.06 0.48 0.79*** 3.49 0.59*** 5.42 -0.52** -2.35 Industry
dummy Yes Yes
N 4,836 4,885
***:1%水準で有 意; **:5%水準で有意; *:10%水準で有意
2段階最小2乗法の結果は 、表 4-7 に提示され ている。表4-7の モデル (1) は Lintner (1956) のモデルを、モデル (2) は Leary and Michaely (2011) のモ デルを使って SOAと 目 標配当性向を算出している。2つ のモデルにつ いて第1段階の推計結果を みると、D_PIと D_FI の係数は有意に正 で、絶対値でみる と D_PI よりも D_FI のほうが大き な値を表し て いた。この結果は、classical tax system の採用国 に立地する企業は、partial imputation system
やfull imputation system の採用国に位置する 企 業よりも低い目標配当性向 を設定するとい
う考え方を支持している。 また両モデルにお い て、第2段階の推計結果 が目標配当性向と
94 者が高い目標配当性向を掲 げるときに配当を 調 整するスピードを上げる傾 向にあることを 示唆している。換言すれば 、各国の配当税制 の 違いが目標配当性向に与え る効果を通して SOAに影響 していると解釈で きる。
表 4-7の LOWNに注目すると、その結果は モデル (1)、(2) で異なっている。具体的 に
はモデル (1) では、LOWNは目標配当性向 に 有 意なインパクトを与えるこ となく SOALintner
に正の影響を与えている一 方で、モデル (2) では LOWNが目標配当性向 (企業の配当 性向 のメディアン) に正のインパク トを与えずに SOALm にプラスの効果を もたらしている。ま た 2つのモデルを通じて、AvROAは目標 配当 性向と正の関係にあり、こ の効果が SOAに 影響を与えている。モデル (1) の第 2 段階の 回帰分析の結果を検討する と、AvROA の係 数が有意にマイナスとなっ ている。しかし表4-5および表4-6の回帰 分析においては、
AvROA が SOA に対して正 の効果を与えてい た 。この ように AvROA の 係数が正となった
結果は表4-7の分析を踏 まえると、業績のよ い 企業が高い目標配当性向を 掲げていること に起因していると解釈でき る。さらに LnASSET、LEVER、CASH、SALESGROW、ROARISK、
TANGIBLEの結果は両モ デルで異なってお り、これらの変数が目標配当性 向と 配当平準化
に効果を及ぼしているとい う明確な証拠は得 ら れなかった。