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界面活性剤の添加がエッチングレートと回路形成形状に及ぼす影響

3. 結晶組織がエッチング反応に与える影響

5.3 結果と考察

5.3.1 界面活性剤の添加がエッチングレートと回路形成形状に及ぼす影響

118

0 5 10 15 20 25 30 35

0 200 400 600 800 1000

Etching rate (mmol/m2s)

Surfactant concentration(ppm) POELE-900rpm POELE-700rpm POELE-300rpm

0 5 10 15 20 25 30 35

0 200 400 600 800 1000

Etching rate (mmol/m2s)

Surfactant concentration(ppm) DTAC-900rpm DTAC-700rpm DTAC-300rpm

0 5 10 15 20 25 30 35 40

0 200 400 600 800 1000

Etching rate (mmol/m2s)

Surfactant concentration(ppm) SDS-900rpm SDS-700rpm SDS-300rpm

Fig. 5.5 Ralationship between each surfactant concentration and etching rate.

Fig. 5.6 Relationship between the rotation rate and the etching rate.

5 50

100 1000

Etching rate (mmol/m2s)

Rotaion rate(rpm) Addtive free

SDS POELE DTAC

120

このように POELE と DTAC の添加により凹凸が大きくなる原因は,銅結晶表面の特定部 位に強く吸着し,強くエッチングを抑制する部位と,抑制が弱い部位ができるためと考えら れる。非イオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤は図5.9に示すように,非イオン性で はエチレングリコール鎖の酸素原子が,カチオン性ではアミノ基が銅表面に特異吸着した塩 化物イオンを介して吸着することが知られている5-4),5-5)。塩化物イオンは銅の{001}面に特に 強く吸着し反応を阻害する5-5)ため,{001}面が溶け残り凹凸を形成するものと考えられる。

一方で,SDSは-SO4-が銅表面に直接吸着5-6)しエッチング抑制するため塩化物イオンの影響 を受けず,平滑な表面を保ちながらエッチングが進行するものと考えられる。

以上より,界面活性剤の添加は深さ方向への溶解を阻害しエッチングファクタの低下をも たらす,さらにPOELEとDTACの添加はエッチング後の凹凸が大きくなるため,回路直進 性の悪化が懸念される。非イオン性やカチオン性界面活性剤をエッチング液に加えると,結 晶方位によるエッチングレート差が大きくなり直進性に影響を与えることになる。非イオン 性,カチオン性界面活性剤添加の悪影響防ぐためには,結晶粒径の微細化や結晶方位制御が より重要になる。

代表的なアニオン界面活性剤には,硫酸エステル型のSDSと直鎖アルキルスルホン酸塩 型のSA,さらにアルキルベンゼンスルホン酸塩のSDBSがある。これらの分子構造の違い がエッチング性にどのような影響を与えるか確認した。図5.10にSDS,SAとSDBS濃度とエ ッチングレートの関係を示す。SDSは一旦エッチングレートが低下した後に回復する挙動を 示している。SAはエッチングレートへの明確な影響が見られない。SDBSは添加するほど エッチングレートの低下が見られた。図5.11にSDS,SAとSDBSを添加したエッチング液を 用いて回路形成したサンプルの断面写真を示す。攪拌羽根回転数は300 rpmである。SDSと SDBSは深さ方向へのエッチング抑制効果が確認されたが,SAは無添加のサンプルとほぼ 同じ断面形状であり抑制効果が認められなかった。

このように同じアニオン界面活性剤でもエッチング反応の抑制効果が異なる。これは分子 構造の違いに起因するものと考えられる。SAとSDBSの違いはベンゼン環の有無である。

π結合を持つ有機物は金属表面のd電子と相互作用し化学吸着することが知られている5-7)。 このためSDBSはベンゼン環のπ電子と銅のd電子が相互作用することで銅表面に化学吸着 して反応を抑制したものと考えられる。一方,SDSとSAの違いは硫酸エステル結合の有無 である。SDSはスルホ基とアルキル基が硫酸エステル結合しているが,SAはスルホ基が炭 素に直接結合している。SDSの方が強い抑制効果を持っていることから硫酸エステル結合の 酸素が吸着点になり抑制効果を発揮しているものと考えられる。SAはエステル結合やπ結 合といった吸着点を持たないことから,銅表面に化学吸着することができず抑制効果を持た ないものと考えられる。

Fig.5.7 Cross section of Copper circuit by use of surfactant containing etching solution.

Surfactant concentration was 300 ppm.

122

Fig. 5.8 Surface photographs of etched samples.

Rotation rate was 300 rpm. Surfactant concentration was 300 ppm.

Fig.5.9 Illustration of adsorption of POELE at copper/solution interface.

Fig. 5.10 Ralationship between anionic surfactant concentration and etching rate.

Cu

Cl

-

Cl

-

Cl

-

Cl

-O

C H H

C H H

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18

0 200 400 600 800 1000

Etching rate (mmol/m2s)

Surfactant concentration(ppm) SDBS-300rpm

SDS-300rpm SA-300rpm

124

Fig. 5.11 Cross section of Copper circuit by use of anionic surfactant containing etching solution.