第8章 生産管理の近代化計画
8−1 調達管理
当該公司における調達管理の対象は軸受用としての直接材料、工具、切削油、その他の 間接材料である。生産は受注に基づいて、機械加工、メッキ加工を施して製品化している。
製品品種は約 60 種類で生産数の多いものと少ないものがあり、在庫管理の上ではいつも過 剰であると言う問題がある。
原材料発注形態は、年度毎に取引先と契約を結び、月毎に確定発注を行なうので手続き は簡略化されているといえる。
(1) 納入の多頻度化と小ロット化
1ヶ月サイクルの取扱いを極力短くし合わせて納入ロットサイズを半減する。
(2) 調達業務標準の策定 (3) 受入検査のやり方の改善 (4) 原材料の長さ対策
将来的には、電算機を利用した総合生産管理システムを導入し生産計画とリンクした発 注・在庫・工程管理を行う。
8−2 在庫管理
(1) 在庫削減
原材料、仕掛かり品、製品ともにその在庫量が多いので削減を図る。そのためには、
材料投入数及び生産のロットサイズを小さくする。
(2) 3定(定位、定品、定量)活動
現品管理の基本として「3定」活動を徹底する。
(3) 棚卸業務の合理化
・在庫のABC分析を行い、棚卸の頻度を決める。
・棚卸し指導会を行い棚卸し差異分析と対策を強化する。
・廃却処分の基準を整備し確実に処理する。「赤札作戦」を展開する。
8−3 工程管理
(1) 生産計画の策定サイクルを短くする。
(2) 日程管理に「目で見る管理」の実践 (3) 現品管理票をつけ現品表示を徹底する (4) 生産計画で指示するロットの細分化
(5) 流れ生産化による運搬方法改善
(6) 標準作業及び標準時間の合理的設定 (7) 情報処理のコンピュータ化
8−4 品質管理
8−4−1 品質保証の考え方
「工程において品質を作り込む」と言う考え方を徹底する。このように「工程において 品質を作り込む」考え方と「検査による品質保証」の考え方の両立が本来の品質管理であ る。
8−4−2 品質保証の近代化
(1) 工程内自主検査におけるマイクロメータ使用 (2) パレート図の利用
(3) 切粉付着およびキズの防止対策 (4) 整円ブッシュの内径仕上げ工程の改善 (5) 精密測定の見直し
8−4−3 TQC(全社的品質管理)の活発化
TQC を導入し経営全般に亘って品質管理を実施する。TQC を活発化するためには全員参 加による組織的活動として展開することが肝要である。
8−4−4 「目で見る管理」
(1) 全従業員のチームワークの強化・士気高揚が大切である。チームワークがうまく行 かなければ生産の諸管理が円滑に行かず、企業の利益確保も覚束無い。
(2) 5S(整理、整頓、清潔、清掃、躾)も経営の基本である。決めたことを守る習慣を つけないと改善がままならなくなる。
(3) 事務管理(情報管理)
情報は人間の体に例えれば神経系統に当り、全身にイキワタッテ始めて正しい判断 が可能になる。作業管理、設備管理、現品管理その他の管理が正しく行なわれ、か つ、それぞれが有機的に結びついて推進されなければならない。
(4) 作業管理
作業標準の設定、遵守、チェック、改善を絶えず行なう必要がある。
(5) 設備管理
TPM を円滑に実施するために全員参加の「目で見る管理」を推進する。
(6) 現品管理
何が、何処に、幾つあるかを一目瞭然に見えるよう工夫する(例:掲示板など)
(7) 安全・衛生管理
ヒヤリ・ハット、災害統計など工場の安全の実態を目で見える形で PR する。
(8) 工程管理(数量、納期、在庫量などの管理)
工程管理では将来の POP(Point Of Production)すなわち IT を念頭において進め るのが望ましい(例:目標・実績進度管理板など)。なお、IT に関しては既に進ん だものが出ているので、先ず、情報集から始めて適切なものを選択するのが良い。
(9) 品質管理
事後の管理(異常が発生してからの管理)から事前の管理(製品開発、製造工程の 管理)へと源流に遡って行く必要がある。統計的手法としての QC7 つ道具も[目で 見る管理]の考え方に適っている。また、ISO9000 シリーズでも、決められたこと をしっかり実施し、それを確認する、と言うように目で見る状態にすることが要求 されている。
(10) 原価管理
金銭的なものでも、特別なもの以外はタブーを乗り越えて公開し、経営の改善を図 る。
(11) 利益管理
工場の利益管理としては、一面で品目別の利益管理を、別面で職場ごとの利益管理 を進める必要がある。
「目で見る管理」も IT 化の進展とともに、人間の目に訴える形態が変化するかもしれ ないが、経営管理活動を誰の目にもより判り易くするという考え方には変わりはなく、
今後もトップの理解と全員参加の形で進めていくことが大切である。
8−5 安全管理
次の活動を進め災害ゼロを目指す。
(1) 年間活動計画書の作成と実施
(2) 無災害就業時間の管理と表彰制度の実施 (3) 設備の安全対策
8−6 設備管理
現在のいわゆる事後保全の体制を脱皮し、予防保全の体制を確立する。
(1) 重点管理設備の選定
(2) 定期点検、計画修理の実施
(3) 作業員に正しい設備の運転、取扱い方法を教育し、日常点検・日常整備を実施する。
(4) TPM活動を導入する。
8−7 販売管理
1) 下記情報収集を経営計画に、適宜、反映する。
(1) エンジンメーカとの連携緊密化 (2) 軸受製品シリーズの構築
(3) 国内外の経済状況の情報収集 (4) 軸受メーカ業界の情報収集 (5) 技術動向の情報収集
2) マーケティング環境の分析
(1) マクロ外部環境(企業経営に間接的に影響を与える環境)
(2) ミクロ外部環境(企業経営に直接的に影響を与える環境)
(3) 内部環境分析 (4) SWOT 分析
SWOT 分析は外部環境および内部環境を分析して自社の立場を判断するために行な ううものである。SWOT とは Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機 会)および Threat(脅威)の頭文字から取ったものである。企業の将来方針や戦 略的経営計画を策定するための助けとして、SWOT 分析は一つの有効な方法である。
8−8 教育訓練
自己啓発を加え経営者も含めて系統的に一貫した教育訓練プログラムを整備する。
(1) 新入社員教育 (2) 技能教育訓練 (3) 社外研修 (4) 中堅社員教育 (5) 実務研修
(6) 事務職リーダ教育、技術職リーダ教育 (7) 部門別上級専門研修
(8) 多能技術研修
(9) 外国語研修訓練 (10)幹部社員研修 (11)部長候補研修 (12)上級技能職研修 (13)昇給対象者研修 (14)管理者教育訓練 (15)能力開発プログラム (16)管理職研修
(17)管理能力開発セミナー (18)監督者教育
(19)経営者能力開発プログラム (20)経営者研修
8−9 環境対策
(1) 当面現状維持とする。
専任の環境対策責任者をおき各種環境規制の動きを常に把握し市当局の指示を守 る体制を作る。
(2) ISO14000 について
将来的には環境問題への社会的ニーズが更に高まる見込みである。環境の長期計 画として ISO14000 の認証取得の活動に取り組む。
8−10 近代化計画のまとめ
表8−10−1 近代化項目一覧表(生産管理)
管理区分 短期(1年以内) 中期(3年以内) 長期(5年以内)
調達管理
納入の多頻度化/小ロット化 調達業務標準の策定
受入検査の重複業務廃止 材料切断長さ対策
伝票、帳票類の電算化 調達管理資料の電算化
在庫管理
在庫削減活動/小ロット化 三定(定位定品定量)活動 赤札作戦
棚卸のABC管理
伝票・帳票類の電算化 在庫管理資料の電算化
工程管理
生産計画策定サイクル短縮 日程管理に「目で見る管理」
現品表示の徹底 流れ生産化
標準時間の合理的設定
伝票・帳票類の電算化 日程管理資料の電算化
総合生産管理システ ムの導入による管理 のレベルアップ
品質管理
TQC活動の活発化
全社的「目で見る管理」活動 統計的手法を活用した管理
同左活動の継続 同左活動の継続
安全管理
年間活動計画書による活動 無災害時間管理と表彰制度 設備の安全対策
無災害活動の継続 無災害活動の継続
設備管理
重点設備の選定
定期点検・計画修理の実施 日常点検・日常整備の実施
TPM活動の導入 TPM活動の活発化
販売管理 販売情報収集のシステム化 マーケッティング分析手法の導入
SWOT分析と経営計画 への反映
教育訓練 教育訓練プログラムの整備 実施 実施
環境対策 (当面は現状維持) ISO14000認定取得 5S 5S評価基準の作成と評価 5Sレベル向上活動 同左の継続