2−1 原材料受入工程
当該公司で使われている主な原材料は、鋼板の裏金付軸受合金および銅をベースとした 非鉄合金帯板である。原材料の種類を表2−1−1に示す。
表2−1−1 原材料の種類
(単位:mm)
区 分 種 類 寸法概要
荷 姿
裏金付 軸受合金
裏金(鋼板)付銅鉛合金 他
厚さ 2~6 幅 30~50 長さ300~500
・ 20~30枚を油紙で包 み、パレット上に並べ、
3段以上の重ね積み
・ 厚手のものは木箱詰 非鉄合金板 非鉄合金帯 厚さ 2~5
幅 150前後 長さ1000前後
・ 木箱詰
2−1−1 組織と担当業務
1)軸受材の受入れは購買課が行う。
2)受入検査は入荷の都度、品質検査課が抜取り方式で行う。
3)受入検査に合格した原材料は倉庫に保管する。
4)出庫は生産計画課の発行する月度生産計画に基づいて行われる。必要枚数を倉庫担当 者がバッテリーカーで使用職場へ運搬することにより行う。出庫前の材料切断はない。
2−1−2 保管状況
1)識別方法
板材の厚さ毎に床に区分をし、倉庫の内壁に板厚を書いているので判りやすい。
2)保管場所
すべて床面である。
3)期間
2年としているが必ずしも守られていない。
2−1−3 員数管理
生産はロット生産方式を採っており、ロットにまとまった原材料は工順を書き入れた工 程フローカードと共に生産職場の管理に移る。残った原材料には出庫された数を差し引い た数値を記入した新しいカードを付けて保管される。加工に入った原材料は工程毎に合格 数と不良数が書き込まれる。
2−2 半割りメタルの加工工程
当該公司では製品別に職場が分かれており問題点も異なるので、以下は製品別に分けて 問題点を列記することにした。本項では半割りメタルの、プレス・機械加工・表面処理・
仕上げ・製品検査工程の問題点を述べる。
2−2−1 プレス工程
当該職場では1台の小型クランクプレスと2台の 100t プレスを用いて、「材料の両端面 切断・圧縮→刻印→曲げ」の加工を行っている。プレス職場は、図2−2−1汽瓦車間平 面図の「沖圧」の場所である。図中の番号は工程順を示す。
図2−2−1 汽瓦車間平面図
両端面切断、刻印、および曲げ加工はそれぞれ、図2−2−2,2−2−3および2−
2−4に示す。
図2−2−2 材料切断
図2−2−3 刻印
図2−2−4 曲げ加工
1)補助作業が多い。
初工程のプレスには3名の作業員が付き、1名が材料の防錆油を拭き取り、他の1名 がプレスの操作を行い、残りの1名が切断後のバリ取りとワーク揃えを行っている。
材料揃えの状況を図2−2−5に示す。 夫々の作業員は一生懸命に作業をしている が、作業内容を見ると防錆油を拭いたり、打ち抜き後にプレスから飛散したワークを 揃えたりの補助作業である。これらは作業改善により廃止が可能である。
2)設備レイアウト
5台のプレスは、職場の壁に沿って配置されているが、加工の順番とは無関係に置か れている。このためワークを入れた重い通い箱を、あちこちと運搬しなければならな い。無駄な作業が発生している。
機械を加工の順に並び変えれば、無駄な運搬が廃止できる。
3)作業台
各プレスの周りに通い箱を積み上げて作業台代わりに使用している。このため作業者 は、ワークの出し入れに腰を曲げるなど動作に無駄がでる。
プレスのテーブル高さに合わせて作業台を設ければ動作がスムースになる。
4)大型プレスのワーク自動搬入装置
切断した材料の曲げ工程プレスのワーク自動搬入装置は良く考えられたローダである が残念ながら「チョコ停」が多い。摺動部の老朽化が原因と思われるので整備してチ ョコ停を追放願いたい。
図2−2−5 材料揃え
5)カウンタ
加工ロット数は、200 個である。何個加工したかワークをカウントしているが、数え間 違いも出る。プレスのストローク毎にワーク1個が加工されることを利用したカウン タを付ければ、この作業は廃止できるし精度も向上する。
6)5S不備
職場のあちこちに通い箱が乱雑に積み上げられている。また切断片が放置されている。
不要品と思われる物体が職場の隅に放置されている。5Sを徹底し職場を清潔に保つ しつけが必要である。
2−2−2 機械加工工程
当該職場は、旋盤、据えぐり盤、面削り盤、卓上ボール盤などを設備別に並べた職場で、
メタルの「内径荒加工→幅決め→端面爪出し→油穴加工→油溝加工→端面削り→高さ検査」
の加工を行っている。
機械加工職場の汽瓦車間平面図を、図2−2−1に示す。
1)設備レイアウト
各設備は、旋盤は旋盤グループ、ボール盤はボール盤グループと設備別グループにま とめて配置しているが、加工の順番とは無関係に配列されているためワークの移動回 数と移動距離が著しく多い。
機械台数は充分あるので、機械を加工の順番に並び変えればワークの移動回数と移動 距離を著しく減少させることができる。
2)半製品仕掛り
各加工機械の横には、半製品の入った通い箱が山積みになっている。なぜこのように 仕掛品が多いのか原因を精査して減少させることが必要である。
設備レイアウトを改善して、ワークの流れを良くするのも一策である。
3)作業台
通い箱を機械の横に積み上げ、作業台代わりにしている。箱が崩れる恐れもあり、高 さが合っていないため作業者が腰を曲げたりして動作が中断している。
各機械に正規の作業台を置き作業動作の流れを良くする必要がある。
また現在はマイクロメーターなど測定具が機械のベッド上に放置されているが、この 台を利用して定置することも考慮されたい。
成形プレス工場および機械加工工場の作業状況を、図2−2−6および2−2−7に 示す。
図2−2−6 成形プレス工場
図2−2−7 機械加工工場
4)動作研究
各旋盤には、エアチャック、コレットチャックが装着してあり効率的な加工ができる ように工夫されている。この結果、各工程の作業時間は短縮されてはいるが、さらな る改善には、詳細な動作研究が必要である。
例えば、ワークをチャッキングして主軸の起動、切削する間には、ワークの搬入、エ アチャックのハンドル操作、主軸スイッチ操作、刃物台送りハンドル操作と4種類の 手の動きが必要になるが、両手操作が可能になるようスイッチ位置を配置すれば、作 業能率はさらに改善される。両手で同時操作できるようにすることが動作経済の原則 である。
5)油漏れ・研削液漏れ
潤滑油の冷却装置など各機械からの油漏れが多い。放置すれば機械故障の起因となる し、漏れた油が床面に流れ足元が滑り危険である。
他の研削盤職場でも、研削液が床面に流れ同様の問題が発生している。省資源の観点 からも油漏れ・研削液漏れ防止の修理をすべきである。
6)5S
どの機械も切粉があふれ、通路まで飛散している。ときおり専従の作業者が台車を引 いて切粉を回収しているが、すぐに切粉が通路に飛散する。機械に切粉受けがないか
らである。
職場の隅には、空きドラム缶や不要品と思われる物体が放置してある。整理整頓が悪 く、通い箱や台車が通路に放置されていることがある。要するに5Sができていない 職場である。
2−2−3 表面処理工程
当該工程では、錫メッキ処理を行っている。メタル用のメッキ設備は、洗浄・脱脂・メ ッキと独立した槽を並べてある。作業内容は、ワークをワイヤー製のかごに入れ、作業者 がそのかごを処理槽の中にいれる。処理が終わると、処理槽からかごを取り出し次の処理 槽に移し順次処理をする。メッキが終わると、洗浄→ワークの外周をバフ仕上げ→乾燥→
通い箱に箱詰めをする。
なお当該職場には、手動トラバーサ付きの連続処理装置があり、ブッシュのメッキ処理 に使用しているが、処理としては上記の手順と同じである。
メッキ工場の装置配置図を図2−2−8に示す。図中の番号は工程順を示す。
1)QC工程表(メッキ浴管理)
メッキ浴はその性質上、稼働時間とともにその成分が変化するので変動を管理する必 要がある。以下の項目はQC工程表にまとめ、日常業務として行うことが重要である。
(1) 浴容量
浴容量は常に一定に保たねばならないが、蒸発、ミスト、汲み出しにより稼働時 間と共に減少する。槽内に基準線を記しこの線に浴量を維持する。なお液位調節 装置の使用が便利である。
(2) 浴温度
浴温により適正電流密度が異なる。したがって適正な温度を保たないと電流効率 が悪くなり作業性が落ちる。浴温を一定に保持する管理が不可欠である。市販の 自動温度調節器が利用できる。
(3) pHの管理
pHの測定には、pHメータ、pH試験紙を用いる。pH試験紙は、常に同種の 試験紙を用い、冷暗所に密閉して保管する。
原則として1日の作業終了時に、翌朝の作業用にpHを調節する。
(4) 主成分の管理
分析は定期的に行い、記録を保存し傾向分析する。また薬品の補充量を記録し傾 向分析に役立てる。
(5) 不純物管理
不純物が認められたら速やかに除去する。