食事や生活習慣についてその是正を行うことはきわめ て重要であるが,
PAD
においてとくに重要な禁煙と運動 について述べる.6.3.1 禁煙
喫煙が動脈硬化症の危険因子であることは広く認めら れており,喫煙者では非喫煙者に比べて,
PAD
の発症率は4
倍高く617),間歇性跛行の発症率は3
倍高く618),血行再建 術が必要になる頻度も3
倍,重症下肢虚血のリスクも3
倍 高いと報告されている528).またAAA
の発症率も喫煙量に 比例して3
倍から10
倍へと増加する619).しかし,禁煙に よって下肢バイパスグラフト不全のリスクは低下すると 報告されているものの,禁煙による虚血肢の改善効果は不 明である620).一方,虚血性心疾患においても喫煙は冠動脈 イベントの発症を男性で4
倍,女性で3
倍高める621).禁煙 は循環器疾患死亡のリスクを2
年以内に低下させ,心筋梗 塞の二次予防にも有効であるのみならず,CABG
後の生 存率をも改善する622).したがって喫煙によるリスクを回 避し,末梢血管障害患者の最大の死亡原因である虚血性心 疾患のイベントを防ぐという意味において,すべてのPAD
合併患者に対して禁煙治療を行うべきである( 推奨グレード A推奨グレードA ).実際の方法については禁煙ガイドラインを参照 されたい623).
6.3.2 運動
大動脈瘤に関する運動療法の効果に関しては,
57
例のAAA
患者を中等度の運動療法を行う群(n
=26
)と行わ ない群(n
=31
)に分けて1
年間観察した結果,運動による大動脈瘤拡大速度の増加や有害事象は認めず,さらに
CRP
の低下を認めたとの報告がある624).また,PAD
に対 しても間歇性跛行に関する運動療法の効果は認められて おり,監視下における運動療法,すなわち1
回30
~60
分,週
3
回を3
か月間継続,が治療の基本である528).患者は歩 行を開始し痛みが中等度になれば休息する.疼痛が軽快す れば再度歩行を開始する,というように歩行と休息を繰り 返して行う.この運動療法により,歩行効率の改善,内皮 機能や筋代謝の順応性の改善が期待できる.運動療法は心 疾患に対して心筋梗塞の心臓リハビリテーションとして 始まったが,現在では包括的リハビリテーションの一つと して広く認識されている625).しかし,心臓に対する運動療 法は心負荷(心拍数や酸素摂取量)により強度が決めら れるのに対し,間歇性跛行肢の運動療法は歩行可能距離に より負荷の強度が決められており,両者は必ずしも一致し ない.また実際の運用上では,虚血性心疾患の合併のため,間歇性跛行肢の運動療法が妨げられたり,間歇性跛行肢の 合併のため,心臓リハビリテーションが妨げられたりする ことがある.したがって,両疾患を合併しているときは施 行可能な負荷で行うのが現実的対応と思われる.また運動 療法は高血圧や脂質異常症,糖尿病,肥満などに対しても 有効であることから,心血管イベントを防ぐ意味でも重要 である( 推奨グレードA ).
付表 脳血管障害,慢性腎臓病,末梢血管障害を合併した心疾患の管理に関するガイドライン(2014年改訂版):班構成員の利益 相反(COI)に関する開示
著者
雇用または指導的 地位(民間企業)
株主 特許権
使用料 謝金 原稿料 研究資金提供 奨学(奨励)寄附金/ 寄附講座 その他
の報酬
配偶者・一 親等内の親 族,または 収入・財産 を共有する 者について の申告
班長:伊藤 貞嘉
トリムメディカルイ ンスティテュート
アステラス製薬 MSD 第一三共 武田薬品工業 ノバルティスファーマ
アステラス製薬 MSD 第一三共
日本ベーリンガーインゲ ルハイムノバルティスファーマ オムロンヘルスケア 協和発酵キリン テルモジェイ・エム・エス
班員:稲葉 雅章
バイエル薬品株式社 協和発酵キリン 旭化成ファーマ 武田薬品工業 MSD 中外製薬 小野薬品工業 第一三共田辺三菱製薬 大正富山医薬品 帝人ファーマ
アステラス製薬 旭化成ファーマ 協和発酵キリン 第一三共中外製薬 帝人ファーマ 武田薬品工業 エーザイ小野薬品工業 大正富山医薬品 大日本住友製薬 班員:木村 玄次郎
武田薬品工業 第一三共MSD
班員:後藤 信哉
サノフィアストラゼネカ バイエル薬品
サノフィファイザー
班員:古森 公浩
第一三共サノフィ 大塚製薬
班員:代田 浩之
日本メドトロニック アストラゼネカ MSD 小野薬品工業
グラクソ・スミスクライン 塩野義製薬
第一三共武田薬品工業
日本ベーリンガーインゲルハイム バイエル薬品
テルモアステラス製薬
MSD 武田薬品工業
第一三共日本ベーリンガーインゲ ルハイムアステラス製薬 サノフィ・アベンティス MSD 科研製薬
アストラゼネカ 大日本住友製薬 ファイザー
班員:永田 泉 サノフィ
大塚製薬 サノフィ
大塚製薬 班員:西 慎一
中外製薬協和発酵キリン アステラス製薬
中外製薬協和発酵キリン
班員:平方 秀樹
協和発酵キリン 中外製薬鳥居薬品 日本たばこ産業 バイエル薬品
班員:松本 昌泰
サノフィ 大塚製薬
武田薬品工業 持田製薬サノフィ
日本ベーリンガーインゲ ルハイム
豆陽工業
著者
雇用または指導的 地位(民間企業)
株主 特許権
使用料 謝金 原稿料 研究資金提供 奨学(奨励)寄附金/ 寄附講座 その他
の報酬
配偶者・一 親等内の親 族,または 収入・財産 を共有する 者について の申告
班員:峰松 一夫 大塚製薬
班員:宮田 哲郎
大正富山医薬品 田辺三菱製薬 サノフィ
班員:吉川 徳茂 旭化成ファーマ
協力員:阿部 康二
武田薬品工業 田辺三菱製薬
日本ベーリンガーインゲルハイム 大塚製薬ヤンセンファーマ
ノバルティスファーマ ファイザー
MSD エーザイ
バイエル薬品 日本ベーリンガーインゲ ルハイムサノフィ
大塚製薬
協力員:阿部 高明 小野薬品工業 第一三共
武田薬品工業
協力員:飯島 一誠 ファイザー
協力員:今井 圓裕
第一三共協和発酵キリン 大日本住友製薬 MSD 中外製薬 武田薬品工業
協力員:北川 一夫 サノフィ サノフィ
協力員:重松 邦広 三菱ケミカルホールディ
ング
協力員:長束 一行 大塚製薬
バイエル薬品
協力員:藤井 秀毅 中外製薬 中外製薬 中外製薬
協和発酵キリン 法人表記は省略.上記以外の班員・協力員については特に申告なし.
申告なし
班員:大内 尉義 なし 班員:進藤 俊哉 なし 班員:鈴木 洋通 なし 協力員:石橋 宏之 なし 協力員:伊藤 誠悟 なし 協力員:小櫃 由樹生 なし 協力員:西部 俊哉 なし 協力員:宮田 昌明 なし 協力員:守山 敏樹 なし 協力員:横田 千晶 なし