2. 審査結果
2.3 ヒト及び動物の健康への影響
2.3.1 ヒト及び動物の健康への影響
2.3.1.6 生殖毒性
フルチアニル原体を用いて申請者が実施した繁殖毒性試験(ラット)及び催奇形性試験(ラ ット及びウサギ)の報告書を受領した。
食品安全委員会による評価(URL:
http://www.fsc.go.jp/fsciis/evaluationDocument/show/kya20100812492)を以下(1)から(3)
に転記する。
投与群 60 pm 600ppm 2,000ppm 6,000ppm 20,000ppm
平均検体摂取量
(mg/kg 体重/日)
雄 2.45 25.2 81.9 249
雌 3.15 111 334 1,130
(1)2世代繁殖試験(ラット)
Wistar
ラット(一群雌雄各24
匹)を用いた混餌(原体:0、200、 2,000
及び20,000 ppm:
平均検体摂取量は表
2.3-14
参照)投与による2
世代繁殖試験が実施された。表
2.3-14:2
世代繁殖試験(ラット)の平均検体摂取量投与群 200 ppm 2,000 ppm 20,000 ppm
平均検体摂取量 (mg/kg 体重/日)
P世代 雄 13.9 142 1,470
雌 16.6 171 1,750
F1世代 雄 15.2 155 1,580
雌 17.1 176 1,770
各投与群で認められた毒性所見は表
2.3-15
に示されている。P
及びF
1 世代の雌雄の親動物において、2,000 ppm以上投与群で摂餌量の有意な高値が 散発的に、又は試験期間を通してみられたが、摂餌量の高値には毒性学的意義はないもの と判断された。20,000 ppm
投与群のF
2世代の産児数に統計学的に有意な低値が認められたが、着床数と産児数の差は対照群と同等であったことから胚・胎児死亡は誘発されなかったと考えられ ること、及び同群の平均着床数(11.0)は背景データの範囲内(11.0~13.8)であったこと から、この低値は偶発的な変化と考えられた。
病理組織学的検査において、対照群を含む全試験群の雄の腎臓に近位尿細管上皮細胞硝 子滴沈着がみられ、
2,000 ppm
以上投与群のP
雄では、その発生頻度に有意な増加が認めら れた。F
1雄では有意差はみられなかったが、程度による評価では、中等度の沈着が2,000 ppm
以上投与群のP
雄及び20,000 ppm
投与群のF
1雄で有意に増加した。近位尿細管上皮細胞硝 子滴沈着は、α2u-グロブリン沈着に起因することが、ラットにおける 90
日間亜急性毒性試 験[3(1)]及び2
年間慢性毒性/発がん性併合試験[5(2)]において確認されている。α2u-グロブリンはヒトでは産生されないため、α2u
-グロブリン腎症はヒトには関連のない雄ラ
ットに特有の病変であると考えられている。本試験において、親動物では
20,000 ppm
投与群のP
及びF
1雌雄で肝絶対及び比重量増加 等が認められ、児動物ではいずれの投与群でも毒性所見は認められなかったので、無毒性 量は、親動物の雌雄で2,000 ppm(P
雄:142 mg/kg 体重/日、P雌:171 mg/kg 体重/日、F1雄:155 mg/kg 体重/日、F1雌:176 mg/kg体重/日)、児動物で本試験の最高用量
20,000 ppm
(P雄:1,470 mg/kg 体重/日、P雌:1,750 mg/kg 体重/日、F1雄:1,580 mg/kg 体重/日、F1
雌:1,770 mg/kg体重/日)であると考えられた。繁殖能に対する影響は認められなかった。
表
2.3-15:2
世代繁殖試験(ラット)で認められた毒性所見投与群 親:P、児:F1 親:F1、児:F2
雄 雌 雄 雌
親 動 物
20,000 ppm
・肝絶対及び比重量 増加
・副腎絶対及び比重 量増加
・小葉中心性肝細胞 肥大
・肝絶対及び比重量 増加
・肝絶対及び比重量 増加
・肝絶対及び比重量 増加
・甲状腺絶対及び比 重量増加
2,000 ppm以下
毒性所見なし 毒性所見なし 毒性所見なし 毒性所見なし
児 動 物
20,000 ppm以下
毒性所見なし 毒性所見なし 毒性所見なし 毒性所見なし
(2)発生毒性試験(ラット)
Wistar
ラット(一群雌25
匹)の妊娠6~19
日に強制経口(原体:0、 100、 333
及び1,000
mg/kg
体重/日、溶媒:0.5 %CMC水溶液)投与して、発生毒性試験が実施された。本試験において、いずれの投与群の母動物及び胎児にも検体投与に関連した毒性所見は 認められなかったので、無毒性量は母動物及び胎児で本試験の最高用量
1,000 mg/kg
体重/日であると考えられた。催奇形性は認められなかった。
(3)発生毒性試験(ウサギ)
NZW
ウサギ(一群雌25
匹)の妊娠6~28
日に強制経口(原体:0、100、300及び1,000
mg/kg
体重/日、溶媒:0.5 %CMC水溶液)投与して、発生毒性試験が実施された。1,000 mg/kg
体重/日投与群において、統計学的有意差はないものの、腹当たりの後期胚吸収率の増加がみられたが、これは吸収胚のみを有していた
1
例の母動物に起因したもの であった。同群では内臓異常として1
腹の胎児3
例に水頭症が観察された。この異常の1
腹当たりの比率平均値は1.5 %であり、その発生頻度に有意差はみられなかったが、背景デ
ータの上限(0.7 %)を超えていた。しかし、背景データにおいて1
腹に2
例又は3
例の水 頭症胎児がみられた事例(1腹当たりの比率平均値は1.4 %)があること、及び人工授精又
は交尾ウサギにおいて1
腹に2
例の水頭症胎児がみられた事例もあることから、1,000 mg/kg
体重/日投与群における水頭症は検体投与に起因したものではないと考えられた。そのほか、胎児における外表、内臓及び骨格異常の発生頻度は、すべての投与群で対照群と同等であ った。
本試験において、いずれの投与群の母動物及び胎児にも検体投与に関連した毒性所見は
認められなかったので、無毒性量は母動物及び胎児で本試験の最高用量
1,000 mg/kg
体重/日であると考えられた。催奇形性は認められなかった。