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4. エネルギー特区

4.2 環境・エネルギー産業創造特区

2003年5月23日、青森県が構造改革特別区域法に基づき国に申請した「環境・エ ネルギー産業創造特区」計画が、認定された。計画の内容は、国際的なエネルギー開 発・供給拠点が形成されつつあり、ゼロエミッション技術の確立を目指す先進的な取 組みを展開している本地域のポテンシャルを最大限に活かし、環境・エネルギー分野 における幅広い実証やノウハウの蓄積を図り、新たなビジネスや新産業の創出を促進 することにより、地域の経済活性化や雇用の創出を図るとともに、エネルギー最適利 用モデルや温室効果ガス排出削減モデルの先進地域として、世界に貢献する「環境・

エネルギーフロンティアの形成」の実現を目指すものである。

特別区域の範囲は、むつ・小川原開発地域(十和田市、三沢市、むつ市、平内町、

野辺地町、七戸町、百石町、十和田湖町、六戸町、横浜町、上北町、東北町、天間林 村、下田町、六ヶ所村、東通村)と八戸市の計17市町村である。特区区域の面積は

3,060km2、人口は352,000人で原子力発電所やバイオマス資源がある。青森県には、

「寒冷地で熱を使う」、「むつ・小川原地域を中心に原子力施設関係が集積しておりエ

33 首相官邸 構造改革特別区域推進本部 基本方針

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kouzou2/kettei/041210/041210kihon.html

34 青森県庁 環境エネルギー・産業創造特区 http://www.pref.aomori.jp/kankyoene/

ネルギーになじみの深い企業が多く、人々のなじみも深い」、「風力発電施設の集中立 地がますます進み、バイオマス資源の活用に多くのポテンシャルを有しており、次世 代エネルギーを利用する下地が整いつつある」、「元々エコタウン構想を持ち、資源循 環型産業の育成を図り、ゼロエミッションを推進している」という背景がある。

出典:青森県庁

図4.1 環境・エネルギー産業創造特区の区域

菜の花畑の面積が140haある横浜町では、この家畜ふん尿等と菜種絞り滓をバイ オマス設備に投入し、嫌気発酵プロセスを経てメタンガスを抽出し、電力需要に応じ てガスエンジン等により発電を行う。発生する電力は「資本関係等によらない密接な 関係による電力の特定供給制度」を活用して、周辺事業場に売電する。併せて、当該 周辺農業用ハウスなどに熱供給することにより、青森県が推進する「冬の農業」を実 践する。さらに、食の安全・安心への取組みが注目される中で、堆肥等をハウスや農 地に還元することで、有機野菜等を栽培し、この野菜を地元スーパー等で販売するこ とにより地産地消を目指す。

六ヶ所村周辺では、製材所等から発生するバーク、樹皮木くず、間伐材及び周辺で

発生する剪定廃材や稲わらなどを収集し、バイオマス発電を行う35。発生電力は、自 営線により、周辺事業所に供給する。また、投入資源は純粋に有機性廃棄物であるた め、燃焼後に残留する焼却灰は脱水発酵処理を行い、堆肥化することが可能であり、

こうした堆肥は周辺農地に還元する計画となっている。

規制を緩和されているものの一つに、次世代型エネルギーシステムによるエネルギ ー供給の実証がある。例えば、マイクロガスタービンや燃料電池などには、安全・保 安上設置や管理に多くの制約条件が設けられているが、ある程度の安全性が担保され たものであれば、特区の中では主任者選定の義務および保安規定の届出を緩和するこ とにより、積極的な導入を目指す。

また、自ら発電した電気は自ら使用することが原則であるが、エネルギーの有効利 用および地域経済の活性化という観点から、余った電気を売る商売を試験的に実施す る試みもある。

エネルギー特区という概念自体はまだ固定化されていないが、特区で実証し、そこ から得られる知見を積極的に利用・活用し、将来の産業振興に生かすことができれば、

特区の意義がある。

35 金谷年展慶應義塾大学大学院助教授への取材より

5. 燃料電池車の普及に向けた取組み

図3.4に示す通り、現在は石油の35%を自動車の燃料として利用している。よって、

二酸化炭素の排出量が少ない自動車を開発する必要性がある。一次エネルギーを電池 に蓄えて運転する自動車は、電気自動車や燃料電池自動車などがある。

電気自動車は、走行中に排出ガスを全く出さず減速時にエネルギーを回収するなど の利点があるが、走行距離が短く積載量が少ないことなどにより用途が限定されるこ とや、普通充電の充電時間は 8 時間程度であり、急速充電の充電時間であっても 30 分かかるなどの難点もあり、本研究では充電不要な水素エネルギーを利用する燃料電 池自動車に着目する。