第六章 通信距離制御法
6.4 無給電エレメントを用いた通信距離制御法
6.3.3 実験結果
前述した実験方法により得られた結果を図67,68に示す。
図67の結果においては一巻のアンテナとあまり差異のない電力強度となっている。
図68の結果においては中心のループ以外の傾け方によって電力強度に差が見られる。傾け方に よっては一巻のアンテナよりも電力強度が上昇するという結果を得ている。
6.3.3 考察
・巻き付けアンテナ
このアンテナはループが一つあるところに銅箔を巻き付けることで、効果が出るのではないか と考えたが、ほとんど影響はなく有効な手段とは言えない。
・フラクタルアンテナ
小さいループをたくさん作ることにより相乗効果を期待したが、電力強度の上昇はあまり見ら れない。これは小さいループが近接するところでは磁界が打ち消しあうところがあるため、あま り効果がでなかったと考えられる。
・展開図アンテナ
中心のループ以外の四つのループに傾きを持たせることで電力強度の上昇が見られる。これは 中心のループを基準に他の四つのループを傾けることで、中心方向に磁界が集中し磁界強度が増 加したためと考えられる。しかし、この方法は実用性が低くあまり有効な手段とは言えない。
図 69:並列共振回路 図 70:直列共振回路
図 71:アンテナを含む共振回路
図 72:測定図
① 無給電のエレメントを既存のアンテナとして整合回路の部分を短絡、開放、
終端の三種類と変化させた時の比較
② 無給電のエレメントとして既存アンテナの整合回路の部分を 13.56MHz で共振 (直列、並列)する回路とアンテナを含めて共振する回路に変更した時の比較
・②の共振回路の回路図
6.4.1 実験概要
13.56[MHz]の発振器としてシグナル・ジェネレータ(SG)を用いる。SGからの信号を既存のアン テナに給電し、①,②で示した無給電エレメントを給電されたアンテナから14cm離した位置に配置 する。尚、SGの出力は0dBmである。
受信プローブは給電されたアンテナと平行に置く。給電されたアンテナの中心を基準0cmとし、
基準からの距離に対する電力強度の測定を行う。
測定の間隔は5cmで行い、受信プローブによって測定された電力強度が-66dBmを下回るまで測定 を行う。-66dBmという値は研究室に既存するリーダ/ライタとICタグを用いて測定した通信限界を 意味している。
また、測定図は図72に示す通りである。
6.4.2 構成図及び実験結果
図74及び図76におけるn=1の結果は前節で測定した既存のアンテナ(アンテナ1)のみで無給電エ レメントを用いていない場合の測定結果である。
6.4.3 考察
・①の考察
無給電エレメントを短絡、終端、開放とした結果、通信距離が一番延びるのは短絡させた場合 で、終端と開放の結果はほぼ同じような結果である。これは短絡したことにより給電されたアン テナと無給電エレメントの位相関係が同相に近くなり磁界強度が良くなったためと考えられる。
・②の考察
直列および並列共振回路は等価的に考えると、回路の部分が短絡もしくは開放に見えるので結 果を見て分かるように、意味がないものと考えられる。アンテナを含めた共振回路は効果があり、
基準となる一巻のアンテナに比べ、大幅に電力強度が上昇している。これは共振エレメントから 再度磁界が生成されたためと考えられる。また、13.56[MHz]で共振しているため効果が大きいと 考えられる。