第五章 位相変調器を用いた無指向性アンテナ
5.3 実測実験
5.3.1 実験装置
前述した位相変調器を用いて無指向性アンテナが構築できているかの検証を行う。全体の実験 図は図47に示す。
ここで、各装置の説明をする。まず、13.56[MHz] の発振器としてシグナル・ジェネレータを用 いる。また、本手法はxy 平面,yz 平面,zx 平面での電力強度を測定し、各平面での電力強度が均 一な分布となれば、磁界も均一に分布していると考えられる。
そのため、測定にはスペクトラム・アナライザ(SP) を用いる。この際受信プローブは微小ルー プアンテナ(以下便宜上のため単に受信プローブとする) とする。
また、90°移相線路及び三分配器は第四章で用いたものと同様のものを用いる。
4.3.2 実験方法
装置の説明に続いて実験の詳細について説明する。図47 に示すようにSG からの高周波信号を 三分配器で均等に分割する。尚、シグナル・ジェネレータの出力は10[dBm] である。三分配さ れた信号の一つはそのままアンテナ1 に給電される。もう一つの信号は90 °移相線路を経由して アンテナ2 に給電される。最後の一つの信号は位相変調器を経由してアンテナ3 に給電される。
この際前述した低周波発振器を用いて位相変調器の可変容量ダイオードに適切な逆バイアスがか かるようにしている。このように給電することで無指向性アンテナを構成している。
受信側としてはスペクトラム・アナライザに受信アンテナを接続して三枚のアンテナの内部の 測定を行う。測定方法としては受信プローブを測定する平面と平行にし、図47の原点を基準(0
°) とする。尚、図47の原点は各アンテナで囲まれた空間の中心を表している。受信プローブを 時計回りに180 °まで回転させて各点での電力強度の測定を行う。
無指向性のアンテナであるかを検証するためにxy 平面,yz 平面,zx 平面の測定を行い、測定間 隔は15 °刻みで計13 点の測定を行う。
また、比較対象としてアンテナ1 とアンテナ3 が同相で給電される場合の実験も行う。尚、ア ンテナ2 の給電は同様に90 °の位相遅延の給電である。
測定図は図48~50に示す通りである。
図 48:xy 平面の測定図
スペクトラム アナライザ
図 49:yz 平面の測定図
5.3.3 実験結果
以下に位相変調器を用いた無指向性アンテナの実験結果を示す。
図51の結果においてはYZ平面の135°点で約20dBの落ち込みが生じているが、図52の結果におい ては若干の差異はあるものの比較的均一な電力強度を保っている。
図 50:zx 平面の測定図
スペクトラム アナライザ
スペクトラム アナライザ
図 51:アンテナ
1とアンテナ
3が同相
の結果 図 52:アンテナ
3に位相変調器を経由
させた結果
4.3.4 考察
アンテナ1 とアンテナ3 の給電位相が同相の場合は、ある点(yz 平面の135 °の点) において約
20dB 程の落ち込みが生じている。この原因はアンテナ1 とアンテナ3 の給電位相が固定されて
いるため、図29 に示す様に、磁界がyz 平面に対して45 °の傾きを持つ平面上を回転するため、
この平面に鉛直方向の磁界成分を持たないことによる。
しかし、本手法で用いた位相変調器を経由させてアンテナ3 に信号を給電させた実験において は、比較的落ち込みがなく均一な電力強度を保っている。このことから、位相変調器を用いるこ とでほぼ均一な磁界分布となり、無指向性アンテナができたと言える。