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無力化剤

ドキュメント内 化学剤データベース (ページ 121-126)

加熱により分解してNOフユームが発生する。

熱に強い(ミサイル搭載可)

可燃性であるが爆発性は低い。

金属と反応して可燃性の水素ガスを発生する。

2.毒性、中毒作用機序、体内動態 毒性

中毒量と致死量の差が大きい。

[ヒト中毒量]ヒトの中毒量は確立していない

・経口

静注もしくは筋注による毒性の80%

ヒト半数最小影響量(MED50)(軽度の認知力障害を起こす最小量): 2.5μg/kg(24時間以内に回復)

ヒト半数不能量:6.2μg/kg

(参考として類似の作用機序を持つアトロピンでは140μg/kg)

・吸入

静注による毒性の40~50%(直径1.0ミクロン粒子吸入の場合)

ヒト半数不能量:110mg・分/m3、112mg・分/m3

[ヒト致死量]ヒトの致死量は確立していないが、

LD50 は 2–5 mg/kgであると予測されている。

・吸入 ヒト半数致死量(LCt50):200,000mg・分/m3

[急性曝露ガイドラインレベル(AEGL, Acute Exposure Guideline Level)]

BZ CAS:6581-06-2 mg/m3

10分 30分 60分 4時間 8時間

AEGL 1

NR NR NR NR NR

(不快レベル)

AEGL 2

0.067 0.022 0.011 NR NR

(障害レベル)

AEGL 3

1.2 0.41 0.21 NR NR

(致死レベル)

NR:データ不十分により推奨濃度設定不可

AEGL 1(不快レベル):不快感を生じ、可逆的影響を増大させる空気中濃度閾値

AEGL 2(障害レベル):避難能力の欠如や不可逆的で重篤な長期影響の増大が生

ずる空気中濃度閾値

AEGL 3(致死レベル):生命が脅かされる健康影響、すなわち死亡が増加する空

気中濃度閾値

[その他の毒性]

刺激性:なし

発がん性:IARC発がん分類 未分類

(参考)

許容濃度:日本産業衛生学会勧告値;未設定

ACGIH勧告値;短時間曝露限界値(TLV-STEL)記載なし 時間荷重平均(TLV-TWA) 記載なし

中毒作用機序 1)抗コリン作用

・コリン作動性神経末端のムスカリン受容体でアセチルコリンと競合的に拮抗し、そ の作用を阻害する。

・平滑筋、心筋、外分泌腺、自律神経節、中枢神経系のムスカリン受容体でアセチルコ リンの効果が遮断される。

・BZはアトロピン類似の作用(20倍以上)を示すが、中枢神経系に対する作用はアトロ ピンより強力で、記憶力、問題解決力、注意力、理解力を低下させる。

2)ニコチン性受容体ではアセチルコリンの作用を遮断しない。

体内動態

[吸収]

経口、吸入、経皮で吸収される。

バイオアベイラビリティ :経口 約80%

(静注と比較した吸収率) 吸入 40~50%(1ミクロン粒子)

経皮 5~10%(プロピレングリコール溶解液塗布)

[分布]

全身の組織に分布 血液脳関門通過性:あり

[代謝]

主に肝臓で代謝されると推定される。

[排泄]

未変化体及び代謝物は主として尿中に排泄される。

3.中毒症状

[概要]

いわゆる、抗コリントキシドロームを呈する。著しい精神障害(少量でも陶酔感~絶 望感までの気分の変化、大量では著しい幻覚等)をきたす。症状出現は吸入後20時間 以内(平均2時間)、経皮曝露では36時間程度まで遅れることがある。曝露量が多い と症状出現が早く、持続時間が長くなる。

第1期(0~4時間):散瞳、口渇、頻脈等のアトロピン様症状、軽度の中枢症状 第2期(4~20時間):混迷状態、運動失調、発熱

第3期(20~96時間):せん妄状態(刻々と変化する)

第4期(回復期):パラノイア、深い睡眠、覚醒、這う登る等の徘徊、失見当識

健常人では特に治療しなくても通常2~4日で回復するが、曝露量に依存する。

[詳細]

(1)循環器系症状

頻脈(後に正常もしくは徐脈となることがある)、不整脈(大量曝露時)

(2)呼吸器系症状 データなし

(3)神経系症状

運動失調、失見当識、混迷、めまい、幻覚、意識レベルの低下 脱力、理解力・判断力・注意力・記憶力の低下、言語障害

(4)消化器系症状

口渇、嘔吐、消化管運動の抑制

(5)泌尿器系症状 尿閉

(6)その他

眼:散瞳、視力障害 皮膚:皮膚の乾燥、紅潮 その他:発熱

[検査]

大量曝露時は心電図のモニタリングを行う

4.治療

[概要]

解毒剤・拮抗剤としてフィゾスチグミンがあるが、日本では医薬品として承認されて いない。経過観察、治療法選択の基準は以下の通りである。

・大量曝露でない限り、健常人では特に治療しなくても通常2~4日で回復する。

・暴れる場合は拘束が必要である。

・生命の危険があるのは、精神障害時の行動による傷害、高熱(特に高温多湿環境下、

脱水状態)、大量曝露による不整脈や電解質異常を伴う昏睡時等である。

治療の概要

重症(心・呼吸器障害、高熱が出現している場合); 一般的救命処置、体温コントロール

フィゾスチグミン投与(但し、日本では医薬品として承認されていない)

(体温及び他のバイタルサインが適切に管理された場合のみ投与を考慮)

中等症(抗コリン症状が著明または悪化している場合);

フィゾスチグミン投与 軽症(軽度の抗コリン症状);

経過観察(悪化する可能性もあるので数日間は医師の監視下におく)

[詳細]

*吸入の場合

(1)基本的治療

救助者は汚染環境下では個人防護装備を着用のこと A.新鮮な空気下に速やかに移送

B.呼吸不全を来していないかチェック

C.汚染された衣服は脱がせ、曝露された皮膚、眼は大量の流水で洗う。

(2)生命維持療法および対症療法 A.呼吸管理

咳や呼吸困難のある患者には、必要に応じて気道確保、酸素投与、人工呼吸等 を行う。

B.循環管理

血圧低下に対しては、カテコラミンを使用した循環管理 不整脈に対しては、抗不整脈薬等の適宜使用

C.痙攣対策

D.発熱対策:体温コントロール(外部冷却等)

(3)特異的治療法 [解毒剤・拮抗剤]

フィゾスチグミン:日本では医薬品として承認されていない。

作用機序:アセチルコリンエステラーゼを阻害し、アセチルコリン濃度を上昇させ、

BZ に拮抗する。第三級アミンで血液脳関門を通過するため、中枢症状も改善する。

参考) ピロカルピン、ネオスチグミン等の第四級アミンは血液脳関門を通過しな いため中枢症状には効果がない。

*経口の場合

(1)基本的処置 A.催吐 B.胃洗浄 C.活性炭の投与

(2)生命維持療法および対症療法

必要に応じて、上記吸入の場合に準じて治療する。

*経皮の場合

(1)基本的処置

直ちに付着部分を石鹸と水で十分洗う。

手袋は皮膚吸収率が低い(5-10%)ので、必要ないとする文献もある。

(2)生命維持療法および対症療法

洗浄後も刺激感、疼痛が残るなら医師の診察が必要である。

必要に応じて、上記吸入の場合に準じて治療する。

*眼に入った場合

(1)基本的処置

直ちに大量の微温湯で少なくとも15分間以上洗浄する。

(2)生命維持療法および対症療法

洗浄後も刺激感、疼痛、腫脹、流涙、羞明が続く場合は、眼科的診察を受ける。

必要に応じて、上記経口の場合に準じて治療する。

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