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災害対策は風化防止対策

ドキュメント内 0514集中講座テキスト完.PDF (ページ 41-46)

災害時のラジオの役割  ラジオが神様になった日

5  災害対策は風化防止対策

 

  1989年の米国のロマ・プリータ地震(サンフランシスコ地震)のとき、「地震直後か ら騒々しいほどかかってきた」市民情報を丁寧にフォローし、「安心報道」につなげたKN BRのディレクター、ボブ・アグニューは「ラジオはライフラインだ」と、私たちラジオ に生きるものにとって珠玉の言葉を残してくれた。 

  米国に限らずラジオは日頃から電話、はがき、FAXなど(今ではパソコンも)でリス ナーが気楽に放送に参加することで成り立っている。ラジオは、このラジオの媒体特性と いうか、機能を災害時にも有効に発揮し、ライフラインの役割を果たしている。 

  実際、阪神大震災でもそうだった。阪神大震災で被災住民のライフラインになった地元 AM神戸は、「市民からの電話がなかったら、AM神戸の災害放送は成り立たなかった」と いっている。そして、被災者から寄せられる「水はどこに行ったら?」「人工透析ができる 病院は?」などの訴えを放送すると、被災者から次々と情報が返ってくる。その光景には 感動を覚えたという。 

  被災者が求める情報をラジオが結び付け、時には災害対策本部にぶつけて行政を動かす。

ラジオは被災者と被災者、被災者と行政の懸け橋となる。 

  コールインといって日頃からリスナーからのメッセージを番組に反映させている台湾の ラジオも、台湾大地震では被害状況の収集から救援活動まで、リスナー(被災者)と共に 災害放送を行なった。台湾で最大のラジオ局であるBCC(中国廣「旙」公司)の担当者 は「次々と入る被災者からの救援の要請を放送し、軍隊からは『BCCがなかったらどこ に救助に行っていいか分からなかった』と褒められた」と胸を張っていた。また、地元台 中の放送局は連携して被災者への支援の呼びかけをし、視聴者とキャスターが一体となっ て支援物資の提供や搬送を行ったという。 

  放送局は地震発生直後から視聴者用の電話をオープンし、視聴者(被災者)情報を積極 的に取り入れるべきである。それは防災機関としての重要な役割の一つでもある。とくに、

ラジオは日頃のノウハウの応用でもあるので、態勢さえ整えばそれほど難しいことではな い。 

  ただ、人は「災害時には三日間は善人だ」という話があるが、飛び込んできた情報をそ のまま放送に乗せるのは危険だ。長崎大水害のとき、情報が殺到し現場が錯綜している中 で、「ダムに亀裂が入った」という「情報」が市民から寄せられた。しかし、デスクの好判 断で放送を控え、ウラを取ったところ、その事実がないことが分かりパニックを未然に防 いだ。 

  被災者(リスナー)と作る災害放送は、デスク機能の充実と情報を見る目が一方にない と成り立たない。 

   

5  災害対策は風化防止対策   

  最良の災害対策は、風化防止対策だと思う。あの未曾有の大災害である阪神大震災でさ えも、5年経たずして風化が喧伝されている。これを裏付ける数字が総理府の世論調査で 出ている。99年8月に発表された数字だが、地震に備えて「特に何もしていない」と答 えた人が2年前の調査に比べ10.7%も増え、34.0%となっている。二度とあの悲 しみを繰り返さないと固く誓った思いはどこにいってしまったのだろうか。あの時、被災 者に限らず国民すべてが疑似被災体験をし、阪神大震災を共有したはずである。 

  ハードを幾ら充実しても、その気が無ければ防災には役立たない。持続する被災者への 思いと高い防災意識があって、初めてハードも生きてくる。 

  放送は風化防止のために何ができるか。被災者への思いを持続させるためには、防災意 識を高めるには、どうしたらよいのか。やはり放送で風化防止に努める以外にない。問題 はどうするかである。この忙しい時代に、自分には関わりのないことだと思いがちの人た ちを相手に、どう被災体験の風化に歯止めをかけ、防災意識の高揚を計るかである。 

  9月1日の「防災の日」と1月17日の「阪神大震災の日」に、記念行事的に防災特番 をするのもいいだろうが、啓蒙を兼ねて日常的にやるのはどうだろうか。例えば「防災一 口メモ」ならば余り無理しなくてもできそうな気がする。普段の放送の合間に流すので、

防災特番より防災意識の啓発と防災知識の啓蒙に効果がありそうだ。つまり「毎日が防災 の日」というわけだ。これがオールラジオ・テレビの共同企画だったら素晴らしい。 

  放送局はみんな神様になれそうだ。 (放送文化基金「災害」2000 年 1 月) 

 

講 義 資 料 2   過 去 の 災 害 で の 情 報 ニ ー ズ

 

   

新 潟 地 震(1964.6.16 PM1:02 M7.5    死 者 26)  

 

ど ん な 情 報 が 欲 し い と 思 っ た か        ラ ジ オ の 情 報 に 対 す る 要 望   1 . 今 後 の 危 険 の 見 通 し          1 . 火 災 情 報  

2 . 被 害 の 状 況        2 . 被 害 の 状 況   3 . 交 通 状 況       3 . 津 波 情 報   4 . 救 援 活 動 ・ 対 策        4 . 余 震 情 報         5 . 交 通 状 況         6 . 安 否 情 報    

 

■宮 城 県 沖 地 震( 1978.6.12 PM5:14 M7.4    死 者 28)  

 

地 震 が お さ ま っ た と き の 心 配        地 震 直 後 の 情 報 と し て 知 り た い こ  

1 . 家 族 の 安 否       1 . 余 震 情 報     2 . 電 気 ・ ガ ス ・ 水 道 の 見 通 し      2 . 被 害 の 状 況  

3 . 火 災 の 発 生       3 . 火 災 ・ 津 波 の 発 生  

4 . 建 物 な ど の 損 壊       4 . 電 気 ・ ガ ス ・ 水 道 な ど の 見 し   5 . 津 波 の 発 生       5 . 家 族 ・ 家 の こ と ( 安 否 )     6 . 交 通 状 況        6 . 交 通 状 況  

7 . 食 料 品 の 確 保        7 . 生 活 必 要 物 資 の こ と          

(宮城県アンケート調査)   

 

■ 長 崎 大 水 害( 1982.7.23   夕 方 か ら   死 者  299   全 壊  474)  

 

水 害 時 に 知 り た か っ た 情 報        翌 日 か ら 1 週 間 で 知 り た か っ た こ  

1 . 電 気 ・ ガ ス ・ 水 道 な ど の 復 旧 見 通 し   1 . 電 気 ・ ガ ス ・ 水 道 な ど の 復 旧   2 . 大 雨 に 関 す る 情 報          2 . 食 料 ・ 生 活 物 資 の こ と  

3 . 被 害 の 状 況       3 . 被 害 の 状 況   4 . 家 族 ・ 知 人 の 安 否          4 . 交 通 状 況  

5 . い つ 水 が 引 く か と い う 情 報      5 . 災 害 補 償 ・ 融 資 の こ と    6 . 食 料 ・ 生 活 物 資 の こ と        6 . 家 族 ・ 知 人 の 安 否   7.交通情報      7.大 雨 に 関 す る 情 報  

8.災害補償・融資のこと      8.い つ 水 が 引 く か と い う 情 報    

 

(東京大学新聞研究所「災害と情報」研究班) 

■ 阪 神 ・淡 路 大 震 災( 1995.1.17  A M 5.46  M 7.2  死 者 6435人 )    

神 戸 市 民 の 情 報 ニ ー ズ  

( 当 日 )       ( 一 週 間 ) 

1.  余 震 の 今 後 の 見 通 し      63.1   1.  余 震 の 今 後 の 見 通 し        65.2  2. 家族や知人の安否        47.8    2.  電気、ガス、水道等の復旧見通し58.5  3. 地震の規模や発生場所        37.1    3.  交通機関や道路の開通状況     36.9  4. 地震の被害       34.0    4.  食料や生活物資の状況         33.2  5. 電気、ガス、水道等の復旧見通し  31.6    5.  入浴に関する情報       32.9  6. 自宅の安全性       25.3    6.  水・食料の配給場所       30.8  7. 火災の状況         23.6    7.  自宅の安全性       30.4  8. 交通機関や道路の開通状況       21.7  8.  地震の被害       29.0  9. どこに避難すればよいのかの情報 20.2    9.  家族や知人の安否       28.2  10. 食料や生活物資の状況           19.9   10. 開店している店の情報      19.9  11.水・食料の配給場所         16.2   11. 開店している見せの情報        17.9  12. 入浴に関する情報         13.3   12. 市の対応      17.2  13. 開店している見せの情報         12.7   13. 火災の状況      14.6  14. 危険な場所の情報         12.7   14. 県の対応      12.6  15.けが人の救急や病院の受け入れ    9.7   15. 危険な場所の情報      11.4  16. 公衆電話の設置場所        9.6   16. どこに避難すればよいのかの情報11.2  17. 渋滞情報        6.6   17. 渋滞情報      10.3  18. 職場や学校の情報        5.7   18. 職場や学校の情報       9.6  19.ガソリンスタンドの状況          4.9   19. 銀行・金融機関の情報       9.4  20. 銀行・金融機関の情報        4.6   20. けが人の救急や病院の受け入れ   8.9   

(東大社会情報研究所) 

                                                 

   

Part   III

参考資料

 

資料1  災害対策関係法一覧(平成 13 年4月現在) 

 

基本法関係

1.災害対策基本法(内閣府、消防庁)

2.大規模地震対策特別措置法(内閣府、消防庁)

3.原子力災害対策特別措置法(文部科学省、経済産業省、国土交通省)

4.石油コンビナート等災害防止法(消防庁、経済産業省)

5.海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律(海上保安庁、環境省)

6.建築基準法(国土交通省)

 

災害予防関係

1.河川法(国土交通省)

2.海岸法(農林水産省、国土交通省)

3.砂防法(国土交通省)

4.地すべり等防止法(農林水産省、国土交通省)

5.急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(国土交通省)

6.森林法(農林水産省)

7.特殊土じょう地帯災害防除及び振興臨時措置法(総務省、農林水産省、国土交通省)

8.土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(国土交通省)

9.活動火山対策特別措置法(内閣府、農林水産省)

10.豪雪地帯対策特別措置法(総務省、農林水産省、国土交通省)

11.地震防災対策特別措置法(内閣府、文部科学省)

12.台風常襲地帯における災害の防除に関する特別措置法(内閣府)

13.建築物の耐震改修の促進に関する法律(国土交通省)

14.密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律(国土交通省)

15.気象業務法(気象庁)

 

災害応急対策関係 1.消防法(消防庁)

2.水防法(国土交通省)

3.災害救助法(厚生労働省)

 

災害復旧・復興、財政金融措置関係

1.激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律(内閣府)

2.防災のための集団移転促進事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律(国土交 通省) 3.公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法(農林水産省、国土交通省)

4.農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律(農林水産省)

5.公立学校施設災害復旧費国庫負担法(文部科学省)

6.公営住宅法(国土交通省)

7.天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法(農林水産省)

8.地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置 に関する法律(内閣府)

9.鉄道軌道整備法(国土交通省)

10.空港整備法(国土交通省)

11.被災市街地復興特別措置法(国土交通省)

12.被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法(法務省)

13.特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律(内閣 府、総務省、法務省、国土交通省)

14.被災者生活再建支援法(内閣府)

15.農林漁業金融公庫法(農林水産省)

16.農業災害補償法(農林水産省)

17.森林国営保険法(農林水産省)

18.漁業災害補償法(農林水産省)

19.漁船損害等補償法(農林水産省)

20.中小企業信用保険法(中小企業庁)

21.小規模企業者等設備資金助成法(中小企業庁)

22.住宅金融公庫法(国土交通省)

23.地震保険に関する法律(財務省)

24.災害弔慰金の支給等に関する法律(厚生労働省)

 

組織関係

1.消防組織法(消防庁)

2.海上保安庁法(海上保安庁)

3.自衛隊法(防衛庁)

4.日本赤十字社法(厚生労働省)

 

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