第 5 章 類題演習機能の汎用化の検討
5.3. 演習⽀援機能の Moodle プラグイン化
5.3.1. 概要
演習⽀援機能は,⽣成した類題数が学⽣数より多い限り,学⽣別にランダムな順で異なる 問題を表⽰する,指定期⽇が来るまで正解・模範解答やフィードバックを表⽰しないなど,
類題による学⽣同⼠の教え合いを意識した演習を⽀援する機能を担う.他の活動モジュー ルと同様に,活動状況の記録(ログ)や LTI による外部の LMS からの利⽤も可能である.
5.3.2. 類題の選択
図 5-20 に,開発した演習⽀援機能のインスタンスの設定画⾯例を⽰した.本演習⽀援機 能は,同じ雛形から⽣成されたか否かによらず,単⼀の問題カテゴリ内の問題を類題として 処理する.各類題には⽣成された順に内部番号が振られており,最初の学⽣が類題演習を実
⾏すると,本演習⽀援機能は,この内部番号をランダムにシャッフルしたものを 0 から順 に番号(ポインタ)を付してデータベースに保存した上で最初の類題を出題し,ポインタを 1 つ進めてデータベースにその値を保存する.2 番⽬の学⽣以降は,シャッフルは⾏わず,
ポインタが⽰す内部番号の類題を出題し,ポインタを 1 つ進めて保存する.学⽣数が類題 数より少ない場合は,この繰り返しで全学⽣にランダムかつ異なる類題を出題することが できる.なお,出題数が類題数を超える場合には,ポインタを先頭に戻して出題するため,
最初の出題順を繰り返すことになるが,類題数が極端に少ない場合を除いて出題順を繰り 返すことの実害はあまり考えられないことから,このような実装とした.
図 5-21 に演習⽀援機能の表⽰例を⽰した.また,正解公開⽇以降になると,図 5-22 に
⽰したような正解とフィードバック情報が表⽰される.
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図 5-20 演習⽀援機能のインスタンスの設定画⾯
図 5-21 演習⽀援機能の類題表⽰例
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図 5-22 演習⽀援機能の正解・解説表⽰例
5.3.3. 期待される効果
類題を⽤いた演習は教え合いを誘発し,⾃信や学習に対する満⾜度を⾼めるといった教 育効果が期待されるが,事前に⼤量の類題を⽤意しなければならないことをすでに述べた.
本類題演習機能を⽤いることで,さまざまなタイプの類題を容易かつ⼤量に作成すること が可能になると同時に,学⽣ごとに異なる類題を与え,期限になると個々の類題に対応した 正解とフィードバックを与えることが可能になる.これにより,教員がさまざまなタイプの 類題を⽤いた演習を⼿軽に⾏えるようになると期待できる.
また,作成した類題は Moodle の標準形式で保存されるため,Moodle の⼩テスト等の他 の機能からも利⽤できることや,Moodle のもつ LTI Provider 機能を⽤いて他の LMS 等か ら利⽤できるため,類題の利⽤機会が拡⼤すると期待できる.
5.3.4. 実装
演習⽀援機能は⼩テストモジュールのプレビュー機能を⼿本に,出来る限り Moodle の標 準 API を利⽤し,PHP を⽤いて開発した.
動作確認には,Apache 2.4.4,MySQL 5.5.42,PHP 5.6.10 で構築された PC サーバ上に Moodle 2.9.2 をインストールし,これに開発した演習⽀援機能を Moodle の定める⽅法によ り登録,設定したシステムを⽤いた.
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5.3.5. テストデータによる演習⽀援機能の動作確認
100 題の類題を⽣成し,Moodle 上に 100 名の仮想の学習者を登録して演習⽀援機能を利
⽤したところ,ランダムな順で全員に異なる問題が出題されていることを確認した.同様の 検証を 10 回以上⾏い,全て期待通り動作していることを確認した.
5.3.6. 実授業を対象とした動作確認 5.3.6.1. はじめに
本動作確認は,実授業を対象とした試⽤を通じて以下の機能の実現が,類題演習にかかる 教員の⼿間や労⼒の削減に繋がることを確認するため⾏った.
l 類題演習機能により,事前に⼤量の類題を⽤意せずとも⾃動⽣成された類題を提
⽰できること.
l 出題した問題を記録,管理することで,類題数が⼗分な場合には異なる学習者に異 なる問題が出題されること.
l 事前に設定した公開⽇に正解やフィードバック情報が⾃動で公開されること.
5.3.6.2. 実授業での試⽤
本試⽤では,⼯学部の基礎化学を受講する 32 名の 2 年次⽣に,開発した類題演習機能を 利⽤した演習を⾏った.なお,⼀般教室での利⽤であったため,学⽣各⾃に iPad を配布し,
無線 LAN 経由で学内に設置した演習機能を提供する Moodle が稼働するサーバに接続させ た.また事前に雛形から類題を⽣成しておき,公開⽇を授業の翌⽇に設定した類題演習を Moodle のコース上に準備しておいた.
5.3.6.3. 結果
試⽤時に⽣成された類題数は全 50 問であり,32 名全ての学⽣に異なる類題が表⽰され,
実授業でも類題数が学習者数に⽐べて多い場合には,本演習⽀援機能が学習者ごとに異な る問題を出題することができ,⼿作業で個⼈別のコース定義ファイルの作成を⾏っていた プロトタイプシステムと同様の演習が可能であることを確認した.
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また,各学⽣の類題演習画⾯において,正解およびフィードバック情報が事前に設定した 公開⽇に⾃動で公開されることを確認し,プロトタイプシステムのような正解およびフィ ードバック情報の公開設定を⼿作業で⾏う⼿間が軽減された.
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