第 4 章 プロトタイプシステムを⽤いた授業実践と知⾒
4.6. 学⽣の意識調査
教え合いを⽤いた類題演習に対する学⽣の意識を調査する⽬的で,類題演習を授業に取 り⼊れたクラスに対して,定期試験時に記名式質問紙によるアンケート調査を⾏った.ア ンケートの内容は,教え合いの可否,教え合いの学習への影響,教え合いにおける⼼情に 関する事項で,有効回答数は 39 件であった.なお,アンケート項⽬は以下の通りである.
また,各設問の回答数の単純合計値を表 4-3 に⽰した.
アンケート項⽬
1)授業内で教え合いを⾏ったか(はい/いいえ)
2)教え合いの中での役割(教える側−教わる側)
3) 教えることが⾃⼰の学習に役⽴ったか(5段階)
4)相⼿の理解と学習の満⾜度(5段階)
5)相⼿が理解できたときの⼼情(選択/記述)
6) 教え合いを⾏わなかった理由(選択/記述)
7) 教える⽴場としての⼼情(選択/記述)
8)教わる⽴場としての⼼情(選択/記述)
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表 4-3 教え合いに関するアンケート調査結果(単純集計)
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「課題を解くとき,他⼈に課題の解き⽅や答えを教えたり,教わったりしましたか.」の 問いに対して 32 名(82%)の学⽣が「はい」と回答し,学⽣の多くが授業内で何らかの教 え合いを⾏っていることがわかった.これらの学⽣の 19 名は「教える側の⽴場としての
⼼情」に関する選択肢のうち「⼈に質問されても苦にならない」を選択していた.また,
「⼈に質問されても苦にならない」を選択した学⽣中,同時に「全く異なる問題でも⼀緒 に考えてあげる」を選択した学⽣が 10 名,「数値が違う程度なら⼀緒に考えてあげる」を 選択した学⽣が 9 名であった.
⼀⽅,「⼈に質問されても苦にならない」を選択しなかった 13 名の学⽣の他の質問の回 答状況をみると,「数値が違う程度なら⼀緒に考えてあげる」を 5 名,「全く同じ問題なら 解き⽅を教えてあげる」を 6 名の学⽣が選択していた.
「教えたことが理解してもらえたとき,どのように感じましたか」の多肢選択式の問い に関しては,9 名の学⽣が「相⼿が解けるようになって嬉しかった」,18 名の学⽣が「⾃分 でも他⼈に教えることができたことで⾃信がついた」を選択していた.
⼀⽅,授業内で「教え合いを⾏わなかった」と回答した 7 名の学⽣のうち,6 名の学⽣
が教え合いを⾏わなかった理由として「友達が⼀緒に授業を受講していなかったから」と 回答した.また,5 名の学⽣は適当な相⼿がいれば⼀緒に勉強したいと考えており,また,
勉強する相⼿が同⼀学科の学⽣であることへの拘りはないことがわかった.
さらに,これら教え合いを⾏わなかった学⽣でも,仮に教え合いを⾏った場合の教える 側の⼼情としては,「全く同じ問題なら解き⽅を教えてあげる」,「数値が違う程度なら⼀緒 に考えてあげる」の少なくともいずれかは選択していた.また,教わる側の⼼情としては,
「全く異なる問題だと,教えてもらうのに気がひけるので質問しない」「全く同じ問題なら 答えを写させてもらう」を選択している学⽣もいたが,7 名中 6 名の学⽣は「数値が違う 程度の問題なら,解き⽅を教わって⾃分で考える」を選択していた.
表 4-4 は,教え合いでの主な役割と教えることの役⽴ち度をクロス集計したものである.
主に教える側になった場合を5,主に教わる側になった場合を1として学⽣に申告させて いる.役⽴ち度4以上を,教え合いが役⽴ったと⾒なすと,回答した学⽣の 77%が役⽴っ たと感じていることがわかった.
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表 4-4 教え合いでの役割と教えることの役だち度の関係
教え合いの⾃分の学習(理解)に対する役だち度
役⽴った 役⽴たなかった
主な役割 5 4 3 2 1
教える⽅ 5 1
4 4 3
3 6 4 2
2 1 1 4
教わる⽅ 1
表 4-5 は,教え合いでの主な役割と相⼿が理解してくれたことが⾃分の学習に対する満
⾜度を⾼めたかを質問した結果とをクロス集計したものである.この結果からも教え合い を学⽣が肯定的にとらえていることがわかる.
表 4-5 相⼿の理解と⾃⼰の学習満⾜度の変化の関係
相⼿の理解に伴う⾃⼰の満⾜度の変化
上昇 低下
主な役割 5 4 3 2 1
教える⽅ 5 1
4 2 3 2
3 4 6 2
2 1 1 4
教わる⽅ 1
その他,⾃由記述欄の回答では,「何となく理解していた事をかみくだいて理解できるよ うになる.」,「友⼈とやることにより,⾃分の能⼒が向上した.」,「教えることにより知識 を忘れない.」,「教わるばかりでは申し訳ないので教えあう感じがよい.」,「⼀緒にやれば 勉強もはかどる」,「助け合いながらやった⽅が楽しい」など,教え合いを肯定する意⾒が
⾒られた.
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