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滞納・回収と景気

ドキュメント内 納税意識と納税行動に関する経済分析 (ページ 90-93)

第 4 章 わが国の滞納の実態と税務行政

4.4.3 滞納・回収と景気

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行うとき、同時に消費税も行われ、所得税とも同時に行われるということが、滞納整理コス トと処理済滞納税額との関係にも作用し、効率性をあげているということもあるだろう。

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源泉所得税: Y=15.531 * X - 19.789 修正済み R2=0.492

(4.403) (-4.027)

申告所得税: Y=10.090 * X - 14.253 修正済み R2=0.249 (2.699) (-2.917)

法人税: Y=20.857 * X - 27.389 修正済み R2=0.691 (6.598) (-6.439)

消費税: Y=278.613 * X - 32.348 修正済み R2=0.234 (2.228) (-2.187)

となる。 ( )の値は t 値である。

このように景気の影響を取り除けば、上記 4.4.2 節で、回収とコストの相関が見られなか った申告所得税も含め、全税目でt値は 2 以上を示し、補正 R2 も回収率とコストに相関があ ることを説明する値を示している。これらのことから、すべての税目で、景気の影響を取り 除けば、滞納の回収率は要整理滞納税額に占めるコストと、連動して動くということが言え る結果になった。

4.5 おわりに

税務行政における滞納整理について各税目別に検証してきた。滞納整理に要する費用対効 果という点から、最も効率が良い税目は、法人税で、次に消費税、源泉所得税となった。法 人税については、滞納整理コストに比例して回収が進むという結果を得たので、今後さらに、

滞納整理のための人員、コストを増加させて滞納整理を進めるということが、課税の公平性 という命題を実現させる一つの方法であると言えるだろう。また、消費税については、滞納 発生後の回収割合が、2002 年度で約 50%となっているが、そもそも消費税が納税者からの預 かり金である性質を有していることを考慮すると滞納残高の多さは税制度への信頼感を損な うことにもなりかねない。よって、法人税と同様に滞納整理を進めることはもちろん、消費 税制度において予定納税を推進させるなど滞納が発生しにくくなるような方策を検討するべ きではないだろうか。

一方、申告所得税は、滞納発生割合が高く、また、回収率も低い税目であり、景気の影響 を受けることから、滞納整理コストと処理済税額との間に明確な相関が見られないという結 果を得た。滞納整理以外の方法で納税・徴収を行うということを考慮する必要があるのでは ないかと考える。例えば、納税方法である青色申告の普及割合が法人税で 90%に(2002 年度)

達しているのに比べ、申告所得税の対象者である個人営業所得者の普及割合は 54%程度と低 い状況であることから、青色申告制度を普及させれば帳簿記録の要請につながり、帳簿が整 備され、ひいては事業管理、納税資金管理にもつながるとは考えられないだろうか。滞納整 理にコストをかけるよりも、滞納も含め、税額の正確な捕捉をより重視することが租税制度 の公平性を保つ上で重要であり検討する余地があるだろう。

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また、源泉所得税は源泉徴収義務者が納税するという課税システムが滞納発生を抑え、滞 納発生割合を最も低くすることに寄与していると考えられる。しかし、滞納発生後の回収率 は低く、回収には景気の影響を強く受けるという結果になり、税務行政側が滞納整理を進め る上で困難な税目であることも示された。また、源泉所得税の源泉徴収制度と、申告所得税 の申告納税制度という制度の違いから滞納発生頻度が変わるということも明らかになった。

このことから、税務行政当局のコストを補完する民間の納税協力費が滞納においても影響し ており、源泉徴収制度の方が申告納税制度に比較してより多くの納税協力費が働くことが、

滞納発生を抑えている要因になっていると言えるだろう。そして、各税目とも処理済滞納税 額が減少し、回収が困難な状況になっている。やはり、長引く景気の悪化が原因の一つと考 えられるので、景気を回復させることが滞納整理を進めるには不可欠である。

税務行政が徴収面から租税の公平性を支えるという一面をもっていることから、徴税効率 の良い税目だけに多くの徴税コストをかけ回収すれば税収額は増えるかもしれない。しかし、

当該税目の納税者は不公平感を抱くことになるだろう。だからといって、全税目の滞納整理 事務について、同様のコストをかけ、同様に徴税することは税務行政の効率性という点から 問題であると考える。今後、将来の税体系を構築するにあたって、各税目の負担割合を検討 する際には、滞納整理に要する費用対効果も指標の一つにするべきである。滞納整理にあた る人員も予算も限られた資源であり、その資源をより効率的に配分することは、わが国の税 務行政がさらに効率化される可能性があるだけでなく、国民の租税制度に対する信頼感を向 上させることにも繋がるだろう。

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