測定項目ごとの評価として日内変動・日間変動、許容誤差 (バイアス)を算出し、日 本臨床化学会より提出されている生理的変動の推定値に基づく許容誤差限界と比較し た。また校正用試料または試薬メーカ指定管理試料で校正した場合の装置間誤差とバ イアスを算出し、その評価には装置間誤差として前記許容誤差限界 CV(%)を、全装置 の平均値のバイアスは許容誤差限界 BA(%)を参考として用いた。Na、K、Cl は一部で 異なるが (注1)、それ以外の項目に関する実施内容は以下の通りとした。
1) 日内変動・日間変動試験
試験は 2章の手順に従って行った。装置 1機種で同日内に3時間ごと3回の測定を 行い、そのときのばらつきから日内変動を算出し、測定ごとに装置電源の OFF/ONを 行い、合計 15回測定した時のばらつきから日間変動を算出した。また、キャリブレー タを使用して行う検量のサイクルとして、測定ごとに実施した場合と、最初の測定で のみ実施しそのときに得た検量係数を記憶して以後の測定に使用し続けた場合とでば らつきを比較した。その結果は表中で毎回と初回の欄として記載した。その他に、装 置 3 機種で各種試料を 1 回、5重測定してそのばらつきを日内変動として算出し、結 果を初回の欄に記載した。
2) 許容誤差 (バイアス)試験
試薬キットに付属のキャリブレータを使用して検量した後に標準物質 (項目により 濃度の種類は異なる)を測定して、それぞれの認証値と測定値の差をバイアス、そのバ イアスを認証値で除して 100を乗じたものをバイアス(%)として算出した。
3) 校正用 試料または 試薬メーカ 指定管理試 料で校正し た場合の装 置間誤差と バイ ア ス
の確認
校正用試料の濃度 L、H、あるいは試薬メーカ指定管理試料の濃度 2 種類の各装置 での測定平均値を使用し、その値がそれぞれの表示値となるよう検量係数を補正して 標準血清の測定値を算出した。表において、校正 1は測定値を校正用試料濃度Lの測 定結果を用いて校正し、校正 2は校正用試料濃度Hの測定結果で校正したときの算出 値である。校正用試料で校正することでの装置間誤差およびバイアスの変化を確認し た。
注 1: Na、K、Cl測定は、各社装置ともに、毎日の検量が原則であり、日間変動試 験を行う意味がないため、上記 1) については、日内測定のみとした。また、
参加6社すべてにおいて、初回検量、毎回検量における試料の測定を実施した。
上記 2) については、試薬キットではなく装置に付属のキャリブレータを使用 した。
上記 3) については、すでに本注で述べたように参加メーカが 6 社のため、
4機種ではなく6機種で行った。また、校正は測定値を校正用試料濃度 1およ び2から得られた検量線で補正する形式とし、それ以外は同様とした。
4.1.1 Na、K、Cl
4.1.1.1 日内変動試験
K においては、すべての装置で分析対象としたすべての試料の日内変動は許容誤差限 界内であり、安定な測定が行われたと判断できた。Na、Clにおいては許容誤差限界外と なったが、Naでは最大で 0.5 % (差として 0.1 %)、Clでは最大 0.8 %(差として 0.1 %)
であり、実質上、安定な測定が行われたと判断できた。 なお、Clの 0.8 % という値は QAPトロール 1Xにおけるものであり、実用標準物質、校正物質候補品の範囲では最大
0.5 % であり、許容誤差限界内であった。検量サイクルの違いによる日内測定間に大き
な差がないことから、検量を測定ごとに実施する必要はないとも考えられた。しかし、
今回の試験は現行の分析システムの安定性を確認したもので、検量の間隔を決めること が目的ではない。本試験結果から直ちに添付文書等の記載に従って実施している現行の 検量手順を変えても良いということではない。
4.1.1.2 許容誤差 (バイアス)試験
K においては、すべての装置で分析対象としたすべての試料の日内変動は許容誤差限 界 内 で あ り 、 安 定 し た 測 定 が 行 わ れ た と 判 断 で き る (認 証 値 と の 差 は 最 大 で も - 0.05
mmol/L)。Naにおいては、実測値とのずれが、稀釈法装置において - 0.7 mmol/L (電解質
認証実用標準物質 M)、非稀釈法装置において- 2.1 mmol/L (電解質認証実用標準物質 M) であり、この値がほぼ生理変動幅程度であることから、実質的に安定した測定が行われ た と 判断 し て も 良い と 考 え られ る ( 臨 床化 学 会 に おけ る 許 容 差限 界 値 の 指針 (絶 対 値) は Na ± 2 mmol/L、K ± 0.2 mmol/L、Cl ± 2 mmol/L)。また Clにおいても、実測値とのず れが、稀釈法装置において 1.2 mmol/L (電解質認証実用標準物質 H)、非稀釈法装置にお いて 1.1 mmol/L (電解質認証実用標準物質 M)であることから、Naと同様、実質的に安 定した測定が行われたと判断しても良いと考えられる。検量サイクルの違いによる日内 に極端に大きな差がないことから、検量を測定ごとに実施する必要はないといえるが、
非稀釈法装置においては、測定値が数 mmol/Lと小さな Kを除き、毎回検量の方が誤差 のバイアス% が小さいという結果が得られた。とくに Naでは、その結果として、初回 検量では認証値との間に - 2.1 mmol/Lの差があったもの (電解質認証実用標準物質 M) が、毎回検量では、- 1.7 mmol/Lまで改善されている (バイアスとしては、1.4 % → 1.2 %)。
もっとも、今回の試験は現行の分析システムの安定性を確認したもので、検量の間隔を 決めることが目的ではない。よって、本試験結果から直ちに添付文書等の記載に従って 実施している現行の検量手順を変えても良いということにはならない。
4.1.1.3 校正用試料で校正した場合の装置間誤差とバイアスの確認
測定装置間誤差について、Naおよび Clでは許容誤差限界を越えたが、実際のバイア スは、いずれも生理変動幅以内であった。これは、先にも述べたが、恒常性の高い項目 として許容限界が厳しく設定された結果が反映されたのであろうと考えられる。K につ いては、とくに問題なく、すべて許容誤差限界内であった。なお今回の測定は、各メー カが装置に付属のキャリブレータによる検量を行い、さらに装置メーカ指定の標準物質 または管理試料によって補正を行った後に行われていることから、校正用試料を用いた 校正を行う必要性は認められなかった。これは、装置メーカ指定の標準物質または管理
試料と校正用試料の特性が近似しているためと考えられた。その意味では、装置メーカ 指定の標準物質または管理試料を、すべて同一の校正用試料に替えられる可能性が示唆 されたといえる。
4.1.1.4 参考:メーカ指定管理試料で校正した場合の装置間誤差とバイアスの確認 電解質の場合は存在しないので省略した。
4.1.2 総Ca、総Mg、IP
4.1.2.1 日内変動・日間変動試験
総 Ca の1 データが CVで僅か 0.2%外れた以外は測定した全ての試料の日内および日 間変動は許容誤差限界内であり、各装置で安定した測定が行われたと判断ができる。ま た、検量サイクルの違いによる日内・日間変動に殆ど差がないことから、本項の測定項 目については検量を測定ごとに実施する必要はないといえる。しかし、今回の試験は現 行の分析システムの安定性を確認したもので、検量の実施間隔を決めることが目的では なく、本試験結果から直ちに添付文書等の記載に従い実施している現行の検量手順を変 えてもよいということではない。
4.1.2.2 許容誤差(バイアス)試験
総 MgとIPは検量サイクルの違いによる差も少なく、正確な測定が行われたと判断で きる。総 Caについては許容誤差限界である1%が濃度に換算すると0.1mg/dLに相当し、
日常検査における報告単位の有効桁数が 0.1mg/dL であることを考慮すると大変厳しい ものであるが、全体として低値傾向にあること、および多少、機種差も見受けられるこ とから装置と試料の両面からの課題が考えられる。
4.1.2.3 校正用試料で校正した場合の装置間誤差とバイアスの確認
総 Ca については電解質認証実用標準物質 Hを使用して実施した校正 2 では装置間誤 差及びバイアスが許容誤差限界内となりその有効性が認められた。しかし、そのほかの 項目の総Mgと IPについては校正を行わなくても十分、許容誤差限界内にあり、特に校 正用試料を用いた校正の必要性は認められなかった。
4.1.2.4 参考:試薬メーカ指定管理試料で校正した場合の装置間誤差とバイアスの確認 ここでは校正に用いる試料を比較することが目的ではないが、総 Ca は前項 4.1.2.3 に おける校正用試料を使用して校正した場合に改善が認められたのに対して、装置間誤差、
バイアスともに改善効果は認められなかった。一方、総Mg については、校正を行わな くても十分、許容誤差限界内でもあり、特に校正を行う必要性は認められないが、校正 用試料を使用して校正した場合より更に装置間誤差、バイアス共に低減の傾向が見受け られた。
4.1.3 TP、ALB
4.1.3.1 日内変動・日間変動試験
全ての装置で、測定した全ての試料の日内および日間変動は、ほぼ全て許容誤差限界 内であり、安定した測定が行われたと判断できる。また、検量サイクルの違いによる測 定では、日内・日間変動に殆ど差がないことから、検量を測定ごとに実施する必要性は ないといえる。しかし、今回の試験は現行の分析システムの安定性を確認したもので、
検量の間隔を決めることが目的ではない。本試験結果から直ちに添付文書等の記載に従 い実施している現行の検量手順を変えてもよいということではない。
4.1.3.2 許容誤差(バイアス)試験
許容限界を超えた標準物質の最大バイアス%を濃度差にすると、TPで0.20g/dL、ALB
は 0.13g/dL であった。また、検量サイクルの違いによるバイアスの最大差は、濃度で
TPが 0.08g/dLであり、ALBは毎回検量の方が小さい傾向にあったが、その差は0.05g/dL
と僅かであった。したがって、TP 、ALBとも殆ど差がないことから、測定ごとの検量 効果は見られなかったといえる。
4.1.3.3 校正用試料で校正した場合の装置間誤差とバイアスの確認
測定装置間誤差について、TP は校正用試料による校正で測定装置間誤差は小さくな り、ALB は殆ど変わらなかったが、TP、ALB ともに校正を行わなくても許容誤差限界 内であった。バイアスについては、TP は校正用試料を用いた校正を行う必要性は認め られなかったが、ALB は校正用試料 1(タンパク項目測定用校正物質候補品 L)による校 正で許容誤差限界内に入った。
4.1.3.4 参考:試薬メーカ指定管理試料で校正した場合の装置間誤差とバイアスの確認 試薬メーカ指定管理試料で校正した場合、測定装置間誤差のCV %は校正用試料によ る校正より大きくなる傾向であった。バイアスについては、試薬メーカ指定管理試料 1 による校正で大きくなり、試薬メーカ指定管理試料 2による校正では殆ど変わらなかっ た。したがって、測定装置間誤差およびバイアスともに試薬メーカ指定管理試料による 校正の効果は認められなかった。
4.1.4 T-BIL
4.1.4.1 日内変動・日間変動試験
日内変動は全機種、全ての試料で、日間変動は代表 1機種における全ての試料で許容 誤差限界内であり、安定した測定が行われたと判断できる。また、検量サイクルの違い による日内・日間変動に殆ど差がないことから、検量を測定ごとに実施する必要はない といえる。しかし、今回の試験は現行の分析システムの安定性を確認したもので、検量 の間隔を決めることが目的ではない。本試験結果から直ちに添付文書等の記載に従い実 施している現行の検量手順を変えてもよいということではない。
4.1.4.2 許容誤差(バイアス)試験
本項は評価対象の標準物質がなく、該当なし
4.1.4.3 校正用試料で校正した場合の装置間誤差とバイアスの確認 本項は用いる校正用試料および標準物質の測定がなく、該当なし
4.1.4.4 参考:試薬メーカ指定管理試料で校正した場合の装置間誤差とバイアスの確認 本項は標準物質の測定がなく、該当なし
4.1.5 UN、CRE、UA
4.1.5.1 日内変動・日間変動試験
日内変動は全機種、全ての試料で、日間変動は代表 1機種における全ての試料で許容