第 6 章 環境試料への適用
6.4 測定結果と議論
6.4.1 自己吸収ファクタ ー の決定
環境試料の比欣射能を決定するためには、 I~ 己吸収フアクターにより 測定結果をf1riI F ,}‑‑る
必要がある.そのためには、あらかじめ比欣射能の分かっている試 料について測:どをわ二い、
その測定結果から向己吸収ファクターを決定して他の試 料の測定結 *を補正する〆ゎ
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改 良である.米試料については, 19'i8年産の同じ試料を過去に向島らが気体 比 例 計 数管法によって比 放射能を決定していたため、その11在と本研究によって得られた怖を比l絞サるこ とにより li 己吸収ブアクターを8:3.00%として補正を行った
また、本研究で用いた試料のうち、杉、縦に関しては、同一試料について測定した例がた く、比放射能が未知であったため、次のようにして自己吸収ファクターを決定した.
まず縦については、山下らが加速質量分析法によって得た 1q~n 年から HJ8G年支でに似?を された日本産の米試料の比放射能の平均値を、本研究で得られた年輪19S:3‑108(j午のmlJ注~iltll~
と 比 較 し そ の 結 果 自 己 吸 収 フ ァ ク タ ー を.5l.2:7%とした.
杉については 高島らが福附産の米試料について決定した比 政 射 能の 〉ら、LCJ7:)年jだの 米試料の11在と、杉試料の 1970年 に あ た る 年l愉の測定値を比較し.[~I Lユ吸収プアクターを
'ï:).:2:3(~ として補正を行った.
6 . 4 . 2 生成された炭酸カルシウム粒子の顕微鏡観察
生成された炭駿カルシウム試料の結品形及び粒径をJï周べるため、光う;:~I1微j11 による制作 を行った.炭般カルシウムの結
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にはカルサイト (C'rL!rIlf)、アラゴナイト (.¥ I'U!iOIIl!t )及ジ バテライト (T/rderitE、μ‑CaCO・1)の 三相が知られている [:2]常 瓶 詰' n : :
ドでは力ルサイト/ト'必 定な初であり う アラゴナイト、 パテライトは特 :d:の条件:下で徐々にカルサイト~...と変化す‘ ζ}顕微鏡観察によって得られた写真を図6.6に示す 本研究で生成されたj完成ブjルシウム
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では杭径が 10" ,3:0μ111の比較的大きな粒子とろμ111以下の微細な純子からなる集見が飢引 された.第・5章で、数値計算によって求めたn
己吸収ブアクターは.粒 符 lO" , , :30II111のとき 86切",,68(/{,であり . また 5μ ll1以下では 909(,以上である. 実際の測定における ~"'l 己吸収アアク80
ターは使用した試料の重量にもよるが最もよい場合で;~(:J80(,えである.したがって 本研究で JH し\た試料では比較的粒径の大きいものの寄与が大きいと考えられるが‘*主体分布とド Ir~
吸収ファクターの相関に関して詳細な検言、I を 1f うに l士、 さらに i試料の I浮細々 *\~Ýうそう〉イ11 を l初 任する必要‑がある.
6 . 4 . 3 環境試料の測定結果
表 6.3)6.4) 6.5、図6.7に 得 ら れ た 比 放 射 能 の 値 を ぷす 第2章で述べたように、 過去紋 十 年 の間大 気 中 の 14C濃 度 は 主 に 大 気 中 核 実 験 の 影 響 に よ り 大 き く 変 動 してきたことが)JI
られているが、木 研 究 に よ り 得 ら れ た 結 果 は 同 燥 の 傾 向 を 再 現しており.九州地岐において も他の地域 と 問 機 の 推 移 を し た こ と が 分 か る ま た 柿 物 試 料
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,の 1I (‘ ?J}.'~ J1 t
(1人 気rjlの 11('濃 度 を ほ ぼ 反 映 し て お り 、 大 気 中 核 実 験 停 止 後 は一政 し て 減 少 し 続 け て い る 係
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が見られ.現イモでは核実験開始前の約 10(X増 の レ ベ ル に 戻 り つ つ あ る こ と が 分 か る .
樹 木 年 輪
図 6.8に 木 研 究 で 得 ら れ た 値 と他の 研 究 者 に よ っ て 報 告されている樹木年愉,!, IIC限度 を 比 較 し た も の を 示 す 比 較 ( こ
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¥た測定値は.中村らが円本花松の{‑j̲:'愉を力11J宝山賀川分 析 法 に よ り 測 定 し た も の[:3]と.ぐ'ainらが北米産の開の年輸をアセチレン比例計数作法によ り測定したものであるい].Cainら が 用 い た 試 料 は 米I I K
ニューヨークイ十│の ('('1d l'el1 P2Hkと Bear i¥'Iountainで伐採されたものであり)CC'ntral Park の試料~-t都市部で/七長 したため十五'よ;験 以 前 の 測 定 値 は Suess効果により sf'i.1f"l¥Ioltlltaillの 測 定 位 よ り も 低 ドしてし、る
縦試料については守核実験再ij( L 9‑1:3‑4 7年)に約 13:<.1 pm/ g‑Cであったものが.I ~H):)-訂作で は約22clprn/g‑Cまで増加 し そ の 後 徐 々 に 減 少 し て 80年代にはがJi7dpll1/斥ー(に支で11í~ ト していることが分かる.他の報告と比べわずかな差が見られるが、このj別式│の ‑ っ と し て 恨 の 年 輪│隔 の ば ら つ き の 影 響 が 考 え ら れ る 樹 木 の 年 愉l隔 は そ の 年 輪 が 成 長 した、竹内の 以 似 条 件 等 の 諸 要 因 に よ っ て 影 響 さ れ.必ずしも一定 に は な ら な い 縦 試 料 の 出IJ7t‑Cti:.年l愉を ろ年分ごとに切り分けて試料調製したものを測定試料として
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し1たため、各年の年l陥i P l t ' ;
j)l定でないことによってその測定値;は5年 間 の 11('濃 度 の 平 均 値に はならず.その,
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がiJ1j1i' L
(直の;-~とたって影響しているものと与えられる.このほかに、年愉を切 り分けるlm に~l:,':~,iì J)
‑‑却が切りしろとなって失われたn[能 性 も 考えられる.
杉 試 料 に つ い て も 、 ほ ぼ 他 の 研 究 者 に よ っ て 符られた l.l(I 濃 度 と 同 係の変 動を111:引 して い る と 考 え ら れ る が う 注 目 す べ き 点 が二点ある.一つ は 1.1('濃 度 のピークが.日向ら及び111 下らが測定した日本産米試料仁~l 14('濃度の測定値より l年遅‑れていることである(図6.9参 照)・大気中核実験は 1961年から 1q6:2年に附けて最も大規模に行われた大気'lrの ,1 (、jlt 度は北半球 r~r 来年度地方では 196:3 年にピークに達したことが矢口 られている. したがって本山:
究 で 得 ら れ た デ ー タ は 大 気 中 14C濃 度 に 対 し ピ ー ク が i年遅れで現れてし1る こ と に な る ま た、中村らが日本産木曽桧の年輪について加速器質量分析法で測定した結果と(川 11 らが,ll~
米 産 の 俸 の 年輪につ いて測定した結呆でも、同様に 11('比欣射能のピークIi:l ~)(j 1 {V‑に別れ ている.
そ こ で こ の よ う な 米 樹 木 及 び 大 気 中 の 11('濃 度 の 推 移 の 差 異 を 説 明 す る‑ため.l ~)G :3 ド;;1j瓦
ら196:)年 に か け て Nyclalらが測定した北半球中待度地域(北緯:2iO ‑i l 0のG地 以 の、rz均) に お け る 対 流 圏1‑1(;濃度の詳細なデータを用いて検討を行った.図6.10にNvdalらが出JI'Jど したデータを示す[5]. Nyclalらは水両変化ナ トリウム水溶液中に大気 二回変化炭ぷを
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し.そ の J'I('比 放 射 能 を二酸 化 炭 素 比 例 計 数 管 に よ っ て 計 測 を 行 っ た .図6.10か ら も 分 か る よ う に.大 気 中 1‑1(:濃度には季節変化が認められ.:2 JJから3J : Jに かけて極小、 7月から 8月 に か け て 極 大 に な る よ う た 変 動 を 行 っ て い る .一点、杉や松戸Cど の 針 葉 樹 木 は 年 間 を 通 じ て 連 続 的 に 生 長 す る わ け で は な く 、 民 主 ん に 細 胞 分 裂 を 繰 り 返して 生 長 す る 生 長 季 と 、 細 胞 分 裂 が 停 止 す る 休 眠 季 が あ る
[ 6 ] .
日 本 が 位 置 す る よ う た 出 借 地 域 で は 、 生 長 季 と 休 眠 季 の 周 期 が ち kうど l年 で あ る た め 、 こ れ ら の 州 本! r
Iには{I.:愉 (fドl { '
愉aJll1uei.l rillg growLh ring)と 呼 ば れ る 構 造 が 形 成 さ れ る こ と に な る さ らに 'I~l~ 引こJ71J1
て も そ の 成 長 速 度 は一様で、なく.ー‑般に春から夏にかけてがJ807c,の 細 胞 が 形 成され、五
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、ら 駄にかけて残りの:20%
が形成される.春から反・にかけては細胞が大きく細胞iJEが 却し¥I! '.付 (early wood) が形成され,戻ーから秋にかけては細胞監が肥r~ し比較的小さな細胞からなる脱材 (latc、woocl)が形成される.したがって年輸は中a材 と 晩 材 か ら 偶 成 さ れ る .
中村らは 木曽桧中の I叱1濃度を測定する│探 年輸の平材部のみを
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し、てi H l j
花 を 行った 図6.11に 対 流 圏 中 11‑C濃 度 の 変 動 に 樹 木 の 生 長 季 ・(木!l民不を唱:ねあわせたものを示す ーA2
の 図 から分かるようにヲ樹木年輸の
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材 部が形成されたH年期だけを比l依すると、 II( , d.'~ J交の ピークパ 196:3‑trえではなくiリ6,'1年に現れるこ とになり、中村らの測定航がI説明される.二とた 生長不全体を見ても.樹木細胞はそt
長季の前平に約80Sイが形成されるため.年愉141の].1( 1以度が 196~l 年にピークに達することが説明される
方 米 は 本 から秋にかけて栽倍される 円本で栽地ーされる米は 一般に5月頃に完封iした 市をbJ‑J F‑旬頃に移惜し, 10刀頃に収穫される [7] 特に、試料として用いられた料jの部分i士 山徳開花後である 9月から 10月に成長するので、このことから米試料の測定値が 1963:年に
段大となっていることが説明される.
2つ同は、 1947年から 195:3年にかけて得られた 3つの測定前が他の研 究 によってれjられ た値に比べ:30(70程度低くなっていることである j‑l(̲'濃度の低下要
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fi:jとしてl‑‑t.試料のノti f
地である福岡が比較的都市部に属するため、局地的なSucss効果により
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冠の ll‑C濃度の(氏ドが兄られる可能性も考えられるが Ca,inらのデータによるとその彩響はあったとして1l 数%の低下に留まると考えられる.したがってこの3つの測定値に関しては、測定試料をl制 製する過程に問題が生じた可能性が強く、今後同ーの試料について再測定を試みう検討を行
〉必要があると考えられる試料調製過程に生じた問題としては.炭隊カルシウム調製j伯れ での不純物の混入や、濃度、熟成 1~t度が何らかの原因によって呉.なり、その結果j共同変カルシ
ウム杭子の生成に再現性が件られたかった三となどが考えられる
また Cainら は 樹 幹 の 芯 材 、 辺 材 境 界 領 域 に お いて l叱1濃度ーの異常変動が起きる伊│をJ
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官している.樹木は多くの双子葉捕物と同保に形成同 (cambi lLl n) と|呼ばれる原状())分裂~/:lL 織の屈を持ち『これが接線面分裂 (tangentia 1 d i vi叶Oll)を行〉ことによって、 !人J(W]には/ドfdi の細胞を分裂しつつ自分自身はその円周を広げながら外方に押し1'1¥されてl¥き.モれと│:11 時に外 fWJに師部の細胞を分裂していく.このようにして樹木はその ‑/ I.~ を凶 じて分裂をあI・ け.内側に木部を蓄積して幹材を形成し肥大生長を行う.形成されたノド却は水分科通や{tづJ
Ui!j訟など生理的機能を行うが.やがて[̲'J
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¥ほうから)1111に機能を失し¥タヒ細胞へと修行サ 乃 樹幹のうち生理的活動を行っている部分を辺材(凶P¥YOO!c)といいう タビ細胞だけ! p
らfえる(;i; 分を心材(lwa.rtwood)という, (le1inらの CClltralParkの試 料では.lsn 1 {ドの年1'命(j)部分)1';] 辺に辺材から心材への移行部分があり、それ以前のがJ10年!日]で lo V t f ' l U
去の トiU於肢のだtf[!! が{確認、されている.しかし日刊rI¥ 1 OLln ta.inの試料にはまだ心材が │づ〉形成されていた泊、っよl
た た め 、 異 常 変 動 が 見 ら れ ない.本研究で用いた杉試料では
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,:2年の{ r
l愉のJfi];11にill判・心材移行領域が存在したが (日‑1111らが報告したよ うな異常変動は認、められなかった
米
炭 素 は 人 体 や 人 間 が 隈 取する 食 物 の 主 要 な 構 成 元 素 で あ る 抜 尖 験 に よ り 火 災q‑=Iに以111I1
された l4( ,を食物連鎖を通じて人体組織が照取することにより.(科人l'乃 11 (' i~.'Uif 7/~
1 ‑
げした こ と が 報 告 さ れ て い る [9].米は仁l本 を は じ め ア ジ ア 地j或で常食される食品であり.このよ うな食物中の1 4 C
濃 度 を モ ニ タ リ ン グ す る こ と は 、 食 物 連 鎖 に よ る 環 境 か ら 人 体 組 織rt
1 "の l‑t('の移行過程を解明する上でも重要なことである.
図 6.12 に木研究で得られた福 r~(Í-1 県産米試料中 14(' 濃度の惟修を示す. 主主た木研究でffjい た も の と 同 じ 生 産 地 で19:38年から lY,8年にかけて収穫された米試料を.二回変化炭ぷ比例
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数管法により高島らが測定した値 [8] もともに示す 比較に汀j し 1 たのは ii~( は. ~11 "F らえ,; f I本
各 地 で 収 穫 さ れ た 米 を 加 速 器 質 量 分 析 法 に よ っ て 狽JI定 し た も の [10]である
本 研 究 で 得 ら れ た 測 定 値 は 多 少 ぱ ら つ き は あ る も の の .19,0年 代 末 から1990年代にかけ て 徐 々 に l4C濃 度 が 減 少 す る 係 下 が 碓 認 さ れ た ま た 19:38年 か ら の 一連のトIC ð~Jjf の測定 値より、米試料中の l叱1濃 度 が 大 気 中 の 1,1('濃 度 を よ く 反 映 し て い る こ と が 分 か っ た.特 に 米試料中の lヤ濃度は.肩íj節でも述べたように籾が成長す-ろ秋-1~ の大気中 11 ( ,
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限度を反映 し た も の に な っ て い る と 考 え ら れ る .以上の結果より司容量20m!のバイアルを用いて比較的少量の炭円安カノレシウムバ料を測 定 に供した場合でもう環境中 l‑t('モニタリングに対し十分有用であることが分かった
6.5 まとめ
本測定法の有用性を評価するため、米、樹木イ1三l愉などの 11: 境 1試料~~ 1の 11('ð;'~!主ωil)ll.iーモ 行った.その結果、木研究で開発した測定法は尿境試料守11‑1('濃度の測定法と してイ
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で,わる こ と が 示 さ れ た ま た 、 九 州 地 域 に お け る 環 境 試 料 中 14('濃度が他の地減、と!日!係の変動を 行 っ て き た こ と が 示 さ れ た 樹 木 年 倫 中 l‑t('濃 度 と 米 試 料 中 l'l (濃 度の椛 移 にltjh
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がみられたが、これは米と樹木の生育時期!の差に よ る も の で あ る こ と が 分 かった