第4章 研究方法
Ⅵ 測定用具
測定用具は、LEが有る対象者への「質問紙Ⅰ期~Ⅲ期用」とLEが無い対象者への「質 問紙0期用」の2種類を作成した。
1. 測定用具の内容 1)質問紙Ⅰ期~Ⅲ期用 (1) LEの病期
LEの病期はⅠ期・Ⅱa・Ⅱb・Ⅲ期の4段階を置いた。LE発症に気付いた時期は自由記 述方式をとった。患肢の部位は多重選択を、むくみに気付いた頃の変化は、はい・いいえ の二肢とその理由は自由記載を求めた。
(2)属性
BMIを算出するための身長・体重・養育や介護が必要な人数は自由記述方式を、婚姻状 況・教育歴・収入(年)・職業・既往歴は多重選択肢法を、重いものを持つ時の腕は左・右 の二肢選択とした。
(3)性格特性
タイプA行動パターン尺度
タイプA行動パターンの既存尺度は各種(宗像ら,1986;前田,1991;山崎,1992;瀬
戸ら,1997)あり、それらを用いた看護に関する研究は、看護師のタイプA行動とバーン
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アウトや抑うつモデルの構築(三上ら,2010;小野ら,2011)、看護職のストレスマネジメ ント(足立他,2005)、看護学生のタイプA行動とストレス反応(西川ら,2006;高見,2007)、 また心疾患患者の健康関連行動や心理的ストレス(小林ら,2004;河村ら,2006;常盤,
2010)、糖尿病患者の生活習慣(島村ら,2003、恒川ら,2008)などと多く報告されている。
心筋梗塞や糖尿病といった生活指導が重要な疾患を持つ患者への指導において、その患者 の性格特性としてのタイプA行動パターンの如何によって、指導方法を変えるなど多様な 看護が行われている。しかし、LE患者とタイプA行動について研究したものは見当たら なかった。
瀬戸ら(1997)の「日本的タイプ A 行動評定尺度(Coronary – Prone Type Scale for
Japanese;CTS)」は、既存の尺度に仕事中心主義、うつ病親和性性格などの構成概念を取
り入れて新たな尺度として開発したもので、Ⅰ敵意行動、Ⅱ完璧主義、Ⅲ日本ワーカホリ ックの大項目から成る。下位の小項目は30個あり、全く当てはまらない1~全くよく当て はまる6のリッカートスケールで評点される。信頼性(クロンバックα係数=.81~.85)・妥 当性がそれぞれ検証されている。
宗像他(1986)の「タイプA行動特性評定尺度」はルリードマンとローゼンマンが開発し た尺度を日本人用に改訂したもので7項目あり、④段階で評定し、「いつもそうである」「だ いたいそうである」を選んだ場合を1点、「ときどきそうである」「めったにそんなことは ない」を0点で加算し、合計4点以上をタイプA行動ありとするもので、信頼性はクロン バックα係数=.70であった。
山崎ら(1992)の「日本版成人用タイプA質問紙(KG式タイプ日常生活質問紙3号)」は、
米国のものを訳したものではなく、日本の成人に適した独自の項目で構成されているとこ ろに特徴がある。55 項目あり、信頼性(クロンバックα係数=.64~.74)で妥当性が検証さ れている。以上のことから、本研究では尺度としての信頼性が最も高い瀬戸ら(1997)の「日 本的タイプA行動評定尺度(Coronary – Prone Type Scale for Japanese;CTS)」を選択し、
項目は乱数表に従って並び変えた。尺度使用に当たっては著作権を有している神奈川大学 人間科学部 瀬戸正弘教授の使用許可を得た。
(4)治療内容
リンパ節郭清・放射線療法・化学療法・抗ホルモン剤・再発は、はい・いいえ・わから ないの二肢もしくは三肢選択を、患側・術式・補助療法・外来通院(フォローアップ)年は 多重選択法を、入院日数とむくみに気付いた時期は自由記述方式を、2回目の手術は手術
42 年月日と手術方法を自由記述方式で聞いた。
(5)術後合併症
術後処置としてドレーン留置(吸引)・採血・血圧測定・感染・創周囲の硬結・腫脹・創 離開・感覚障害・可動域制限(腕の動きにくさ)は、はい・いいえ・わからないの三肢選択 とし、痛みの程度はVisual Analog Scale;VAS:0~100を用いた。
(6)退院指導
退院時のLE説明と外来での指導は、はい・いいえの二肢選択とし、説明者と説明方法 については多重選択を、退院後外来での指導は、はい・いいえの二肢選択を置いた。
(7)通院状況
施設への時間や移動手段は多重選択を置いた。
(8)患肢への関心
多忙で患肢を気にしていなかった・左右を意識しないの項目は、1いつも~4しないの4 件法を、抗がん剤や放射線療法をしていないからリンパ浮腫にならないと思っていた・定 期健診を受けていたからリンパ浮腫にならない・仕事は少しだからリンパ浮腫にならな い・リンパ浮腫になることよりも仕事優先などの項目には、はい・いいえの二肢選択と化 学療法や放射線療法を受けていない場合も考慮し、「該当しない」の項目も置いた。
(9)活動レベル
身体を動かす・温泉につかる・アイロンがけ・魚をさばくなど当てはまる項目全てに○
をつけてもらい、その時間(頻度) を自由記載で求めた。
(10)季節と地域の仕事
盆正月の料理・大掃除・布団だし、子どもの行事(炊き出し・野球クラブなど)、雪片づ けなどは、当てはまる項目全てに○をつけ、その時間(頻度) を自由記載で求めた。
(11)悪化予防行動
ゆるい下着を着ける・弾性スリーブ着用・腋毛の処理方法・患肢での血圧測定・患肢で の採血・飛行機搭乗時の弾性スリーブ着用・切り傷の手当・むくみチェック・疲労時の休 憩・腕をさする・腕をもむ・患肢の挙上・体側を伸ばすなど項目を1:いつもする~4:し ないの4件法を置き、また悪化予防の工夫について自由記載を置いた。
上記の質問項目において、治療や退院時などの時期を明記していないものはむくんだ頃 を前提に聞き、(9)~(11)は現在の状況として聞いた。
2) 質問紙0期用
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上記2)-(1)の病期、(4)のむくみに気付いた時期を除いた。上記2)-(11)は発症予防とし て聞いた。
2. 表面妥当性の検討
質問紙の内容は、①術後乳がん患者のLE有(Ⅰ~Ⅲ期)・無(0期)の患者に当てはまるか、
②専門用語の有無、③誘導的な質問の有無などについて、LEセラピストと指導教授のス ーパーバイズを受けながら検討を繰り返した。
次にLE有2名・無1名に回答を依頼した(資料1:表面妥当性依頼書、資料2:表面妥 当性回答書)。平均所要時間は35分、質問の用語や文章表現の難しさについては「ほとん ど理解できた」、答え方については「分からなかったところはなく」、文字の大きさは「ち ょうどよい」とのことだった。
Ⅶ データ収集方法
1. データ収集の手順と方法 1)データ収集場所
データは東北および北海道で収集した。北海道・東北地域に限定した理由は、退院後の 生活状況がLE発症・悪化に関与していることが予測されるため、季節や地域の風習など の条件を揃えるためである。
2)施設への依頼手順
当該施設の看護部長と外来看護長に研究の主旨と方法などの文書を提示しながら説明し 内諾を得、次に当該施設の病院(施設)長に研究協力依頼文書(資料 3:研究協力依頼書
―セラピストのいる施設用、資料4:研究協力依頼書―セラピストのいない施設用)を提示 し、施設で研究を行うことの承諾書(資料5:承諾書―施設用)を文書で得た。
対象施設における医療職兼リンパ浮腫ケアセラピストの有無によってそれぞれの方法をと った。
(1)医療職兼リンパ浮腫ケアセラピストがいる施設
①施設の研究担当者
LE ケアセラピスト兼医療従事者には研究担当者として協力してもらうよう依頼をした。
協力の内容は、対象者の選択と質問紙の配布、対象者からのLEに関するケア方法や不安 などの対応である。また、対象者本人がLEはないと思っていても今回の調査による病期 判定で LEⅠ期以上であったことが分かった場合、状況に応じてセルフケア方法の指導や
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LEケア外来の紹介なども対応してもらうよう依頼し(資料6:研究協力依頼書)、同意書(資 料 7:研究協力同意書)を得た。説明時には研究担当断り書(資料 8:研究協力断り書) も 渡しいつでも断れるように配慮した。対象者選定や説明および配布方法の統一を図るため、
研究担当者用のガイド(資料9:研究協力者用ガイド) を渡した。
②配布方法
研究担当者が条件を満たした対象者に研究の説明をし同意が得られた場合、研究依頼書
(資料10:研究協力依頼書-患者用)・質問紙(資料11:質問紙Ⅰ期~Ⅲ期用もしくは資料 12:質問紙0期用) の一式を渡した。質問紙一式の中身は、研究協力依頼書、質問紙、切 手付返信用封筒、ボールペン 1 本である。対象者が自宅で質問紙に記入後、無記名で 10 日以内に投函してもらうようお願いし、質問紙の返送をもって研究への同意とした。
LEがある対象者には、LE 病期分類(Ⅰ~Ⅲ期)を判定し、質問紙の看護師記入欄の該 当する病期に○をつけてもらってから対象者に渡した。判定方法は、カルテからの情報も しくは実際に腕や手などを視診・触診し判定してもらった。
(2)LEセラピスト兼医療従事者がいない施設
①研究担当者
外科外来の看護師1名に研究担当者として協力を依頼した。説明と同意の手順は、上 記(1)-①医療職兼リンパ浮腫ケアセラピストがいる施設と同様に行った。
担当者としての内容は、対象者の選択と質問紙の答え方が分からなかった場合の対応である。
対象者からの心配や相談ごとがあった場合はその内容を研究者が聞き、対応できるように調整 した。
②配布方法
対象者の選択は、研究者が外来看護師と相談し行った。配布方法は研究者が上記(1)-② と同様に行った。
3)患者会への依頼手順
患者会の代表に研究の主旨・研究方法・対象者への説明方法などを記載した文書(資料 13:研究協力依頼書―患者会用)および質問紙を提示して協力をお願いし同意書(資料14: 同意書―患者会代表用)にサインを得た。
(1)配布方法
患者会の代表より研究の同意が得られた後に、研究の説明の日時、場所、方法を代表と 決め、指示された日時に研究者が研究対象者へ研究協力依頼をした。
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質問紙は、自宅に持ち帰って記入してもらい、10日以内に投函してもらうようお願いし、
投函をもって研究の同意とした。
対象者の事情でその場で代筆を依頼された、もしくは傍で説明をすることの依頼があっ た場合は状況に応じてできる範囲で研究者が代筆をした。
(2)病期判定
LEが無い方には質問紙0期用を、LEが有る方には病期判定後質問紙Ⅰ~Ⅲ期用を研究 者が判定し渡した。
(3)患者会の研究担当者
患者会の代表者に研究担当者を依頼(資料15:患者会研究担当者用依頼書)し、同意の際は 同意書(資料16:患者会研究担当者用同意書) にサインを得た。説明時には研究協力断り書 (資料17:患者会研究担当者用断り書)も渡した。依頼内容は、質問紙の答え方が分からなか った場合の対応である。対応の統一を図るため、研究担当者用のガイド(資料18:患者会研 究担当者用ガイド) を作成し渡した。また、質問紙に答えたことによるLEに関する心配や 相談ごとについては研究者に聞くように伝えてもらった。
2. 調査期間
平成25年10月~平成26年6月。
Ⅷ データの分析方法 1. 全変数の記述統計
度数、平均値、標準偏差、最小値、最大値、中央値等の単純集計を行い、概要を把握し た。自由記載は内容毎にまとめた。
2. 単変量解析
従属変数をLEの病期(0期を無群、Ⅰ期以上を有群)の2群とし、独立変数が有(1)・無(0) の2値もしくは順序尺度の場合はクロス集計(χ2検定もしくはFisher exact test)を、タイ プA行動パターン尺度(6件法)ならびに連続変数の場合は正規性を確認後、2群比較は独立 サンプルのt-testもしくはMann-Whitney U testを行い、3群比較はKruskal-Wallis検定も しくは一元配置分散分析を行った。
3. 多変量解析
従属変数はⅠ期=0、Ⅱa期以上を1の2値として、多重ロジスティック回帰分析を行っ た。多重ロジスティック回帰分析を行う事前準備(対馬,2009)として、①標本の大きさと