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患肢を気にしないこと

ドキュメント内 2015 年 1 月 9 日 (ページ 123-128)

第6章 考察

Ⅲ 患肢を気にしないこと

図7に発症予防として置いた“多忙でむくんだ側を気にしない(オッズ比0.5 倍)”があ る。多忙でむくんだ側を気にしないの「多忙」は各人の状況(程度)を示すので、ここでは

「むくんだ側を気にしない」という行動で考える。

むくんだ側を気にしないのはLE有44.1%、LE無56.5%で、Ⅰ期38.9%とⅡa期以上 47.4%であり双方とも有意差はなかった。この項目は予備調査で<左右を意識しないで仕 事する><むくみより仕事を優先する>のカテゴリーを参考にしたものだった。患肢を気に せず一生懸命仕事をすることがむくんだ側の負荷になり、発症につながると予測したから である。しかし発症要因の多重ロジスティック回帰分析からの回帰係数はマイナスを示し、

予防に向いていることが示された。腕が動きにくいことや可動域制限がある場合も発症要 因であったように、患肢を気にして腕を動かさないことの方がむしろ発症につながると解 釈した。リンパ管は集合リンパ管レベルで平滑筋があるため、皮下直下の毛細リンパ管で はリンパ管自体の自動収縮運動はない。腕を動かすことによる筋肉運動・血管の拍動・横 隔膜の動きが毛細リンパ管を押し、うっ滞したリンパ液の流れが促進されることになる。

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LE 有(n=93)の中で、発症時に患肢を気にしていられなかったと答えたのは、44.1%だっ た。仕事も休まず真面目に頑張り、盆正月には60%の方が料理や大掃除をしている。その ような真面目さ・日本的気質が発症の要因になるのではないかと考え、タイプA行動パタ ーン尺度を用いて比較した(表 3、11、23)。しかし、どの比較からも有意な差は示されな かった。数字を概観する限りでは、表 23 において合計と敵意行動そして完璧主義はⅡa 期以上が最も高く、日本的ワーカホリックも2番目に高かった。むくんではいてもきちん とやろうとする傾向があることは考えられた。予備調査で<真面目に働く>というコードが 得られていたため、仕事時間が長い人は何らかの特徴が出るかと予測し、勤務時間毎に分 析すると(表23)、有意差はないもののⅡa期以上で点数が高い傾向があった。尺度開発の 平均値(瀬戸,1997)と比較すると、虚血性心疾患患者(n=13)の場合、敵意30.62(SD5.12)、 完璧主義42.62(SD5.80)、日本的ワーカホリック38.92(SD5.63)で、一般管理職(n=148)の 場合、敵意29.91(SD7.32)、完璧主義41.73(SD6.59)、日本的ワーカホリック40.10(SD6.56) であった、一般女性(n=296)の場合、敵意28.14(SD7.49)、完璧主義38.31(SD6.76)、日本 的ワーカホリック 35.63(SD7.73)であった。一般女性の日本的ワーカホリックを除き全て の平均点は、尺度開発のそれよりも低かった。つまり、対象者n=318人の敵意行動は一般 女性の平均より低く、完璧主義ということでもなく、日本的ワーカホリックとされる気質 でもない。このような特徴がある術後患者で、多忙であっても患肢を気にしない人たちが LEを発症せずにいる。その数がLE無群中127人(56.5%)なのであり、発症のなりにくさ としてのオッズ比0.5倍がでたと読み取った。この結果が示すことは、患肢を気にせずに どんどん動くことを推奨しているのではない。0 期の人たちが発症せずにいる現状を表し ているのであると考える。

このことから、「活動レベルはこれくらいで抑えること、感染予防として虫に刺されない ように、疲れたら休むように…」と言う具体的な指導はもとより、個人差はあるが患肢を いつまでも気にしていない方がいいという気持ちの持ちようを伝えることも予防に寄与す ることにつながると考える。痛みや引きつれが原因で動かずにいることやずっと乳がんで あることを気にして悩む患者も多い。痛みの緩和やリハビリを少しずつ進め、過度に神経 質にならないようにしていくことも発症予防の1つでなるのではないかと考える。

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手術時の年齢日本的タ行動ーア術後処置退院時L指導施設への時間患肢を気に0 発症時のB評定尺度入院日数留置(吸引)誰が交通手段多忙で患肢を気にⅠ期 頃の変化下位項目:術式術後創部合併症内容左右を意識しa期 職業敵意行動患肢:左・右・両側感染方法みよ仕事優先b期 勤務時間完璧主義腋窩リパ節郭清硬結外来指導LEいというⅢ期 仕事再開時期日本的ワンチンパ腫脹補助療法をから 仕事再開理由生検離開定期健診受けから 婚姻状況放射線療法感覚障害1年間なかっから 養育・介護が必要な人数化学療法痛み仕事は3-4時間だから 教育歴補助療法の順番可動域制限 収入抗ホルモ 重い物を持つ側の腕再発の有無 他疾患(既往歴) 図7 研究のサブから見るLE発症・悪化予防に関連す変数発症悪化発症と悪化予防

術後乳がん患者 (LE0)

2退院後の状況 LE未発症・ 発症ま 悪化 属性治療方法 名義尺度 比尺度 順序尺度

病期患肢への 関心

性格特性 間隔尺度

退院指導 名義尺度 順序尺度

名義尺度名義尺度 間隔尺度名義尺度 順序尺度

1乳がんの治療 術後合併症通院状況 名義尺度 順序尺度

名義尺度 順序尺度

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Ⅰ期 a期 b期 Ⅲ期 (オ;p<0.05) 図8  Eの発症・悪化予防に関す

術後乳がん患者LE 発症・発 たは 悪化 治療・処置 ①入院日数:24日以上 4-5 ③術式:全摘・部分切除・セパ節生検 ④腋窩リパ節郭清(ッズ12) ーン

患肢への関心 患肢を気に (ッズ0.5) LE指導 非効果的退院後外来指導

1乳がんの治療 術後合併症 ①蜂窩織炎 (ッズ7) ②手術し側が動き (1.1) 属性 発症時のBMI 25 (1.5)

術後合併症 蜂窩織炎 (31)

属性 頃の変化 (ッズ2倍:)

2退院後の生活状況 治療 ーン 放射線療法

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→関連し行動が予防に関連し 図 9 リスクファクターと日常生活行動の関連

術後乳がん患者 属性:む頃の変化(オッ2) ②発症時のBMI25(オッ1.5) 乳がんの治療 ・治療方法:③入院日数24日以上 ロー4-5 ⑤術式 ⑥腋窩リパ節郭清 ⑦放射線療法 ⑧ド留置 ・術後合併 ⑨蜂窩織炎(オッ7) ⑩蜂窩織炎(オッ31) 患肢の可動域制限 (オッ1.1) ・退院指導非効果的な退院後外来指導 退院後の状況 患肢への関心患肢を気に (オッ0.5)

LEの病期0~Ⅲ期〉リスクファクター日常生活行動 発症予防行動(LEの有無で比較) 3)患肢で血圧測定す 4)患肢での血圧測定の頻度 5)患肢で採血を

LEの病期0~Ⅲ期〉 LE無:0LE:Ⅰ期 LE:Ⅱa期以上

日常生活行動 発症予防行動(LEの有無で比較) 1)浮腫のチ 悪化予防行動 期とa期以上 比較) 2)腋毛処理に 電気カ使用 る頻

活動レル(LEの有無で比較) 6)肩も 7)荷物移動;床から棚へ 8)盆・正月の大掃除時間 季節と地域の行事(期とa期以上) 9)編み物 10)雑巾がけ 11)盆・正月の料理 悪化予防行動(期とa期以上) 12)患肢で血圧測定す頻度

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Ⅳ. 研究の限界と今後の課題

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