第3章 食肉の栄養と健康
ビタミンB 1 が豊富な豚肉 48/注目したいビ
5. 流通プロセスの安全性
2003年に食品安全基本法が成立して、内閣府に食品安全委員会が設立 されるなど、消費者の視点に立った食品行政の整備が急ピッチで進んで います。食肉の分野でも、BSE問題を契機にしてトレーサビリティの考 えに基づいた安全対策の強化をめざしています。このシステムで、問題 のある食肉パックが出た場合に、同じ、または同じロットの枝肉から製 造された肉だけを迅速に回収することができ、食中毒などの発生原因の 解明やきめ細かい衛生上の予防対策を図ることができます。
食肉流通センター(加工場)の安全性確保
と畜場から出荷された枝肉は、主に食肉流通センター(加工場)に運 ばれます。流通センターでは、枝肉をカット、骨抜きし、部分肉に加工 してスーパーマーケットや小売店、飲食店などに出荷し、副生物や副産 品も処理・加工しています。
食肉の安全性確保には、あまり移動せずに遅くても3日以内に加工す ることが望まれます。このため食肉流通センターは、と畜場に隣接(併 設)されています。
加工する枝肉は、生体を冷却してから0℃の冷蔵庫で一晩保管され、
低温管理された環境でコンベアで移動しながら加工されます。食肉流通
通 関 業者
輸 入 者
貨 物到 着
書類審査
不 合 格 合
格 検
査不 要
命 令検 査 依頼
通 関 積み戻し、廃棄 行
政 検査
︵ モ ニ タ リ ン グ 検 査
︶
行 政 検査
︵ モ ニ タ リ ン グ 検 査
︶ 食品等輸入届出書の受付
食品輸入届出書 衛生証明書 自主検査済成績書等
輸 入 食 品相 談 室 にお け る 相談
︵ 食 肉 の場 合 は 輸出 国 の 政府 が そ の 安全 性 を 証明 す る
︶ 図4-6 食品の輸入手続き
の基準温度である10℃に保たれている工場では、細菌の増殖を抑えると ともに、加工器具だけでなく、作業従事者にも徹底した衛生管理を行い 汚染を少なくしています。また、センターでは、独自の細菌検査や金属 探知機などによる異物チェックも行われています。
腸管出血性大腸菌O−157問題以来、衛生データの提出を求める店が 増えていますが、食肉の生産と流通の中核的施設に位置づけられている 食肉流通センターの安全性チェックは、危害となりうる可能性をひとつ ひとつ取り出し、それをひとつひとつ監視していくHACCP方式による 衛生管理に重点が置かれています。
鶏肉の流通と安全性確保
市場流通がほとんどなく、生産・加工・販売を一括して行っているイ ンテグレーターが管理する鶏肉では、平成4年に施行された「食鳥処理 の事業の規制及び食鳥検査に関する法律」に基づいた安全性確保が行な われています。この法律の柱は、食鳥検査と処理施設の微生物汚染コン トロールです。
食鳥処理事業を行うには都道府県知事の許可が必要で、厚生労働省の 定めた施設基準や衛生基準を守ることが明記され、食鳥検査では生体検 査、解体処理された後の脱羽後検査、内臓摘出後検査が、獣医師である 食鳥検査員によって行われています。
表4-2 食肉および食肉製品等の分類 (食品衛生法に基づく見解)
区
分 食 肉 食 肉 製 品
ハム・ソーセージ・ベーコン・その他これらに類するもの 食肉ハム・食肉ソーセージ・食肉ベーコン・食肉コーンビーフ その他食肉製品
食肉を含む加工品
(総菜)
食肉 食肉 半製品
総菜
半製品 総菜 鳥獣の生
肉で骨及 び内臓も 含まれる
食肉の含 有率が 50%以上 の半製品
食肉ハム 食肉ソーセージ 食肉 ベーコン
食肉
コーンビーフ 焙焼肉 乾燥肉
食肉を 50%以上 含む製品
食肉含有率 50%未満の 半製品
食肉含有 率50%未 満の製品 枝肉
カット肉 スライス肉 挽肉 等
生
(未加熱)
食肉処理業 総菜製品製造業
食肉加工品 生
(未加熱)
表面加熱
加熱 非加熱
(半乾燥) 加熱 乾燥 加熱 乾燥 加熱
生
(未加熱)
表面加熱 加熱 生ハンバーグ
生ウィンナー 味付け生肉
(焼き肉)
ローストビーフ 生とんカツ 等
ロースハム ボンレスハム プレスハム チョップドハム 等
ラックス ハム 生ハム等
ウィンナー フランク ボロニア リオナ ローフ
等 ドライ ソーセージ サラミ ソーセージ
ベーコン ロース
ベーコン ショルダー ベーコン 等
コーンビーフ プレス コーンビーフ
等
ロースト ポーク 焼き豚 ロースト ビーフ等
ビーフ ジャーキー ポーク
ジャーキー 干し肉 等
ハンバーグ ミートボール メンチカツ ナゲット等
生シューマイ 生餃子 生コロッケ 生春巻き
等
ハンバーグ ミートボール コロッケ 春巻き
等 定
義
製 品 例
加 熱 調 理
許 可
食肉製品製造業
小売店・量販店の安全性確保
食肉の安全性を保つには、細菌の増殖を抑えるために低温を保ったま まの流通と管理がもっとも重要です。このため、冷凍肉はマイナス15℃
以下、生鮮肉は0℃〜5℃以下の状態で流通・管理されています。最近 では、各プロセスを連続してで温度管理する「コールドチェーン」とい うシステムが導入されています。
これらの製品を輸送する冷蔵車は、製品が外気にふれないように設計 され、小売店に搬入された部分肉は速やかに冷蔵庫に保管されます。部 分肉をスライスしてパックする作業所でも、肉内の温度は0℃を保たれ、
作業中の食肉の温度は4℃を超えない範囲で進められます。
肉内の温度が上がると、作業の途中でもすぐに冷蔵し再び0℃に戻し ます。これは、いったん肉の温度が上がると、細菌などの増殖の危険が あることや、解凍肉から肉汁(ドリップ)が浸出して変色したりして品 質を落とすことになるからです。
作業する部屋も10℃以下に管理され、移動も冷蔵庫内で行われるなど 食肉の低温管理は徹底していますが、店頭の温度管理も重要です。ショ ーケースも、細菌の増殖が始まる10℃を超えないように管理される必要 があります。一般に細菌は10℃を超えると増殖が活発になり、その種類 によっては50℃ぐらいまで増え続けるものもあります。細菌の増殖にも っとも適した温度(増殖至適温度)は、人間の体温に相当する37℃前後 です。このため、加工現場では、トレイや手袋を使うなど直接、食肉に 手を触れないように注意が払われています。
安全性の仕上げは消費者
生産者から小売店までの安全性が保たれていても、消費者の衛生管理 に手落ちがあれば、食中毒などで家族の健康を損ないかねません。食肉 の安全確保の最後の仕上げは、消費者の手に委ねられているのです。
表4-3 食肉の期限表示基準
原料畜種 保存温度 包装形態 原産国 品質保存期間(日)
牛肉
豚肉
鶏肉
0℃
−15℃
0℃
−15℃
0℃
−15℃
真空包装 包装形態不問
簡易包装 真空包装 包装形態不問
真空包装 包装形態不問
日本 アメリカ オーストラリア
すべての国 日本 日本 アメリカ
カナダ すべての国
日本 すべての国
45 62 77 24(か月)
7 14 40 40 24(か月)
10 24(か月)
生活情報シリーズ⑱
食肉の知識
平成16年2月20日第1刷発行
定価1,000円 送料240円
………
協 力 財団法人 日本食肉消費総合センター 〒107-0052 東京都港区赤坂6-13-16
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TEL(03)3584-0291 FAX(03)3584-6865 ホームページ http://www.jmi.or.jp 落丁本、乱丁本はお取替えいたします。 ○C㈱ 恒信社 2004
褐毛和種(雄)熊本系 褐毛和種(雌)
日本短角種(雌) 国産の肉用種 日本短角種(雌)
黒毛和種(雌) ホワイトコーニッシュ種 イギリス原産
大ヨークシャー種(雄)イギリス原産 ランドレース種(雌)デンマーク原産
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