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学童期・思春期・青年期の食生活の課題

ドキュメント内 食肉の知識 (ページ 36-48)

第3章  食肉の栄養と健康

1. 学童期・思春期・青年期の食生活の課題

基礎代謝がもっとも活発な時期の栄養

乳児期についで成長が著しい思春期に至るまでの子どもの栄養は、成 長に決定的な影響を及ぼします。

育ち盛りの小学生や中学生は大人と異なり、伸びる身長や増加する体 重に見合うエネルギーが必要です。安静時に体内の器官や組織、細胞の 生命維持のために必要な基礎代謝量を見ると、年齢とともに増加し、女 子は12〜14歳、男子は15〜17歳でピークを迎え、人生の中で最大になり ます。

動物性たんぱく質に豊富な必須アミノ酸 体が大きくなる学童期には、

筋肉や骨が成長し、内臓も発達します。これらの器官の主要成分はたん ぱく質ですから、子どもにとって何よりも大切なのは良質のたんぱく質 を多く摂取することです。

とくに、体内で合成できない必須アミノ酸は重要です。このアミノ酸 を多量に、しかもバランスよく含んでいる動物性たんぱく質は、成長期 の子どもにはとても大切な食材です。このため、摂取する総たんぱく質

基礎代謝量は男女とも十代でピークを迎え、骨や内臓も発達する。よく動きよく食べなければならない時期だ。

の40〜50%は、肉や魚、乳製品から摂るなど、動物性たんぱく質をしっ かり与えなければなりません。

子どもの肥満とカロリー摂取 最近子どもの肥満が問題となり、その原 因に脂肪の過剰摂取があげられることがあります。

確かに脂肪のエネルギー比は増加していますが、エネルギーの総摂取 量が減少しているので、脂肪の摂取量は毎年1グラム以下しか増えてい ません。また、学童期のコレステロール値の上昇も問題にされるが、子 どものコレステロール値は、成長や性成熟度などが複雑に関係している ので、成長期の栄養尺度にはならないのです。成長期の子どもに大切な のは、食事を制限してカロリーを制限するのでなく、体を動かして消費 カロリーを増やすことです。むしろ心配なのは、小学校4〜6年生の女 子69.2%、男子の44.6%が「やせたい」と考えているように、子どもの

「やせ」願望が強まっていることでしょう。

肉は良質のたんぱく質が多く、鉄分の供給源としても重要で、成長期 の子どもにふさわしい食品といわれています。

脂質はいろいろな食品から摂る 体重が増加する時期には、体ができあ がっている大人よりエネルギーの必要量が多くなります。消化器官に過 度の負担をかけずにエネルギーをとるには、カロリーの高い脂質が有効 です。このため第6次改訂の「日本人の栄養所要量」では、成人の総エ ネルギーに対する脂肪摂取割合は20〜25%が望ましいとしていますが、

1〜17歳では25〜30%を適正比率としています。

1〜2 3〜5 6〜8 9〜11 12〜14 15〜17 18〜29 30〜49 50〜69 70以上

083.6 102.3 121.9 139.0 158.3 169.3 171.3 169.1 163.9 159.4

11.5 16.4 24.6 34.6 47.9 59.8 64.7 67.0 62.5 56.7

61.0 54.8 44.3 37.4 31.0 27.0 24.0 22.3 21.5 21.5

0700 0900 1,090 1,290 1,480 1,610 1,550 1,500 1,350 1,250 年齢

(歳)

身長

(cm)

基準体位 男 体重

(kg)

基礎代謝 基準値

(kcal/kg/日)

基礎代謝量

(kcal/日)

083.6 102.3 120.8 038.4 153.4 157.8 158.1 156.0 151.4 145.6

11.5 16.4 23.9 33.8 45.3 51.4 51.2 54.2 53.8 48.7

59.7 52.2 41.9 34.8 29.6 25.3 23.6 21.7 20.7 20.7

0700 0900 1,000 1,180 1,340 1,300 1,210 1,170 1,110 1,010 身長

(cm)

基準体位 女 体重

(kg)

基礎代謝 基準値

(kcal/kg/日)

基礎代謝量

(kcal/日)

第6次改定日本人の栄養所要量

0〜(月)

6〜(月)

1〜17 18〜69 70以上

45 30〜40 25〜30 20〜25 20〜25 妊婦、授乳婦 20〜30

年齢

(歳)

脂肪エネルギー比率

(歳)

第6次改定日本人の栄養所要量 1.飽和脂肪酸(S)、一価不飽和脂肪酸(M)、

多価不飽和脂肪酸(P)望ましい摂取割合は概ね 3を目安とする。

2.n−6系多価不飽和脂肪酸とn−3系多価不飽 和脂肪酸の比は、健康人では41を目安とする。

表3-1 性・年齢階層別基礎代謝基準値と基礎代謝量 表3-2 脂質所要量

子どもの生活習慣病を予防する食習慣 脂肪に限らず、いろいろな食品から栄 養を摂ることが大事だが、だからとい って無理強いはよくない。子どもの味 覚は大人よりもセンシティブなので、

香りの強いものや苦いものを強制する と、かえって好き嫌いを増やしてしま うことがある。また、スナック菓子や 清涼飲料水ばかりでは、糖質が過剰に なる一方で糖代謝に不可欠なビタミン Bなどのビタミンやミネラルが不足 し、1日20gが必要とされる食物繊維 も摂ることができない。

1日に3食しっかり食べて、間食を しないなどの食習慣をつけて、体を動 かす生活を送らないと、生活習慣病を さけることは難しい。

食事から摂る脂質の90%を占めている脂肪酸は、食品によって含まれ ている種類が違い、性質や働きが異なるので、いろいろな食品から摂る ようにしなければなりません。畜産物と植物、魚の脂肪酸摂取比率を 4:5:1とすることが目安とされています。

栄養不足が心配される思春期・青年期

食べることに興味を示さず、やせることを考えている現代の若者の多 くは、身長に見合った体重の意味を理解していません。過度なダイエッ ト志向は、月経が始まる思春期の女子を中心にして、健康に深刻な悪影 響を与えています。

深刻な若い女性の栄養不足 健康な身体には、身長に見合った体重が必 要です。見た目のスリムさを求める「やせ願望」によって、いろいろな 弊害が現れています。

体重の極端な減少は、脂肪だけでなく筋肉や内臓の結合組織も減らし てしまうことが多く、臓器に悪影響を及ぼします。また、食事を減らす

酢酸 酪酸 カプロン酸 カプリル酸 カプリン酸 ラウリン酸 ミリスチン酸 パルミチン酸 ステアリン酸 アラキジン酸 ベヘン酸 リグノセリン酸

パーム核、やし油、鯨ろう、桂皮、月桂樹 パーム核、やし油、ニクズク、テンニンカ 動物、植物脂肪に広く存在

落花生油 種子

セレプロシド、落花生油 C02:0

C04:0 C06:0 C08:0 C10:0 C12:0 C14:0 C16:0 C18:0 C20:0 C22:0 C24:0

リノール酸 γ−リノレン酸 α−リノレン酸

ジホモ−γ−リノレン酸 アラキドン酸

エイコサペンタエン酸 ドコサヘキサエン酸

とうもろこし、綿実、大豆など多くの植物油 月見草

魚油

魚油、脳のリン脂質 C18:2

C18:3 C18:3 C20:3 C20:4 C20:5 C22:6 パルミトオレイン酸

オレイン酸 エライジン酸 パクセン酸 エルカ酸

ほとんどすべての脂肪に存在 天然脂肪のうち最も一般的な脂肪酸 水素添加した脂肪、反芻動物の脂肪 細菌により合成される

なたね、からしな油 C16:1

C18:1 C18:1 C18:1 C22:1

バター、その他多くの脂肪や植物油に 少量存在

リノール酸と共存して植物油に存在、

特に亜麻仁油

リノール酸と共存、特に落花生油、動 物では主要なリン脂質の成分

バターなどに少量含まれる 反芻動物第一胃に常在する 微生物の発酵産物の一つ

表3-3 脂肪酸の種類 食品としての脂肪は、その主成分で

ある脂肪酸が注目される。脂肪酸には いろいろな種類があり、それぞれ特徴 があるのでバランスよく摂取したい。

(P.44「脂肪酸をバランスよく摂る」

参照)

ことで栄養不足に陥り、特に鉄やカルシウムなどのミネラル類やビタミ ンBやBなどの、不足しがちな栄養素を補給できなくなります。とく に、若い女性の貧血とカルシウム不足は深刻な問題です。

10代、20代の女性は2割以上が「やせ」 肥満を判定する指標にBMI

(Body  Mass  Index)があります。BMIは体重(kg)を身長(m)の2 乗で割った数字で25以上が肥満、22を標準、20未満を「やせ気味」、

18.5未満を「やせ」と判定します。

『国民栄養調査結果』(平成15年12月発表)という政府の調査では、女 性では20代から50代までの幅広い層で「やせ」が増え、特に20〜29歳と

図3-2 年齢と骨量の変化

0 20 40 60 80

(年齢)

骨量 初潮

閉経後の 骨量減少

(年齢)

(年齢)

男性

女性 図3-1 小学生(4〜6年生)がやせるために気をつけていることは

おなかいっぱい食べない 甘いものをあまり食べない 脂っこいものをあまり食べない おやつをあまり食べない 運動をたくさんする おふろに長く入って汗を出す

25.9 女子

40.3 41.3

42.0

60.6 40.0

17.5 男子 34.5 29.5

34.0

62.6 36.6

江澤郁子の調査より 深谷和子(東京成徳大学教授)の調査(平成13年)より

子どもの極端な「やせ」願望が健康に 悪影響をおよぼしている。すでに小学 校高学年の女子の4分の1が食事を抑 制している。

女性は35歳ぐらいから骨量の減少がは じまる。閉経後には減少が著しくなっ て骨粗しょう症になるケースが増え る。予防策の一つは、若い時に骨量を 増やしておくこと。

30〜39歳では20年前と比べ、2.0倍になっています。10代、20代の女性 のBMIは20をわずかに超えるくらい。20歳から29歳までの女性の26%、

30歳代でも15.1%が「やせ」に分類されています。身長に関係なく40kg 台を維持したいという願望がほとんどを占めています。

将来の健康に及ぼす悪影響 この年代は、女性ホルモンの影響もあって、

妊娠・出産に備えてエネルギーをストックするので体型はふっくらする 時期です。それなのに、太らずにお腹がいっぱいになるものを食べ、足 りない分をサプリメントで補うような食習慣を続けると、エネルギーだ けでなく鉄やカルシウムも不足します。サプリメントで単独に特定の栄 養素を補給しようとしても、食事から摂るたんぱく質やビタミンC、銅 や葉酸などの微量栄養素が不足すれば、成長期に起きやすい貧血予防に はなりません。

とくに骨に及ぼす影響は深刻です。女子は17歳くらいになると思春期 を象徴する身長の伸びは止まりますが、骨は35歳くらいまでは成長し、

骨量は30歳を超したあたりで最大となります。背が伸びなくなったから といっていい加減な食事をしていると、閉経後すぐに骨粗鬆症になるな ど、老化現象が速まることになります。

朝昼晩の三食の食べ物が体を作っていることを理解して、一定量のエ ネルギーとたんぱく質、鉄やカルシウム、ビタミン類もバランスよくと ることを忘れないことが大事です。とくに、ヘム鉄を多く含んでいるだ けでなく、体内の鉄利用効率を高め、ひじきやホウレンソウに含まれて いる非ヘム鉄の利用効率も高めてくれる動物性たんぱく質はお勧めで す。

図3-3 鉄の摂取量と摂取基準量との比較(女)

「平成14年国民栄養調査」と「第6次日本人の栄養所要量」より 妊婦・授乳婦は右の摂取基準にそれぞ

れ8㎎を加える。鉄分が不足すると鉄 欠乏性貧血になるほか、運動能力や免 疫力の低下、体温調節不全などをもた らすことがある。

鉄摂取量 鉄摂取基準

1〜6歳 4.9㎎

7〜14 6.9 15〜19 7.1 20〜29 7.0 30〜39 7.2 40〜49 7.8 50〜59 8.7 60〜69 9.0

1〜2歳 7㎎

3〜5 8

6〜8 9

9〜11 10

12〜14 12 15〜17 12 18〜29 12 30〜49 12 50〜69 12

70〜11 8.1 70〜11 10

ドキュメント内 食肉の知識 (ページ 36-48)

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