第4章 遺構と遺物
第1節 江戸時代の遺構と遺物
1 土坑 (1) SK1
遺構 調査区の南東側で検出した。平面形は楕円形で、長軸1.15m、短軸0.58m、深さ0.12mであ る。埋土は1層で、埋土中から出土した遺物の大半は動物遺存体であった。
遺物 1は18世紀末から19世紀にかけての砥部焼の広東碗である。外面には梅文が入り、梅花部
分は赤色の色絵で描かれている。2は瓦の部品である。瓦のどの部分かは特定できていない。ま た、今回、図化していないものに、肥前系磁器の端反碗があり、SK18出土のものと接合する。
(2) SK2
遺構 調査区の西側で検出した。平面形は円形で、長軸0.91m、短軸0.93m、深さ0.21mである。
埋土は1層で、埋土中には10㎝程度の円礫が多く混入していた。
遺物 3は京・信楽系の陶器で、色絵の碗である。
(3) SK3
遺構 調査区西側で検出した。平面形は隅丸方形で、長軸1.04m、短軸0.63m、深さ0.24mであ る。埋土中はその大半が10〜20㎝程度の円礫で構成されており、側面には平瓦が短軸方向を垂直 にして据えつけてあった。遺構内の円礫は検出面の東側では規則的に配列されているように見え たが、断面と平面で確認しながら円礫を除去していったところ、底面では円礫が規則的に配列さ れている状況が伺えなかった。また、据えられた瓦は部分的であることも付加すると、埋土内の 円礫は原位置を保っていないと考えられる。遺物は包含されていなかった。
(4) SK4
遺構 調査区西側で検出した。平面形は隅丸方形に近い楕円形で、長軸1.24m、短軸0.92m、深
さ0.18mである。埋土内は10〜20㎝程度の円礫と陶磁器片、土器片、瓦片で構成されていた。
遺物 4は肥前系磁器の端反碗で、19世紀代のものである。5は肥前系磁器の瓶で、外面には草花
文が入る。6は陶器の破片で、黄色と緑色の色彩が施されている。7は筒状の陶器碗で、外面には 施釉がされている。底部高台内には墨書があるが、文字の判別はできなかった。8は瓦質の土器 で、外面にはミガキが施されている。
(5) SK5
遺構 調査区のほぼ中央部で検出した。平面形は楕円形で、残存部分の長軸0.92m、短軸0.76
m、深さ0.19mである。
遺物 図化はしていないが、碗類など陶磁器片が出土した。
(6) SK6
遺構 調査区南側で検出した。平面形は不整円形で、長軸2.55m、短軸1.95m、深さ0.11mであ
X=102160.000
X=102155.000
X=102150.000
X=102145.000
Y=-29675.000 Y=-29670.000 Y=-29665.000
近代以降の井戸 Tr.1
撹乱
撹乱 撹乱
撹乱 SP5
SP4 SP2
SP1
SK13 SK34
SK28
SK20 SK19
SK18
SK17 SK16
SK15
SK14
SK12
SK11
SK10
SK9
SK8
SK7
SK6
SK5
SK4 SK3
SK2
SK1 SE1
礎石
図8 遺構配置1
石列
… 漆喰範囲
… 江戸期以外の遺構・トレンチ・撹乱
… 礎石・その他の石材の位置
N
図10 SK5平面・断面
0 1m
1 : 40 N
撹乱
a'
a
a T.P.+2.0m a'
1
層名1 色 調 暗オリーブ Munsell
5Y4/4 土 質 砂 シ ル ト 粘性
弱 緊密度
密 備 考
瓦片をまばらに含む
撹乱
SK5
1
2
3
4
5
7
8
6
図9 SK1・SK2・SK4出土遺物
5cm 0
1 : 3
る。SK14に切られている。SK6の底面は礫層(基本層序;第Ⅸ層)で、比較的平坦な底面であっ た。
遺物 9は京・信楽系の合子である。
(7) SK7
遺構 調査区南側で検出した。平面形は楕円形で、長軸1.81m、短軸1.31m、深さ0.75mである。
SK14に切られている。SK6との前後関係は不明である。南半部分が一段深くなっており、埋土内 からは平瓦が出土した。
遺物 10は19世紀代の肥前系の端反碗である。口縁部外面には二重圏線で囲まれた櫛歯文が入
り、胴部には草花文が描かれている。口縁部内面には口縁部外面と同様の文様が入り、見込みに は圏線で囲まれた中央部に文様が入る。高台は撥高台である。11は肥前系磁器の紅猪口で、内面 は施釉されている。外面は貝殻状に型押されている。12は京・信楽系陶器の小杯で底部は施釉さ
図11 SK6・SK7・SK14平面・断面
0 1m
1 : 40 N
SK7 SK14
SK6
T.P.+2.0m
b b'
4 2 3
T.P.+2.0m
a a'
2 1 3 4
5
層名1 23 45
灰オリーブ色 調
黄 褐
オリーブ褐
黒 褐
オリーブ褐 Munsell 5Y5/3 2.5Y5/3 2.5Y4/3 10YR2/2 2.5Y4/3
砂 シ土 質ル ト 砂 シ ル ト 砂 シ ル ト
細 砂
砂 シ ル ト 粘性弱
弱弱 中弱
緊密度密 やや密密 密密
備 考 10cm大の円礫・瓦片含む 炭化物含む 1~2cm大の円礫含む 瓦・遺物あり 10cm大の円礫含む b'
b
a'
a
SP4
撹乱
れていない。13は軒丸瓦で、瓦当には巴紋が表現されている。14は鉄製品である。
(8) SK8
遺構 調査区中央部西側で検出した。平面形は楕円形で、長軸1.05m、短軸0.73m、深さ0.04mで ある。掘り方は断面で確認したものの、深度は浅く、底面は平坦であり、遺構としての性格は不 明である。遺物は包含していなかった。
(9) SK9
遺構 調査区中央部西側で検出した。平面形は楕円形で、長軸0.98m、短軸0.91m、深さ0.06mで ある。SK8同様に深度は浅く、底面は平坦である。遺物は包含していなかった。
(10) SK10
遺構 調査区のほぼ中央部で検出した。平面形は楕円形で、残存部分の長軸1.51m、短軸0.98
m、深さ0.21mである。
遺物 陶磁器や瓦片が出土したが、図化は行わなかった。
(11) SK11
遺構 調査区の南半部南西側で検出した。平面形は不整円形で、長軸3.41m、短軸2.44m、深さ
0.18mである。深度は浅く、底面は平坦である。切り合い関係から、SK18よりも新しい。
遺物 図化はしていないが、土師質の土器が出土した。
(12) SK12
遺構 調査区の南半部東側で検出した。平面形は不整円形で、長3.09m、短軸2.36m、深さ0.10m である。深度は浅く、底面のレベルが整地層とほぼ変わらず、底面は平坦である。遺構の性格は 不明である。
遺物 図化はしていないが、陶磁器類、鉄製品が出土した。
図12 SK8・SK9平面・断面図
0 1m
1 : 40 N
SK9
SK8
a'
a
T.P.+2.2m
a a'
1 2
層名1 色 調 オ リ ー ブ Munsell
5Y5/4 土 質 砂 シ ル ト粘性
弱 緊密度
密 備 考
2cm~4cmの円礫を含む 層名2 色 調
オ リ ー ブ Munsell 5Y5/6 土 質
砂 シ ル ト粘性 弱 緊密度
密 備 考
2cm~4cmの円礫を含む
(13) SK13
遺構 調査区の南半部東側で検出した。平面形は不整円形で、長軸4.19m、短軸2.26m、深さ0.12 mである。深度は浅く、底面は平坦である。底面には瓦片が不規則ではあるが、面を平坦に揃え て敷いてあった。瓦片の底面のレベルは1.76mから1.84mの高さでみられる整地面とほぼ揃って おり、SK13は整地の単位の一つの可能性も考えられる。
遺物 15は磁器で、菊花文の中心部に内面に貫通する孔があけられており、水滴の可能性も考え
られる。
(14) SK14
遺構 調査区南側で検出した。平面形は楕円形で、長軸1.50m、短軸0.75m、深さ0.15mである。
SK6とSK7を切るように掘り込まれている。
遺物 16は軒丸瓦の瓦当部分である。
(15) SK15
遺構 調査区のほぼ中央部で検出した。平面形は楕円形に近い不整円形で、長軸4.14m、短軸
2.03m、深さ0.21mである。
遺物 17は18世紀末から19世紀にかけての肥前系の小広東碗である。外面には網目文、高台部分
には二重圏線が入る。口縁部内面には二重圏線が入り、見込みには圏線、その中央部に「寿」字 文が入る。18は軟質施釉陶器で、源内焼と思われる。腰部に雷文が入る。19は秉燭である。20は 土師質の鉢である。21は鳥形の土製品である。22は大形の甕である。口縁部直下には貼り付けの 文様帯がある。
図13 SK10平面・断面
0 1m
1 : 40 N
撹乱
T.P.+2.0m
a a'
1
層名1 色 調 オ リ ー ブ Munsell
5Y5/4 土 質
細 砂粘性
弱 緊密度
密 備 考
10cm以下の礫あり
a'
a
SK10
15
16 9
10
11
13 14
5cm 0
1 : 3
図14 SK6・SK7・SK13・SK14出土遺物
12
(16) SK16
遺構 調査区のほぼ中央部で検出した。平面形は楕円形で、残存部分の長軸0.71m、短軸0.70
m、深さ0.08mである。
遺物 図化はしていないが、土師質の土器が出土している。SK15に切られており、SK15よりは
古いと考えられるが、遺物からの検証はできなかった。
(17) SK17
遺構 調査区のほぼ中央部で検出した。平面形は隅丸の長方形で、長軸1.63m、短軸0.45m、深
さ0.12mである。SK1と同様に埋土は1層で、埋土中から出土した遺物の大半は動物遺存体であっ た。
遺物 23は肥前系の小碗で、外面には蝶文が描かれている。
(18) SK18
遺構 調査区のほぼ中央部で検出した。平面形は不整形で、長軸4.22m、短軸3.21m、深さ0.81m 図15 SK11平面・断面
0 1m
1 : 40 N
T.P.+2.1m
a
a'
1
T.P.+2.1m
b b'
1
層名1 色 調 暗オリーブ Munsell
5Y4/3 土 質 粗 砂 混 細 砂粘性
中 緊密度
密 備 考
5cm以下の礫多数あり
a'
a
b'
b
SK11
SK18
である。埋土は6層に分層でき、第3層と第4層は第6層・第5層を掘り込むような堆積をしている が、埋土内遺物の時期的な差異は確認できなかった。
遺物 24は18世紀の肥前系磁器丸碗で、外面は圏線で囲まれた部分に山水文、東屋が描かれ、口
縁部内面、見込み部には圏線が入る。25は18世紀末から19世紀にかけての肥前系の広東碗であ る。外面には柳垂下がり文が描かれ、この文様は砥部焼にもあり、砥部焼の可能性も考えられ る。口縁部内面と見込み部分には圏線が入る。また、見込み中央部には文様が入る。26は18世紀 末から19世紀にかけての肥前系の広東碗の蓋と考えられる。27は19世紀代の肥前系磁器の輪花鉢 で、外面には草花文、内面には四方襷文、草花文が入る。28は18世紀末から19世紀代の肥前系磁 器の皿で、内面に山水文が描かれる。高台は蛇の目凹型高台である。29は肥前系磁器の段重蓋 で、外面圏線内に蛸唐草文が入る。30は肥前系磁器の徳利である。外面には草木文が描かれ、高 台脇には二重圏線が入る。31は19世紀代の瀬戸・美濃系磁器で、頸部に雷文、胴部に草文が入 る。32は19世紀代の盃洗である。外面には梅花が描かれ、口縁部内面には上下に二重圏線で囲ま れた雷文が入り、その下に山水文が描かれる。口唇部には刻み目が入る。33は水滴で、底面は無 釉で、内外面ともに布目痕が残る。側面内部には指頭圧痕がみられる。俯瞰で水穴部分を下にし た場合、水穴が右下に位置する。34は18世紀末から19世紀の京・信楽系陶器の端反の小碗であ る。高台内に「田」の字の墨書が入る。35は陶器の碗で、口縁部付近外内面に釉が施されてい
図16 SK12平面・断面
N
0 1m
1 : 40
撹乱
T.P.+2.0m
a a'
1
1 ベルト
23
層名1 23
暗オリーブ色 調
黄 褐
暗オリーブ Munsell 5Y4/4 2.5Y5/3 5Y4/4
砂 シ土 質ル ト
シ ル ト
砂 シ ル ト 粘性弱
弱弱 緊密度密 やや密密
備 考 2cm以下の円礫をまばらに含む 0.5cm程の砂礫を含む
T.P.+2.0m
b b'
1 1
2 3 4
層名1 23 4
オリーブ褐色 調 灰オリーブ オリーブ褐
-Munsell 2.5Y4/3 5Y5/3 2.5Y4/3
-砂 シ土 質ル ト
シ ル ト
砂 シ ル ト
-粘性弱 弱弱
-緊密度やや密 やや密密
-備 考 SK12埋土 整地層1 基本層序Ⅸ b'
b