第5章 まとめ
第3節 井戸の構造とその時期
1 井戸の構造
SE1の構造について検討する。構造を把握する上で着目した点 は掘方埋土の単位、桶の接合部分、掘方の規模の3点である。
まずは裏込め土の単位についてであるが、裏込め土は3層に分層 でき、それぞれの層の上面が桶と桶の接合部分より若干下位に位 置する。掘方埋土が桶上面レベルよりも低い位置で一旦停止して いる理由は、上段の桶を設置し、接合部に漆喰を塗る作業が必要 だったからだと推定できる。また、井戸掘方が井戸本体の約3倍の 規模をもつ理由についても、井戸側の桶を積み上げていく作業の スペースが必要であったからであろう。
以上の点から、井戸の構築過程の模式的に復元してみる(図
図65 井戸構築過程模式図
第1段階
第3段階
第2段階
西暦
代表的な器種・文様 年代
磁器なし
砂目積み
皿:内面蛇の目釉剥ぎ
高台無釉碗
蛇の目高台皿 1637(窯場の整理統合) イゲ縁皿
碗:網目文(丸みをもった網目) 碗:見込み荒磯文
碗:口縁部外面「四方襷文」
皿:蛇の目凹型高台 筒形碗
高台の低い腰張丸碗 碗:外面青磁 朝顔形碗
小広東碗 年代
1777(磁器焼成に成功) 広東碗
端反碗
端反碗:口縁部内面「雷文」
1831(大下田1号窯跡
:天保二年の紀年銘資料)
西暦 肥前系磁器・陶器
肥前磁器
時期区分 時期区分
砥部焼磁器
砥部焼磁器 望
料 碗
朝 顔 形 碗
丸 碗
広 東 碗
端 反 碗 代表的な碗の存続幅
Ⅳ期 1期
2期 1600
1850
Ⅰ期
1630
1710
1790 1750 1740 1730
Ⅴ期 1610
1620
1640
1650
Ⅱ
Ⅲ期 1660
1760 1720 1700 1690 1680 1670
1870 1860 1840 1830 1820 1810 1800 1780 1770
前期
後期
Ⅱ期
Ⅰ期
表 11 出土陶磁器編年対応表
京焼陶器 西暦
時期区分 代表的な器種・文様 年代
肥前磁器なし 志野
肥前磁器なし 織部
初期伊万里
断面三角形碗・皿
長吉谷窯 1657(明暦の大火)
二重圏線
柿右衛門B窯 1682(八百屋お七の大火) JB-1-d
コンニャク判・型紙摺り JB-1-d小
1703(水戸様火事) 1707(宝永の大噴火) くらわんか
1725(火災) 蛇の目凹型高台
青磁染付 筒形碗
小丸椀
「八」の字
1769(墨書資料) 小広東碗
広東碗 1782(屋敷改変)
1792(火災)
瀬戸・美濃磁器
端反碗
湯呑碗 1824(火災)
幅広高台 瀬戸・美濃磁器型皿
木型打込・篆書文 小杯
西暦 1600
1610
1620
1630
1640
1650
1660
1670
1680
1690
1700
1710
1720
1730
1740
1750
1760
1770
1780
1790
1800
1810
1820 第Ⅰ期
時期区分
第1段階
第1小期
第Ⅱ期a
第2小期
第3小期
第4小期
第Ⅱ期b 第2段階
第5小期
第6小期
第7小期
第3段階
第8小期
第Ⅲ期
第9小期
第10小期
第11小期
a期
Ⅱ期
Ⅲ a期
b期
a期
b期
Ⅵ b期 a期
Ⅴ
Ⅶ期
d期 c期 b期 a期
Ⅷ
Ⅳ a期
b期 b期
Ⅰ
東大編年 時期区分
瀬戸・美濃系陶器
1830
1840
1850
1860
1870
65)。第1段階は断面逆ハの字状の掘方の掘削を行い、下段の結桶を設置する。その後、結桶の上 面付近まで裏込め土で埋める。続いて、中段の桶を設置し、下段と中段の桶の接合部分に漆喰を 貼り付け、中段桶上面まで裏込め土で埋める(第2段階)。第3段階も第2段階と同じ工程である。
2 井戸の存続期間と廃絶時期について
井戸の存続時期については、出土遺物の様相からみると裏込め土の第2層から出土した段重の 蓋(137)と端反碗の蓋を根拠にすると、少なくとも18世紀末から19世紀中葉までの時期は想定可能 である。
一方で、廃絶時期については、幕末期頃の陣屋跡を復元した図面には、今回検出した位置に井 戸はないことと、SK23との切り合い関係から復元図よりも新しい段階のものと考えられる。