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歳 24.0歳約460万円 約330万円

第三章  米・シアトル市における「まちづくり支援システム」の運用実態の解 明

38.4 歳 24.0歳約460万円 約330万円

人 種

構 成

米国では住民の所得レベル、人種構成がコミュニティのあり方に大きく影響を与える ため、その点から見て特徴の異なる地域を選定した。 20)

各近隣住区の特徴は次の通りである。(図3−3)

研究対象地域 1 であるインターナショナル地区は、1989 年から 2003 年までの 15 年間に市から受けたマッチング・ファンドの 総額が約 1.6 億円と、最も多い地域である。

しかし、平均世帯所得は 140 万円と、市内で最も貧しい地域の一つで、平均年齢は 46.8 歳と高く、低所得の高齢者が多く居住する。また、以前は日本人街だったこともあ り、アジア系市民の割合が 56%と、地域住民の半数を超える。

研究対象地域 2 であるバラッドは、マッチング・ファンドによるプロジェクトの数が 15 年間で 97 件と、最も多い地域である。平均世帯所得は 440 万円と、シアトル市平均 と近いレベルにある。スカンジナビア人が移り住んできた地であり、白人が住民の 85%

を占めている。

研究対象地域 3 であるユニバーシティ地区は、平均世帯所得が 330 万円と、他2地域 の中間にあること、白人が 74% に対してアジア系も 16% を占めるなど、他の2地域よ り市全体の人種構成に近いことから、他2地域との比較対象として選定した。この地域 は学生が多く住むことから、住民の平均年齢が 24 歳と、非常に若い。

 各研究対象地域において、運用実態を調査した。

2)  マッチング・ファンドの運用実態の分析方法

 第一に、それぞれの研究対象地域において、マッチング・ファンドを用いた主な地 域改善プロジェクトをリストアップし、各研究対象地域での運用実態を明らかにする。

ここで取り上げる「主な」プロジェクトとは、地区の特性を反映したものとし、また、

同じような内容のプロジェクトがある場合、どちらか一方のみをリストアップしている。

なお、マッチング・ファンドではソフト/ハードの区別無く助成が行われているが、「グ ラスルーツ型地域改善」という視点から分析を行う上で、ここでは主に成果が目に見え る物理的改善をおこなったプロジェクトを取り上げ、一過性のイベントなどは取り上げ ていない。

 第二に、研究対象事例として、5 プロジェクトについて運営主体と地域社会との連 携の実態及び事業プロセスを調査することで、プロジェクトレベルでの運用実態を明ら かにする。

これらのプロジェクトは、相互比較のため、各研究対象地域から 1 〜 2 例ずつ選択し、

各自マッチング・ファンドの助成を受けたプロジェクトの運営主体と、マッチング・ファ ンドによる事業プロセスが異なるものを選んだ。

また、いずれも 2 回以上マッチング・ファンドを受けた事例であり、マッチング・ファ ンドを利用して、プロジェクトの展開性があった事例を選んだ。

3−4−7 研究対象地域 1: インターナショナル地区

1)  概要

 インターナショナル地区は居住者の半数以上が移民一世または二世のアジア系市民 であり、アジア系移民のアイデンティティに関するコミュニティ活動が盛んである。用 途地域は、主に産業・商業地域 (Industrial / Commercial area) で占められている。 21)

2)  マッチング・ファンド・プロジェクトによる地域の改善

 図 3 ー4はインターナショナル地区でのマッチング・ファンドによる主な地域改善 プロジェクトを表している。この地域の特徴は次の二点である。

3 7 6 7 7 8

9 10

1 1 11

歴史的建築物の再利用について (2003) 複合施設内の屋内運動場の建設(2001)

ポールに巻きつけられた龍の像の設置 (2000) 龍をあしらった横断幕の設置 (1999) ホテルでの歴史に関する展示の設置 (1998) 複合

複合

複 施合施合 設開発に伴うパブリックアートの設置設置設 計画(1996)6)6 複合

複合

複 施合施合 設開発計発計発 画でのコミュニティ施設の計画(1992)2)2 複合

複合

複 施合施合 設開発計発計発 画でのコミュニティ施設の計画(1993)3)3 壁画の復元 (1990)

運動場の拡大と改修(1990)

1 2 3 4 5

6 7 8

10

9

000 11

コミュニティガーデンの改修(1990)

コミュニティガーデンの安全についての改修 (1996) コミュニティガーデンの擁壁の改良 (2001) 公園でのゲームボード設置 (1999)

Wing Luke Asian Museum

(アジア系移民の歴史についての博物館)

Chong Wa Association

(台湾系移民のための団体)

1 2

NMFを受けた組織 NMFを受けて行われたプロジェクト

The Seattle Chinatown International District Preservation and

Development Authority

(保存と開発委員会)

Chinatown International District Business Improvement Association

(ビジネス改善協会)

歴史を知るためのまちあるきとあずまやの設置(2000) Inter*Im Community

Development Association

(地元CDC)

4 5

N

N 凡例: 近隣住区の範囲

高速道路 ダウンンンタウンン

300m 0

5th

Jackksson

ダニ ウ 公園

図 3 ー4  ID における主な地域改善プロジェクト

出典:マッチング・ファンドプロジェクトデータベース・キング郡提供 GIS データから作成

3)  研究対象事例 A: ダニー・ウー公園

  ダニー・ウー公園はボランティアの組織力を利用して、マッチング・ファンドが助成 を受けるグループに要求している「マッチング」を準備した事例である。

 ダニー・ウー公園とは、1975 年に地域の CDC22)である Inter*Im 23)が、地区内の 空地の所有者から、土地の使用権の寄付を受けて設立したコミュニティガーデンであり、

24)地域の高齢者に畑の区画を貸し出している。これまでの公園づくりのプロセスの内、

80% から 90% が Inter*Im  が集めたボランティアの労力により、これまでに関わったボ ランティアはのべ 3,000 から 4,000 人にのぼる25)、ボランティアが手作りした公園で ある。

Inter*Im  は過去4回のマッチング・ファンドの助成を利用して、主な利用者である高 齢者の利用のために手すりや通路の改修などを行った。Inter*Im は、地元の大学を含め、

多くのボランティアを集める組織力を持つことから、労働力による多くの「マッチング」

を準備することで、高額のマッチング・ファンドを得ることに繋がった。

3−4−8 研究対象地域 2: バラッド

1)  概要

  バラッドはスカンジナビア系移民が作り上げた地域で、用途地域は主に近隣住区のた め の 商 業 地 域  (Neighborhood  Commercial  area)21)で占められている。教育や環境保 全に関する活動が盛んである。

2)  マッチング・ファンドによる地域の改善

 図3−5はバラッドでのマッチング・ファンドによる主な地域改善プロジェクトを 表している。マッチング・ファンドはバラッド地域全体にまんべんなく分配されており、

これまでにマッチング・ファンドを受けたグループの種類も多岐にわたる。この地域では、

中流階級の住民が多いことから、NPO に限らず、一般住民による「その場で結成された グループ」の申請も多い。そのため、ボランティアを多く集める組織力や、資金力に欠 けていることから、円形交差点の設置など比較的小規模なプロジェクトが多い。

3)  研究対象事例 B: リ・ツリー・バラッド

  リ・ツリー・バラッドはマッチング・ファンドを利用して住民により始められた小さ なプロジェクトが地域的ムーブメントへと発展した事例である。これまでに2回マッチ ング・ファンドで助成を受けており、事業プロセスとして次の 3 段階に区分できる。

(1) 第 1 回目のマッチング・ファンド:1992 年の一回目の助成の際には、住民の手に より、100本近くの街路樹が植樹された。住民からの市に対する「マッチング」は一 人あたり6時間の植樹ボランティアと10ドルの現金であり、その見返りとして、市か ら市価100ドルの木が参加住民に与えられた。26)

(2) 第 2 回 目 の マ ッ チ ン グ・ フ ァ ン ド: 次 の 94 年 の 助 成 の 際 に は、 住 民 に よ っ て 1000 本以上の木が植えられ、活動は一気に広がった。市からの助成も 10 倍以上になり、

コミュニティからの「マッチング」も 10 倍以上になった。

(3) マッチング・ファンド後:マッチング・ファンドの助成後も住民による活動は続き、

7

26 4444444444

5

3 1100000 9

8

M M

Maarrrkkkeekekkek ttteteete sstttstssts 88tt8t88t8hh 1

1

3

4

5

6 2

コミュニティガーデン購入(1999) コミュニティガーデンデザイン(1999) コミュニティガーデン設置工事(2000) プレイグラウンドプロジェクト(1995) プレイグラウンド壁画プロジェクト(1998) ガード下壁画プロジェクト(1995)

道の名前モザイク埋め込みプロジェクト(1994) スケートボード専用公園(1994)

Groundswell Northwest

(オープンスペースのアド ボケイトNPO)

Ballard Highschool PTSA

(バラッド高校のPTATAT ) Central Ballard Community

Council(バラッド中央地区協議会) North Seattle Street Skaters (北シアトルストリートスケーターズ)

コミュニティクラブの建物改修(1999) SunsetHill Community Club

NMFを受けた組織

NMFを受けて行われたプロジェクト N

N

凡例:近隣住区の範囲

NMFでプロジェク トの行われた場所 ピュージェット湾

サーモン湾湾

0 1Km

リ・ツリー・バラッドは近隣住区プランに 1999 年に正式に位置づけられるなど、地域 を象徴する活動へと成長した。

4)  研究対象事例 C: タイム・パッチ公園

  タイム・パッチ公園は各事業段階においてマッチング・ファンドが利用され、最終的 な事業完成にたどり着いた事例である。

 地元の NPO である、「Groundswell Northwest」 27)が中心となって、住宅建設用地 を購入して建設された公園であり、面積は約 450 平方メートルと小規模である。これま でに各事業段階において NPO が 4 回マッチング・ファンドを受けた。

(1) 事業用地購入段階:用地購入とそれに当たってのコミュニティへの周知活動、及び 用地清掃のために使用された。

(2) 計画段階:計画策定のためのコンサルタントの雇用とデザインワークショップのた めに使用された。

(3) 建設段階 : 建設費用として用いた。

(4) 管理・運営段階:道具小屋の設置や擁壁、アートタイルの設置など、改修のために 使用された。

  マッチング・ファンドは申請できる範囲が広く、一つのプロジェクトに対する申請が 無制限に許されていることから、時期をずらした各事業段階における申請も可能である。

この特質から、この事例では、マッチング・ファンドは公園を完成させるためのサポー トとなり、完成後も引き続き管理・運営の目的で利用されている。