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日本における「まちづくり支援システム」の全体像 2−1 本章の目的

本章では第一に、市及び区による提案型まちづくり助成制度の市民社会の変化に伴っ た発展経緯を解明し、現在のように基礎自治体による提案型助成が増加した背景と、そ の課題を明らかにする。

第二に、発展経緯の解明から出た提案型助成の課題を指標として、提案型まちづくり 助成制度の現状実態を解明し評価を行う。その上で、地域協働型社会に向けた提案型ま ちづくり助成制度のさらなる発展のための課題を示すことを本研究の目的とする。

2−2 研究の対象

継続的に、地域協働型社会の実現を目指した提案型助成を行うことができる主体とし て、基礎自治体を対象とし、その中でも特に市・区1)を研究対象とする。

企業や財団、国や都道府県、及び町村レベルにも提案型まちづくり助成制度はあるが、

本研究で市・区を研究対象としたのは次の理由がある。

第一に、企業や財団と異なり、地域社会との関係が一対一であり、継続的であること、

第二に、広域を対象とする国や都道府県と比較して、地域社会との連携関係の強さがあ り、提案型まちづくり助成制度から得る効果を住民と最も共有する存在であることであ る。例えば提案型まちづくり助成制度の成果として、「地域社会のつながりの構築と強化」

があるが、これによって利益を受けるのは地域自身と、地域づくりの担い手を得ること ができる市や区である。第三に、町村と比較して、助成の受け手としての多層な地域社 会を構築できるスケールが市・区にはあるということである。

以上の理由から、継続的に連携をとることができ、地域との関係が最も強く、かつ多 層な市民活動が形成される市・区を研究対象とした。

2−3 研究の方法

本章では、第一に、今日に至るまでの市・区による提案型助成の発展経緯を、グラスルー ツ型のまちづくりが始まった2)1960年代から現在までの書籍、新聞記事、雑誌記事、

および学会で発表された論文など、出版物に取り上げられた代表的事例の流れを分析す ることによって明らかにする。3)

第 二 に、 提 案 型 ま ち づ く り 助 成 制 度 を 持 つ こ と が 確 認 で き た 市・ 区 を 対 象 と し て 2005 年 10 月にアンケート調査、および複数の市にヒアリング調査を行い、市・区での 提案型助成事例の発展経緯を追う上での補完材料とし、現状の実態を解明する。

現在提案型助成を行っている市・区は多く、全てを把握することは難しい。そこで、

本研究では市民活動が多層的に存在することが出来る条件として、ある程度の都市化と 人口をもつ自治体である人口10万人以上の市4)と、東京都特別区をアンケートの調査 対象とした。

中でも、市民に対する広報活動を十分に行っていることの必要条件として、各市区 のホームページで制度が存在することが明らかになった 73 自治体、114 事例について 2005 年 10 月にアンケートとその他ヒアリング調査を行った。その内 65 自治体、87 事例についてアンケートの結果を回収した。5)(回答率 76%)その他 3 市 5 事例につい てはアンケート調査と同様の項目で 2005 年夏にヒアリングを行った。

第三に、提案型助成の発展経緯の解明から明らかになった提案型まちづくり助成制度 の課題を指標として評価を行い、提案型助成が地域協働型社会を目指す上での課題を明 らかにする。

2−4 市・区による提案型まちづくり助成制度の発展経緯 2−4−1 発展経緯の段階

前章では、「日本におけるまちづくりへの資金的支援」の変遷として、多様な主体によ るまちづくりへの資金的支援の流れを明らかにした。変遷から、企業や民間団体による 実験的なシステムづくりがあり、そこから生み出された「継続性」と「多様性」への変 化が市・区のシステム構築にも影響を与えていると分析した。

本節では、市及び区による提案型まちづくり助成制度について特に焦点を当て、文献 調査とアンケート・ヒアリング調査から明らかになった代表的な事例を分析し、発展経 緯の解明と、その課題を明らかにする。伝統的地縁組織に対する補助金中心から、現在 のような提案型まちづくり助成制度指向へ移行するまでに次のような段階があった。

1)提案型まちづくり助成制度創生期(1980年代)

この時期の地方での支援は、国の「コミュニティ対策」6)の影響が残っていた。ここ では水沢市、飯田市、各務原市の事例を見てみる。7)

これらが主体と想定しているのは主に町内会、婦人会などの伝統的地縁組織であり、

水沢市、飯田市では国の政策と同様に、「モデル・コミュニティ地区」を指定した上での 助成であった。各務原市の制度は「活動」に助成する初めての制度としているが、実質 は地域の集会施設建設に対する助成と変わらないものとなっている。(図2−2①)

支出を担当し、事務は公益信託を請け負った銀行が行っている。毎年の助成テーマも、

行政の諮問機関である運営委員会によって決定されている。(図2−2②)

2)提案型まちづくり助成制度の基礎形成期(1990年代)

この時期には現在の事例の基礎となるような仕組みづくりが行われた。代表的事例を 大きく分類すると、次の3つになる。この時期に設立されたものは全体的にシンプルな 制度であり、事例もまだ少なかった。

a)地域組織連動型:「まちづくり協議会」などの地域別グループの結成とそのまちづ くりを推進するための助成制度である。

牛深市の事例は全世帯が参加する地区会議に対する交付金システム、豊中市の事例は まちづくり条例に基づいたものであり、どちらも偶発的な市民活動を推進するというよ りは、市が構築したまちづくりプロセスに組み込まれた制度であった。(図2−2③)

b)基金設置方式:1991 年に目黒区が「まちづくり基金」という名称で基金を立ち上 げ、まちづくり活動助成金事業に活用した。(図2−2④)

c)世田谷方式:公益信託を利用し、公開審査会、公開報告会という形をとった最初の 例が世田谷提案型まちづくり助成制度であり、現在も多くの自治体で参考事例とされて いる。(図2−2⑤)

3)提案型まちづくり助成制度増加期(2000年代)

2000 年から 2005 年にかけて、提案型まちづくり助成制度が急激に増加した。この 背景として次のようなことが挙げられる。

第一に、2000 年に地方分権一括法が施行されたことにより条例制定権が広がり、自 治基本条例などを制定する自治体が増えた中で、自治体が市民によるまちづくりの仕組 みづくりを進めるようになったことである。8)

第二に、近年の財政悪化から行財政改革の名のもと、「小さな政府」をめざす傾向が強 くなったことから、公共サービスの外注的な意味合いも持つ提案型まちづくり助成制度

919296989920000102030405

1997: さ 1988: 公 1988:公 1992: 世 1992: 豊

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1991

2002: 世 2004: 横

2004: 豊

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2004: 浜 2004:浜

2004: 福

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2002: 公

2003: 公 2003: 公

2004: 豊 1996: 熊 2001: 福

2001: 豊

1999: 名

2000: 我 2000 2001: 宮 2002: 杉

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2003: 浜

2005: 横 2005: 市 2005: ヨ 2005: 福 2005: 吹

2005: 茅

2002: 浦 2002: 宇 2002: 神 2004: 大 2004: 大 2004: 岡

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