入院まで、入院後の経過
2015年5月、7月、8月、9月、肺炎・心不全等で入退院を繰り返す。
8月退院時施設入所を決めたが、9月再入院。
退院時、本人の希望で自宅退院。
2016年11月、肺炎のため入院。
抗生剤・利尿薬を投与するが効果なく、感染増悪。心不全も増悪。
入院第3病日オピオイド開始、第5病日鎮静薬も併用。その夜、死亡。
背景
独居。長男とは折り合いが悪い。長女がキーパーソンで近くに住んでいる。
要介護3。施設入所前は自費で家政婦に来てもらっていた。
自宅退院となった際は、訪問診療、訪問看護、ヘルパー導入。家政婦も依頼。
インタビューについて
死亡から2年10カ月16日目、長女にインタビューを実施。
事例紹介
時期 遺族の言葉 遺族の思い・体験
入退院を 繰り返して
いたとき
• 1人の生活は無理って
いわれて。1回目の退院 のときに母と一緒の施設 入れることにした。でも、施設に行ったら調子悪く なってすぐ入院した。
4回目で「もうあんなとこ 帰らへん」っていうて。
いい出したら聞くような父 じゃないし、どうせ、また 入院するかなって思って。
2.3週なら家でも大丈夫 かなと思った。
•
施設に入所しても すぐに再入院し状況 は変わらなかった。•
本人の思いを尊重し、施設ではなく自宅に 帰ることを決めたが、
また、すぐに再入院 するだろうと思って いた。
結果
1.入退院を繰り返していたとき
時期 遺族の言葉 遺族の思い・体験
退院後 在宅でケア しているとき
•
帰ってからは病院行く こともなくて。おとなしく、穏やかに暮らしてました。
•
時間差で皆さんが来てく ださってて、1人になる時 間でも、寂しくなったら、都合よく私も呼ぶし。
•
慌てて病院に行くことも 全くなかったし、本当に 穏やかな1年。•
家に帰ったが、再入院することなく 穏やかに過ごすこと ができ、家に連れて 帰ってよかったと 思った。
結果
2.退院後、在宅でケアをしているとき
時期 遺族の言葉 遺族の思い・体験
再入院を 決めたとき
•
急に「しんどい」いい出し て(在宅の)先生に、この まま家におったら2、3日、病院行ったらまた帰って これる可能性もあるって いわれた。
•
最初は病院に行かないっ ていってたけど「循環器 行くか」 っていったら「M先生んとこか」
M先生
とは馴染みがあったから、「ほんなら、行く」 って いうて。
•
本人は入院したくないと思っていたが、
よくなる可能性も あること、信頼して いる医師が病院に いたことから、本人 と相談し、入院する ことを決めた。
結果
3.再入院を決めたとき
時期 遺族の言葉 遺族の思い・体験
再入院し 看取った
とき
•
最初は、また帰れるかなと 思ってたんですけど、ほと んど食べれなくなって。これはやっぱり、ちょっと 今までとは違うなと思って。
•
最後はしんどかったんで しょうね、あんまりしゃべら なかった。ただ、「言えなく なったらあかんから、ゆう とく」 って、亡くなる前日「ありがとう」 いいました けどね。本人は覚悟してた んやろね。
•
家族はまた帰れる だろうと思っていた が、食事がとれず 嘔吐する姿をみて、初めて帰れないかも しれないと思った。
•
本人は、死を覚悟 していた。家族は、最後に、
本人から感謝の 言葉を聴いた。
結果
4.再入院し、看取ったとき
時期 遺族の言葉 遺族の思い・体験
今
振り返って 思うこと
•
入院するたびに、もう駄目っていわれてたけど でも、その都度、元気に 退院してたから、今回も、
大丈夫かなって。
父イコール死がつながら なかった。
•
施設か家か悩んだとき、M先生が「医者としてでは
なく、自分の家族だったら 家に連れて帰る」 って、人としていってくれたのが 家に連れて帰る決め手に なった。
•
入退院を繰り返して いたため入院しても「また帰れるだろう」
という思いがあった。
•
療養場所をどうする か悩んだとき、信頼 できる医療者の言葉 が意思決定を促した。結果
5.今、振り返って思うこと①
時期 遺族の言葉 遺族の思い・体験
今
振り返って 思うこと
•
(家にいた1年の間に)戦友 に会いたいといって兄と私と 3人で会いに行ったんです。友達に会えるより、家族、水 入らず出かけたことが、嬉し かったみたい。「思い残すこ とない」 っていってたよって 後から聞きました。
•
いろんな人が手伝ってくれて 周りの人に恵まれて、長く家 で過ごせたと思う。•
父にとっては最期が病院だっ たのはよくなかったでしょうけ ど、私は、あの状態見てたら やっぱり怖い。家で1人ってい うのは、ちょっと怖い。•
家で過ごした時間や 家族と旅行に行った ことが、とても有意義 な時間だった。•
状態が悪い患者を、家で看ることは家族に とってはとても怖く、
不安があり、できない と思っていた。
結果
5.今、振り返って思うこと②
*家での暮らしのよさ
A氏は「家で過ごしたい」という思いが強くあり、その思いを自分で
伝え、施設ではなく自宅に退院した。自宅では穏やかに過ごすこと ができていた。*医療者との関わり
「治療すればよくなるかもしれない」という在宅医の勧めと、病院 医師への信頼感から再入院を決めた。
*今までと違う状態の変化
家族は、嘔吐するA氏をみて 「もう帰れないかもしれない」と思った。
家で看る怖さを感じ、もう家に連れては帰れないと思っていた。
A氏も「帰れない」と感じ、家族に感謝の言葉を伝えた。家での生活
の中で「思い残すことはない」と発言されており、最後は病院でも いいという判断していたと考えられる。最期を迎える場所の判断に影響したもの