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歯科麻酔学講座

プロフィール

5.  歯科麻酔学講座

プロフィール

1. 教室員と主研究テーマ

教  授 一戸 達也 全静脈麻酔に使用する薬物の抗侵害作用からみた薬物相互作用 講  師 櫻井  学 鎮静・催眠効果に対するアデノシンの役割

間宮 秀樹 ストレスが患者管理に与える影響

松浦 信幸 口腔外科手術における経口オピオイド配合剤の先制鎮痛効果の検討 静脈内鎮静薬の生体機能(運動機能)に及ぼす影響に関する研究 助  教 松木由起子 歯科恐怖症患者への精神鎮静法の適切な応用の検討

塩崎 恵子 下顎枝矢状分割術における術中出血量に対するレミフェンタニルが及ぼす影響 後藤 隆志 ケタミンの先制鎮痛効果

レジデント 武田 慶子 経口補水液(OS-1)を用いた全身麻酔後の飲水開始時期の検討 遠藤 真唯 精神疾患を合併した歯科患者の全身管理

大学院生 川口  潤 星状神経節ブロックが三叉神経刺激による体性感覚誘発電位の潜時に及ぼす影響 神戸 宏明 血中炭酸ガス分圧の変化がレミフェンタニル塩酸塩投与時の口腔組織血流量に及ぼす

影響

黒田 英孝 三叉神経歯髄駆動ニューロン(痛覚特異的ニューロン群)の特性解明

中村  瞬 新しい表面麻酔法の検討−歯科用局所麻酔カートリッジ注射液を用いた表面麻酔法−

岡田 玲奈 デクスメデトミジン投与中の終末呼気炭酸ガス分圧の変化が兎の口腔組織血流量の変 化に及ぼす影響

岸本 敏幸 アミド型局所麻酔薬の表面麻酔効果−体性感覚誘発電位を用いた検討−

久木留宏和 多孔式カテーテルを用いた持続浸潤麻酔法による腸骨創部における術後疼痛の研究 征矢  学 単離メルケル細胞における感覚上皮−神経連絡におけるCaシグナルの特性解明 岡本 聡太 揮発性麻酔薬の濃度変化が口腔組織血流量に及ぼす影響について

正村  綾 口腔粘膜支配三叉神経説neuron(痛覚特異的neuron群)の特性解明−ラット三叉神 経節細胞を用いたpurinergic receptorsの発現検索−

若杉由美子 日帰り全身麻酔におけるレミフェンタニルの有用性の検討

澤口 夏林 ミダゾラム・プロポフォール併用静脈内鎮静法における適正な投与量の検討

二宮  文 ミダゾラムによる静脈内鎮静法における高濃度酸素吸入が呼吸抑制作用に及ぼす影響

2. 成果の概要

1) Dexmedetomidine dose dependently decreases oral tissue blood flow during sevoflurane and propofol anesthesia in rabbits.

本本研究ではデクスメデトミジンが口腔組織血流量に及ぼす影響を明らかにすることを目的として、家 兎にデクス メデトミジンの投与速度を変化させて持続投与し、口腔組織血流量の変化を検討した。

本研究の結果から、デクスメデトミジンは舌粘膜血流量、下顎骨骨髄血流量、咬筋血流量、上下歯槽粘膜血流量 を低下させ、体循環に与える影響は少なかった。これよりデクスメデトミジンは口腔外科手術時の出血の制御のため に有用な薬物であることが示唆された。

J Oral Maxillofac Surg 70(8): 1808-1814, 2012.

2) Midazolam increases bite force during intravenous sedation.

本研究は、ミダゾラムが意識下鎮静において運動機能(握力、咬合力)に与える影響について検討した。ミダゾ ラム 0.05mg/kg を静脈内投与後 2、5、10、20、30 分に握力、咬合力の観察を行なった。また、ミダゾラム投 与後 30 分に拮抗薬であるフルマゼニルを 0.5mg 静脈内投与し、5、10、20 分後にも同様の観察を行なった。握 力はミダゾラム投与後からフルマゼニル投与まで低下した。咬合力はミダゾラム投与後速やかに増加し、フルマゼニ ル投与後も増加したままであった。

本研究において、ミダゾラム静脈内鎮静による意識下鎮静状態では、ミダゾラムの筋弛緩作用に起因すると思われ る握力の低下を認めたが、咬合力は相反して増加することが認められた。

J Oral Maxillofac Surg 70(8): e458-463, 2012.

3) Expression of P2X1 and P2X4 Receptors in Rat Trigeminal Ganglion Neurons.

侵害刺激や神経障害、炎症等は、様々な受容体やイオンチャネルを介して細胞外より細胞内へ Ca2+ を流入させ る。その内の 1 つに ATP 受容体があげられる。アデノシン三リン酸(ATP)は、細胞内ではリン酸化基質として細 胞機能を維持する一方、細胞外では細胞間情報伝達物質として機能する。ATP 受容体は細胞外ヌクレオチドをアゴ ニストとする細胞膜上の受容体で、イオンチャネル型 P2X 受容体と G タンパク質共役型 P2Y 受容体に大別され、

それぞれサブタイプが存在する。三叉神経節ニューロンにおいては P2X3 や P2X2/3 を介した疼痛メカニズムが多 数報告されている。

本研究は real time RT-PCR 法や Ca2+-imaging 法を用い、ラット三叉神経節ニューロンにおける P2X1, P2X3, P2X4 の発現検索を行った。その結果、三叉神経節ニューロンには P2X1, P2X3, P2X4 が機能的に発現しており、

顎顔面領域における侵害受容性疼痛や神経障害性疼痛の一部を担うことが示唆された。

Neuroreport, 23(13): 752-756, 2012.

4) Large-dose epinephrine reduces skeletal muscle blood flow under general anesthesia in rabbits.

本研究はアドレナリン投与速度の変化が骨格筋血流量に及ぼす影響を明らかにすることを目的として、家兎を低 用量および高用量アドレナリン持続投与群の 2 群に分けて観察項目を観察した。観察項目は心拍数、収縮期血 圧、拡張期血圧、平均動脈圧、総頸動脈血流量(CCBF)、咬筋血流量 (MBF)、大腿四頭筋血流量 (QBF) とし た。低用量アドレナリン投与群では CCBF、MBF、QBF は対照値に対して増加した一方、高用量アドレナリン投与 群では CCBF、MBF、QBF は対照値に対して減少した。アドレナリン持続投与時の MBF 及び QBF の変化率に有 意差は認められなかった。また、CCBFと MBF および CCBFと QBF には正の相関が認められた。以上のことから、

骨格筋血流量は低用量アドレナリン持続投与時に増加し、高用量アドレナリン持続投与時に減少することが示唆さ れた。

Anesth Prog 59(3): 118-122, 2012.

5) Sodium-Calcium Exchangers in Rat Trigeminal Ganglion Neurons.

侵害刺激や神経障害は様々な受容体やイオンチャネルを介して細胞内にカルシウムイオン (Ca2+) を流入させる。

細胞内 Ca2+ の増加は神経を興奮させる一方で、過負荷になると細胞毒性を示し、結果として細胞死を招く。そ のため、細胞膜上には細胞内 Ca2+ 排出機構が備わっており、細胞内 Ca2+ 濃度を微細に調節している。その内 の一つに Na+-Ca2+ 交換輸送体 (NCX) がある。これまでに三叉神経節ニューロンにおける細胞内 Ca2+ 排出は Ca2+-ATPase が主体であるとされており、NCX に関する報告は限られている。本研究はラット三叉神経節ニュー ロンにおける NCX の発現と機能的特性を、RT-PCR 法、免疫組織化学染色法、Ca2+-imaging 法及び Patch-clamp 法を用いて検討した。

その結果、三叉神経節ニューロンには NCX が発現しており、電位依存性 Na+ チャネルと共役することで、細胞内 Ca2+ 恒常性維持だけでなく体性感覚入力の一部を担うことが示唆された。

Molecular Pain 9(1): 22, 2013.

6) The combined effects of midazolam and propofol sedation on muscle power.

本研究は、ミダゾラムとプロポフォール併用静脈内鎮静下での運動機能(握力、咬合力)に与える影響について

検討した。健康成人ボランティアを対象とした。鎮静薬としてミダゾラムを投与し、同時にプロポフォールを 30 分間 持続投与し、その後フルマゼニルを静脈内投与した。鎮静の評価として BIS 値、OAA/S スケールと SCWT の正答 率、運動機能評価として握力と咬合力の測定を行った。結果として、BIS、OAA/S スケール、SCWT の値は鎮静 中に低下を示した。握力は鎮静中に減少し、フルマゼニル投与後は対照値と同じレベルまで回復した。一方、咬合 力はミダゾラムとプロポフォールの投与開始後から増加し、フルマゼニル投与後は、徐々に低下を示すものの対照値 と比較して高値のままであった。

本研究において、ミダゾラムとプロポフォール併用静脈内鎮静下において握力は減少し咬合力は増加させる結果と なった。

Anaesthesia 68(5): 478-483, 2013.

3. 学外共同研究

担当者 研究課題 学外研究施設

研究施設 所在地 責任者

一戸 達也 静脈内鎮静時の酸素療法 ハーバー UCLA メディカル センター麻酔科

Los Angeles USA

福永 敦翁

櫻井 学 α 2 受容体遮断的作動薬デクスメデトミ ジンの局所的抗炎症作用機序の解明

岡山大学大学院歯科麻酔 学分野

岡山市 宮脇 卓也

櫻井 学 鎮静・催眠作用へのアデノシン受容体の 関与

ハーバー UCLA メディカル センター麻酔科

Los Angeles USA

福永 敦翁

4. 科学研究費補助金・各種補助金

研究代表者 研究課題 研究費

一戸 達也 有病高齢者の歯科治療時の全身的リスク評価法 の構築

日本歯科医学会プロジェクト研究(代表:丹波 均)

一戸 達也 歯科診療時の局所的・全身的偶発症に関する標準 的な予防策と緊急対応の立案

平成 23-25 年度厚生労働省委託事業「歯科保健 医療情報収集等事業」(代表:江藤 一洋)

櫻井 学 催眠・鎮静薬による健忘作用に対するアデノシン受 容体の関与

文部科学省科学研究費補助金・基盤研究(C)

5. 研究活動の特記すべき事項

受賞

受賞者名 年月日 賞名 テーマ 学会・団体名

黒田 英孝 2012. 9.14-15 First Prize of Oral Presenta-tion for Younger Scholar

Expression of Sodium-Calcium Exchangers in Rat Trigeminal Ganglion Neurons

第5回FADAS学術大会

後藤 隆志 2012. 9.18 学長奨励研究賞 Localization of 14C-Labeled 2% Lidocaine Hydrochloride after Intraosseous Anesthesia in the Rabbit

東京歯科大学学会