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欠陥形状の変化に対する背景散乱光強度の変化

第 4 章 システム特性の取得と背景散乱光特徴領域の決定

4.2 計算機シミュレーション

4.2.2 欠陥形状の変化に対する背景散乱光強度の変化

シュリンク,チップ,シフトの3種の欠陥を有する物体モデルに対するTM偏光の 背景散乱光強度の計算機シミュレーション結果を図 15に示す.横軸は散乱角度,縦 軸は背景散乱光強度の対数である.横軸の散乱角度の表示は後述する計測システムの

-1.0 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0.0 0.2 0.4

-12 -10 -8 -6 -4 -2 0

sinθ log10(intensity)

D=500 D=100 D=300 D=200 D=50

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計測角度に合わせて- 0.95 < sin θ < 0.35とした.背景散乱光強度はsin θ = 0.00におけ る強度で規格化した.

従来の回折光強度を計測する装置では約10-2以上の強度を計測し,この強度変化か ら回折光学素子の品質を管理していた.図 15には-7次から+2次までの回折光強度が 示されている.それぞれsin θ = -0.89, -0.76, -0.64, -0.51, -0.38, -0.25, -0.13, 0.00, 0.13, 0.25の回折角度に伝播する光強度で,回折光強度のデータは各サンプルで 10データ に限られる.このため従来の計測法では,入射角や波長などの計測パラメータを増や しデータ数を増す必要があった.

図 15の約10-3未満の強度は従来の計測装置では高精度に計測することが困難な背 景散乱光強度である.計算結果は,欠陥の形状の違いによる背景散乱光強度の劇的な 変化を示した.この結果は,背景散乱光強度に回折光学素子の欠陥形状を推定する有 意な情報が含まれていることを意味する.各欠陥形状それぞれに対し特徴的な背景散 乱光強度を以下で説明する.

シュリンク欠陥の背景散乱光強度は,d = 10, 50, 100 nm において,sin θ = ±0.42 付 近で極小となった.d = 200 nm に対してはsin θ が約± 0.48において極小となった.

欠陥の大きさによらず,-0.10 < sin θ < 0.10において,上に凸の強度分布を示した.

チップ欠陥の背景散乱光強度は,欠陥の大きさによらず,-0.20 < sin θ < 0.20におい て,上に凸の強度分布を示した.sin θ = 0.00 の強度はcdが同じ大きさの比較にお いて,チップ欠陥の背景散乱光強度の方がシュリンク欠陥の強度よりも大きかった.

シフト欠陥の背景散乱光強度は,欠陥の大きさによらず,sin θ = 0.00 と約± 0.32に おいて減少し,-0.32 < sin θ < 0.32においてM字形の強度分布を示した.

これらの結果は,背景散乱光強度が回折光学素子の欠陥形状を推定する多くの特徴 を有していることを示している.回折角度に限定されない背景散乱光強度を用いるこ

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とで,従来のように入射角や波長の計測条件を増すことなく,回折光学素子の形状を 推定できる可能性がある.

前述したようにシュリンク欠陥の背景散乱光強度において,欠陥の大きさd = 10, 50,

100 nmに対しては,散乱強度分布が散乱角度によらず一様に増加する一方,d = 200 nm

の背景散乱光強度は,異なる角度に強度の極小が現れた.この現象に対して欠陥の大

きさd を20 nm刻みで100 nmから200 nmまで変化させた背景散乱光強度を以下で

考察する.

図 16は,シュリンク欠陥の大きさd = 100, 120, 140, 160, 180, 200 nmに対する背景 散乱光強度である.欠陥の大きさが上記範囲の変化において.sin θが約±0.20と約-0.49 における背景散乱光強度が略一定であった.より詳細には,sin θが約±0.20において,

d = 100 nmの背景散乱光強度が,d = 200 nmの背景散乱光強度よりも小さな欠陥であ

るにもかかわらず大きかった.欠陥が大きくなるに従い,強度の極小を示す角度が約

- 0.42から約- 0.48にシフトするとともに,背景散乱光強度が増大した.この結果,d =

160 nmで強度の極小が消失している.これらの結果からシュリンク欠陥に対して,欠

陥の大きさによって異なる角度に強度が極小となる現象は,欠陥の大きさに対して連 続的に強度が変化した結果であることが分かった.この変化はシュリンク欠陥の大き さが変わることで1つの格子に形成された左右2つの欠陥の中心間距離が変化したた めに生じたと考えられる.このことは6.2.3項において詳しく考察する.

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図 15. TM偏光の背景散乱光強度の計算値

(a)シュリンク欠陥,(b) チップ欠陥,(c) シフト欠陥.

-1.0 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0.0 0.2 0.4 -12

-10 -8 -6 -4 -2 0

-1.0 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0.0 0.2 0.4 -12

-10 -8 -6 -4 -2 0

sinθ

-1.0 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0.0 0.2 0.4 -12

-10 -8 -6 -4 -2 0

log10(intensity)log10(intensity)log10(intensity)

(a)

(b)

(c)

-1.0 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0.0 0.2 0.4 -12

-10 -8 -6 -4 -2 0

s = 200 s = 100 s = 50 s = 10

c= 200 c= 100 c= 50 c= 10

-1.0 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0.0 0.2 0.4 -12

-10 -8 -6 -4 -2 0

s = 200 s = 100 s = 50 s = 10

d= 200 d= 100 d= 50 d= 10

-1.0 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0.0 0.2 0.4 -12

-10 -8 -6 -4 -2 0

s = 200 s = 100 s = 50 s = 10

s= 200 s= 100 s= 50 s= 10

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16. シュリンク欠陥を100 nmから200 nmまで変化させた背景散乱強度

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