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第 3 章 背景散乱光を用いたデータマッチングの方法

3.6 ノイズ除去

計測値にはサンプリングノイズである高周波の強度変化が含まれる.散乱背景光特 徴領域を決定する際に用いる補助データの導出と,データマッチングの実行には,ノ イズを除去した計測データが必要となる.4.8 節で説明するように,ノイズ除去後の データとは,高周波の強度変化における高い強度を結ぶ包絡線データである.包絡線 データを得る手法は,音声信号解析の分野で活発に行われている43.本節では,高ダ イナミックレンジの背景散乱光強度に対して包絡線データを得る新しい手法を提案 する.本手法は,ピークサーチが不要で高精度・高速に包絡線を求めることができる.

(a) (b)

(c) (d)

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図 11は,計測値の包絡線データを計算する処理フローである.計測値である背景 散乱光強度Iが入力値となる.図 11の各ステップを順に説明する.

Step1. 背景散乱光強度I に対して,対数をとった上で処理を行う.これは,桁違い

に大きな回折光強度が,背景散乱光強度の包絡線算出の精度を低下させるためで,計 測値の対数をとることで背景散乱光強度と回折光強度を一括して扱うことができる.

一括して扱うことで,背景散乱光強度と回折光強度を別々に処理する際に生じる望ま しくないデータの不連続点の発生を回避することができる.背景散乱光強度Iの対数 をIntで示す.

Step2. 高周波強度変化を除去するために,Int に対してローパスフィルタ処理を行

う.ローパスフィルタ処理は2つのステップからなる.1つめは,Intをフーリエ変換 しSを求める.2つめは Sに対し,周波数が特定の値以上となる成分(高周波成分)

をゼロとする.

Step3. Step2 の結果を逆フーリエ変換し,高周波数成分が取り除かれたデータEnv

を算出する.Env は高周波強度変化において高い強度と低い強度の中間の強度をとる.

具体的な結果は5.1節において示す.

Step4. 高周波強度変化において高い強度を結ぶ包絡線を得るために delta = Int -

Envを計算する.

Step5. deltaの最大値があらかじめ設定した閾値C0よりも小さかった場合には,Env

を包絡線データとして出力する.

Step6. deltaの最大値があらかじめ設定した閾値C0よりも大きかった場合には,Env

にdelta > 0を足し強度を大きくする.delta < 0となる場合には,Envはそのままの値

とする.この処理によりEnvの強度は大きくなり高い強度を結ぶ包絡線データに近づ く.しかしdeltaが足されるためEnvには再び高周波強度変化が生じる.この高周波

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強度変化を除去するためにstep 2のローパスフィルタ処理をdeltaの最大値が閾値C0

よりも小さくなるまで繰り返す.

Step7. 得られた包絡線データのデータ数を,補間を用いて計算値のデータ数に一致

させる.

Step8. ローパスフィルタと補間によって減少した回折光ピークの強度値をもとの

計測値に戻す.

以上が計測値の包絡線データを計算する処理フローである.

5.1節において,ノイズ除去の具体的な結果を示す.

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図 11. 計測値のノイズ除去のフロー 入力

計測値 開始

ローパスフィルタ

終了 いいえ

はい

はい

いいえ

補間

ピーク強度回復

Step1.

Step2.

Step3.

Step4.

Step5.

Step6.

Step7.

Step8.

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