〜バイオマス利活用分野〜
第1章より、中国地方の中山間地域では農林業の生産額が減少傾向にあるが、鉱工業のポテン シャルがあり、バイオマス腑存量が多いことがわかった。
これを受けて本章では、中国地域における機械産業のポテンシャルとバイオマス資源の一体的 な利用を目指し、機械化・情報化による中山間地域活性化方策の事例を整理した。具体的には、
バイオマスを原料とした製品・エネルギー生産、機械産業を活用した農作物生産(農作物工場)
を取り上げ、その現況および事例を整理した。また、農作物工場の運営事業者に対するヒアリン グ調査結果をもとに、課題および今後の方向性について整理した。
2.1 バイオマスを原材料とした製品およびエネルギー生産
2.1.1 バイオマス資源の利活用に関する農政の動向
農林水産省は、内閣府、総務省、文部科学省、経済産業省、国土交通省、環境省と連携の上で バイオマスタウン構想を推し進めており、バイオマスタウンを全国 500 市町村まで増加させる予 定である。バイオマスタウンとは、『地域の関係者の連携のもとバイオマスの発生から利用までが 効率的なプロセスで結ばれた総合的利活用システムが構築され、安定的かつ適正なバイオマス利 活用が行われる地域』と定義されている。
2005 年 11 月 30 日現在、26 自治体がバイオマスタウンとして公表されているが、中国地域では 未だ公表された自治体は無い状況である。今後、中国地域でもバイオマスタウンの認定を受ける 市町村が出てくると予想される。
バイオマス利活用に関する補助については、バイオマスの環づくり交付金が挙げられる。2006 年度には、バイオマスの環づくり交付金のほか、バイオマスタウン形成支援調査事業(地域が行 うバイオマス利活用施設整備に対して技術的支援を強化)を利用できる予定である。
また、地域での取組みを円滑に推進するために、広域連携等バイオマス利活用推進事業(食品 事業者やNPO等が都道府県を境界を越えて行う広域的な食品廃棄物等のバイオマス利活用シス テムの構築に関する事業)が新設される予定である。
2.1.2 バイオマス資源利活用事例
国や地域のバイオマス利活用に関する主な取組みについて、中国四国農政局ウェブサイト等に 基づき表 2.1-1 に整理した。バイオマス資源の利活用については、マテリアル利用とエネルギー 利用の2種類に大別できる。
マテリアル利用では、食品廃棄物や畜産廃棄物から堆肥化を行う事例が大半を占めた。また、
トウモロコシ等からバイオマスプラスチックの製造を推進している事例も見られた。
他方、エネルギー利用については廃食油や材料作物からバイオディーゼル燃料を製造して公共 車等で利用している事例、食品廃棄物や家畜ふん尿などをメタン発酵処理によりバイオガス化し エネルギー源としての利用している事例や、木質バイオマス等を燃料として利用している事例な どが見られた。
中国地域におけるバイオマス資源と機械関連産業等のポテンシャルを融合させた中山間地域活 性化に資する情報として、岡山バイオマスプラスチック研究会のバイオマスプラスチック製造、
岡山県真庭市(株)銘建工業の木質ペレット製造・発電の事例についてそれぞれ表 2.1-2、表 2.1-3 に整理した。
2.3
運営主体 所在地 利活用バイ
オマス資源
概要 出
典
事例 シート 1 岡 山 県 美
咲町
岡山県美咲 町
生ごみ、家 畜ふん尿、
廃食用油
町内(旧旭町内)全戸を対象として分別収集した生ごみを、町北部に位置する「岡山 県総合畜産センター」内の堆肥舎に搬入し、畜ふんとの混合堆肥を町内へ還元する。
生ごみの収集は、町民へ生分解性プラスッチック製の生ごみ収集袋を無料で配布して 行う。
また、町内の使用済み食用油を回収し、近隣の町(旧落合町、旧北房町)と共に設立 した岡山県中部環境施設組合の「廃食油リサイクルプラント」でバイオディーゼル燃 料に精製した後、ごみ収集車などの燃料として再利用する。
1
2 岩 国 市 中 通 商 店 街 振興組合
山口県岩国 市
生ごみ 2003 年に県と市の支援補助を受けて商店街の一角に「生ごみ処理機グリーン・エース」
を設置し、商店街新興組合の飲食店から排出される生ごみをたい肥に再生している。
一日に約 50kg の生ごみを収集し、一ヶ月に 150kg のたい肥を生産している。
生産されたたい肥は「エコくらぶ」という名称で、地元の提携農家に無償提供し、農 薬を使用しない野菜を生産し、商店街の空き店舗で販売している。
1
3
堆肥化
鳥 取 県 鳥 取市
鳥取県鳥取 市
排水処理施 設から発生 する汚泥
鳥取県東部地域の広域連携により、農業集落排水・し尿処理施設から発生する汚泥か ら堆肥を製造し、コンポストとして農地へ還元している。
「コンポスト利用検討委員会」を組織し、利用拡大のための普及・啓発活動を実施し ている他、たい肥はJA鳥取いなば農業協同組合で販売している。(15kg/袋)
年間約 1,700 トンの脱水汚泥を原料に、約 450 トンのたい肥を製造している。地元の 多くの農家で使用されている。
1
4 マ テ リ ア ル 利 用
バイオ マスプ ラスチ ック
岡 山 バ イ オ マ ス プ ラ ス チ ッ ク研究会
岡山県 トウモロコ シ、サトウ キビ
岡山県、林原産業、クラレ、三菱化学などが共同で、地域のバイオプラスチックの普 及を目指し、各地でイベントなどを開催している。
2 ◎ 表 2.1-1 中国地域のバイオマス利活用に関する主な取組事例(1/4)
2.4
運営主体 所在地 利活用バイ オマス資源
概要 出
典
事例 シート 5 島 根 県 出
雲市
島根県出雲 市
廃食用油 2000 年に島根市内3地区の 1,600 世帯を対象に廃食用油の回収を開始し、2001 年 10 月から本格的に市内の公民館及び公共施設に回収拠点を設け、回収した廃食用油をバ イオディーゼル燃料に精製している。
回収にあたっては、「使用済みてんぷら油入れ」と書かれたポリ容器(9 リットル)を 配付し、市民全世帯の 75%にあたる 6,000 世帯から回収している。
バイオディーゼル燃料精製量の実績は、2003 年度は約 2,200 リットルであり、市営生 活バスの燃料として使用されている。
1
6 島 根 県 斐 川町
島根県斐川 町
ひまわり 米にかわる新たな転作作物として、ひまわりを環境型農業・付加価値型農業の中心に 据え、その有効な利活用を目指している。ひまわりを中心とした「斐川町バイオマス 利活用計画」策定に向け、町が、筑波大学、中央農業総合研究センター、近畿中国四 国農業研究センターの各バイオマスプロジェクトと連携し、指導・助言を得ながら、
調査・事業評価・実施プログラムを検討している。その主要なプロジェクトとして、
以下の 6 つを目指している。
1.廃食用油BDF(バイオディーゼル燃料)システム 2.未利用バイオマスを活用した堆肥需給システム 3.ひまわり菌根菌輪作体系システム
4.ひまわりバージンBDFシステム 5.有用副産物事業化システム 6.ひまわり飼料肥料化システム
1
7 エ ネ ル ギ ー 利 用
エステ ル 化
(バイ オディ ーゼル 燃料)
N P O 法 人 I N E OASA
広島県北広 島町
菜の花、廃 食用油
NPO法人INE OASA(いーね おおあさ)は、「蘇れ!おおあさ」をテーマに、
空き農地を活用して菜の花を栽培、廃食油を回収して軽油の代替燃料をつくり、資源 循環型地域社会の実現を目指したプロジェクトに取り組んでいる。
2000 年から、菜種油を精製し、地域で食用脂として使用している。使用後の廃食油を 回収し、2001 年に導入した廃食油燃料化プラントでバイオディーゼル燃料を精製し、
これをスクールバス等の燃料としている。
1 表 2.1-1 中国地域のバイオマス利活用に関する主な取組事例(2/4)
2.5
運営主体 所在地 利活用バイ オマス資源
概要 出
典
事例 シート 8 NPO 法人鳥
取 県 発 エ コ タ ウ ン 2020
鳥取県鳥取 市
生ごみ NPO法人鳥取発エコタウン 2020 は、2003 年4月から鳥取市津ノ井・生山地区で生ご み発酵によるメタンガスを活用した町づくりの実証試験に取り組んでいる。
廃棄物のない循環型社会の実現を目指して、同法人が鳥取環境大学や大学周辺の農家 等と連携し、工場・農家・学校・住宅等が混在する実社会で幅広く住民に参加を呼び かけて地域ぐるみの活動として推進している。
1
9
バイオ ガス化
株 式 会 社 タクマ
広島県三原 市
家畜排せつ 物
株式会社タクマ(兵庫県尼崎市)が大洋興産株式会社第一牧場(旧大和町)において メタン発酵によるエネルギーおよびたい肥化を実施している。
家畜排せつ物から、メタン発酵法により、「バイオガス」としてエネルギーを取り出し、
発電等に利用すると同時に、メタン発酵残渣からたい肥を製造している。
2002 年に試運転を行い、2003〜2004 年度に実証開発を行っている。
1
10 その他 燃料化
銘 建 工 業
(株)
岡山県真庭 市
木くず 岡山県真庭地域では、中国山地の豊富な木質バイオマスの利活用に向けた取組みを推 進している。銘建工業は、1970 年から集成材の生産を開始し、1984 年から木くず(プ レーナーチップ)を利用した発電機(175 kW)により発電を始めているが、1998 に現 在の設備(1,950 kW)に更新し、工場の消費する電力を賄うとともに、2003 年 4 月か ら施行された「電気エネルギーによる新エネルギー等の利用に関する特別措置法」に 基づき、中国電力に売電を始めている。
現在、1 日 100 トンのプレーナー屑を使用し、2,000 kW の発電を行い、内 1,200 kW を 売電している。
1 ◎ 表 2.1-1 中国地域のバイオマス利活用に関する主な取組事例(3/4)