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5.1 逆問題の構成   

この章では、実際に衛星・航空機で観測した画像から樹木モデルのパラメータを推定する 方法を構築する。この推定には,観測画像とモデルから作成した画像との差(U)が最小にな るようなモデルのパラメータを求めるという、逆問題の一種である表面再構成法を用いる。

表面再構成法として設定した問題は,以下の U を最小にする求めるモデルの解 z(x,y)を求 めることとなる。 

 

U{z(x,y)}= 

∬[∑(Iok(x,y)‑Ick(x,y))2+λ(∂z(x,y)2/∂x∂x+ 

2∂z(x,y)2/∂x∂y+∂z(x,y)2/∂y∂y)]dxdy      (1)   

Iok(x,y): 観測画像 第 k バンド 

Ick(x,y): モデル計算画像 第 k バンド 

∑:バンド k についての総和   λ: ラグランジェ乗数 

 

ここで∑(Iok(x,y)‑Ick(x,y))2は観測画像とモデル計算画像の全バンドの自乗誤差和が最小 になること、すなわちモデル計算画像が観測画像ともっともよく一致することを目的とし た目的関数である。また(∂z(x,y)2/∂x∂x+2∂z(x,y)2/∂x∂y+∂z(x,y)2/∂y∂y)の項は 目的関数が充分になめらかになるように設定した項目である。この両者をラグランジェ乗 数にて釣り合いをとっている。実際にはこの最小化問題を最急勾配法などの数値解法で解 いて解を求める。 

   

5.2 解の適切性   

樹木パラメータ推定を逆問題としての定式化した次には、逆問題の適切性を検討する必要 がある。ここで、Hamadar の意味で適切な問題とは、以下の 3 つの条件を満たす必要が ある17)。一般的に逆問題は不適切であることが多い。

(1) 解の存在性 (2) 解の一意性 

(3) 解の連続性あるいは安定性   

まず適切性の条件の(1)解の存在性および(2)の一意性について検討する。樹木パラメータを 推定する場合、解となる樹木パラメータの物理的意味を考えて解空間を限定して考えると、

工学的には解の存在および一意性はある範囲のなかで十分満足される。実際樹木パラメー タとして樹木のサイズ(形状は相似形)と間隔の2つを求めるパラメータとして推定した。

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表面再構成法により最適パラメータを求められることを確認するために、最適化目的関数 の形状を示した(Fig.19)。この図に示すように、解の空間を限定しないと局所的な最適解が いくつも存在し、一意性が保てない。しかし現実問題としては図中の四角形で示すように、

解空間を物理的に意味をもつ範囲に限定すれば、その範囲において解の存在と解の一意性 が満足されている。

Fig.19の計算条件を以下に示す。

樹高真値:7.5m 樹木間隔真値:10m

樹木形状:回転楕円体 (樹木中心高h=2.5m、樹冠厚みb=5m、樹冠半径r=4m)

衛星位置(‑140Km, 0Km, 830Km) 

衛星位置は 3.2 と同様であり、入射角 9.6 度で太陽と逆方向から観測している。

なお適切性の3 番目の条件である解の連続性・安定性についても、理論的な可能性だけで はなく樹木パラメータの推定という工学的問題に限定して検討する。逆問題の連続性・安 定性を考える場合、以下の3つのステージで考えられている17)。 

段階 1:誤差やノイズを含まない一次情報を用いた場合に正解が得られること。 

段階 2:一次情報に小さな誤差やノイズが含まれる場合に、正解に近い解が得られること。 

段階 3:実測定に対応した誤差やノイズを含む一次情報を用いた場合に、要求された精度、

あるいは原理的上限に近い精度の解が得られること。 

 

ここで Fig. 19 のケースを考える。この場合最急勾配法で最適解を求めることが出来るの

で、段階 1 の理想的な場合では解の連続性・安定性は満足される。なお実データによる樹 木パラメータの推定で、実際のデータを用いた解が求まっている(5.3 節参照)。このため、

連続性・安定性も段階 1 および 3 で確認できた。 

 

以上の考察により、この樹木パラメータを求める逆問題は、解空間を物理的に意味のある 範囲に限定すれば適切な問題となり、意味のある解を求めることができることが分かった。 

   

                                                 

Fig. 19 Optimal function to estimate tree parameter 

Tree height (m)

0.75 7.50 15.00

Tree distance (m)

5.0

10.0

20.0

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