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レイトレーシングモデルに基づく樹冠率の推定

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Academic year: 2021

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(1)レイトレーシングモデルに基づく樹冠率の推定 Estimation of tree crown ratio based on a rayray-tracing model. 2003 年 3 月 佐賀大学大学院工学系研究科 システム生産科学専攻. 葛 岡. 成 樹.

(2) 概. 要. This paper proposes a new model to estimate trees parameters- like tree size or density, and investigates how this model can be applied in the real business world. Estimation of trees parameters using remote sensing data is required to evaluate greenhouse gas absorption or to manage forest. For this purpose, Geometric-Optical model was proposed. This model calculates the geometry of a satellite and trees analytically, but it is difficult to consider trees over a slope area with oblique observation. Ray tracing technique is used in the new model to calculate the geometry accurately then the new model has much flexibility. The new model also considers the spectral features of trees and grasses using a spectral library. The model can be useful for spectral analysis For the modeling, observation conditions, environment conditions, and observation targets are defined. These include the satellite position, the sun position, target trees and grass. Then ray tracing is used to calculate the observed image geometrically. At that time, the model calculates the sunshade and shadow of trees also. After ray tracing, each pixel is assigned the spectral features from spectral library. The model calculates the brightness depending on the spectral band. Finally the pixel size is reduced to match the real satellite observation. Trees parameters can be estimated to resolve an inverse problem based on this model using surface reconstruction method. Tree density and the size was calculated from the simulated satellite image to evaluate the inversion. The model was also evaluated by BOREAS data to estimate the crown ratio by the surface reconstruction method. The estimated results was compared to the GIS data, and reached to the good results. In this paper, the four conditions of remote sensing algorithm were picked up to be applied in the real business world by examining the well applied land deformation monitoring. These four conditions were examined for the trees parameters estimation algorithm. Even though the further advances are required, the trees parameters estimation algorithm on this paper was convinced to be applied well in the real business world.. Keywords surface reconstruction, trees model, Optical-Geometric model, BOREAS i.

(3) 要. 旨. この研究は森林管理のためのリモートセンシング森林モニタにおいて、レイトレーシング 技術をモデリングに適用して樹冠率などの樹木パラメータを推定する手法を開発し、かつ その手法の実用化について論じたものである。 この研究ではまず温暖化防止などに代表される地球環境保全のために森林管理が重要であ り、森林モニタが必要であることを明らかにした。従来林業のための生産財と考えられて いた森林が環境財としての森林へ役割を変えており、このためのモニタも従来の森林簿で 管理するモニタからリモートセンシングによる広域森林モニタが必要であることを示した。 次にリモートセンシング により森林をモニタするため、レイトレーシングモデルに基づく 樹木パラメータの推定方法を提案した。具体的には、レイトレーシング技術を用いて幾何 学的に精密に対象物(複数の樹木)の形状をモデル化し陰影を考慮して人工衛星等のセン サで観測した画像を計算し、さらにスペクトルライブラリのデータを割り当てることによ りラジオメトリック的な意味を持たせた樹木モデルを提案した。このモデルを用いると SPOT 等の斜め下観測や斜面における樹木等複雑な幾何関係にある樹木をモデル化でき、 かつ樹木と下草とのスペクトル特性の相違を表現することが出来る。このモデルを使用し て対象物と太陽・センサの相互位置関係や樹木の粗密度に応じて衛星・航空機からの観測 画像を計算することができるようになった。 さらにこのモデルを表面再構成法にあてはめ、モデル計算結果が実観測画像と等しくなる ように樹木パラメータを調整してリモートセンシング観測画像から定量的に樹木パラメー タを推定することができることを示した。実際に NASA BOREAS プロジェクトで取得し たカナダの森林地帯を航空機搭載ハイパースペクトルセンサ(CASI)で観測した画像を用い て本モデルに基づく樹冠率推定が可能であることを示し、別途取得されている実データと 比較して良く一致していることを確認した。 最後に提案したリモートセンシングによる森林モニタを実用化する要件について検討した。 PSInSAR という人工衛星から地表面変動を観測する手法が理論的に開発されたあと、日本 において実用化するなかで得た経済的・技術的な 4 つの項目を、リモートセンシング技術 を実用化する要件として挙げた。 まず経済的観点からは、環境財たる森林を広範な受益者が共同で保全するための資金確保 制度が日本や世界に置いても順次採用されつつあり、提案した森林モニタを実用化する経 済的環境が整いつつあることを示した。また技術的な 3 つの項目として、リモートセンシ ングの顧客は衛星画像データには興味がなく、データから得られる情報のみを求めている、 現場技術者が容易に理解できる情報が、例えば2次元で・過去に遡って得られれば実用化 されやすい、さらにやってみないとうまくいくかどうか分からないという手法は採用され ii.

(4) ないという要件を示した。 本研究で開発した樹冠率等樹木パラメータ推定のアルゴリズムは、この 4 つの実用化要件 のうち、経済的な要件、および技術的な第一の要件を満たしており、技術的第 2 要件につ いても現場の森林管理者が使用できるパラメータを 2 次元で推定しているという点でほぼ 満足している。今後技術的第 2 要件の後半(時間変化)および技術的第 3 要件(制限・限 界の確認)について本モデルを基本として拡張・検証すると、今回開発した手法は実用化 の要件を全て満たすものとなる。 以上の検討によりここで提案する新しいレイトレーシングモデルに基づく樹冠率の推定方 法は、技術的有効性・新規性を有するだけではなく、今後拡張・検証の上実際の森林管理 業務に十分利用されうるものであるとの結論を得た。 本研究の独自性・新規性についてまとめる。従来コンピュータグラフィックス等の分野で よく用いられているレイトレーシング技術をリモートセンシングにおける森林の樹木モデ ルに適用して樹冠率などの樹木パラメータを推定し、さらにその実用化の要件までを検討 したように、新しいモデル・手法の全体を一貫して提案したことに本研究の新規性がある。 レイトレーシング技術を適用することにより、樹木モデルとして従来提案されていた GeoOptics モデルを精密にまた各種の条件下で柔軟にモデル化することができるようにな った。さらに従来の GeoOptics モデルでは考慮されていなかった対象物のスペクトル情報 を新規に組み込むことにより、樹木と下草といった対象物と背景とのスペクトル情報の相 違をモデル化することができた。本研究により幾何学的・ラジオメトリック的それぞれミ クロの意味合いを持ったモデルを用いてマクロなリモートセンシング画像から樹木パラメ ータを定量的に推定することが可能となった。 従来リモートセンシング画像から樹冠率等の森林パラメータを推定するには、最尤法やハ イパースペクトルによるミクセルモデルなどが使用されてきた。これらのモデル・手法は 基本的には取得されたリモートセンシング画像の統計的性質を利用するものであり、得ら れた結果と対象樹木・森林の物理的特性との関連が明確ではなかった。これに対して今回 提案したモデル・手法は森林の物理的構造やスペクトル特性に基づくものであり、得られ た結果から対象樹木・森林の物理的特性が明確になり、森林保全現場での理解が容易であ る。また統計的手法で必要な教師データ(グラウンドトゥルース)が本モデル・手法では 不要である。樹冠率の教師データを実際の森林から取得するのは困難であり、さらに教師 データの選定には選定位置の恣意性・選定した位置の解への依存性といった問題があるが、 今回提案したモデル・手法ではこれらを解決することが出来る。最後に統計的手法では、 推定の前に斜面・日陰などのラジオメトリック特性の補正が必須でありかつ困難であるが、 今回提案したモデル・手法ではモデルのなかにこの特性を容易に組み込むことができるよ うになった。 本論文は 7 章から構成する。まず第 1 章は序論として、林業のための森林管理だけではな iii.

(5) く地球環境保全のために持続型森林管理が必要となったことを論じ、従来の森林モニタ方 法およびリモートセンシングによる森林モニタを紹介する。第 2 章ではレイトレーシング モデル技術を用いて開発した樹木モデルについてその特徴、計算方法について述べる。第 3 章では開発した樹木モデルを用いて、太陽入射方向を変えた場合の反射輝度などいくつ かのケースについて樹木モデルの妥当性を論じる。第 4 章は BOREAS という北米の森林 を航空機搭載ハイパースペクトルセンサで観測した実データを用いて樹木モデルを評価し ている。第 5 章では BOREAS データに対して開発したモデルを表面再構成法として逆問 題を解いて樹冠率を求める。求めた結果は BOREAS プロジェクトで得られた GIS データ と比較した。第 6 章は開発した樹木パラメータ推定方法の実用化のため、必要な事項を経 済的側面および技術的側面から提案する。第 7 章は結論であり、本研究で得られた成果を まとめる。. iv.

(6) 目. 次. 第1章 1.1 1.2 1.3 1.4. 持続型森林管理のために ……………………………………… 地球環境保全 …………………………………………………… 林業のための森林から環境保全のための森林へ …………… 森林モニタ ……………………………………………………… リモートセンシングによる森林モニタ ………………………. 1 1 3 4 9. 第2章 2.1 2.2. レイトレーシングによる樹木モデル ………………………… 提案モデルの特徴 ……………………………………………… モデル計算フロー ………………………………………………. 11 11 12. 第3章 3.1 3.2 3.3 3.4 3.5. 樹木モデルの評価検討 ………………………………………… 入射方向を変えた場合の反射輝度 …………………………… 傾斜面における反射輝度 ……………………………………… 樹木サイズの変化に伴う観測値の変化 ……………………… 樹間距離の変化に伴う観測値の変化 ………………………… 樹木形状の相違に伴う観測地の変化 …………………………. 25 25 27 29 31 33. 第4章 4.1 4.1.1 4.1.2 4.1.3 4.1.4 4.2. 実データを用いた樹木モデルの評価 ………………………… 35 使用データ ……………………………………………………… 35 テストサイト ……………………………………………………… 37 航空機搭載ハイパースペクトルセンサデータ ………………… 41 地図データ ………………………………………………………… 43 グラウンドトゥルースデータ …………………………………… 45 BOREAS 用モデルの構築 …………………………………………… 45. 第5章 5.1 5.2 5.3. 樹木パラメータの推定 …………………………………………… 逆問題の構成 ……………………………………………………… 解の適切性 ………………………………………………………… 実データによる樹冠率の推定 ……………………………………. 第6章 6.1 6.2 6.3. リモートセンシングによる森林モニタの実用化に向けて …… 55 リモートセンシングの実用化 …………………………………… 55 実用化されたリモートセンシング技術の例 …………………… 57 経済的観点からのリモートセンシングによる森林モニタ 実用化のための提言 ……………………………………………… 59 技術的観点からのリモートセンシングによる森林モニタ. 6.4. 47 47 47 50. v.

(7) 実用化のための提言 第7章. ……………………………………………… 61. 結論 ………………………………………………………………… 64. 謝辞 …………………………………………………………………………………… 66 参考文献 ……………………………………………………………………………… 68. vi.

(8) 表 一 覧 Table 1. Example of forestry inventory ……………………………………………… Table 2. CASI spatial bandsets used during BOREAS ……………………………. 6 42. vii.

(9) 図 一 覧 Fig.1 Example of tree crown survey ……………………………………………………… Fig.2 Model flow …………………………………………………………………………… Fig.3 Model coordinate system …………………………………………………………… Fig.4 Tree model …………………………………………………………………………… Fig.5 Ray traced image …………………………………………………………………… Fig.6 Spectral library data ………………………………………………………………… Fig.7 Spectral assigned image ……………………………………………………………… Fig.8 Model calculation image ……………………………………………………………… Fig.9 BRDF simulation ……………………………………………………………………… Fig.10 Slope simulation at 799.76nm band ………………………………………………… Fig.11 Reflectance change depending on tree size ………………………………………… Fig.12 Reflectance change depending on tree distance …………………………………… Fig.13 Reflectance change depending on tree shape ……………………………………… Fig.14 Test site ……………………………………………………………………………… Fig.15 Overview of the test site ……………………………………………………………… Fig.16 Photo of the trees …………………………………………………………………… Fig.17 Photo of the under tree grasses ……………………………………………………… Fig.18 Calibrated model calculation image and CASI data ………………………………… Fig.19 Optimal function to estimate tree parameter ………………………………………… Fig.20 Estimated spectral data ……………………………………………………………… Fig.21 Estimated tree parameters …………………………………………………………… Fig.22 Estimated tree parameters by most-likelihood method ………………………………. 8 13 15 17 19 21 22 24 26 28 30 32 34 36 38 39 40 46 49 51 52 54. viii.

(10) 第 1 章 持続型森林管理のために. 1.1 地球環境保全 人類の生存基盤である地球の環境保全が求められる時代となってきた。地球環境問題とは 地球全体に関わる環境破壊問題であり、国際社会を通じて人類共通の課題となっている問 題である。「環境基本法」第 2 条によると、地球環境とは「人の活動による地球全体の温暖 化又はオゾン層破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球全体又はその 広範な部分の環境に影響を及ぼす」と規定されている。「広範な」という観点から、従来一 地方の問題として取り上げられていた「公害」とは区別されている。約 50 億年前の地球の 誕生以降、数百年前に人類が発生してからも地球環境を積極的に保全する必要性はとくに なかった。これは地球環境が従来自然の持つホメオステーシス機能により自律的に制御さ れていたためである。しかし近年の人類活動の活発化により、自然のもつホメオステータ ス機能を越えて再生不能な地球環境破壊が進むに至った。このため従来の自律制御機能を 支援するため、人類として地球環境の積極的な保全が必須となってきた。 地球環境の問題のなかで、この論文では地球温暖化を中心とする気候変動を取り扱う。こ れは気候変動が地球環境問題のなかでも人類・さらに生物にとって最も根元的な問題であ るからである。地球は大気に覆われているため、その平均地表面温度を 15 度±数度に保っ てきていた。大気がなければ宇宙空間と直接地球が接するため地表面温度は-18 度まで下 がるといわれている。大気は地球で発生した熱を閉じこめ、地表面温度を適度に保ってき た。ところが大気における温室効果ガスの増加により、大気の微妙な温度制御機能が失わ れている。1989 年に結成された気候変動に関する政府間パネル(IPCC: Intergovernmental Panel for Climate Change)が 1995 年に提出した報告では、地表気温は最も高くなったと して約 3.5 度、最も低いシナリオで約 1 度、中間シナリオでは約 2 度∼2.5 度の上昇と予測 されている。この地球温暖化ため、IPCC では以下の影響を懸念している。これらの影響 は陸上の砂漠化・野生生物の種の減少など単に気候に止まらず、地球環境全般へ影響を及 ぼす。 ・50cm 程度の海面上昇 ・極端な高温など、気象変動の極端化 この地球温暖化の原因は温室効果ガスと呼ばれる気体だとされている。温室効果ガスは大 気中において地表面からの熱を吸収する働きがあり、その代表が二酸化炭素である。大気 中の二酸化炭素の濃度が上昇すれば地表からの放射熱を吸収し地球外部へ放出することを 遮断してしまう。これが温室効果である。産業革命の頃は 280ppmv(容積比)しかなかっ た二酸化炭素濃度は、その後の人間活動、とりわけ産業活動などにより 1994 年には約 358ppmv 程度まで上昇してきている 1)。この他に温室効果ガスとしてはメタン、亜酸化窒 素、対流圏オゾン、フロンがある。IPCC の 1990 年の報告書では、代表的な温室効果ガス 1.

(11) である二酸化炭素について、現在の濃度で安定化させるためには排出量を世界全体でただ ちに 60%削減しなければならないと指摘した。また気候変動に関する国際連合枠組条約締 約国会議の第三回締約国会議(COP3)では 2010 年における温室効果ガスの排出量を 1990 年レベルより 5%削減するという具体的な数値目標と政策措置が規定された。 地球温暖化を軽減するため温室効果ガスの総量を減少させるためには排出量の削減は当然 であるが、同時に温室効果ガス吸収して総量を削減するように温室効果ガスの吸収量を増 大させる必要がある。温室効果ガス、とくにその中心である二酸化炭素を吸収するのは森 林を中心とした植物である。森林は大気中の二酸化炭素を吸収し光合成を行って炭素を樹 林体内に蓄積する。樹木が死ぬとこの炭素の多くは再び大気中に帰るが、根などの炭素は 土壌中のバクテリアなどにより酸化され二酸化炭素となる。このために土壌中の二酸化炭 素の分圧は空気中よりも遙かに高い。この土壌中の二酸化炭素が岩石中の珪酸カルシウム と反応して炭酸カルシウムと珪酸になり、地下水に乗って河川から海に入り沈降する。つ まり森林は空気中の二酸化炭素を吸い込んで土壌に降ろし、それを固定沈下させるポンプ の役割を果たしている 2)。 福岡によると、現在地球上に排出されている二酸化炭素は 1990 年代半ばの時点で 200 億 トンを越えている 3)。エネルギー消費を従来どおりに続けるとこの排出量は毎年約 6 トン ずつ増え、かつ毎年 1700∼2000ha に及ぶ熱帯雨林の減少による二酸化炭素の吸収能力減 少を考慮すると、毎年約 10 億トンの二酸化炭素排出量の増加となる。現在存在する森林が 吸収できる二酸化炭素量はせいぜい年 110 億トンとされ、海洋生物など他の二酸化炭素吸 収能力を考慮しても(50 億トン∼70 億トン)すでに二酸化炭素の排出量は自然の吸収能 力を超えた段階に達しつつある。二酸化炭素の吸収能力を健全に維持し、地球資産の減耗 を防ぐためには、少なくともこの 20 年間で失われた森林約 4 億 4000 万 ha の相当部分を 取り戻すことが必要である 3)。 このように森林の二酸化炭素の吸収という役割は、地球温暖化防止の重要な要素と考えら れ各種研究・提言がなされてきたが、ついに研究段階から具体的な施策・法整備段階へと 進展してきた。国際レベルでは前述の COP3(1997 年)において枠組み条約の内容を具体化 し 2000 年以降の業務を定める議定書、京都議定書(Kyoto Protocol to the United Nations Framework Convention on Climate Change)が定められた。この議定書では各締約国に おける二酸化炭素の削減量を規定すると同時に、ネット方式を採用した。すなわち森林吸 収源による二酸化炭素の吸収を認め、1990 年以降の新規の植林・再植林および森林減少を 排出量から差し引き同年以降の伐採は二酸化炭素を排出したとみなした。このため日本は 二酸化炭素の削減目標 6%のうち 4.9%を吸収源の確保で達成してもよいことになった。ま た日本政府は、2002 年 3 月に日本における地球温暖化対策を取りまとめた新たな「地球温 暖化対策推進大綱」において、日本の森林による二酸化炭素の吸収量を高めていくことを 目的とした「地球温暖化防止森林吸収源 10 カ年対策」を明記し、政府全体として吸収源対 策に取り組む姿勢を示した。農林水産省と環境省は、森林に関わる地球温暖化防止や生物 多様性の保全などの問題に連携しながら今後の検討を進めるため、2002 年 5 月、農林水産 2.

(12) 省と環境省の両副大臣を筆頭とする両省のメンバーによる「地球環境保全のための森林保 全整備に関する協議会」を設置した。さらに、二酸化炭素の吸収源や生物多様性保全を図 る上で重要な役割を担う我が国の森林について保全や整備をさらに進めていくため、有識 者等からなる「地球環境保全と森林に関する懇談会」を設置し、今後の方針について検討 をすすめている。. 1.2 林業のための森林から環境保全のための森林へ 従来日本の森林は主に材木を生産するため、林業のための場として認識されてきた。林業 のための場、すなわち生産財としてのみ森林を捉えると、近年森林の価値が著しく低下し ている。国民経済のなかでの林業の地位は毎年低下傾向にあり、国民総生産(GNP)の約 0.3%、8000 億円∼1 兆円にしかすぎない。山元立木価格の伸びは 1971 年対比で 1985 年 の全国平均 1.57 倍(ヒノキ)であり、伐木造木、造林作業者の賃金伸び率 2.98 倍、3.55 倍に及ばなかった 3)。林野庁の調査によると森林経営としてのスギ林の利回りは 1967 年に 8.1%であったものが 1981 年には 2.8%、1984 年には 2.1%に低下した。銀行の長期預金金 利と比較しても 1957 年では森林経営の方が有利であったものの 1967 年にほぼ同率、 1981 年以降は低迷が続いている。このような状況のもと、森林経営者が生産財としてのみ森林 を評価したため森林に投下する資本が極端に減少し、森林の維持ができなくなっている。 一方前節に示したように、森林は生産財として捉えるだけではなく、環境財として捉える 必要が生じてきた。つまり温暖化防止のための二酸化炭素吸収効果・便益など木材生産効 果・便益以外の効果・便益を考慮する必要がある。実際首都圏における森林管理費などの 資本は 1ha あたり 250 万円かかるのに対し立木売上高(伐期 50 年)500 万円だけを考え ると利回りは約 1.4%にすぎないが、木材生産以外の森林効果が 1ha あたり 283.6 万円(含 む二酸化炭素の工業削減コスト分 63.7 万円)を考慮すると利回りは約 8.5%と改善される 3)。このように森林の効果・便益を考えるときに環境保全の経済効果を考慮すると、森林 は十分持続可能すなわち将来世代の必要を満たす能力を損なうことなく今日の世代の必要 を満たすような発展が可能である。 このように林業のためだけではなく、環境保全のための森林という多様的な捉え方に基づ いた森林管理の制度が世界的に求められるようになり、かつ実現してきた。まず 1992 年 リオデジャネイロでまとめられた「森林に関する原則宣言」の前文(f)では、すべての森林 は人類の必要を充足させる資源としての価値と環境的な価値とを提供していること、その 能力は顕在化しているものだけではなく、潜在しているものを抽出できることを含め、独 自固有の生態系としてのプロセスと構造を持っていることを強調している。また「森林に 関する原則宣言」をうけ、各国際機関・各国で森林資源の持続可能性維持、種の多様性の 保存、森林の環境機能の維持などについて提案・施策が行われている。例えば 1996 年北 欧では「北欧森林認証プロジェクト」として、持続可能な森林経営を確立するための諸企 3.

(13) 画の提起と認証プロセスの開発をおこなっている。ドイツにおいても持続性の原則と環境 保全のルールに適合している木材の市場への出荷に対して、1997 年に「環境適合生産地マ ーク」制度を導入している。. 1.3 森林モニタ 林業のためであろうと環境のためであろうと、持続可能な森林保全をおこなうためには、 森林管理という全体プロセスのなかで制御およびモニタのフィードバックループを構成す る必要がある。森林管理の制御とは、具体的な森林保全・造林のための施策である。例え ば異なった年齢の混交林を育成するため伐採・植林の規模・対象を定める植伐均衡技術や 1989 年にタイ政府が実施した森林伐採の全面禁止、インドネシアにおける森林の機能に着 目した林地のゾーニング(保安林、保存林、生産林、転換林の区分)などがある 2)。ここ で取られた施策(制御)の結果が期待通り実行されているか森林状況をモニタし、そのモ ニタ結果に応じて次の施策を決定するというのが森林管理の全体プロセスである。 一方森林のモニタは、施策で決定された森林の管理が実際に行われているかどうか、また 計画と合致しているかを調べる行為である。従来は林業のための森林という考えのため、 森林モニタは生産財の管理としての森林モニタであり、モニタ結果も林業関係者にのみ開 示されていればそれでよかった。例えば、ある県における森林は森林簿という台帳でモニ タ・管理されており、管理項目およびその意味は以下のものである。この森林簿の項目を 見て分かるように、基本的には木材生産のための管理でありまた土地の管理といえる。こ の森林簿の例を Table 1 に示す。 市町村・林班・準・小班・枝: 対象の森林を小林班(林分)という単位で管理する 管理単位の番号 最新履歴: 管理情報の更新履歴 大字漢字名・字漢字名・地番: 地名・地番 面積: 林分の面積(たとえば 0.01ha 単位で記述されている) 第1林種: 大雑把な土地利用を示すもので、人工林、天然林、未立木地、竹林、原野、田 畑等、その他無立木地、国有林、その他、の各項目に分かれている。 第1樹種: より詳細な樹種の項目を示すもので、スギ、ヒノキ、アカマツ、その他針葉樹、 ブナ、ナラ、コナラ、その他広葉樹、岩石 地、崩壊地、などの項目がある。 第1林齢: 林齢は人工林の場合は植林されてからの年数、天然林の場合は伐採されてから の年数 第1面積: 小林班が所有の最小単位となっておりますが、その中で林種、樹種、面積など の項目がさらに第 1∼第 3 まで細分される場合がある。細分された場合、面積は第 1∼第 3 までの合計を示す。 細分されない場合は第 1 面積=面積となっている。 4.

(14) 第1蓄積: 蓄積は幹の部分の体積を示すものであり、単位は立方メートルである。この算 出方法は、収穫表というものを用い、その収穫表と樹種、林齢、地位(地面が木に とってどれくらいよいかを 3 段階で表現したもの)とを照らし合わせて算出する。 制普: 制限林か普通林かの区別を示す。制限林とは、水源涵養保安林など、法的規制の かかった地域のことで、木材管理方法が普通林よりも制限されている。 保安林1: 保安林の指定の有無を示す。 自然公園: 自然公園の指定の有無を示す。. 5.

(15) Table 1. Example of forestry inventory. 市町 林 準 小 枝 最新 村 班 班 履歴 XX村 1 い 1 0 XX村 1 い 2 0 XX村 1 い 3 1 XX村 1 い 3 2 XX村 1 い 4 0 XX村 1 い 5 0 XX村 1 い 6 0 XX村 1 い 7 0 XX村 1 い 8 0 XX村 1 い 9 0 XX村 1 い 10 0 XX村 1 い 11 0 XX村 1 い 12 0 XX村 1 い 13 0. 大字漢 字名 YY YY YY YY YY YY YY YY YY YY YY YY YY YY. 字漢 字名 ZZZ ZZZ ZZZ ZZZ ZZZ ZZZ ZZZ ZZZ ZZZ ZZZ ZZZ ZZZ ZZZ ZZZ. 地番 3354-1 3355-2 3355-1 3355-1 3356-1 3368 3368 3357-1 3358 3368 3368 3359 3359 3360. 面積 第1 林種 0.10 人 0.09 人 0.25 人 0.11 人 0.13 天 0.03 竹 0.02 竹 0.11 人 0.20 天 0.04 竹 0.05 竹 0.20 人 0.10 天 0.30 天. 第1樹種 第1 第1 第1 制 保安 自然 林齢 面積 蓄積 普 林1 公園 ヒノキ 15 0.10 3普 なし スギ 57 0.09 41 普 なし スギ 57 0.25 113 普 なし ヒノキ 15 0.11 3普 なし その他L 65 0.13 18 普 なし たけ 0 0.03 普 なし たけ 0 0.02 普 なし スギ 70 0.01 5普 なし その他L 55 0.20 27 普 なし たけ 0 0.04 普 なし たけ 0 0.05 普 なし ヒノキ 38 0.20 34 普 なし その他L 60 0.10 14 普 なし その他L 55 0.30 40 普 なし. 6.

(16) またこのほか林業のための森林管理に用いられている樹木サイズ・密度・樹冠投影図など は基本的に林分レベルの定量的モニタ項目である。従来のモニタは基本的に作業員による 直接計測(全林毎木調査法)と林分の一部を調査して全体を推定するサンプリング法があ る。各項目の計測方法を以下に示す 4)。 ・ 樹木サイズ: 樹木サイズは樹木固体(幹・枝・葉を含む)の高さ、直径、周囲長、断 面積、体積、重量などの諸量をさす。このなかでとくに胸高直径(DBH)、胸高周囲長 (GBH)、胸高断面積(BA)および樹高(H)がよく使われる。胸高(BH)での直径を DBH と いい、その周囲を GBH という。BA は DBH または GBH を用いて計算される。立木全 体の高さを H といい、稚樹の場合では樹幹長も併せて測定される。 ・ 密度: 密度は林分レベルの定量的測度のひとつである。密度は一定面積において観察 される同一種の立木本数とその面積との関係を示す。サンプリング法のひとつであるプ ロットサンプリング法は、一定面積の調査区を設定し、その中にあるサイズ以上の幹数 をカウントして密度を推定する方法である。国有林の調査では 0.05ha(20mx20m)∼ 0.1ha(20mx50m)が採用されている。斜面に正方形・長方形の調査区を設置する場合は、 平均傾斜度を測定して、あとで水平投影面積に換算する。 ・ 樹冠投影図: 樹木の位置とその樹冠を鉛直投影した平面図は樹冠投影図と呼ばれ、森 林の空間構造を明らかにしたり樹種は固体ごとの定着や成長と立地環境の関係を解析 するなどのために使われる。作成は現地において樹冠の広がりを直接図面に作成するか、 樹冠が良好に識別できる航空写真がえら得る場合はオルソ補正した航空写真から作成 することも可能である。樹冠投影図の例を Fig. 1 に示す 4)。. 7.

(17) Fig. 1. Example of tree crown survey. 4). 8.

(18) 1.4 リモートセンシングによる森林モニタ 従来から用いられていた現地計測による森林モニタとは別に、衛星・航空機リモートセン シングによる森林モニタが利用されている 5)。森林モニタとしてのリモートセンシングの 利用は、林分調査、林野災害調査(林野火災、山崩れなど)、森林 GIS の画像データとし て(オルソ写真の代用など)としてなどが多く行われている。ここで林分調査としては樹 種の分類(定性的)が中心である。リモートセンシングを用いた樹種の分類は、基本的に は樹種によってリモートセンシングデータの反射特性が異なる(スペクトル特性)ことを 利用し、地表面の状況が既知のエリアにおけるスペクトル特性を統計的にまず求め、この データを教師データとしてリモートセンシングデータ全域にわたる分類を行う統計的な手 法である。 一方樹種分類とは別に定量的計測としてのリモートセンシング技術としては、正規化植生 指数(NDVI: Normalized Difference Vegetation Index)や葉面積指標(LAI: Leaf Area Index)、光合成有効放射吸収量(APAR)などを求めることが行われてきた 6)7)。NDVI は 1973 年に Rouse らによって提案された指標で、植物による光合成有効放射(APAR)の吸収割合 に比例する量である。また PAR の吸収割合は植物の純一次生産力(NPP)に比例するから、 NDVI を求めることにより NPP を求める事につながり、炭素収支と密接に関連する純一次 生産力を全球レベルで定量的に推定することが可能となる。この NDVI の具体的な計算は 以下のとおりである。 NDVI= (NIR-red)/(NIR+red) NIR はリモートセンシング画像の近赤外領域の値、red は赤領域の値。 また LAI は単位地表面積葉面積合計値であり、元々は樹木を切り倒して葉を全量収集し計 測するしかなかった。最近森林内に入射する光の量から葉面積を算出できる間接測定機器 が実用化されてきた。これは樹種毎に定まる森林内入射光量と葉面積との間の線形関係を 利用した間接計測である。さらに間接測定法によりスギ・ヒノキ人工林の LAI を多地点で 測定し、リモートセンシングデータから求まる NDVI との関係を調べ、スギ・ヒノキ人工 林の LAI をリモートセンシングデータから求める試みもなされている。 樹種分類はともかく、リモートセンシング技術の立場から提案された NDVI、LAI などの 定量的指標は従来の生産財としての森林管理目的ではほとんど使われていない。この理由 は、これらの指標が林業従事者からは離れた立場から提案された指標のためである。この ためこれらの指標は林業従事者に理解されることが少なく、また現地を調査したときに現 地ですぐ測定できる項目との関係が明かではない。すなわち実際の樹木・樹林構造の物理 的なパラメータとの関連が直感的には分かりにくいという問題があった 8)。一方従来のリ モートセンシング技術では、樹木サイズ・樹冠密度などを求めることは容易でなかった。 また定性的な樹種分類だけでは森林管理に不十分である。. 9.

(19) 今後生産財管理として林業のための森林管理と同時に環境材保全のための森林管理が求め られるようになると、両方の目的に共通に使えまた実際に森林に伐採管理などの制御を行 う林業従事者が容易に把握できる森林モニタ項目が必要となってくる。さらに従来人手に 頼っていた森林モニタ項目では、全地球レベルの環境保全に使うことは不可能である。こ のためリモートセンシング技術を用いて広域にモニタでき、森林保全にフィードバックし うる定量的計測で、かつ現場の森林管理者が使いやすい・現地での把握が容易な森林モニ タ項目が求められている。. 10.

(20) 第 2 章 レイトレーシングによる樹木モデル樹木モデル 2.1 提案モデルの特徴 リモートセンシング技術を用いて森林構造を決定する樹木パラメータを定量的にモニタす るためには、表面再構成法が有効である 11)。この手法はまず観測対象のモデルを構築し, モデルから計算によりリモートセンシング画像を推定し,実際の観測画像とを比較して両 者が一致するようにモデルパラメータを求める手法である。この章では、森林モニタに使 用する樹木モデルをレイトレーシング技術を適用して提案する。 この表面再構成法の基礎として、樹木パラメータを直接求める前に従来まず樹木をモデル 化してリモートセンシング画像と比較する研究が行われてきた。例えば沖の論文 9)ではモ デルから求めた画像から NDVI 等従来のリモートセンシング分野で使用していたパラメー タを元に実観測画像と比較している。また Wenhan Qin の論文 10)でもシミュレーションし て求めた画像から反射率を計算して反射率の段階で実観測画像と比較している。 さらに従来の研究では、樹木モデルとして樹木を楕円体として近似したのち,太陽による 陰・影を幾何学的に計算する Geometric-Optical モデルが提案されていた 12)13)。しかし, このモデルでは SPOT 等衛星からの斜め下方向の観測や傾斜地の樹木を扱うのが困難であ り,適用範囲に限界があった。さらに,スペクトル特性を考慮していないので,樹木と下 草といった類似スペクトルをもつ対象が扱えなかった。 本研究ではレイトレーシング技法を用いて観測対象の樹木を幾何学的に精密に計算し,さ らに,スペクトル情報を割り付けることによりラジオメトリック特性をも扱える新しいモ デルを構築した。レイトレーシングを用いることにより,対象の樹木および太陽による陰 影を精確に計算することができ,複雑な対象物に対しても容易に幾何学的計算が可能とな った。また従来の Geometric-Optical 法では考慮されていなかったモデルのスペクトル特 性を考慮することにより,ミクロ的な扱いが中心であったスペクトル特性を衛星画像とい うマクロ的な扱いに結びつけることができる。 本研究では構築したモデルの有効性の確認も行う。まず双方向性反射特性(BRDF)や樹木密 度と画像との関係を提案モデルに基づき求め,従来のモデルに基づく結果と定性的に一致 することを確認する。また,航空機による樹林実測データを用いて,モデルが実測データ によく一致することを示す。最後に表面再構成法に提案モデルを適用し,実際に観測され た画像データから樹冠半径や樹木間隔などの樹木パラメータを推定できることを示す。 提案モデルは,Geometric-Optical 法の延長として,レイトレーシングを用いて斜め下観 測や傾斜地の樹木が扱えるフレキシブルなものである。また,スペクトルライブラリを用 いてスペクトル情報を組み込み,下草の樹木への影響評価やハイパースペクトルセンサデ ータの解析への適用を可能とした。 11.

(21) 2.2 モデル計算フロー 提案モデルでは,まず,衛星位置等の観測条件,太陽等の環境条件,樹木形状等の観測対 象を設定した後にレイトレーシング手法を用いて精密な幾何的位置関係を元に衛星からの 樹木等がどのように見えるか、またその明るさを計算する。次に作成したレイトレーシン グ画像の対象物に応じてスペクトルライブラリからスペクトルを割り当てる。さらに,画 像の分解能を低下させて衛星から取得した画像とする。Fig.2 に本モデルの計算フローを 示す。. 12.

(22) Observation conditions. Environmental conditions. Generating Ray-Tracing image. Spectral data assign. Resolution degradation. Model. Target conditions. Spectral library. Fig.2 Model flow. 13.

(23) (1) 観測条件の設定 Fig.3 にモデルの座標系,衛星と太陽との位置関係を示す。ここで観測範囲を狭い範囲に限 定し,地表は平面であるとしている(地球の曲率を考慮していない)。観測座標原点は地上 の観測対象中心とし,X 軸は観測中心から太陽方向を地上に投影した方向,Z 軸は天頂方向, Y 軸は X,Z 両軸に直行する方向とする。観測機器としては衛星または航空機搭載の光学セ ンサを考え,衛星・航空機は SPOT 等の斜め下観測を考慮できるように任意の座標で与え, 観測ベクトルの中心が原点を通過するように設定する。. 14.

(24) Z axis. Satellite. Sun. Position: (X, Y, 830Km) Sensor: 2D CCD camera Observation incident angle LOS (Line Of Sight) Observation center. Y axis (perpendicular to X on the ground). X axis (Sun direction on the ground). Fig.3. Model coordinate system. 15.

(25) (2) 環境条件の設定 太陽は X 軸上で仰角を任意に与えて位置を決め,簡単のため白色平行光としてモデル化し た。すなわち,太陽は観測対象と衛星間の距離に比べて遙かに遠いところにあり,全スペ クトル帯一様のスペクトル輝度をもつとしている。後に分光反射率を用いて議論するため 白色としても問題ない。また,大気効果は考慮しなかった。これは対象としている範囲が 比較的狭いことにより,対象範囲内においては大気の影響が一様とみなせ,後に説明する 環境光の一部としてバイアス的に取り扱うこととしたためである。この結果,大気による スペクトル選択的な吸収効果は無視した。このため実観測画像としては放射輝度画像では なく,大気補正を正しく完了している反射輝度画像を使用した。 (3) 観測対象の設定 観測対象は樹木と下草の 2 種類とした。樹木は回転楕円体でモデル化した(Fig.4)。回転楕 円体の樹木は,樹冠厚み,樹冠半径,および樹心高の 3 つのパラメータでモデル化できる。 この場合,樹高は樹心高+樹冠厚みで計算できる。一方,下草は地表の傾斜に応じて厚み 0 で一様に分布しているものとした。 下草・樹木の表面特性としては,両者とも太陽光の鏡面反射だけの反射、ハイライト,屈 折/透過はないものとし,拡散反射であるとした。自然物である樹木,下草には純粋な鏡面 反射のみという反射はありえず,鏡面反射およびハイライトは無視した。鏡面反射成分が あったとしても直接センサに入射することは少ないと考えた。一方,本来樹木には樹冠の 中に太陽光が入り込み,複数の樹葉・樹枝で複雑に反射して樹木全体として見ると屈折/ 透過と考えられる現象がある。ただし,本論文では,樹木は回転楕円体の単一シェルで覆 われシェル表面でのみ拡散反射するとした。拡散反射係数として自然物を表現する値とし てコンピュータグラフィックスのモデリングの分野で経験的に用いられている 0.6 を使用 した 14)。これは対象物に入射した光の 60%があらゆる方向に反射することを意味している。 また実世界では大気や樹葉等で複数回の反射を繰り返した太陽光のため,影の部分でも真 っ暗ではなくわずかな明るさが存在する。レイトレーシングでこのような多数回の反射を 計算するのは現実的ではないので,環境光というバイアス光を定義する。バイアス光は対 象シーン全体として一律の明るさを与えるものである。環境光としては,今回経験的に 0.2 の値を用いた 14)。これは白色の光が強さ 0.2 で一様に与えられていると考えたことになる。. 16.

(26) Z axis. b: crown thickness Tree. r: crown radius h: tree center height. Shadow over the grass. X axis Grass. Y axis. Fig.4 Tree model. 17.

(27) (4) レイトレーシングによる画像の作成 14) レイトレーシングを用いて太陽光による陰影を考慮した精密な幾何学的画像を作成する。 レイトレーシングは光源(本研究の場合は太陽)から出た光線が対象物(本研究の場合は 樹木および下草)において反射/屈折/吸収する量を計算し,光線を追跡して最終的に目(本 研究の場合はリモートセンシングセンサ)に到達する光の量を計算する手法である。ただ し光源から出た光のうち目に到達する光はわずかであるため,計算量を節約するために実 際の計算では目に入射する光を物体の反射/屈折/吸収を計算しつつ光源まで逆追跡して求 めている。 今回のモデルでは,衛星直下において例えば分解能 10cm 程度として 1 ピクセルに樹木か下 草かのいずれか一方のみが含まれるような高分解能で計算する。樹木,下草にはそれぞれ 緑・青の色だけをもたせてレイトレーシングする。すなわち(R,G,B)表現で樹木は(0,1,0)、 下草は(0,0,1)の色を持った物体として計算する。この結果得られた画像では色成分が各ピ クセルの種別(樹木または下草)を示しており,輝度が相対的な反射輝度を示している。 Fig. 5 にレイトレーシング で計算した例を示す。計算では 1 ピクセル毎にレイトレーシン グの計算結果をチェックし、緑・青いずれの成分を持つかにより物体の判別を行い、計算 結果の値として反射輝度を求めた。この段階では R,G,B の色がスペクトル特性を示してい るわけではなく緑が樹木・青が下草であることを示しているのみである。また明るさも校 正された反射輝度にはなっていない。 実際にレイトレーシングするときは、レイトレーシング用ソフトウェア POV-RAY14)を用い、 計算条件は基本的にソフトウェアデフォルト値を使用した。例えば標準の品質設定パラメ ータとして、拡散・環境照明の考慮、影のレンダリング、反射・屈折・透過を考慮してい る。ただし本モデルの性質上、屈折・透過はモデルに組み入れていない。なおラジオシテ ィ計算やアンチエイリアシングは行っていない。. 18.

(28) Fig.5 Ray traced image. 19.

(29) (5) スペクトルの割付 レイトレーシングにより求めた画像は反射輝度だけを計算しており,スペクトル特性は考 慮されていない。そこで以下の手順により各ピクセル単位にスペクトルを割付ける。 レイトレーシング出力画像の各ピクセル単位では樹木 と下草が混合していることはないものとする。 レイトレーシング出力画像では,陰影を考慮した反射輝度 p が計算されている。 各ピクセルごとに樹木と下草のいずれであるかを色により判定し,使用するスペクト ルライブラリ fi(λ)を決定する。 i は下草または樹木を示す。 p fi(λ)を各ピクセルにおける分光反射輝度とする。 提案モデルでは米国地質調査所(United States Geological Survey: USGS)の植生スペクト ル特性(http://speclab.cr.usgs.gov/)を使用し,樹木として Firtree,下草として Grass のスペクトルを使用した(Fig. 6)。このようにスペクトル情報を割り付けた画像を Fig.7 に示す。. 20.

(30) [μm]. Fig.6 Spectral library data. (http://speclab.cr.usgs.gov/). 21.

(31) R: 0.3951μm band G: 0.924μm band B: 2.265μm band. Fig.7 Spectral assigned image. 22.

(32) (6) 低分解能化 次に観測センサにおけるポイントスプレッド関数が矩形であると仮定し,実際に衛星が観 測する画像をシミュレーションするように分解能を低下させる。すなわち観測視線方向を 中心として分解能の範囲を 1、その他の部分を 0 という特性を持つ二値の最も簡単なセン サを考えた。例えば衛星直下にて 1.6m 分解能の画像を作成する場合、10cm 分解能のレイ トレーシング画像の 16x16 ピクセルを平均化して作成することになる(Fig. 8)。. 23.

(33) R: 0.3951μm band G: 0.924μm band B: 2.265μm band. Fig.8 Model calculation image. 24.

(34) 第3章. 樹木モデルの評価検討. この章では構築したモデルの妥当性を評価するため,まず計算により求めたモデルのふる まいが経験的に妥当かどうか定性的に評価する。. 3.1 入射方向を変えた場合の反射輝度 衛星位置,すなわち,観測入射角・方位角の相違による樹木モデル計算結果(反射輝度) を計算した。これは太陽方向と観測方向の方位角度差および仰角角度差の変化に応じての 反射輝度の変化を計算することとなり,樹林全体としての一種の二方向性反射スペクトル (BRDF)を求めていることとなる。本論文では 0. 924μm 帯における観測対象の出力平均値 を計算した(Fig.9)。観測対象は以下のように設定した。 ・ 樹木モデル:h(樹中心高)=5m, r(樹冠半径)=4m, b(樹冠厚み)=5m の回転楕円体樹木 ・ 樹木間隔:10m この図の X 軸、Y 軸はそれぞれ衛星位置を示している。ここで原点が樹林観測対象中心で ある。なお衛星の高度は 830Km 固定としている。X,Y それぞれ 0 の点は衛星直下の樹林を 高度 830Km で観測していることを示す。また X 軸、Y 軸それぞれ 220Km の位置では入射角 が 15 度相当となっている。図では得られた反射輝度を色分けして示すと共に反射輝度の等 値線を示している。 この結果を見ると,X 軸方向(太陽と同一方向)からの観測で,かつ,入射角が大きいほど 出力レベルが高くなっている。これは太陽と同一方向すなわち太陽を背にして大きな入射 角で地上を見たとき,いわゆるホットスポットの現象を表現している。逆に太陽と逆方向 から(-X 軸方向から)樹林を観測すると、反射輝度は相対的に低くなっている。また Y 軸に 対しては対称の値を示しており、妥当な結果と考えられる。. 25.

(35) Y Axis 220Km incident 15°. X Axis 220Km incident 15°. Low reflection. High reflection. Fig.9 BRDF simulation. 26.

(36) 3.2 傾斜面における反射輝度 今回提案したモデルの特徴の一つがその柔軟性であり、傾斜面における樹林を斜め下観測 センサで観測した場合の画像を容易に計算可能である。この節ではこの特徴を確認するた め、斜面傾斜角の変化により、観測される画像の反射輝度レベルがどのように変化するか を調べた。なお 3.1 節で太陽角(仰角)と衛星からの観測入射角を変化させて計算をして おり、概略はこの計算は斜面傾斜角を変化させた場合とほぼ等価となり、前節の結果を用 いて斜面における観測と見なすこともほぼ可能である。ただ大きな相違点は傾斜面におけ る反射輝度を求めるのに前節の計算の結果を用いた場合、太陽角・観測入射角をもとに樹 木・下草全体を回転させて斜面を考えることになり、樹木は斜面に垂直に生えていること になる。これに対してこの節では傾斜面(下草)を作成し、その上に樹木を鉛直方向に生 やした。これは実際の傾斜面における樹木は、局所平面に垂直に生えているのではなく、 鉛直方向(上空方向)へ生えていると考えられるためである。 今回傾斜面での観測をシミュレーションした条件を以下に示し、結果を Fig.10 に示す。 ・ 樹木モデル:h(樹中心高)=0m, r(樹冠半径)=3.5m b(樹冠厚み)=7.5m の回転楕円体樹木 ・樹木間隔:10m ・ 太陽:x 軸上で仰角 34 度 ・ 衛星位置:y 軸上(-方向)から観測入射角 10 度で原点を観測(高度は 830Km) ・ 計算: 799.76nm 帯反射輝度 ここで斜面は y 軸について回転させた。すなわち斜面上で局所的な太陽仰角が変わること になる。Fig.10 を見ると、斜面傾斜角がマイナスのとき(すなわち斜面が太陽照射方向に 面しているとき)の反射輝度が高い。これは斜面が太陽に面しており、例えば傾斜角が-34 度では局所的には斜面に垂直に太陽が入射していることを示している。前節の場合では樹 木が斜面に垂直に生えているため影の影響が最小になるが本説では樹木が鉛直に生えてお り何らかの影ができてはいるが、あまり大きな影響はないようである。これに対して斜面 傾斜角がプラスのときは、局所平面に対する太陽仰角が小さくなり樹木にとっては横から 太陽が当たって大きな影ができるようになる。このため傾斜角が+20 度近くになると反射 輝度が大幅に低下する。これは影の影響が大きく現れたためである。なおこのまま z 軸方 向に傾斜を大きくしていくと、太陽仰角(34 度)の段階で局所平面の真横から太陽が入射す ることになり、これ以上の傾斜面では斜面全体が影になってしまう。. 27.

(37) 1.20E+04. Reflectance [-]. 1.00E+04 8.00E+03 6.00E+03 4.00E+03 2.00E+03 0.00E+00 -40. -20. 0 Slope [deg]. 20. 40. Fig. 10 Slope simulation at 799.76nm band. 28.

(38) 3.3 樹木サイズの変化に伴う観測値の変化 回転楕円体形状の樹木のサイズ(樹冠半径 r で代表)を変えた場合の反射レベルの変化を 計算した(Fig. 11)。この場合の設定条件を以下に示す。また,この場合も出力は各スペク トル帯における出力画像全体の平均値で評価した。 衛星位置(-140Km, 0Km, 830Km) ここでは衛星が高度 830Km にあるとし、9.6 度の観測入射角で太陽とは逆方向から斜めに 観測していることを示している。 樹木モデル:h(樹中心高)=5m, r(樹冠半径)=4m, b(樹冠厚み)=5m を 相似的に変更 (樹冠半径 r で代表) 樹木間隔(d):10m ここでは樹木パラメータ h,r,b の比率は保ったまま樹冠半径 r を変化させている。これは 樹木間隔 10m で小さな樹木が生えていたところ、樹木間隔は変わらずに樹木が生長してだ んだん下草より樹冠の部分の面積が大きくなってくることを想定した解析である。樹冠半 径 r が樹木間隔 d の半分、5m となった時点で樹冠同士が重なり出す。これより r が大きく なると樹冠同士が重なり、真上から見た場合 7.1m、入射角 9.6 度でこの樹形を見た場合 6.8m の段階で下草が見えなくなる。 Fig. 11 を見ると樹冠半径が大きくなって下草の比率が減少するに従って反射輝度が減少 している。これは樹木より下草のスペクトル特性と変化がよく分かる。樹冠半径 r が 5m よ り大きくなった段階でまだ幾分下草が見えはするが樹木の面積が圧倒的に大きくなり、ほ とんど樹木だけが見えるようになる。さらに樹冠半径 r が大きくなってくると樹冠上面が だんだん凹凸が少なくなり太陽と反対方向にも反射が大きくなってセンサに観測される。 以上 Fig.11 はモデル化した樹木の形状・大きさを考察すれば説明できる挙動を示しており、 構築したモデルが妥当であると考えられる。. 29.

(39) 1.40E+04. 0.3951[μm] 0.6059[μm] 0.924[μm] 1.4485[μm] 2.265[μm]. Observed Reflection. 1.20E+04 1.00E+04 8.00E+03 6.00E+03 4.00E+03 2.00E+03 0.00E+00 0.0. 2.0. 4.0. 6.0. 8.0. 10.0 12.0 Crown radius [m]. Fig.11 Reflectance change depending on tree size. 30.

(40) 3.4 樹間距離の変化に伴う観測値の変化 次に樹間距離を変えた場合の反射レベルを計算した(Fig.12)。この場合の設定条件を以下 に示す。また,この場合も出力は各スペクトル帯における出力画像全体の平均値で評価し た。 衛星位置(-140Km, 0Km, 830Km) 衛星位置は 3.2 と同様であり、入射角 9.6 度で太陽と逆方向から観測している。 樹木モデル:h(樹中心高)=5m, r(樹冠半径)=4m, b(樹冠厚み)=5m ここでは樹木の1本 1 本の形状・大きさは変えず、樹間距離(d)を変化させたときの反射特 性を計算した。樹間距離(d)を大きな値からだんだん小さくすることは、同じ形状・大きさ の樹木の密度が疎から密になることを意味する。 この場合も樹間距離が大きい値から樹冠半径の倍の値(8m)に近づくまで樹冠は重ならず 下草が十分見えている。さらに樹間距離が短くなると樹冠が重なり、先の例と同様真上か ら見た場合 7.1m、入射角 9.6 度でこの樹形を見た場合 6.8m の段階で下草が見えなくなる。 Fig.12 を見ると樹間距離が 8m になるまで、樹間距離の減少とともに反射輝度が減少して いる。これは樹間距離が樹冠半径の倍(8m)より小さくなった段階で樹冠が重なり下草が見 えなくなって樹木の陰影だけによるスペクトル特性が現れる。さらに樹間距離が小さくな ると、同じ形状・大きさの樹木を考えているため樹冠上面の凹凸がなくなり、反射率が全 体として急速に大きくなる。 以上 Fig.12 はモデル化した樹木の形状・大きさを考察すれば説明できる挙動を示しており、 構築したモデルが妥当であると考えられる。. 31.

(41) 1.40E + 04. 0.3 95 1 [μ m ] 0.6 059[μ m ] 0.9 24[μ m ] 1.4 485[μ m ] 2.2 65[μ m ]. Observed Reflection. 1.20E + 04 1.00E + 04 8.00E + 03 6.00E + 03 4.00E + 03 2.00E + 03 0.00E + 00 0. 20. 40. 60. 80 10 0 12 0 T re e d istan ce [m ]. Fig.12 Reflectance change depending on tree distance. 32.

(42) 3.5 樹木形状の相違に伴う観測値の変化 今まで回転楕円体としてモデリングしていた樹木の形状を円錐とした場合の反射レベルを 計算した(Fig.13)。この場合の設定条件を以下に示す。また,この場合も出力は各スペク トル帯における出力画像全体の平均値とし、樹木形状により各スペクトルバンドによって 反射輝度の相違で評価した。 衛星位置(-140Km, 0Km, 830Km) 衛星位置は 3.2 と同様であり、入射角 9.6 度で太陽と逆方向から観測している。 回転楕円体樹木モデル:h(樹中心高)=5m, r(樹冠半径)=4m, b(樹冠厚み)=5m 円錐樹木モデル: h (樹高)=10m, r(樹冠半径)=4m すなわち回転楕円体の樹木モデルと円錐の樹木モデルの樹高は同じ 10m であり、樹冠半径 も同じ 4m とした。このときの反射レベルを見ると、樹木モデル形状の相違はほとんど影響 していない。このため、今後の解析には回転楕円体を用いるものとする。. 33.

(43) Observed Reflection. 6.00E+03 5.00E+03 4.00E+03 Spheroid tree Cone tree. 3.00E+03 2.00E+03 1.00E+03 0.00E+00 1. 3. 5 7 9 11 13 15 band number. Fig.13 Reflectance change depending on tree shape. 34.

(44) 第 4 章 実データを用いた樹木モデルの評価 4.1 使用データ この章では前章で構築した樹木モデルを評価するため、NASA ORNL DAAC(Oak Ridge National Laboratory Distributed Active Archive Center) が保有する BOREAS データ(The BOReal Ecosystem-Atmosphere Study)15)使用して BOREAS 用の樹木を構築する。 BOREAS はカナダの 森林地帯の衛星画像,航空機画像,各種地図データ,グランドトゥルースデータを統合し たデータベースであり,亜寒帯森林のエコロジーや亜寒帯森林と大気との相互影響と気候 への影響を研究するため,さらに衛星リモートセンシングデータの森林モニタへの適用を 目的として整備された。取得されたデータは NASA ORNL DAAC にアーカイブされておりイン ターネットで取得できる(http://www-eosdis.ornl.gov)ほか,CD-ROM にて提供されている 16) 。 今回の研究で使用したデータは以下のとおりであり,テストサイトはカナダ サスカチュー ン州プリンスアルバートナショナルパーク周辺(Fig.14)である。 ・ 航空機搭載ハイパースペクトルセンサ: CASI データ ・ 地図データ: 樹種,樹冠率,樹高分布 ・ グラウンドトゥルースデータ: 樹木密度 テストサイトおよび各データの詳細を以下に示す。. 35.

(45) Fig. 14 Test site. 12). 36.

(46) 4.1.1 テストサイト テストサイトはテストサイト SSA-OBS 地点(北緯 53.981486 度,西経 105.103735 度)と呼 ばれている箇所で,針葉樹が密に生えている中に地上観測用のタワーが設置されている。 地形としては平坦であり,下草としてはほとんどが枯れ草,一部コケが生えている。テス トサイトの外観、樹木、下草を Fig. 15, 16, 17 に示す。. 37.

(47) Fig. 15. Overview of the test site 16). 38.

(48) Fig. 16. Photo of the trees 16). 39.

(49) Fig. 17. Photo of the under tree grasses 16) 40.

(50) 4.1.2 航空機搭載ハイパースペクトルセンサデータ The Compact Airborne Spectrographic Imager(CASI)は航空機搭載ハイパースペクトルセ ンサである。BOREAS プロジェクトでは、Table.2 のスペクトル帯を観測するようにモード 選定されている。また CASI は 35 度の視野角(FOV)を高度 1KM のとき 1.23m 地上分解能(ク ロストラック)で観測できる。. 41.

(51) Table 2. CASI spatial bandsets used during BOREAS Band. Center Frequency[nm]. Half Bandwidth [nm]. 1. 409.66. 5.90. 2. 443.17. 5.91. 3. 490.89. 5.93. 4. 520.14. 6.82. 5. 565.44. 5.95. 6. 619.83. 5.07. 7. 665.47. 5.98. 8. 682.51. 3.30. 9. 709.47. 3.30. 10. 741.90. 3.30. 11. 750.02. 6.01. 12. 768.99. 5.12. 13. 799.76. 5.13. 14. 880.71. 7.89. 15. 905.39. 8.82. 42 42.

(52) 使用したデータは 1994 年 7 月 24 日 17 時 46 分 43 秒から 17 時 48 分 24 秒(GMT)の間に取 得したデータであり,地上高度は 2279.3m,15 バンド全てを取得している。また,提供さ れているデータは既に幾何補正の上に大気補正をした反射率データである。 4.1.3 地図データ この森林地図データは Saskatchewan Environment and Resource Management, Forestry Branch - Inventory Unit (SERM-FBIU)から BOREAS プロジェクトへ提供されたベクタポリ ゴンデータである。データには樹種、樹冠密度、樹高、樹齢が含まれる。オリジナルのポ リゴンデータは 1:12,500 スケールのマップからディジタイズされた。このマップは 1:12,500 スケールの赤外航空機写真(白黒)と関連フィールドデータから作成されたもの である。なお元々のフィルムのスキャン方法、ポリゴン作成方法は分かっていない。この マップは 1988 年の航空機写真を用いて作成し、その後 SERM により森林火災、伐採等を考 慮したメンテナンスがなされている。 出来上がりのピクセル間隔は 30m である。四隅の緯度経度は以下のとおりである。 BOREAS BOREAS West North Point X (km) Y (km) Longitude Latitude --------------------------------------------------------------Upper Right 425.160 360.840 104.49043 54.06416 Upper Left 381.870 360.840 105.14995 54.09860 Lower Left 381.870 326.490 105.19373 53.79137 Lower Right 425.160 326.490 104.53910 53.75717 投影方法は、Albers Equal-Area Conic (AEAC)投影であり、使用したデータム等は以下の とおり。 Datum: North American Datum of 1983 (NAD83) Ellipsoid: Geodetic Reference System GRS80 or WGS84 Origin: 111.000。 West Longitude 51.000。 North Latitude Standard Parallels: 52。 30' 00" N 58。 30' 00" N Units of Measure: kilometers 以下樹種、樹冠密度、樹高のそれぞれのデータは以下の意味を持っている。 樹種: SPECIES ASSOCIATION (COVER TYPE) Binary Number value in file Definition 43.

(53) ----0 11 12 13 14 21 31 32 51 52 71 101 103 105 107 109 112 113 118 121 122. ------317185 3415 169411 171532 10126 202620 24728 156003 23902 48546 12079 322405 58898 26976 12180 23129 17638 1100 30 959 49373. ------------------border pixels White Spruce (WS) Black Spruce (BS) Jack Pine (JP) Tamarack (TL) Spruce/Pine Mix Spruce Fir/Broadleaf Mix Jack Pine/Broadleaf Mix Broadleaf/Spruce-Fir Mix Broadleaf/Jack Pine Aspen treed muskeg clear muskeg brushland clearing burn-over (nonprod) disturb, cut or burn disturb, JP regeneration experimental area flooded land water. 樹冠密度: CROWN CLOSURE (DENSITY) Binary Number value in file definition ----------- --------------0 830069 nonproductive or border pixels 61 11080 10% < CC <= 30% 62 93651 30% < CC <= 55% 63 403725 55% < CC <= 80% 64 313710 80% < CC 樹高: value ----0 5 10 15. HEIGHT CLASS npixels definition ------- -------------------830088 nonproductive or border pixels 176609 2.5 m < hgt <= 7.5 m 248422 7.5 m < hgt <= 12.5 m 310962 12.5 m < hgt <= 17.5 m 44.

参照

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