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第 4 章 近似曲線の推定

3.4.1. 概要

第3章で基本波成分と3次高高調波成分に整合性があることが分かった。この章では FFTの結果から近似曲線の推定を行う。

3.4.2. 1・3 次シミュレーション

FFTの結果から得られた基本波成分と3次高調波成分の値をそれぞれ𝑏′1、𝑏′3とし、FFTか ら推測された近似曲線を

𝑦 = 𝑎′1𝑥 + 𝑎′3𝑥3 (3-10)

とする。式(3-8)より式(3-10)の係数は

𝑎′1=𝑏′1− 3𝑏′3 𝐴

𝑎′3=4𝑏′3 𝐴3

となる。FFTは絶対値表示であるため、これを考慮すると 𝑎′1=𝑏′1+ 3𝑏′3

𝐴

𝑎′3=4𝑏′3 𝐴3

となる。さらにFFTと余弦関数のべき乗公式を用いた場合には出力レンジに差があるため、

𝑎1= 1を用いて最適化すると

𝑎′1= 1

𝑎′3= 4𝑏′3

(𝑏′1+ 3𝑏′3) ∙ 𝐴2

(3-11)

となる。

3.3.2節と同じ条件でシミュレーションを行った。式(3-11)を用いた𝑎′3の推定を図3-5に示

す。𝑎3= −0.1と仮定したため、𝑎′3= 0.1となれば推定可能であるが、図3-5より振幅Aが 約3.6以降は完全に𝑎′3の推定ができていないことがわかる。これは図3-2(a)より振幅Aが 約 3.6 以降で折り返されており、基本波成分の符号が逆転しているためであると考えられ る。そこで基本波成分の符号の逆転を考慮したシミュレーション結果を図3-6に示す。図 3-6より、振幅Aが0.7以下と3.7付近以外の広い範囲でFFTの結果から係数の推定が可能 であることがわかる。振幅Aが0.7以下と3.7付近で係数の推定出来ていないのは、図3-2 より基本波成分が0付近で、FFTと余弦関数のべき乗公式を用いた結果の誤差が大きくな ってしまったためであると考えられる。

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図3-5 𝑎′3の推定

図3-6 𝑎′3の推定 改

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3.4.3. 1・3・5 次シミュレーション

AD変換器にランプ波を入力したときの近似曲線が式(3-12)であると仮定する。

𝑦 = 𝑎1𝑥 + 𝑎3𝑥3+ 𝑎5𝑥5 𝑎1= 1 , 𝑎3= −0.1 , 𝑎5= −0.01

𝑥 = 𝐴𝑐𝑜𝑠(2𝜋𝑓𝑡)

(3-12)

この時のFFTの結果から得られた基本波成分と3次高調波成分、5次高調波成分の値をそ れぞれ𝑏′1、𝑏′3、𝑏′5とし、FFTから推測された近似曲線を

𝑦 = 𝑎′1𝑥 + 𝑎′3𝑥3+ 𝑎′5𝑥5 (3-13) とする。前節(3.4.2)と同様にFFTの絶対値表示やFFTと余弦関数のべき乗公式の出力レン ジに差があることを考慮すると

𝑎′1= 1

𝑎′3= 4𝑏′3− 20𝑏′5

(𝑏′1+ 3𝑏′3− 5𝑏′5) ∙ 𝐴2

𝑎′5= 16𝑏′5

(𝑏′1+ 3𝑏′3− 5𝑏′5) ∙ 𝐴4

(3-14)

となる。これらを用いて 1・3・5 次で近似した場合のシミュレーションを行う。なおシミ ュレーション条件は3.3.2節で用いた条件と同様であり、前節(3.4.2)と同様に基本波成分の 符号の逆転も見られたためそれも考慮した。

𝑎′3の係数の推定を図3-7(a)、𝑎′5の係数の推定を図3-7(b)に示す。図3-7より振幅Aが0.7 以下と2.9付近以外の広い範囲でFFTの結果から係数の推定が可能であることがわかる。

振幅Aが0.7以下と2.9付近で係数の推定が出来ていないのは、3.4.2節と同様に、基本波 成分が0付近で、FFTと余弦関数のべき乗公式を用いた結果の誤差が大きくなってしまっ たためであると考えられる。

(a) 𝑎′3の推定 (b) 𝑎′5の推定

図3-7 1・3・5次近似のときの近似係数の推定

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3.4.4. 0~5 次シミュレーション

AD変換器にランプ波を入力したときの近似曲線が式(3-15)であると仮定する。

𝑦 = 𝑎0+ 𝑎1𝑥 + 𝑎2𝑥2+ 𝑎3𝑥3+ 𝑎4𝑥4+ 𝑎5𝑥5

𝑎0= 0 , 𝑎1= 1 , 𝑎2= 0.1 , 𝑎3= −0.1 , 𝑎4= 0.01 , 𝑎5= −0.01 𝑥 = 𝐴𝑐𝑜𝑠(2𝜋𝑓𝑡)

(3-15)

この時のFFTの結果から得られた0~5次高調波成分の値をそれぞれ𝑏′0~𝑏′5とし、FFTか ら推測された近似曲線を

𝑦 = 𝑎′0+ 𝑎′1𝑥 + 𝑎′2𝑥2+ 𝑎′3𝑥3+ 𝑎′4𝑥4+ 𝑎′5𝑥5 (3-16) とする。前々説(3.4.2)や前節(3.4.3)と同様にFFTの絶対値表示やFFTと余弦関数のべき乗 公式の出力レンジに差があることを考慮すると

𝑎′0=(𝑏′0− 𝑏′2+ 𝑏′4) ∙ 𝐴 𝑏′1+ 3𝑏′3− 5𝑏′5

𝑎′1= 1

𝑎′2= 2𝑏′2− 8𝑏′4

(𝑏′1+ 3𝑏′3− 5𝑏′5) ∙ 𝐴

𝑎′3= 4𝑏′3− 20𝑏′5

(𝑏′1+ 3𝑏′3− 5𝑏′5) ∙ 𝐴2

𝑎′4= 8𝑏′4

(𝑏′1+ 3𝑏′3− 5𝑏′5) ∙ 𝐴3

𝑎′5= 16𝑏′5

(𝑏′1+ 3𝑏′3− 5𝑏′5) ∙ 𝐴4

(3-17)

となる。これらを用いて 1・3・5 次で近似した場合のシミュレーションを行う。なおシミ ュレーション条件は3.3.2節で用いた条件と同様であり、前々説(3.4.2)や前節(3.4.3)と同様 に基本波成分の符号の逆転も見られたためそれも考慮した。

𝑎′0の係数の推定を図3-8、𝑎′2の係数の推定を図3-9、𝑎′3の係数の推定を図3-10、𝑎′4の係 数の推定を図3-11、𝑎′5の係数の推定を図 3-12に示す。図3-8~3-12より𝑎′2~𝑎′5は振幅A が0.7以下と2.9付近以外の広い範囲でFFTの結果から係数の推定が可能であることや、

𝑎′0は推定できていないことが分かった。振幅Aが0.7以下と2.9付近以外で係数の推定が できていないのは、前々説(3.4.2)や前節(3.4.3)と同様に、基本波成分が0付近で、FFTと余 弦関数のべき乗公式を用いた結果の誤差が大きくなってしまったためであると考えられる。

さらに𝑎′0の推定できていないため、振幅A=5のときのFFT結果と余弦関数のべき乗公式 を用いた結果の比較を図3-13に示す。

図3-13より0次高調波と2次高調波の大小関係が逆転しており、FFTと余弦関数のべき 乗公式を用いた結果のそれぞれ比をとると図3-14となる。図3-14より0次は1~5次と比 較し約2倍である。これは式(3-7)をPower表示にした場合、表3-1のようになるためであ る。そのため式(3-17)を式(3-18)のように改良した。

90 𝑎′0=

(𝑏′0

2 − 𝑏′2+ 𝑏′4) ∙ 𝐴 𝑏′1+ 3𝑏′3− 5𝑏′5

𝑎′1= 1

𝑎′2= 2𝑏′2− 8𝑏′4

(𝑏′1+ 3𝑏′3− 5𝑏′5) ∙ 𝐴

𝑎′3= 4𝑏′3− 20𝑏′5

(𝑏′1+ 3𝑏′3− 5𝑏′5) ∙ 𝐴2

𝑎′4= 8𝑏′4

(𝑏′1+ 3𝑏′3− 5𝑏′5) ∙ 𝐴3

𝑎′5= 16𝑏′5

(𝑏′1+ 3𝑏′3− 5𝑏′5) ∙ 𝐴4

(3-17)

この式を用いてシミュレーションを行った結果を図3-15に示す。ただし𝑎′1~𝑎′5は同じ波形 であるため𝑎′0のみを示す。図3-15は図3-8

と比較し誤差が非常に少なくなったため、式(3-17)で近似曲線の係数の推定が可能であると考えられる。ただし、振幅A が0.7以下と2.9

付近以外で係数の推定ができていないのは、これまでと同様に基本波成分が0付近で、FFT と余弦関数のべき乗公式を用いた結果の誤差が大きくなってしまったためであると考えら れる。

表3-1 近似関数のPower表示

0次 1次 2次 ⋯ N次

Power 𝑏02 1

2𝑏1

2 1

2𝑏2

2 ⋯ 1

2𝑏𝑛 2

図3-8 𝑎′0の係数の推定 図3-9 𝑎′2の係数の推定

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図3-10 𝑎′3の係数の推定 図3-11 𝑎′4の係数の推定

図3-12 𝑎′5の係数の推定

(a) FFTの結果 (b) 余弦関数のべき乗公式を用いた結果

図3-13 0~5次で近似した場合のFFTと余弦関数のべき乗公式を用いた結果

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図3-14 FFTと余弦関数のべき乗公式を用いた結果のそれぞれ比

図3-15 𝑎′0の係数の推定

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