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年度計画における目標設定の考え方

1)歩行者保護性能試験については、平成24年度の調査結果に軽自動車の実車試験結果を追加 し総合的なデータ収集を行うこととした。

2)平成25年度の調査結果を踏まえた予防安全性能アセスメント試験に必要な調査研究を行い、

試験方法及び評価方法を確立することとした。

3)各国アセスメント関連機関、専門家と継続的に討論及び情報交換を行い、試験方法、評価方法 等の開発に資するために、各種国際会議に参加する。

4)業務改善状況等についてタスクフォースにより外部評価を行い、その結果をホームページ等 で公表することとした。

中期目標

② 新法人への移管が行われるまでの間においては、引き続き、機構が業務を担い、車両の安全性

当該年度における取組み

1) 歩行者保護性能評価試験における試験速度等の変更に伴う調査研究の実施

歩行者保護性能評価試験については、試験速度及び評価基準を見直すために平成24年度に普 通自動車を用いた調査及び車両変形シュミレーション等の調査研究を実施した。

平成25年度においては、車体寸法の制約が多い軽自動車についても、実車を用いた試験を行 い、得られた試験データを平成24年度の試験データと併せて総合的に検証した。

今後、学識経験者等で構成される歩行者保護技術検討ワーキンググループで調査結果の精査を 行い試験方法等の改正について検討する。

【頭部・脚部保護性能試験の打撃位置】

【頭部保護性能試験の模様】 【脚部保護性能試験の模様】

2) 予防安全技術試験導入のための調査研究の実施

予防安全アセスメント試験の実施については、平成24年度の自動車アセスメント評価検討会 において承認されたロードマップに基づき、先進安全技術(ASV)において事故低減効果の高い 衝突被害軽減制動制御装置(AEBS) [対車両]及び車線逸脱警報装置(LDWS)について、評 価試験導入に必要な性能等の調査研究を実施した。

調査結果を予防安全技術検討ワーキンググループにおいて検討を行い、衝突被害軽減制動制御

装置[対車両]及び車線逸脱警報装置の試験方法及び評価方法を確立するとともに、各自動車メ

ーカーが積極的に参画し、着実に実施できる枠組みを準備して、平成 26 年度からアセスメント

評価試験を実施することとした。

予防安全技術の自動車アセスメントのロードマップ

(1)衝突被害軽減制動制御装置(AEBS) [対車両]

試験概要:目標試験車両(ターゲット)に対し設定された速度で接近し、衝突の可能性が 高くなった状況において、システムが作動し警報及び衝突回避・減速のための 制動が行われることを確認する。

【自動運転ロボットの搭載】 【目標試験車両の牽引状態】

(2) 車線逸脱警報装置(LDWS)

試験概要:試験車両を一定速度で車線を横断するように走行

させ、自動車が車線を逸脱する危険がある若しく

は逸脱したことの警報を確認する。

3) 海外の自動車アセスメント関係機関との情報交換を積極的に行うとともに、その結果を踏ま えて今後の我が国の試験方法、情報提供方法の改善等に役立てる。

① 5月14日にアメリカ損害保険協会(IIHS)が来所し予防安全性能アセスメントの導入に ついて情報交換を行うとともに、衝突安全性能試験についても意見交換を行った(スモール オーバーラップ、側面衝突等)。

② 5月27日からのソウル(韓国)で開催されたESV(Enhanced Safety of Vehicles)会 議及びグローバルNCAPに出席し、JNCAPの現状を発表するとともに、今後導入が予定 されている予防安全性能アセスメントの実施概要等について情報交換を行った。

IIHSの会議資料 ESV会議においてJNCAPの現状を報告

③ 7月30日に中国NCAPが来所し、2014年から中国で開始されるチャイルドシートア セスメントについて意見交換を行った。

意見交換の様子 CRS使用性試験の説明

④ 11月25日からリオデジャネイロ(ブラジル)で開催されたグローバル NCAP テクニカ ルミーティングに出席し、ブラジル政府に対し JNCAP の効果等について説明するととも に、NCAP 実施機関との情報交換を行った。

グローバル NCAP 会議の様子 ラテン NCAP メンバーと

⑤ 2 月 4 日、5 日にオーストラリジアンNCAP、 アセアンNCAPとのテクニカルミーティン グを実施し、試験方法等について意見交換を行った。

ANCAPのポール衝突試験の実施状況 ANCAPの試験実施後の試験車両の確認

⑥ 2 月13日にアセアンNCAPとのテクニカルミーティングを実施し、試験方法等について意 見交換を行った。

⑦2月14日に Euro NCAP(英国の試験機関 Thatcham) が来所し、予防安全性能全性能アセ スメント試験等について情報交換行った。

Euro NCAP(英国の試験機関 Thatcham)との情報交換の模様

4) 平成25年度の実績について、タスクフォースによる外部評価を実施し、 その結果をホームペー ジ等で公表した。

タスクフォースによる外部評価結果

(1)安全性の向上

安全性の向上については、「乗員保護性能」及び「歩行者頭部保護性能」 に係る指標について、

過去に自動車アセスメントを実施した車種の後継車種の評価指標の平均値は旧車種の評価指標の 平均値を上回っており、後継車種における安全性の向上が認められる。

また、側面衝突時に運転席の頭部保護効果が高いサイドカーテンエアバッグについては、装備

のなかった旧車種が後継車種では5モデルに装備されていることから、安全対策が着実に進んで

いることが認められる。

加えて、アセスメント評価対象車両の得点向上、最高評価のJNCAPファイブスター賞受賞車 両が増加していることからも自動車製作者の安全に対する意識を向上させたことが窺え、評価で きる。

引き続き、ユーザーにわかりやすい広報活動を積極的に行うとともに、自動車メーカーの安全 な車の開発意識の向上に寄与することを期待する。

(2)交通事故実態を踏まえた試験方法等の検討及び見直し

衝突時の安全については、自動車乗車中よりも歩行中の交通事故死者数が多い現状を踏まえ、

歩行者の交通事故被害の軽減のために「歩行者保護性能試験における試験速度の変更に伴う調査 研究」を実施していることは評価できる。

また、予防安全については、予防安全技術である衝突被害軽減制動制御装置(AEBS)[対車 両]及び車線逸脱警報装置(LDWS)の試験方法及び評価方法を確立し、平成26年度から自動 車アセスメントとして実施可能としたことは、高く評価できる。

今後も、交通事故被害の軽減及び交通事故を未然に防止する観点から、交通事故の現状を把握 し、交通事故実態を踏まえた試験方法等の検討・見直しを進めるとともに、「予防安全技術の自 動車アセスメントのロードマップ」に基づく導入を目指すなど、更なる充実を図る必要がある。

(3)海外の自動車アセスメント関係機関との情報交換

海外のアセスメント関係機関との連携については、多くの国際会議等においてJNCAPの取 組みを紹介するとともに予防安全技術の試験方法等の実施に向けて意見交換するなど、積極的に 情報交換しており、努力が認められる。

今後も、海外のアセスメント関係機関との連携を積極的に行い、JNCAPの充実を図る必要が ある。

(4)情報提供方法についての改善と広報の拡大

アセスメント結果発表会の開催、試験のメディアへの公開及び東京モーターショーへの出展等 積極的に広報活動を行った結果、テレビ、雑誌等で多数の報道がされるとともに、新たに一般ユ ーザー及び交通事故被害者団体にもアセスメント試験を公開することにより周知の拡大に取り組 んだことは評価できる。

また、アセスメント情報を分かりやすく、比較しやすくするためパンフレットの見直し、ホー ムページの充実を行っており努力が認められる。

今後も新・安全性能総合評価の結果について、ユーザーにとって分かりやすい広報手法につい て検討を進めることを期待する。

中期目標達成に向けた次年度以降の見通し

○ 歩行者保護性能試験、乗員保護性能試験及びチャイルドシートの前面衝突試験の改善について 検討を行う。

○ 衝突被害軽減制動制御装置(対車両)等の評価試験を平成26年度から実施する。

○ 車両周辺情報提供装置の評価試験導入に係る調査研究を実施する。

○ 海外のアセスメント関係機関との情報交換を積極的に行うとともに、その結果を踏まえて今後の 我が国の試験方法等の改善に役立てる。

○ 業務改善状況等についてタスクフォースにより外部評価を行い、その結果をホームページ等で 公表する。

その他適切な評価を行う上で参考となり得る情報