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検証実験の概要

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第 5 章 実験と評価

5.2. 提案システムの検証実験

5.2.1 検証実験の概要

図 5.5 ホップ毎の遅延時間

〜200msの遅延が発生することがわかる.仮にALMツリーにおいて全ての段で

200ms遅延が起きた場合,合計で2秒ほどの遅延が発生してしまう.このように

遅延時間がバラバラだと複数の映像を同時に視聴しようとすると問題になる.そ こで本研究が提案しているズレずに再生できるシステムの実装を行うことにより,

複数の映像をALMにおいてもズレなく再生することができると考えられる.

図 5.6 ホップ毎の平均遅延時間

図 5.7 実験環境

サーバの役割を果たすマシンは100msの遅延を発生させるネットワークエミュ

レータGEM[32]を隔てて2台ある.一つのサーバマシンでは,映像配信サーバ,

NTPサーバ,インデックスサーバの3つを起動する.もう一つのサーバマシン

には,映像配信サーバとNTPクライアントを起動する.この2台の間ではNTP サーバとNTPクライアントによって定期的に時刻を同期している.今回は15分 に一度NTPによる時刻同期を行うことによって2台のサーバの時刻を揃えた.表 5.3に映像配信サーバのハードウェア構成を示す.現在市場で販売されている計 算機に比べ比較的低スペックな計算機だと言える.

一方ノードの役割を果たすマシンはネットワークエミュレータを隔てて4台ず つ合計8台ある.一つのノードマシンには映像視聴と転送をおこなうノードを複 数起動させる.表5.2に映像視聴ノードのハードウェア構成を示す.ノードを複 数立ち上げるため,サーバマシンに比べ高スペックな計算機を使用したが,実際 には一つの計算機で1つの視聴ノードを起動させることが想定されるので,高性 能なマシンスペックが必要というわけではない.

表 5.2 実験に使用した映像視聴ノードマシンのハードウェア構成 項目 構成

CPU Core 2 Duo 1.20GHz

メモリ 3GB RAM

NIC Marvell Yukon 88E8055 Gigabit Ethernet OS Windows XP Professional SP2

表 5.3 実験に使用した映像配信サーバマシンのハードウェア構成 項目 構成

CPU Celeron M 1.40GHz メモリ 1.3GB RAM

NIC Broadcom 10/100 Ethernet OS Windows XP Professional SP3

実験では1台のノードマシンに30秒ごとに1ノード立ち上げ,合計53ノード

まで起動し,他の7台も同様のノード立ち上げ,合計424ノードを起動させ45分 間の実験を行った.実験に用いた映像の仕様を表5.4に示す. 

表 5.4 実験の映像仕様

項目 要素

映像の形式 Motion JPEG 映像レート 10fps

データ転送レート JPEG圧縮率(20%)=1フレーム4KB程度 4KB×10fps×8bit=320kbps

最大接続ノード 一つの親につき子2ノード 送信バッファ 3フレーム分

再生バッファ 40フレーム分±α

この環境でブロードキャストの範囲である閾値Tの値を1,20,50,100,200 と変化させて,以下の3つの項目に関する評価を行い,提案システムが本研究の 想定している環境の要求事項を満たすことを示す.

評価1:ブロードキャストの範囲とブロードキャスト受信数の関係

評価2:ブロードキャストの範囲と映像間の遅延差の関係

評価3:視聴時間とズレの関係

5.2.2 検証実験の結果と評価

評価1:参加ノード数とブロードキャスト受信数

参加ノード数とブロードキャスト受信数の関係を示した実験結果を図5.8に示す.

この結果から参加ノード数が増えるごとにブロードキャストの受信数が増える が,閾値Tの上限値に抑えられていることがわかる.一部で閾値T以上の返信 数があるが,これは子ノードの数を調べるのに2秒ごとに設定しているのが原因

図 5.8 参加ノード数とブロードキャスト受信数

だと考えられる.この結果により閾値Tによってリダイレクトによってブロード キャスト範囲を制限し,ブロードキャスト受信数を制限することが可能なことを 示した.

評価2:参加ノード数とストリーム間遅延差

参加ノード数とブロードキャスト受信数の関係を示した実験結果を図5.9に示す.

この結果から閾値Tを上げるごとにストリーム遅延差の最悪値が下がっていく ことがわかる.Tの値が1の時の最悪値は4500msを超えるのに対して,Tの値 が50の時の最悪値は2100msと半分近くに抑えられている.一方でTの値が100 の時や200の時は最悪値が下がっているが,大きく下がることはなかった.これ によりブロードキャストの範囲をある程度まで制限しても自律参加方法が有効に 機能することを確認できた.

またTの値を100とした時,最悪値は2000ms以下である.この時既存の参加 ノード数が128ノードだったとすると,2分木で考えた場合7ホップした位置に 接続していることになる.もし仮に1万ノードの配信を考えた場合,2分木にす ると14ホップ必要となる.この場合予備実験の結果から遅延時間は倍に増える

図 5.9 参加ノード数とストリーム間遅延差

と仮定して,2000msの倍の4000msのズレが考えられる.よって4000msのバッ ファを用意すれば1万ノードまで対応できると考える.

評価3:配信経過時間と映像間のフレームのズレ

配信経過時間と映像間のフレームのズレの関係を示した実験結果を図5.10に 示す.

この実験結果は映像視聴を続けた場合における,映像間のフレームのズレの変 化を示している.45分の実験を行った結果からは,数フレーム単位の増減に抑え られ,大きくズレていくことはなかった.実装システムでは2秒のバッファを持っ ているのでそれで対応が可能であることがわかる.また350秒のあたりでフレー ムのズレがそれぞれのノードにおいて変化しているが,これはサーバが定期的に 行っているNTPによる時刻同期によって,映像に付与されるタイムスタンプの 情報が変化したためであると考えられる.以上のことから,最初に時刻同期をし て映像視聴を開始すれば,その後もズレなく視聴が継続できることを確認できた と考える.

図 5.10 配信経過時間と受信タイミングのズレ

5.2.3 フレームレートと映像ビットレートの違いによる影響

フレームレートと映像ビットレートを変更した時の影響について実験を行い確 かめた.前節の検証実験の環境で閾値Tを50に設定し,フレームレートと映像 ビットレートを変更して,変更した場合の違いについて確かめた.実験の結果を 図5.11に示す.

図 5.11 映像ビットレートとストリーム間の遅延時間差

フレームレート10fpsの実験結果は320kbpsのデータである.そして30fpsに した実験結果が1Mbpsのデータである.さらに映像データのサイズを増やすこ とによって5Mbps,10Mbpsのデータについての実験結果も確かめた.この実験 結果からストリームの映像ビットレートが大きいほど遅延時間差の最悪値が大き くなることがわかった.例えば10Mbpsのデータの場合,最悪値は14000ms近く になっている.これはデータ転送の処理が大きくなり中継ノードの転送処理が遅 れたためだと考える.

次に映像を継続的に視聴したときの映像ビットレートによる違いについて実験 した結果を図5.12に示す.

図 5.12 映像ビットレートと受信タイミングのズレ

この実験結果から映像ビットレートが高いほど,フレームの受信タイミングが ばらつくことがわかる.この結果についてもデータ転送の処理が大きくなり中継 ノードの転送処理が遅れたためだと考える.

以上のことから映像ビットレートが高いストリーム配信を行う場合は,長めの 再生バッファを用意する必要があると言える.一方で30fpsだと1フレームの誤 差が±17ms程度になるので,フレームレートを上げることにより同期精度は高 くなる.

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