(1)森林の土地の保全に関する事項
ⅰ 樹根及び表土の保全その他森林の土地の保全に特に留意すべき事項 山地災害防止/土壌保全機能及び水源涵養
かんよう
機能の高度発揮が期待さ れる森林は、特に林地の保全に留意する必要があります。
立木の伐採に当たっては、森林の持つ公益的機能を阻害しないよ う、極力皆伐を避けるとともに、伐採箇所は、小面積分散伐採とする よう努めます。
ⅱ 土地の形質の変更に当たって留意すべき事項
土石又は樹根の採掘、開墾、その他土地の形質を変更する場合は、
森林の土地の自然条件、地形、地質、開発行為の状況などを勘案し、
林地の保全に支障とならないよう十分留意します。
なお、必要に応じて土砂の流出、崩壊などの防止に必要な施設、水 の処理に必要な施設、法面保護のための緑化工事等、適切な保全措置 を講じます。
(2)保安施設に関する事項
ⅰ 保安林
保安林は、森林の持つ公益的機能を高度に発揮させるため、伐採や 開発等の行為について制限を加える森林のことであり、森林法第25条 に基づき水源かん養や土砂流出防備など17種の目的に応じて区域の指 定を行います。なお、保安林の種類や制限の内容等は5(1)によりま す。
この区域においては、以下により適正な管理を行うほか、治山事業 の実施と併せて、指定目的の達成・維持に努めることとします。
ア 保安林台帳の整備
保安林の指定が確定したときは、速やかに保安林台帳を調製しま す。また、指定の解除、許可等の処分があった時は、その都度整備を 行い、地籍を的確に把握し、実態に適合するように整備するととも に、その管理については厳正を期します。
土石採掘後の緑化状況
イ 標識の設置
標識の設置は、保安林の指定後速やかに行い、その保全に努めるも のとします。なお、標識は道路沿いの地点、利用行為が頻繁に行われる 地点、公衆の集まる地点等を重点的に設置します。
また、既設の標識で老朽、破損等のため更新が必要なものについては 早急に整備します。
ウ 保安林の保全
保安林制度について普及啓発活動を行うとともに、衛星画像データを 利用した保安林の伐採等の変化抽出や保安林の巡視活動により、無許可 伐採等の違反行為の早期発見に努めます。
また、山火事防止についての適切な指導並びに災害の早期発見及び 適切な応急措置等を行い、森林被害の未然防止に努めます。
さらに、病虫害等の被害については、的確な防除及び被害跡地の早期 復旧に努めます。
ⅱ 治山事業
治山事業については、県民の安全・
安心を確保するため、「1 森林の整 備及び保全に関する基本的な事項」に 即して、災害に強い地域づくりや水源 地域の機能強化を図るため植栽、本数 調整伐等の保安林の整備及び渓間工、
山腹工、地下排水施設等の治山施設の 整備を地域特性等に応じ、計画的に推 進することとします。
実施に当たっては、地域の実情や事業の効果、生態系の保全等にも配 慮することとし、流木による被害が想定される箇所では、流木をせき止 める機能を持つ治山ダムの整備や危険木除去などの対策を進めます。
また、設置した施設等の機能が持続的に発揮されるよう、維持管理、
補修、更新による長寿命化を計画的に進めます。
(3)鳥獣害の防止に関する事項
ⅰ 鳥獣害防止森林区域の設定の基準
野生鳥獣の生息域が拡大し、個体数の増加が進むと、枝葉の食害や立 木の剥皮などの被害が発生します。
市町村森林整備計画では、「鳥獣害防止森林区域の設定に関する基 準」*に基づき、ニホンジカ等の野生鳥獣による食害や剥皮等の被害が ある森林、又はそれら被害がある森林の周辺に位置し被害発生のおそれ がある森林について、林班を単位として、対象とする鳥獣別に「鳥獣害 を防止するための措置を実施すべき森林の区域(以下、鳥獣害防止森林 区域という。)」を定めることとします。
なお、区域の設定に当たっては、次ページの図を参考に、対象とする 保安施設
*治山事業
治山事業は、保安林の指定 目的である土砂流出防備や土 砂崩壊防備などの目的を達成 するために行う森林の造成・
維持に必要な事業(保安施設 事業*)及び地すべり防止区 域(林野庁所管)において行 う地すべり防止工事*をい う。
*保安施設事業
森林法第41条第1項の規定 による事業で、保安林の指定 目的のうち、水源かん養、土 砂流出防備、土砂崩壊防備、
飛砂防備、風害・水害・潮 害・干害・雪害・霧害の防 備、なだれ・落石の危険防 止、火災の防備の目的を達成 するため、森林の造成や森林 の造成・維持に必要な事業を いう。
*地すべり防止工事 地すべり等防止法第2条第 4項の規定により、地すべり 防止施設の新設・改良など地 すべりを防止するため、地す べり防止区域内において行う 工事をいう。
地すべり防止区域は、林野 庁のほか、農村振興局、国土 交通省が所管するものもあ る。
*「鳥獣害防止森林区域の設 定に関する基準」
平成28年10月20日付け28 林整研第180号林野庁長官通 知、鳥獣害防止森林区域を設 定するための技術的助言。
*第二種特定鳥獣管理計画 その生息数が著しく増加 し、又は生息地の範囲が拡大
(参考)鳥獣害防止森林区域の設定に関するフローチャート
ⅱ 鳥獣害防止森林区域内における鳥獣害防止の方法に関する方針
鳥獣害防止森林区域内においては、被害状況の継続的な把握に努め、
被害の実態に応じて、目的樹種の成長を阻害する野生鳥獣を防除するた め、施業と一体的に行う防護柵等の鳥獣害防止施設等の整備や捕獲等を 行うこととします。また、その際、関係機関等と連携した対策を推進 し、鳥獣被害防止計画*や管理実施計画*等との連携・調整を図るもの とします。
*森林生態系多様性基礎調査 持続可能な森林経営の推 進に資する観点から、森林 の状態とその変化の動向を 全国で統一した手法に基づ き把握・評価する調査で、県 内約300箇所の定点調査地 を5年で一巡。
平成21年より森林資源モ ニタリング調査の後を受け て実施
*鳥獣被害防止計画 農林水産業等の鳥獣被害 防止のための総合的推進を 目的に、農林水産大臣が策 定する基本指針に即して、
市町村が作成する。
市町村が中心となって 様々な被害防止のための総 合的な取組を実施。
*管理実施計画
第二種特定鳥獣害管理計 画に基づいて、市町村が毎 年度、被害状況や生息状況 を把握し、効果的な施策に ついての総合的な検討を行 い、生息環境整備や被害防 除等を定めた実施計画。
鳥獣害防止森林区域の設定に関する基準
(平成28年10月20日付け28林整研第180号林野庁長官通知)より
ⅲ その他必要な事項
対象とする野生鳥獣の生息状況等について、大学等の研究機関、地域 の林業の担い手となる森林組合等と連携の上、情報収集を行い、鳥獣害 防止森林区域の現状把握に努めるほか、必要に応じて、区域内で森林施 業を行う林業事業体や森林所有者等と情報交換等を行い鳥獣害防止対策 を実施した箇所の状況を確認することとします。
(4)森林の保護に関する事項
ⅰ 森林病害虫等の被害対策の方針 病虫獣害、雪害等の森林被害 に対する抵抗性の高い森林の整 備に努めるとともに、適確な対 策業務の推進に資するため、森 林の巡視活動を推進します。
マ ツ 主 体 の 森 林 公 園 や、潮 害、飛砂、風害の防備等災害防 止機能を有している海岸保安林 など、地域住民の生活環境の保
全に重要な役割を果たしているマツ林に対し、市町村が実施する薬剤散 布と伐倒駆除を組み合わせた効果的な防除対策などに支援し松くい虫被 害の沈静化を図ります。
また、カシノナガキクイムシによるナラ類の枯損被害については、
フェロモンを利用した面的に効果のある防除法やナラの若返りによる防 除法などを普及し、被害拡大防止を図ります。
ⅱ 鳥獣害対策の方針((3)に掲げる事項を除く)
鳥獣害防止森林区域の対象鳥獣以外による森林被害や、鳥獣害防止森 林区域以外における対象鳥獣による森林被害については、被害状況の実 態を把握するとともに、鳥獣被害防止計画や管理実施計画等を踏まえ、
鳥獣害防止森林区域の設定等の対策を検討し、森林の整備・保全等を通 じて、適切な生息環境管理、森林被害防除対策及び農作物被害の軽減な どに寄与します。
ⅲ 林野火災等の予防の方針
林野火災の予防のため、火災の多発する春期に予防強化期間を定め、
周知を図ります。
また、火災・気象災等の森林被害に対して、適確な対策業務の推進に 資するため、森林の巡視活動の推進に努めます。
なお、造林のための地拵え等により、火入れを実施する場合において は、市町村森林整備計画に定める留意事項に従うこととします。
松くい虫無人ヘリ防除