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207. S&Pは、過去のデフォルト履歴のS&Pによる分析、さまざまな金融危機や経済恐慌

のノンバンク金融機関の信用力への影響、他のセクターと比較した場合のノンバンク金 融機関セクターの信用力、および、経済サイクルを通じた経時的な信用格付けの動きに

ついてのS&Pの枠組みに基づき、ノンバンク金融機関の格付け規準を調整する。この枠

組みについて、2009年6月3日付「Understanding Standard & Poor's Rating Definitions」〈訳 注:この格付け規準のタイトルは「Understanding S&P Global Ratings' Rating Definitions」 にアップデートされている(和訳版:2009年8月4日付「一般格付け規準:S&Pグロー バル・レーティングの格付けの定義を理解する」)〉、2010年5月3日付「Credit Stability

Criteria」(和訳版:2010年7月6日付「一般格付け規準:格付け手法:信用力の安定性

に関する格付け規準」)、2010年9月22日付「The Time Dimension Of Standard & Poor's

Credit Ratings」(和訳版:2011年1月21日付「スタンダード&プアーズの信用格付け

と時間との関連性」)で概説している。

格付け規準|金融機関|一般:ノンバンク金融機関の格付け手法|S&P Global Ratings 68

208. ノンバンク金融機関は一般的に、規制されていないか、もしくは緩い規制下にある。

規制の枠組みがないことは、デフォルトと格付け遷移の統計に通常反映されており、同 統計は、銀行の格付けと安定性がノンバンク金融機関よりも高いことを示している(2013 年7月25日付英文リポート「2012 Annual Global Financial Institutions Default And Rating Transition Study」参照)。

209. そのため、格付け先ノンバンク金融機関の発行体格付けはすべての格付けランクに分

布しうるが、大部分が「BBB」以下である。ノンバンク金融機関の格付けのうち、約3 分の2は現在「BBB-」以上である(公開格付けと非公開格付けが対象)。このうち約 4分の1が「A格」、3分の1強が「BBB格」、10分の1弱が「AA格」である。格付 け先ノンバンク金融機関は先進国と中規模から大規模の企業に著しく集中しており、ま た格付けを付与していないノンバンク金融機関の多くは「B格」もしくは「CCC格」に 該当する可能性がある。

210. 金融機関の過去のデフォルト履歴を検討するために使用する主な情報源は、S&Pのデ

フォルト・格付け遷移調査である(「2013年7月25日付英文リポート「2012 Annual Global Financial Institutions Default And Rating Transition Study」参照。同リポートはS&Pが金融 機関に付与した格付けの1981年から2012年のパフォーマンスを格付けの遷移とデフォ ルトの両面でカバーしている)。同リポートは銀行とノンバンクが対象である。デフォ ルト率は、景気後退時など経済にストレスがかかっている時期や大規模災害の後などに 上昇するが、相対的に低水準にとどまっている。デフォルト・格付け遷移調査は、ノン バンク金融機関は格付け内容の点から銀行とは異なると示唆している。グローバルで見 られた傾向として、ノンバンクの格付けの中央値は、1990年代初めから一貫して銀行の 格付けの中央値より1-2ノッチ(段階)低かったが、その差が2012年に近づいた。

211. ストレスが高まった期間が何度かあり、その結果、一部のノンバンク金融機関がデフ

ォルトしたことが格付け規準に織り込まれている。S&Pのデフォルト・格付け遷移調査 によると、ノンバンクのデフォルトは1982年にまで遡る。米国のマクロ経済にストレス がかかった時期と同時期に多くの金融会社がデフォルトしたが、その時期には貯蓄貸付 銀行がデフォルトし、さらに住宅ローンのデフォルトの増加がみられた時期にも再びデ フォルトが起こり、一部の会社は2007-2009年の金融危機の際は政府の資金調達支援を 必要とした。証券会社については、MFグローバルが2011年にカウンターパーティの信 頼と資金調達源を失い、その直後に債務不履行に陥った。

212. 本格付け規準は、上記のようなデフォルトを引き起こした問題にグローバルに対応し

ている。具体的な手法は、流動性や資本の新しい指標の導入、格付け付与の起点である アンカー値を通じたマクロ環境の分析、すべてのノンバンク金融機関に対するS&Pの分 析において収益面の重要度を低下させることなどである。

B. 証券会社の資金調達と流動性の計算に適用するヘアカット

(B)利用可能な安定調達額/(A)グロス安定調達必要額

勘定科目 ヘアカット(%)

28 証券会社に適用されるヘアカット――グロス安定調達比率

格付け規準|金融機関|一般:ノンバンク金融機関の格付け手法|S&P Global Ratings 69

A. グロス安定調達必要額=以下各科目の合計

制約のない現金 0

金融機関とのリバースレポ(満期まで1年未満) 0

金融機関とのリバースレポ(満期まで1年超) 100

顧客とのリバースレポ(満期まで1年超) 100

顧客とのリバースレポ(満期まで1年未満) 50

ブローカー、決済機関の債権 10

ブローカー顧客の債権(信用取引を含む) 10

銀行への貸し出し(満期まで1年未満) 0

銀行への貸し出し(満期まで1年超) 100

顧客貸し出し(ネットベース)―全満期日分(信用取引を除く) 100

デリバティブ資産 0

保険資産(連結の変動持ち分事業体を除く) 0

無形資産 0

「その他資産」のすべて(有形固定資産など、固定資産や非流動性資産) 100

オフバランスの契約債務、保証、信用状 5

保有有価証券の非流動部分 (担保権設定済・未設定):

自国政府および政府系機関 0

地方自治体 0

譲渡性預金(CD)/コマーシャルペーパー(CP) 0

外国政府 0

政府スポンサーによるMBS、政策銀行 0

カバードボンド(自社分を除く) 0

銀行債務 50

社債 50

MBSとその他ミューチュアルファンド 50

その他債務証券 50

株式と金 50

ローン 100

資産担保証券(MBSを除く) 100

市況商品(金が公表されている場合、それを除く) 100

その他(非上場株式など) 100

B. 利用可能な安定調達額=以下各科目の合計

顧客の預金(全満期日分) 100

他の銀行の預金(満期まで1年未満) 0

他の銀行の預金(満期まで1年超) 100

ブローカー・ディーラーおよび決済機関への未払い金 0

ブローカー顧客未払い金 0

レポ契約(全満期日分) 0

デリバティブ以外のトレーディング債務(ショートポジションなど) 0

デリバティブ債務 0

債務、ハイブリッド資本証券、少数持ち分(プット付きまたは満期まで1年未満) 0

発行済み債務(満期まで1年超) 100

無形資産控除後の総株主資本 100

(C)利用可能な流動性/(D)バランスシートの流動性需要

勘定科目 掛け目(%)

C. 利用可能な流動性=以下各科目の合計

制約のない現金 100

銀行への貸し出し(ネットベース)満期まで1年未満 100

金融機関とのリバースレポ(満期まで1年未満) 100

顧客とのリバースレポ(満期まで1年未満) 50

利用可能なコミット型コミットメントライン(満期まで1年超) 75

29 証券会社に適用されるヘアカット――流動性カバレッジ指標

格付け規準|金融機関|一般:ノンバンク金融機関の格付け手法|S&P Global Ratings 70

保有有価証券の流動部分(担保権設定済・未設定):

自国政府および政府系機関 100

地方自治体 100

譲渡性預金(CD)/コマーシャルペーパー(CP) 100

外国政府 100

政府スポンサーによるMBS、政策銀行 100

カバードボンド(自社分を除く) 100

銀行債務 50

社債 50

MBSとその他ミューチュアルファンド 50

その他債務証券 50

株式と金 50

ローン 0

資産担保証券(MBSを除く) 0

市況商品(金が公表されている場合、それを除く) 0

その他(株主資本持ち分、非上場株式) 0

D. バランスシートの流動性需要=以下各科目の合計

顧客預金(全満期分) 0

その他の銀行預金(満期まで1年未満) 100

その他の銀行預金(満期まで1年超) 0

ブローカー・ディーラーおよび決済機関への未払い金 5

ブローカー顧客未払い金 5

短期債務および1年以内に満期が到来する債務 100

レポ契約(全満期日分) 100

アクセプタンス 100

デリバティブ以外のトレーディング債務(ショートポジションなど) 100

デリバティブ債務 0

短期またはプット付きの、債務、資本性証券 100

オフバランスのコミットメントライン、保証、信用状 5

C. 用語集

調整後資産 資産の帳簿額から、保険業にかかわる法定資金、サービシング業務に関連しな い無形資産、および、貸倒引当金が負債勘定として計上されている国においては同引当金を 減じたもの。

修正後普通株主資本 普通株主資本と少数株主持ち分の合計から再評価差額金、のれん代、

サービシング業務に関連しない無形資産、IO(インタレスト・オンリー)ストリップ債(税 効果調整後)、および、税務上の繰越欠損金、もしくはその他の米国の規制当局で認められ ていない繰り延べ税金を減じたものに、そのほかの株主資本関連の調整をプラスまたはマイ ナスしたもの。

修正後総株主資本 修正後総資本に、一般的もしくは未配賦とみなされた剰余金と未実現利 益を加えた値から、非連結子会社の持ち分と保険子会社の自己資本、証券化資産のあらゆる 調整金額を減じたもの。

資産の担保差し入れ 資産は、契約上もしくは法的に一定の資金調達債またはその他の負債 の担保となる。担保が設定された資産は、担保付債務が返済されるまで、無担保債務やその 他の負債の返済に充てることはできない。

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