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前章においては種子発芽に必要な水分,滝皮,酸素を充分に与えて−根鞘の生理生態の一面を明らかにしたが,  

更に.発芽に必要な外的条件を異常とし,それらの供給を制限,もしくは不適とした場合の根鞘の生態を明らかに   するため,次の如く水分及び酸素の欠乏状態,発芽に対する最高最低温度限界,及び高塩分下における根鞘の生   態を研究した  

第1節 水分供給制限下における根鞘の生態  

庶糖彼の濃度を変えて種子の吸水に難易をつけるため濃度区別を○・1モルより,1・0モルに至る10区とし対照区   として井戸水区を設けた 

供試材料としては水稲香川55号とひえ岩手晩生在来の有梓種子と脱符種子を用いて発芽湿度を500Cとした.   

種子ほその胚を含む下草部のみを庶糖液中に浸漬した  1区供試粒数ほひえは50粗,水稲ほ100堪とした 

なお発芽粗とほ有枠種子でほ胚器官の部が出現したものを,脱梓種子でほ根鞘が種被を破って出現したものとし    た,以下の諸実験でも同様に取扱った 

結果ほ第14表,第15表のようである 

節14表 庶糖液の各濃度におけるひえの発芽種子数 (1954)  

()内ほ種子根を発生したもの   

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47   第15表 庶糖液の各濃度における水稲の発芽種子数 (1955)   

佐藤(¢$)は各濃度の庶糖液における発芽歩合をしらべ,井戸水のそれに対する比が5ロ%以上となる濃度限界を   もって中央最高吸水力(MitteIe Saugkraft)としている 

本実験における中央最高吸収力はひえの有得では0..5〜0…るモル,脱搾種子では0.9〜1…ひモルに相当し両者の間   にほ実に0.5モルの大差が見られた 

…・力水稲の粗ほロ.5〜0..るモルに相当し,玄米ではOu7〜08モルで玄米でほ0.2モル高かった 

次ぎに種子根の伸長を調査した処,ひえ水稲ともに,井戸水又は低濃度の庶糖液では種子根がよく伸長する   が,高波皮の場合ほ根鞘のみ出現し置床後10日に至るも種子根は全然見られなかった 

なお水稲でほ高濃度において−根鞘出現後子葉鞘のみが僅かに伸長した場合が見られたがそれ以上発芽の進行は   見られなかった 

圃場の実際場面において香川県において,麦類の播種期に早ばつに遭うと甚だしい場合ほ発芽しないが,不発   芽と正常発芽の間に根鞘のみ苧じて出現するが,そのままの状態で止っており降雨を待ってほじめて再発芽する  

ことが観察されている..これは根鞘が極く僅かの水分供給の下でも出現しうることを示しているものである  根鞘ほ水分の供給が制限され,種子板の出現しえ.ない場合でも種被を破って現われる生態を・もつものと云いう   るであろう 

第2節 酸素供給制限下における根鞠の生態  

酸素の供給を制限した場合の種子発芽の研究は多数行われているが,根鞘については僅かに西村(39)の乗につ   いて−,NoRSTOG(47)のえん麦について研究があるのみで広く深く研究されていない 

水中及びガス状態で酸東の供給を制限した場合の根鞘の生態を明らかにするため,次の実験を行った  第1 実 験  

1927年5月より占月に亘り,250ccのユ∴レ   ン‥マイヤ−フラスコに少壷の水を入れ種子に   ほ充分に酸素供給の状態においたものを標準   とし,酸素供給制限区ほ前掲フラスコに50分   間煮沸した水道水を満たし,水面には流動パ   ラフィンを浮べた.   

供試作物は水稲はか9種類で,フラスコ1   個につき,とうもろこしほ25粒,その他は50   粒を入れMinesota geIminater中におき,  

18…50C〜270Cで種子発芽を行った10日後   に発芽歩合を調査し,幼植物を5%のホルマ  

リン溶液(硫酸銅加用)に浸漬しておき速か   に20個体の調査を行って次の結果を得た  

第1占表 酸素供給制限下に應ける各種禾穀類作物の発芽歩   合(1927)   

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ー48−  

煮沸水による酸累制限区の発芽歩合は作物の種類により,発芽の良好なものは水稲,ひえ,きび,あわ,もろ   こし,発芽の精々不良なもの,とうもろこし,小麦では僅かに占%に過ぎず,大麦,えん麦,らい麦では全々発   芽しなかった 

酸素供給制限で発芽が良好であった作物につき置床後10日目における幼植物の形態を標準区の場合とあわせて   図示すれば第1る図及び第17真のようである.   

これによれば水稲でほ伸長の大なる器官は子葉鞘と根聯であったが,根鞘と外胚葉との境界を明らかにしえな   かったので正確に根鞘長を測定しえなかった.   

ひえでは根鞘が標準の場合よりも酸素制限下で異常なよい伸長が見られ,酸素供給制眼下で発芽の良好乃至や   や良好であった,あわ,きび,もろこしでは伸長した器官は根鞘と子葉鞘及び中胚軸であったがその程度は僅少   であることを示した…   

然してとうもろこし,小麦でほ根鞘のみ出現したのにとどまった.   

酸素供給制限の場合いづれの作物も本葉及び種子根は殆んど生育が見られなかった.   

以上のことから酸素供給の制限下では.(1)板鞘の出現しないもの(大麦,えん麦,らい麦)t21根鞘のみが僅かに   現われるもの(とうもろこし,小麦)(3)根鞘の出現歩合ほ多いが根鞘の伸長は標準に比しておとるもの(きび,  

あわ,もろこし)(4)根鞘の伸長がかえって優るもの(ひえ,水稲)の4型のあることが明らかにされた.なお,  

沼沢に起源をもつと考えられるひえ,水稲で根鞘の伸長が酸素制限下で良好なことは注目すべきであろう.  

第 2 実 験   

第1実験において:煮沸水で発芽しなかった大麦,えん麦,らい麦とむ%しか発芽しなかった小麦を材料として:  

1952年実験を再開した.  

第1実験で煮沸水中で発芽しな   かったもの及び発芽の不良であっ   たものほ酸素の制限が過度であっ   たためとも考えられるので本実験   でほ煮沸水の代りに井戸水を用   い,水深を10糎及び1糎として   120ccの,エレンマイヤ−フラスコ   に50粒を入れ10月より11月に亘っ   て実験を行った   

この場合ほ何れも発芽は良好で   あって,根鞘長は次のようであっ   た   

これによれば井戸水の水深10糎   の場合は大麦,小麦及らい麦の根   梢は酸素の供給充分な標準区の場   合よりも伸長が良好であったが,  

えん麦ではかえって不良で標準の   る4%に過ぎなかった   

次ぎに更に酸素供給制限を緩和   するため,エレンマイヤーフラスコ   に井戸水を1糎とした時は大麦ほ   勿論,10糎の水深区で伸長の不良   であったえん麦も標準の場合に比   して根鞘ほ.異常によく伸長したが   種子根はいづれも生育が見られな   かった.   

王IA   Il8  

・・Istfol・.  

IA   IB  

e  

p O   

Ist for   C0leop   

A・一Ist,foT 

Meso 

O  

R  

S  

■ S   Coleo沌   Coleorh.  

A標準 B酸素制限  A標準 B酸素制限  

水 稲   ひ え  

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−49 −  

lIlA llIs 

ⅣA Ⅳ8   

VA VB  

−−Ist−for.   −−・・Coleop  

−一一一… Meso.  

−−−Meso  

…S(諺二:3L.  

ト、‥‥:.こ::ミニー.  

ーS.R.   

第1る図 酸素制限区(煮沸水中)及び標準区における幼植物の形態比較(1927)  

A 標 準 B.酸素制限 A.標 準 B.酸素制限 A′標 準 B・・酸素制限  

もろこし   き  び   あ  わ  

Coleorh・‥根 鞘   S R ‥・種子根   Meso・・・中胚軸   Coleop・・・子葉鞘   Ist.for・・第1本葉  

S…・種 子  

第17表 標準及び煮沸水中における幼植物の比較 (1927)  

標準区の根職長は種子根が根鞘を破る前で最大伸長したときの測定価   

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ー 50 一  

第18表   麦類の根鞘の発芽条件の差に.よる伸長差異 (叩52)  

標 準 リーベンベルヒ 発芽試験器  

水 中 エレンマイヤーフラスコに10糎の水深として井戸水を入れたもの   室 温 2る,5〜2D一.20C露床後4日目 1区10個体平均   

大  麦  

′一一−−・−・▲−−・一岬一▲  

え ん麦  

3け0  

根  

翰2・0  

長   忘10  

0  

◆−・−−−−・→●  

l   

12 24   鵬   72   畳床後時間  

g6 012 24   4さ   72   q6  

置床後時間  

第17図 空気中並びに酸素供給制限下における根鞘の伸長比較 (1952)  

◆ →空気中  ▲−…−−−▲  酸素制限 井戸水水捉1Ⅷ  

水深1em永中   空 気 中  

第18図 気気中並に水深1糎の水中におけるえん麦根鞘細胞の形状の比較 (1952)  

以上によって酸素供給制限下で麦類の種子が発芽するか香かは酸素供給制限の程度によるもので,制限が強い   と不発芽のものも,こ.れが緩和されると根鞘のみが伸長し,更に援和のときには.根鞘が異常伸長する場合があ   り,更に制限が軽い場合は種子根も生育するものであることが明らかとなった 

換言すれば種子根と根鞘の伸長を可能とする最低酸素供給程度ほ異なり,根鞘ほ前者よりも小である 

したがって酸素供給制限下において根鞘のみ出現し,その後発芽の進行しない場合があるのは,酸素の供給が   根鞘の出現に充分な場合でも,その後の発芽進行に対しては酸素の供給が不充分で,種子板を発現せしめえない   ためと考察される 

次に水深1糎で異常によく仲良したえん麦の根鞘につき組織を検鏡すると第18図のように根鞘の形状の大とな   ることほ,細胞数の増加によるものでなく,根鞘個々の細胞の伸長,膨大が大によって起されることが明らかで   ある  

第 5 実 験   

酸素の強度制限下においても発芽能力をもつひえの朝鮮種を用い,根鞘と種子根が酸素供給制限の下でどの   

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