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禾穀類の根鞘に関する研究-香川大学学術情報リポジトリ

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目 次 緒 第1病 根鞘の形態学的研究

1 1 2 2 554455 7 55 55 慧詔4445 舶︰他貯75554髭 58 58鐙虚言∞朗 作∞ 鎚∴α 甜 75 花

第1章 根鞘の外部形態 第2章 根鞘毛の 第5章 根鞘の内部形態 第1節 根鞘と胚盤との境界 第2節 根鞘と外胚葉との境界 第5節 根鞘と中胚軸との境界 第4節 根鞘と種子根との空隙 欝5節 根鞘の分岐について 第4章 禾穀類作物根鞘の形腰的分類 第5章 考察並に摘要 第2編 根鞘の生理生態学的研究

第1章 根鞘の生理

第1節 根鞘の吸水作用 第2節 根鞘の無機物質の吸収作用 第5節 根鞘の有無が子葉鞘及び種子根の生育に及ぼす影響 第4節 考察並に摘要 第2章 根鞘の生態 第1節 水分供給制限下に.おける根鞘の生態 欝2節 酸素供給制限下における根鞘の生態 第5節 発芽限界温度下における根鞘の生態 第4節 塩分の高濃度下における根鞘の生腰 欝5節 考察並に摘要 翠5章 作物品種の実用的特性との関係 欝1節 稲品種の耐早性との関係 第2節 稲品種の耐塩性との関係 第5節 小麦品種の耐湿性との関係 第4節 水稲品種の地理的分布との関係 第√5節 考察並に摘要 第4章 根鞘の研究より見た種子発芽の区分に関する考察 第1節 種子発芽の区分 第2節 種子発芽の区分による種子の澱粉分解酵素活力の変化‥…・・l・ 結 引 用 文 献 英 文 要 約

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根鞘(Coleorhiza)ほ頚木科植物に特有な発芽器官であって,発芽に.際して種被を破って最初に出現するもの で,種子根を腐っている 従来,作物学の研究分野においてこは,種子発芽に関する研究業飴極めて:多く,胚及び発芽器官である子葉鞘 (Coleoptile),中胚軸(Mesocotyl)及び種子根(Seminal工00t)について−の研究ほ大いに進んでいるが,板鞘 に関する研究は甚だ少い.すなわら,その発生学的研究ではJoHANSEN(22),PASKOV(56)の報告があるが,両者 の見解は一・致せず,いまだ定説が得られておらず,その形態的研究でほ.HARBERLANDT(12),西村(さ9),盛永(明ら の報告があるが,何れも不充分であり,またその生理槻能に関しては研究がなく,その生理作用も単紅憶測され ていたにすぎない 著者は1927年より1928年に亘り,京都帝国大学虚学部において佐々木喬博士 の研究を行い,沼沢地に起源したと考えられる稲及びひえは,酸素供給制唄下でもよく発芽したが,その他の種 類では根哨のみ出現したことに注目し,禾穀類の種子発芽の研究においては,根鞘研究の必要性のあることを指 摘したその後根哨の発芽時紅おける研究ほ内外を通じ殆んど見るべきものがなかった 本論又は主として1952年以降,著者が香川大学虚学部において行った根鞘の形態,生理,生態に関する一・連の 研究結果をとりまとめたものであって1根鞘の形態学的研究を第1編に,根鞘の生理生態学的研究を第2編とし ている 木研究を行うに当り,実験の進め方,論文の構成に対し,京都大学教授長谷川浩博士の指導を受けたが,東京 大学名誉教授佐々木喬博士,京都大学名誉教授故榎本博士より指導激励を賜わり,また,京都大学教授今村駿十 郎博士,同赤藤克己博士,同葛西喜三郎博士より多大の指導を受けた..なお元香川県立農科大学学長黒上泰治博 士ほ特に実験上の便富を与えられ,香川大学農学部林甚太郎氏をはじめ,実験関係の教官各位よりほ廟究紅対し 多大の援助を受けた こゝに銘記して深甚なる感謝の意を表する.

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・一一 ■l1一

第1.編 根鞘の形態学的研究

根鞘は種子発芽の初期迄ほ.桂子根を包んでいる鞘状の器官であるが,形態学的に精しく追及されていないいす なわち稲の胚紅ついてほ安井望聖,CI王0(7),稲麦の胚については末次(6…7・68),更に禾本科植物の多数の種匿つい てほ.REEDER(68)等の研究があるが根鞘と外胚葉(Epiblast)など他器官との境界ほ明らかにされておらない. また根鞘の発育経過についてJoHANSEN(22)は胚の発育経過中,種子根は前胚(Proembryo)で甲く分化し,種 子根のまわりの組織がさや状に発達して根鞘を形成すると述べているが,PASXOV(鍾)は砥子根ほ根鞘より内生的 紅発達するとし根鞘は第1種子根の変態であるとしている..これに対して山田(78)は根鞘は前胚の種子根が内生 的に発育した残りの部分であるとして.いる小 また手島(72)は発芽に際して最初に外部に現われる器官ほ硝薬また ほ根鞘であるとしているが,この場合は籾或ほ有梓種子の場合と裸種子を区別してこは観察していない 本研究においては,種子発芽に際して根鞘が種被を破って出現する時期とその外部形態を明らかにするはか, 乾燥種子の完成胚及び発芽初期段階において根鞘と他器官との境界,根鞘と種子根との空隙,根鞘組織の厚さ, 分岐の有無など根鞘の内部形態を検討し,さらに作物の根鞘の分類を辞みた 供試材料ほ香川大学農学部附属農場で採種 第1表 作物の種類,品種名 栽培を行ったものを用いたが,作物の榎類, 品種名ほ第1表に示すようである 種子発芽紅ほ夏作物ほ50◇C冬作物ほ250C 標準の定温器中のり−ペンベルヒ発芽試験器 を用いた.永久切片の作成にほ材料をFaIm− eI・,sfluid(無水アルコール5に対し氷酪酸 1)で固定し,パラフィン切片の厚さほ10〃・ を標準とし,エオンンで染色した

第1章 根鞘の外部形態

まず有枠種子と実験値前脱辞した裸種子を 用い,種子発芽紅当り種被を破って出現する 根鞘の形態を観察したその結果は第1図の 物 名 l 品 穐 名

稲大小えらとはもときあひ し

水稲 香川55号 香川 裸1号 小麦 農林2占号 VictoIy nO.1 Petk11SSer White dent corn

麦麦麦麦しぎしえびわええ

こ ろ も ー︹ノ 穐 種

在普品在猫朝品

不 釆通 釆 種 種 洋 種 足 鮮 詔 む こ と ろ び ん じ ー﹁一 ようである.(第1図より第10区はでは第1編の終りを参照).なお夏作物については主として叩57年5月,冬作 物については同11月に実験を行った 第1図から明らかなように根鞘は裸種子の場合ほ何れの種類において−も最初に種被を破って出現する..しかし 有搾種子の場合は外部から観察して巌初に出現する胚器官は稲,もろこしでは子弟鞘であったが,それは梓の柄 造上,外部から根掴の出現が認められないためであって,その他の種ほ有辞種子紅おいても根梢が巌初に出現し ている このことから考えると,手島(72)が種芋発芽に際して叔初に出現する器官ほ子葉鞘またほ椴耶であると して−いるのは有辞種子を対象とした場合であったと認められる 結局種子発芽に際して最初に種被を破って出現する器官は必ず根鞘であることが明らかにされた

次に.胚の大さの種子の大さに対する割合についてはREEDER(58)によれば雑穀(True Panicoid type)ほ麦親 (True Festucoid type)などについてよりも大であるとしたが,根鞘についても同様な関係が見られ,種子の大 さに比する根鞘の割合の大さは雑穀においで比較的大である..なお,根鞘の大さはとうもろこし,はとむぎでも っとも大で,これに次いでえん麦が比較的大きく,稲ほ小さい.小粒雑穀のうちでほひえほ比較的大である なお,外胚葉の大きい稲,しこくびえでは外部より正確に根脛と外胚葉との境界が明らかならず了他の作物に おいても根鞘と中胚軸との境界を明確にしえないので,根鞘の大さを外部から正確に測定できない 根鞘が種被を破って出現したあと,表皮細胞は.根鞘毛を形成し,表面積を拡大する

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− 2 −一

第2章 根鞘毛の形態

HARBERLANDT(12)は根鞘毛ほ根毛と類似のものとしたが,西村(39)は空気中,水中に・おけるあわの根鞘毛は 長さ太さとも紅種子根の根毛よりも大であると述べ,また盛永等(さき)が種籾が発芽すると胚の外側紅組毛を生 じ,根鞘と外胚葉紅毛の形成が多く,Ventralscale紅は少ないことを観察して,これらの胚毛の極少,あるいは 皆撫の個体には悸性が多いことを認め,遺伝的立場から胚毛の形成の有細を論じて−いるが何れも根鞘毛について の詳細な形磯研究を行っていない 本研究では材料を稲のみに限定したが,根鞘毛と根毛の形態,ならびにそれらの母細胞の形態比較を試みた 水稲農林10号,秀峰および陸稲の戦捷,身代起を用い,1958年5月15日ぺtリ皿中紅木村,秋元氏水耕液を入 れ500Cの定溢器で発芽せしめ,根鞘毛,根毛の長さ,直径を検微鏡下で測定した その結果は第2表の如くで 根鞘毛は層床後5占∼42時間後に,根毛ほ同様にる○へノ占占時間後に最大の伸長をした。 根鞘毛の直経ほ4品種ともに根毛よ りも大であり,長さにおいて.は陸稲で は根毛より長かったが,水稲では根毛 と大差ないか戎ほ/むしろ根毛の方が大 であった‖ 次に根鞘毛と根毛を形成する表皮細 胞ほ第2図から認められるように両者 の間に差異が大である‖ 即ら根毛の母 細胞を表面から見ると短細胞が多く, 長細胞は少ない.この関係は川田,石 原(餌)も同様に観察して.いる. なお根の表皮細胞には短細胞と長細 胞が入りまじって存在する関係上,根 毛ほ散在するが根鞘毛の場合ほ根鞘の 表皮細胞の大さほ比較的そろって丸昧 を帯びており,長細胞は認められず, 根草肖毛は第7図に示すように殆んど何 れの表皮細胞からも発生するので根毛 第2表 根鞘毛と根毛の最大伸長時間における 長さ及び直径(1958) A 長 さ(〝) 名 妻板鞘毛(C)l根毛(R)lc/R(%) B 直 径(伊) 名 l根鞘毛(C)l根 毛(R)lC/R(%) 備考 種子10ケ体について,それぞれ根鞘毛及び根毛の最長のもの 5本宛をとり平均した. よりもいちじるしく密に形成される.なお根鞘毛母細胞ほ表面から見ると丸昧を帯びているが第7図に示したよ うに横断面でほ長形をしていることが認められる なお根鞘毛の形成は環境紅よって異なることについて次に検討するが,根鞘が根鞘毛を形成することによって その表面積を著しく増大する現象は旗日すべきである なお胚盤の上部に見られるVentralscaleも種被外に現われ毛を生ずるが特に取り上げて研究を行わなかった

第5章 根鞘 の 内部形態

根鞘の外部形態の調査からは根鞘と他器官との境界が明らかならず,また根鞘と種子根との空隙及び根鞘の分 岐の有無も明らか紅なって言いないので,これらの点を明確紅するため根鞘の内部形態を究明した 従来乾燥種子の完成胚についての研究は多いが,多くの場合根鞘と他器官との境界はつけがたいとされてい る 太研究でほ乾燥の胚について調査するとともに,発芽に際して,根鞘が伸長して種子根がいまだこれを破らな い発芽の初期に材料を固定して根鞘と他器官の境界を求めた

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− 5 −一 策1節 根鞘と胚盤との境界 乾燥の胚および発芽初期の根鞘と胚盤(Scutell11m)との境界を第5図解示す. まづ第5図の乾燥の胚について.根鞘と胚盤の境界を検するに稲では板鞘の先端の部の細胞ほ特に胚盤の細胞に 比して小形であるが,根鞘と胚盤との境界が明白でない.麦類でも根鞘の細胞ほ胚盤の細胞に比して 小形である が,どのように根鞘が胚盤に接しているか,両者境界ほ明瞭でない.大粒雑穀では根鞘の細胞ほ胚盤の細胞に比 して小形で長形であるが根鞘と胚盤の境界を明らかにすることほ困雉である小粗雑穀では根鞘が細胞の形から 比較的胚盤と区別し易いものもあるが根鞘が伸長した場合ほより明らかとなる. 第5図紅おいて−根鞘と胚盤の境界を検するに根鞘がよく仲良した場合紅おいては根鞘の細胞は膨大が大となる ので胚盤との境界は漸次明白となるい 但しほとむぎでほこれらの境界が比較的明白でなかった, REEDER(∂8)ほ禾穀類の胚の分類規準の1項目として根鞘が胚盤からどのように分かれるかの点を上げ,胚盤 の末端で根鞘が融合しているものと,中途から分岐するものに大別した.. ・また末次(67)ほ作物による胚諸器官の分化発達上の主なる相違点として,小麦とらい麦でほ根梢は胚盤の末端 で肢分れしているが,大麦とえん麦でほ肢分れしないで根鞘は胚盤の末端に接続しているとしている…しかし大麦 ほ少くとも供試した香川裸1号においてほ根鞘は明らかに胚盤の末端で分岐しており,え.ん麦においても胚盤の 末端には退化したと認められる細胞群が見られるので,大麦と同様板塀は胚盤の趣く末端で分岐していると考え られる.また稲においても胚盤の末端で融合していると見るよりも根鞘は月杢盤の極く末端で分岐していると考え られる. したがって著者は前記のREEDER(58)及び末次(67)の所見とは異なり禾穀類の根鞘ほ胚の末端で分岐する稲,麦 群と根鞘が胚盤の下部中途で分岐する雑穀群に分つことが妥当であるとするものである 次に大麦及びえん麦につき根鞘と胚盤との境界状態を拡大図示すると第4区lのようである.. 次に雑穀のうちREEDER(58)によるTrue Panicoidtype紅属する作物でほ胚盤の左右両端が伸びて:反転し て,胚器官を覆ってこおり,子葉鞘,中胚軸,及び根鞘が外部に露出しているのほヱれら器官の中央部の−部に.過 ぎず,根開ほ広い範囲で胚盤に接している したがって,これらの作物でほ根鞘と胚盤の境界を論ずるに当って放射断面切片軋よる検討のみでは不充分 で,切線断面をも調査する必要がある よって以上の7作物について根鞘が種被を破って出現したとき胚の部分を胚乳より分離して,固定,染色の上 第5匪1に示した放射断面のみならず,切線断面の切片を作った‖ 発芽初期における胚盤が胚器官を覆っている状況を第5区†に切線断面の切片による根鞘の胚盤からの分岐状態 を第占図に示す これによればTrue Panicoidtypeに属する以上の7作物は,稲麦類及びしこくびえの場合と異なり,根棚ほ 胚盤で広く覆われており,根脛が胚盤の下部の中途で広い範囲内で分岐しており∴胚盤と斜に接続して種子限な 包んでいることが明らかである. 従来胚の研究紅おいて放射断面のみについて研究されているが,胚盤の左右両端が伸び反転して広い範囲内で 胚を包む胚塑の作物においては放射断面の外,切線断面庭ついても検討が必要であることを強調するものである. 第2節 根鞘と外胚葉との境界 供用した禾穀類の15穐類の作物の胚で外月杢菓(Epiblast)を有するものほ次の4種であるすなわち大形の外胚 共をもつものに稲としこくびえで,僅かに発達した小形の外胚葉をもつものは小麦及びえん麦である これら作 物につき,乾燥種子の胚と発芽の初めで根聯と外胚葉が種被を破って出現したときのものについて比較すれば第 7図の如くである すなわち稲においてほ根鞘と外胚葉との境界ほ両者の組織細胞の形状がよく類似しているので,乾燥胚では殆 んど区別ができないが,根鞘及び外胚葉が種被を破って出現する発芽の初期段階ではそれらの細胞が膨大し,根鞘 細胞は長形となり大きく膨大するが,外胚葉細胞は丸形となるので板鞘と外胚葉との境界は明瞭に認められる なお根鞘と外胚葉の表皮細胞は断面で長形であり,これらが毛の母細胞であるが発芽初期段階で根鞘細胞の膨

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ー 4 一 大の程度が外胚其の場合よりも大であり,表皮細胞がわん曲して両器官の境界はかんぼつがみられる.この境界 は稲15穐中香川55号が最も明瞭で,Te−tepのみほ境界が外部よりは比較的不明瞭であることを示した, 次にしこくびえにおいては根鞘と外胚葉との境界ほ既に乾燥胚において明らかである‖ なんとなれば根鞘の部分は種子根を包んで長い細胞が配列されており,外胚葉の部分は細胞が根鞘より密にな らんでいるこ.とから明らかである. また小麦とえ.ん麦でも乾燥完成胚において根鞘の細胞は細長く外胚菓の細胞は丸形で両器官の境界ほ比較的明 らかであるが,種子発芽の初期段階でほこの関係が一層明瞭に認められる. これら外月杢柴をもつ作物では板哨と外胚葉は境界が見られるが合体して,中胚軸の部分で接続しでいるが,そ の接合面は稲としこくびえでほ特に幅が狭い 小麦及びえ.ん麦では中胚軸の突出部の上が外胚共で,中胚軸の下 が根鞘であると認められる.. なお,外胚葉についてほPERCIVAL(57),AvERY(S)等は柴舌に相当すると見ているが,JoHANSEN(22)等ほ本葉 の菜耳と考えており,また最近BROWN(5)は外胚葉は単に根鞘の先端が延長したものとしている 外胚葉ほこのように発生学的に論議があるが,種子発芽に際して根鞘の場合と同様紅その表皮細胞から毛を形 成して,発芽に際して根鞘と相似した生理作用をなすものと推定せられる 第3節 根鞠と中胚軸との境界 根鞘と中胚軸との境界紅ついて−は根鞘と外胚英とが中胚軸と接している,稲,しこくびえ,大麦及びえん麦を のぞく9種の作物について乾燥胚と発芽初期段階のものについて検討した.結果は第8図のようである. 中胚軸ほ胚軸,子葉節及び根節を含めてMesocotylと呼ばれ,訳冨として合成胚軸,中茎とも呼ばれている 末次(67)は大麦及び小麦及びらい麦では胚軸,子菜節,横筋が・−}体となっているが,えん麦では胚軸,子葉節 及び根節が明らかに分認されるとし麦類の場合ほ胚軸(Hypocotyl)としている 本研究でほ各作物とも紅中胚軸として仙・様に取り扱った. 筋81乳で明らかな如く,限鞘と中胚軸との境界が休眠乾燥状態の胚で明らかなもの(A群),及び乾燥胚でほ 境界が不明瞭であるが,発芽初期段階紅おいてほ明らかなもの(B群),何れの場合も境界の不明瞭のもの(C 群)のあることが判明した∴すなわち供試した9種の作物ほ以上の関係から次の5群紅分つことができる. A 群 大麦,らい麦 ,もろこし,とうじんびえ 乾燥胚で根聯の細胞ほ中胚紬の細胞紅比し長形で,形が小さく,根鞘と合成胚軸の境界が判定可能であり, 発芽初期段階では根鞘の細胞の膨大が中胚軸の場合よりも大であるので,両者の境界がより明瞭となる, B 瑠 きび,ひえ,あわ 乾燥胚でほ根鞘と中胚軸との境界ほ明らかでないが,発芽初期段階でほ根鞘の細胞の膨大が中胚軸のそれよ りも大であるので.境界が漸次明らかになる,. C 三群 とうもろこし,はとむぎ 乾燥胚及び発芽初期段階で根鞘と中胚軸の細胞の形状及びそれらの膨大の程度が類似していて境界ほ明らか でない しかしC群の作物において.も,他の作物の場合より考察して−,中胚細から種子根が明らか紅分化する個所の 外側及び種子椴と根鞘の空隙(Cavity)の上の起点の外側を根鞘の上端と見るべきであろう. 第4節 根鞘と種子根との空隙 TooIE(7さ)はとうもろと.しについて,種子板と根鞘との空隙(Cavity)を観察しているが本研究では15種類の 作物について,この間隙がどのようになっているか.また種子根の多い作物でほ種類紅よってどのように空隙が 存在するかについて,根鞘の内敵組繊と関連して明らかにするため,先に示した板鞘の縦断面のはか横断面につ いて検討した. 種子板1本をもつ8種の作物では,板哨との空隙も亦1個であるが,大麦.小麦,らい麦及びえん麦では各種 子根ほ根鞘の組織で隔てられて,空隙ほ各々独立している.この場合根鞘の組織の厚さ及び各種子板を内包して いる隔壁の厚さほ小麦で最も厚く,え.ん麦で最も薄いい

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ー 5 − 叫方はとむぎの場合は根鞘の組織は.比較的薄く,各種子根はそれぞれ根鞘の組織で隔離されないしたがって 各種子根は各々の空隙をもたず,1個の空隙を共通にもっている このように根鞘の厚さ或は根鞘と種子根の空隙が作物の種類によって異なることからすれば,根鞘の生理生態 的特性も‘また作物の種類によって,異なるものと考察される 第5節 根鞘の分岐 種子根が・檎本の作物では根鞘の分岐ほ認められないが,種子根の多い作物のうらで根鞘の先の分岐するものが あり第10図に示す らい麦の根鞘は乾燥完成旺で分岐していることを末次(67)が既に明らかに.しているが他の麦では認めていな い種子発芽の初期になるとらい麦でほ根鞘の先端が分岐するこ.とがより明らかとなるが,小麦についても根鞘 の先端がらい麦の場合に比すればその程度は軽いが明らか紅分岐する 結局供試した15種類の作物中,種子根1本のものはいづれも根鞘の先端ほ分岐せず,また種子根を多数もつも のではらい麦と小麦の2種のみが根鞘の先端が分岐して,大麦,えん麦及びほとむぎは分岐しない

第4章 禾穀類作物根鞘の形態的分類

根鞘は鞘状の組織よりなり,種子根を覆って−いるが,以上の形態的研究の結果から明らかなように,根鞘は表 皮系と基本組織系よりなり,某組織で構成され∴維管束系を有していない また根鞘ほ分裂組織を有せず,乾燥種子が吸水して根鞘が伸長するのほ,細胞の分裂による細胞数の増加によ るものでなく,根鞘個々の細胞の膨大によるものである 本実験によって従来明確を欠いていた,根鞘の胚における部位ならび紅他の器官との境界など根鞘の形態ほ発 芽の初期段階で明らかにすることができる 外胚葉の有無,根鞘先端の分岐の有無,根鞘の胚盤からの分岐状況,根鞘と中胚軸との境界,根鞘と種子根と の空隙の関係及び根鞘組織の厚薄等は供試した作物の種類によって異なっている 禾穀類作物板鞘の形態的分類を第5表に示す 第5表 禾穀類作物根鞘の形態学的分類 Al 胚盤の最下端部で根鞘が分岐する.(第1群)稲,麦類 Bl 外胚葉を持つ Cl 根鞘と種子根の空隙ほ.1個 Dl 根鞘の先端ほ組魔の厚さが薄いが胚盤の側ほ組織の屑が厚い.夕沌りほ外胚葉と融合しているがこ の部の根鞘の組織ほ比較的薄い 根鞘と外胚葉との境界は乾燥胚では明らかでないが,発芽初期に.ほ判明出来る.旺盤との境界も 発芽初期で明らかとなる.表皮細胞は表面から見ると丸昧を得びているが,横断面で見ると細長 く毛を形成する 稲 C2 種子根は根鞘の組織で隔てられ空隙は種子根毎に独立している D2 根鞘の組織ほ比較的厚い根鞘と胚盤との境界ほ乾燥の胚でほ明らかでないが発芽初期でほ明ら かである.板塀と外胚葉との境界は乾燥の旺で分明する 乾燥の胚でほ根鞘の先端ほ分岐しないが,発芽初期で根鞘の先端が分岐する 小 麦 D3 根鞘の組織ほ麦類でほ最も滞い,外胚葉との境界は乾燥の胚の時既に判明するい 胚盤との境界は 発芽初期で明らかとなる“発芽初期でも根鞘の先端は分岐しない えん麦 B2 外胚葉がない C2 種子根は根鞘の組織で隔てられ∴空隙は種子根毎に独立している D4 板鞘の組織は比較的厚い.板鞘と胚盤及び中胚軸との境界ほ発芽初期により明瞭となるい 根鞘の 先端は分岐しない 大 麦

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トー1占 −・ D6 根鞘の組織の厚さは大麦,小麦の場合に次ぐ,根鞘と胚盤及び中胚軸との境界ほ発芽初期により 明瞭となる.根鞘の先端は乾燥の胚で既紅分岐してこいる らい麦 A2 根鞘は胚盤の下部中途より分岐する…(第2群)雑穀 A′2∼1胚盤ほ平板で根鞘ほ胚盤の内側で分岐する Bl 外胚葉を持つ Cl 根鞘と種子根の空隙は1胤

D6 根鞘ほ乾燥の胚で種子根のまわりを半円状にとりまき細胞の形状と配列から外胚葉との境界ほ明

らかである‖ 外胚葉がよく発達しているが板鞘,外胚葉共に組織は稲の場合より簡単である しこくびえ A′2{ノ2 胚盤の左右両端が伸びて.芽生器官を包んでいる.従って根鞘は内側及び左右の広い範囲で胚盤から 分岐している B2 外胚葉がない Cl 根鞘と種子根の空隙は1個 DT 根鞘の組織ほ.最も厚い根鞘と胚盤の境界は乾燥の場合ほ朋らかでないが発芽初期にほ根鞘細胞 の伸長が胚盤の場合よりもはるかに大である.中胚軸の皮眉ほ発芽初期に膨大が大であるので, 発芽初期でもその境界は明らかでない とうもろこし D8 根鞘の組織はとうもろこしに次いで厚い.根鞘と胚盤の境界は発芽初期により明瞭である..中胚 軸と根鞘の境界ほ既に乾燥の胚で明らかである とうじんびえ D9 根鞘の組織の厚さほとうじんびえに次いで精々厚いい根鞘と胚盤の関係,根鞘と中胚軸との境界 ほ.とうじんぴえの場合と同様. もろこし DlO 根鞘の厚さほもろこしについで中位である発芽初期に根鞘の細胞の伸長が割合に少ないい根鞘 ほ角があり丸くない.胚盤と根鞘の境界ほ周様に発芽初期明らかである,根鞘と中胚軸の境界は 乾燥で不明瞭であるが発芽初期には明らかとなる きび Dll根鞘組織の厚さほ精々薄い小娘鞘と胚盤,根鞘と中胚軸の関係はきびの場合と同様 あわ D12 根鞘の組織ほ最も薄く簡単である‖根鞘と胚盤,根鞘と中胚軸の関係ほきび,あわの場合と同様∴ ひえ C8 種子根ほ根鞘の組織で隔てこられず,各種子板は共通1個の空隙をもつ D18 根鞘の厚さほ中位である.根鞘と胚盤とは乾燥胚では不明であるが,発芽初期には板鞘の伸長が 大である根鞘と中胚軸ほ種子の乾燥の場合は勿論,発芽初期でも中胚軸の皮眉細胞の膨大が根 鞘細胞の膨大と同じく大であるので,この境界闇明らかでない.根鞘の先端は分岐しない巾 ほとむぎ Al 根鞘が胚盤のごく末端で 分岐 A2 根鞘が胚盤の下部中途で 大 麦 分隠 ら い 麦 A2∼1胚盤が平板,根鞘ほ内 側胚盤より分岐.. A2∼2 胚盤の両端が伸びて胚 をつつみ根鞘は広い範 囲で胚盤から分かれる. Bl 外胚葉をもっているも

A2∼11Bl

Cl 事 D8【しこ くえび とうもろこし とうじんびえ も ろ こ し き び あ わ の・ ひ え B2 外胚葉がないもの. Cl 根鞘と種子根の空隙 1個 は と む ぎ

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ー 7 − C2 各種子板ほ根鞘の組織で隔てられ,各種子根は各々空隙をもつ C$ 各種子根ほ1個の共通の空隙をもつ..各種子板は根鞘の組織で隔てられていない Dl(ノDl$ 作物の種類を示し,根鞘組織の停滞,他器官との境界関係,根鞘先端の分岐の有無等各々 特長をもつ

第5章 考 察及 び 摘要

1.根鞘は乾燥した胚でほ種子根を覆っているが,種子発芽の条件が与えられて凝芽が進むと最初に種被を破 って出現する器官である 従来種子発芽で最初に現われるのほ幼芽叉ほ根鞘であるとしたものがあるが,これほ有梓の種子の場合であ り,籾或は辞にさえぎられで根鞘の出現が外部から認められないためであることを明らかにした.. 程被を破って露出した凝鞘ほ無色で,伸長が進むと表皮細胞より根鞘毛を生じ,表面積を著しく拡大する・・ 外部より板鞘長を測定することは板鞘と中胚軌外胚葉との境界が明確でないので困難であるから,縦断切片 の検鏡によらなければならない. 2い 稲の根鞘毛についてみるとその直経は根毛に比して20∼50%大であるが,その長さほ陸稲でほ根毛より長 く,水稲でほ大差ないか或はやゝ短い 玄米状態でほ根鞘毛ほ語床後18時間程度で形成され5占∼42時間後に最大伸長に達したが,根毛は置床後5ロ時間 程度で形成され,る0∼占る時間後に最大の伸長を示したしたがって板鞘毛の活動は鹿毛の場合に比し時間的に著 しく速かである. 5‖ 根鞘と胚盤との境界は乾燥の胚で明らかでないが,根鞘が出現,伸長後においては根鞘の細胞の膨大が胚 盤細胞のそれよりも大であるので両者の境界は明瞭となるい 従来,麦類でほ板鞘が胚盤の末端で融合しているとし,或は大麦,えん麦でほ胚盤のはしが伸びて根鞘となる との所見があるが,少くとも本実験で取扱った品種より見れば,根鞘は胚盤の極く末端近くで分岐するものと考 えられる.雑穀でほ.根鞘ほ胚盤の中途から分岐する. 供試した15種類の作物でほ胚盤から分岐する角度が小さいので胚盤と広い範阻で接合している.また7種顆の 雑穀では胚盤の左右両端が伸びて胚を包んでいるので板鞘は胚盤の広い範囲で分岐しておることが板鞘の放射断 面のはか切線断面の観察から明らかにされた. 4.根鞘と外胚葉との境界ほ稲では乾燥の胚でほ.境界が明らかでないが,根鞘が出現すると板鞘細胞の膨大が 大となり,また表皮細胞も外胚葉と根鞘との境で曲ってくるので両者の境界が明瞭に判定できるようになる.し こくびえでは乾燥の胚で根鞘の細胞は長形でそれらほ種子根を覆った方向に配列されており,外胚葉の細胞の形 ほ丸く密にならんでいるので両名の境界ほ朋瞭に区別し得る. 小麦,えん麦の場合も乾燥の胚で既に板鞘の細胞ほ外胚葉のそれより長形であるので,境界は識別でき,さら に発芽の初期段階に至るとより明瞭となる 5‖ 作物の種類によって根鞘と中胚軸との境界ほ明瞭のものと然らざるものに分けられるいすなわち (1)乾燥の胚で根鞘の細胞が中胚軸のそれより小さく区別の容易なもの大麦,らい麦,とうじんぴえ (2)乾燥の胚でほ両者の境界ほ明らかでないが,発芽の初期段階においては根鞘の細胞が中胚軸のそれより もよく膨大するので両者の境界が区別できるもの あわ,きび,ひえ (3)乾燥の胚及び発芽の初期段階において−も根鞘の細胞と中胚軸の細抱の形状,膨大程度に差異が認められ ず両者の境界が区別し雉いもの とうもろこし,はとむぎ しかし,とうもろこし,ほとむぎにおいて−も他の種類の作物の場合から推定して,種子根が中胚軸から明ら かに分化している処の外側に根鞘と中胚軸との境界があると推定しうるであろう. るい 種子板を多数もつ作物の種類のうち,大麦,小麦,えん麦及びらい麦ほ各種子板ほ根鞘の組織で隔てられ 各々個有の空隙をもつが,はとむぎでは各種子根が共通の1個の寒隙をもち,根鞘ほ中空であることが判明し た 種子根を1本生ずる他種作物では勿論根鞘と種子根の空隙もまた1個である

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ー 8 − 7.乾燥の胚において根鞘の先端が各種子根毎に分岐しているのは,らい麦のみであるが,発芽初めにおいて 根鞘の先端の分岐が認められるのはらい麦のはかに小麦がある. 8.以上の研究結果から作物別の根鞘について一形態的分類を行った. すなわち胚盤から根鞘が分岐する位露,外胚葉の有無,種子根と根鞘との間の空隙の状態,根鞘分岐の有線, 根鞘の厚蒋等から根鞘の形態を作物別に記載したいそれによれば根鞘が胚盤から分岐する位露によって稲,麦類 群と雑穀との2鮮紅大別される. 次に外胚葉の発達程度によってこは,よく発達しているものとして稲としこくびえ,僅かに発達しているものと して小麦とえん麦,全々発達しないものとしてその他の9種が挙げられる 次に根鞘と種子根の空隙状態によってほ,各種子根毎に根鞘の粗放で隔て.られているものとして,大麦,小 麦,らい麦,えん麦,各種子根が共通の1個の空隙をもつものとしては,はとむぎ,その他として種子根1太, 空隙1個をもつ作物とに分けられる また根鞘組織の厚さによっては最も厚いものとして−,とうもろこし,最も薄いものとして1ひえがある.

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ー・55−

第2編 根鞘の生理生態学的研究

根鞘ほ禾穀類の種子発芽に際し,最初に種被を破って出現する器官であるので,発芽の進行に対し何等かの生 理的役割をもつものと想像されるが,根鞘の機能についての研究は殆んど行われていない すなわら根草肖の機能についてHARBERLANDT(12)は根鞘毛は根毛と類似のものと考え,西村(39)は果 Timothy, Bl11egraSSに・ついて,根鞘は種子根の出現迄ほ種子根の代理として,種子根の出現後は若干期間種子根の補足的 伐きをするものと考察したが,単なる推定にとどまり,実験的証明をされたものではない.叉NoRSTOG(47)はえ ん麦の根鞘の伸長を良好にする外的条件について研究しているが生理機能について−ほ研究を行っていないい 本 研究では根鞘毛を含めて\根鞘の吸水作用,無機物質の吸収作用,根鞘の存否が発芽幼植物の器官に及ぼす影響な どの面から根鞘の連理を追及するとともに,種子発芽に対する水分または酸素の欠乏,最高点低湿度限界及び塙 分濃度限男等異常発芽環境下における根鞘の生態を究明し次ぎには稲の耐早性,耐墟性,小麦の耐湿性の強弱と 根鞘の生態との関係及び水稲品種の地理的分 第4表 供用作物名及び主要品種名 布と根鞘の重態との関係について研究を行っ た なお従来種子発芽の定義は人によって定ま らず,また,発芽経過の区分も行われていな いが,根鞘に閲す■る研究結果に基づき種子発 芽経過の区分紅つき試案を提案した. 供試した作物の種類及び主なる品種名ほ第 4表のようである.なお実験材料としてほ香 川大学農学部附属農場産のものを主体とし, 何れも純正な遺伝性をもち,粒の充実よく, 揃ったものを用いた.また稲,大麦等紅つい てほ必要に応じ,脱梓粗を供用したが,脱穀 脱辞に当って機械器具による種子の損傷をさ けるため,すべて実験者手直前手で行った 作 物 名】 種 名 稲 大 麦 小 麦 え ん 麦 ら い 麦 とうもろこし も ろ こ し き び こト え あ わ 香川55号,栄光,腰林10号,中神力 群益,会津裸5号,こびんかたぎ 珍子,農林2‘号,農林占9号

American clydesdal,VictoIy No.1 P工Of.Heinlicb,Petk11SSa

Long fe1low,White dent corn 苛もろこし,在来赤種 白 き び 朝 鮮 あわ10号 品種を多数取扱った実験では.実験毎に別に記徹する

第1葦 根 鞘 の 生 理

根哨の行う主なる生理作用としては,吸水作用及び無放物賀の吸収作用を対象とし,期間ほ根朋が出現してか ら,種子根が根鞘を破る直前迄を中心として検討を行った 第1節 根鞘の吸水作用 根鞘毛を含めて根鞘の吸水能力の有無を検定する目的を以って中性赤の吸収,根鞘の鯵透圧,根鞘組織の溶透 圧及び根哨の平均吸水力について実験を行った. 第1 実 験 195る年る月水稲農林55■号を用いて実験を行った.中性赤ほ毒性が比確的軽微で,生態染色によく用いられるが SrRUGGER(65)による実験方法によったすなわち玄米種子を500Cの定温器で発芽せしめ24時間後,根桐が出現 して,根鞘毛がイ重かに伸長した個体を選び反応中性の水をもって溶解した中性赤の2万倍溶液紅浸精した 20砂経過したのち水洗して\検鏡すると多数の根鞘毛紅色素が浸透していることが認められたなお1957年占月 にほ小麦農林2る号を用いて同様な実験を行ったが,水稲の場合と同様な結果が得られた 第 2 実 験 rl)根鞘表皮細胞の原形質分離

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−5る− 供試材料として三根鞘組織が比較的大で,実験に便利なとうもろこしを用いた 実験は1957年6月に行い,とうもろこしWhitedentcornの種子を500Cの発芽試験器で発芽させ,根鞘が外に 現われ約0。.5耗に達した直後,50個体の根鞘を切りとり,庶糖液を軌、て眼界原形質分離を調査した 結果は第5表のようで,とうも 第5表と・うもろこし表皮細胞の限界原形質分離(1957) ろこしの根鞘表皮細胞の限界原形

庶糖液濃度(モル)loり42】口り45‡0・4叫 045l計

貿分離は庶糖液の0・45∼0・44モル 紅相当し,湊透圧は12気圧程度で かなり高いことが認められた

5 j 50

限界原形質分離個体数1 2l14lll (2)氷点降下法紅よる鯵透圧 禾穀類で根鞘の比較的大きいとうもろこしにおいてもその搾汁を得ることは困難であるので根鞘組織にMic工O

pyrometerの針をさしこみ,氷点降下皮を測定することにより根鞘の診透圧を測定した・

先づ種子根について各種測定方法によって淡島降下皮の比較を行って第11図の成績を得た ただし組織のままでMicIOpyIOmeterで測定し た氷点降下皮は組織の搾汁を用いた場合と異なる ことについて坂村(80)が精しく述ぺているが,と うもろこしの種子根について:行った本実験では第 11図から明らかなように両者の測定値は異なった が,生活組織そのままの氷点降下皮は水耕液の濃 度が高まるにつれて次第に大となる傾向があり搾 汁による場合と同様な傾向を示すことが知られ

たそこで同様にとうもろこしWhite dent corn を用い,根鞘が種被を破って僅かに出現したとき 及び種子根が1静程度に仲島したとき,それぞれ の組織にMicropyrometerの針をさしこみ,氷点 降下度を測定した なお発芽試験器への置床は2回に分けて行い, 早く置床したものからは種子根の伸長した個体を とり,晩く置床したものからほ根鞘のみの伸長し た個体を同時に遠出して氷点降下度を同時測定し た 結果を第12図に示す 実験の結果は第12図に示す如く,根鞘組織の氷 点降下の状態ほ種子根の場合によく額似し,外彼 の濃度が高まるにつれて氷点降下度は漸次大とな った 種子根の搾汁による氷点降下と組織そのものの ・−1 氷 古_・2 降 下 ■−3 度 B▲、−

−\−▲ \ ▲

● ●−・− ● 20 0.5 10 15 水利・秋元 水耕液濃度(標準を1とする) 第11図 水耕液潰皮を異にした場合,種子根の汁液及び 組織の各種の方法による氷点降下皮の比較 (1957)

A Beckmann法

(5回測定値の平均) B Micropyrometer法汁液(5回測定値の平均) C Micropyrometer法組織(5回測定値の平均) 氷点降下の状態より推定して,根鞘の蓼透圧は種子根と同様にかなり高いものと推知できるであろう. 以上根鞘表皮細胞の原形質分離及び氷点降下皮の検討によって:根哨の湊透圧は相当に高いこ・とが判った

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ー57−・ 第5 実 験 根鞘の鯵透圧が発芽のほじめに大であるの ほ,発芽の進行に当り可溶体の栄養分が胚の他 の部分から根鞘に移動し,ついで胚乳から吸収 層を経て根網に移動することによるものと考え られる B.椰子 根 −3 ▲ ▲ ▲ ▲ ▲▲ ▲ ▲ ▲ ● ● ● ● 発芽の進行に伴い根鞘に移行するものは炭水.トー 化物,窒素化合物などであるが本実験では糖に っいて検討した 降 ・一4 ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲▲ ▲▲ ▲ ▲

即ちとうもろこしWhite dent coInの種子を 500Cの発芽試験器に眉床し,根鞘の先端が僅 かに出現した直後50個体の根鞘を切断して材料 度−5 とし,遊離糖の分析は材料が少盈のためAnthト On法によった.なお遊離糖の組成ほPapeICb・ ⅠOmatOgIapby紅より検出したが,PARTRIDGE (55)及びMtJKHER丁ⅠⅠ(35)の方法によった 結果は次の第る表,第7表に示す如く,とう もろこし1個の板鞘には17γの遊離糖があり, 糖の種類としてほ庶糖が多く,葡萄糖及び果糖 ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ 0.5 10 1.5 20

51015 2一0

水耕放浪度 二個体数 第12図 とうもろこ.しの根鞘及び種子根組織の氷点降下 状況 (1957) ほ僅かに存在することを知った これらの遊離糖は呼吸エネルギーとして又根鞘毛を生ずる場合はそれらの形成に用いられるであろうが,物質 代謝は連続的に行われるので,これら遊離塘が発芽の始に当って蓼透圧を高めることに.対して寄与しているもの と考えられる 第る表 発芽初期におけるとうもろこし根鞘の遊離糖含量(195占) 標準液50γ/皿1 葡萄糖液

第1回座2叫平 均

吸 着 皮 1個体当り γ 分光光度斜による 第7表 発芽初期におけるとうもろこし根鞘の糖の組成(195占)

AAmmomicaトAgNO$

B P−・Anisidine−・H8PO4

C Aniline Hydrogen Phthalate Paper chromatography 第 4 実 験

植物組織の平均吸水力を測定する方法について中野く87)は次のように述べている

即ち自然状態の組織片を液体パラフィンに浸し,つぎに之を種々の濃度の蕉糖液に浸し.その大さの変化しな

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ー58 − い濃度を求めこの濃度紅対する湊透圧を組織の平均吸水力と見放すのである 供試材料としてはひえを用いたひえは前編形態学的研究の項において述べたように,根鞘の細胞層が最も薄 く,外囲条件による伸縮が最大であり,一平均吸水力の測定に適するものと認められた 実験ほ1955年5月に行った.ひえの品種は朝鮮を用い500Cの定湿器で発芽せしめ,根鞘が1耗程度に伸長し たものを切りとり,室温で平均吸水力を測定した. 結果ほ第8表に示すようである. これによれば根鞘観相の平均吸水力については個体変異が多かったが,0.4モル庶糖液中においてはパラフィ ン中の長さに等しいもの5個体,伸長したもの12個体,短縮したもの15個体で, この附近に平均吸水力があるもの と認められる..したがってひえの 根鞘組織の平均吸水力は約11気圧 に相当するものと云えよう なお水深10糎として酸素供給を 制限した場合のひえの根鞘組織の 平均吸水力を測定した この場合ほ,根鞘のみが異常に伸 長して種子根は殆んど生育しない のであるが,根鞘の平均吸水力ほ 庶糖液の0…2∼0.5モルに相当し蓼 透圧ほ.5∼8気圧をもつことが明 第8表 ひえの根鞘の平均吸水力 (1955) 数字ほ個体数字を示す パラフィン中における根鞘親織の平均長は0.88耗,+は伸長, は短縮したことを示す らかにされた 以上の諸実験によって(11水稲及び小麦の根鞘毛に中性赤が速かに取り入れられること (2)とうもろこしの根 鞘の表皮細胞の珍透圧ほ約12気圧であること (3)とうもろこしの板鞘組織の 鯵透圧ほ外界の溶液濃度 の上昇につれて種子根の 場合と同様に高まること r4)ひえでほ根鞘組織の平 均吸水力は約11気圧を示 し種子根の生育し得ない 水中発芽の場合でも5∼ 8気圧を示すことが明ら かにされた 罪9表 水中発芽における根鞘組織の平均吸水力 (1954) 前表と同様−トほ伸長,−ほ短縮した個体数を示す. これらの結果ほ根鞘毛 を含めて根鞘は吸水作用を有するものであり,種子根の発生するに先だって吸水を行い,発芽に対して二墓要な肋 きを果しているこ.とが推論される 第2節 根鞠の無機物質の吸収作用 根鞘が吸水作用を行い得ることは前節で実証されたが,・一・方紐機物質の吸収作用も行われるか否かを明らかに するためNaClと82pを用いて実験し,またこれら物質が吸収される場合,根鞘から他器官にどのような経路を 通じて移行するかをClを用いて実験を行った 第1 実 験 実験は19る0年る月より7月に亘って一行った.水稲香川35号の玄米種子を500Cの発芽試験器に24時間おき,板 鞘が現われて根鞘毛の形成した個体を選び出し,根鞘を含めて粗の下草部をNaClO小5%液紅浸秩して−1分間 後,1時間後,5時間後及び占時間後とり出しClの吸収状況を調査した

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ー59− Clの微量検出法は久保田等(26)の方法によったい即ち胚及び胚乳の切片を硝酸銀1%のアルコール溶液に浸積 したのち,酢酸性アルコールで洗い,−・定時間紫外線粧さらしたのち,ヒドロキノンのアルコール溶液で還元現 像したい この方法で微量のClもよく検出出来た この結果Clが根鞘から吸収され更に移行される状態は次の15図から明らかとなった

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第15 図 NaClO.5%に浸漬した場合根鞘よりClの体内 移行 (19る0) COR 根 鞘 END 胚 乳 卓 Clの移行方向

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1)実験直前

2)1 分 後

5)5 時間後

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−42鵬−

4)占 時間後

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ー45・−− なお収穫直後の稲の胚にはClの含量が多く,収穫後時間を経過す−るにつれて減少することは久保田等によっ て指摘されているが,供試材料は収穫より数ヶ月経過したものであったので胚にはClの含量が少く実験に.好適し たものであった. 0・5%のNaCl液で処理して1分間後には短かい根鞘にClが多量入っていることが認められた次いで1時間後 にほClほ根鞘の内部に移行が見られたが,外胚葉及びこれに接する根鞘への移行は少ないが,これは前編で明ら かにしたように,根鞘と外胚葉が中胚軸に接合している部分は狭少であるためこの部分から胚の中胚軸に移行す るCl盈は僅少となったためであろうい これに反し根鞘が胚盤と合体している部分よりはCl移行量が多盈に認めら れる 次いで処理後5時間後にほ幼芽仁種子根及び胚盤の各維管束にClの集兢が多く 見られ,Clほ根鞘毛より胚盤へ柔細胞を経て移行す−るが,胚盤の維管束から胚器 官の維管束を経て幼芽,幼根へ移行する量がより多いことが認められた このようにして根鞘から胚盤に移行したClは胚器官に移行するのはか,吸収層 を経て胚乳に移動し,胚乳におけるClの集積ほd時間後に明らかに認められる 以上のことから根哨はClを吸収し,胚器官及び胚乳紅Clを移行することが明ら かになったが,本実験では根鞘を含む粒の下半部を浸廣したのでClは種被からも 吸収されたことも考えられるので根鞘のみが外部に現われた発芽粒について融解 点470Cのパラフィンを胚以外の部分に塗り,根鞘及び外胚葉のみからClを吸収 せしめた処第14図のように胚及胚乳にClの移行が認められ,根鞘から吸塩の行わ れることが確証された 第14区1胚のはかパデフイン を塗布したものを NaClO..5%液に浸 概して12時間後のCl の分布 第 2 実 験

1956年より1957年に亘り,とうもろこしWhite dent corn及び小麦農林26号・を用いて実験した

種子をとうもろこしは500C,小麦は250Cの定溢器中ぺトリ皿中に設けた発芽床で発芽せしめ,根鞘が僅かに 出現した個体の根鞘が9p(るmcを10mlにうすめたもの)を小筆にて塗布したが鼠は少いものから多いものま で5∼4段階とした 第10表 とうもろこしの根鞘に82pを塗布して24時間後,他器官への移行割合 a,b,Cは82pの塗布鼠を異にしたもの 第11表 小麦の根鞘に$2pを塗布して24時間後,他器官への移行割合 a,b,C,dほ82pの塗布昆を異にしたもの

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ー44 】 その後ほ胚を上向として82pと発芽床との接触を防いで,再び24時間定温器におき,しかるのち幼芽と幼根を 切断し,常法により灰化の上,個体当り1分間当りのカグソト数を測定して第10表,第11表の結果を得た ただし幼芽と幼根を切断にするに当っては,それらの中胚軸との境界を避けて,幼芽,幼根の基部を残した これによると,とうもろこしでほB2p塗布後,幼根(種子根と冠根を含む)へほ24時間後の移行割合において 2小4%,幼芽へほ0..8%を示し,次年度でほ幼根へ1..2∼4り0%,幼根へは1・2∼2・2%であったが,小麦では幼板へ 10,.5∼24“8%,幼芽へほ什・5∼15、.5%が移行した このように移行割合が作物によって異なったのは根鞘組織の厚さなどの差によ るためではないかと考察される なお種子根に移行した82pは根鞘から移行したもののはか,種子根が出現のと き根鞘の表皮に接触することによって附著したおそれがなしとしないので,この 点に対して次の実験を宿った 即ち小麦の根鞘紅82pを塗布して2時間後(種子根ほいまだ根梢を破らない) 板鞘をよく水洗して,22時間後AutoIadiographyによってB2pの体内分布を見 た その結果は第1昭粧見られるように短時間後に水洗しても根鞘から幼根,幼芽 へ82Pは明らかに移行することを確認しえた 然して前表カウント数の測定に当って,幼芽,幼根の切断の場合,それらの基 部をのこしているが,AutoIadiographyの結果から見られるように幼根,幼芽の 基部に鋸Pの分布が多いことから考えると根鞘からの移行畳ほ前のカウント数よ り更に若干多いもののよ・うである 第15図 小麦農林∠るづの根 椚に82pを塗布し て2時間後水洗 吏に22時間おいた 場合幼芽,幼フ限え の移行状態(1957) 第3節 根鞘の有無が種子根及び子葉鞘の生育に及ぼす影響 般鞘ほ種子発芽に際し,最初に出現して,吸水作用,無機物質の吸収を行って寄生器官の生育に貢献している と考えられるので,根鞘のみ示出現したとき,根鞘を切断して., 調査した 第12表 水稲の根糊の切除が種子根及び子葉鞘の生育に及ば す影響 (1957) 第1 回 実 験 それが種子根及び子葉鞘の垂常に及ばす静響を 箕験ほ1957年る月に行ったすなわち水 稲香川,55号の種子を500Cの定温器中で木 村,秋元の水耕液を入れたぺトリ皿で発芽 ) 長せず,根鞘毛も形成しない状態の根鞘部 を切除した. たゞし水稲でほ根鞘と外胚葉を分離する ことが困難であるので根畢肖の切除には外胚 ・ 1区10個体とし,第1回実験は1区制, 第2回実験では4区制とした なお1957年11月,小麦農林2d号を用い, 250Cで発芽させ水稲の場合に準じて∴根鞘 を丁寧に切除した.この場合ほ外胚葉と根 鞘ほ容易に分離出来た 実験ほ1区10個体宛4区制とした. 切除後は引つづき定温器中におき,24時 間後の子柴鞘,種子板の生育状態を調査し た. 結果は第12表,第15表のようである“ 種子根(mm)恒子根長比率(%

区 別い朋(mm)I

10(〕 占5 標準区 切除区 第 2 匝1実 験 種子根長の比較(mm) 反 ∴;−・■ 、 区 別】 ̄ 1 1 2 標準区 切除区 第15表 小麦根礪の切除が種子根及び子葉鞘の生育に及ぼす 露響 (1957)

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ー45− すなわら,水稲と小麦ともに,根鞘切除ほ子葉鞘長に対してほ有意の差を生じなかったが,種子根長に対して ほ悪影響が明らかに認められた

第4節 考 察 及 び 摘 要

根鞘ほ種子発芽に際して,最初に種被を破って.出現し,何等かの生理作用を行って発芽の進行に貢献するもの と推察されていたので,根鞘の吸水作用と無機物質の吸水作用の有無を実験し,他方根鞘を切除することによっ て根鞘の芽重器嘗の生育に及ぼす影響を研究した,得られた結果につき考察すると次のようである (1)板鞘の吸水作用 STRUGGER(6b)紅よると,器膏の吸水作用の証明として,中性の状態で中性赤溶液中に器官を夜潰してその組 織細胞に色素の蓼透の行われることが一■方法であるとしている これによって水稲,小麦の根鞘が出現して,根鞘毛の形成を行った個体を中性状態の中性赤の溶液に浸隠する と速かに根鞘毛中に色素が溶透したので,根鞘毛は吸水作用を有することが認められた 次に根の吸水の機構に閲しで小田(48)ほ植物体の蒸散作用の盛んな場合ほ導管内の負圧による受動的吸水が行 われるが,蒸散の少ない場合は鯵透圧による吸水,原形質の分泌圧に.よる吸水及び電気溶透による積極的吸水が 行われるとした これによれば発芽に当り根鞘がまず出現して,他の器官がいまだ出ない状態においてほ蒸散作用は行われない と考えられるから根糊の吸水はもっばら積極的吸水によるものであり,細胞組織の蓼透圧による吸水が大である と推察される 本研究において,とうもろこしについては限界原形質分離法によって,根鞘表皮細胞の蓼透丑を測定した処約 12気圧となること,根鞘組織にMicropyrometerの針をさし込み,氷点降下の程度を見ると,稀子般の組織の場 合と似ていること,及び種子根組織の搾汁の鯵透圧はかなり高いことから,根鞘の鯵透圧もまた,同様に高いこ とが推知出来よう 次にひえ.を用いた根鞘組織の平均吸水力の測定実験でほ約11気圧に相当することが判明した なお水中の発芽で,ひえで種子根の伸長し得ない酸素供給制限下においても根鞘はよく仲良し,娘硝組織の平 均吸水力ほ5∼8気圧に相当した以上の諸実験から考察すれば根鞘は明らかに吸水作用を行うものと認められ る (2)根鞘の無機物栗の吸収作用 根鞘の生理作用としてほ吸水作用のほか無機物貿の吸収作用が行われて:いるか否かを検討するため,まずNaCl の05%液を用い根鞘からのClの吸収経過を追及し,さらに82pを用いて実験を行った その結果NaCl液に根鞘が出現して根稲毛の発生したものを根鞘を含めて粒の下半分を浸萌すると,1分間後 にほ根鞘の内部に移行し,5時間後でほ胚盤,幼芽及び幼根の維管束にClの集街が認められることにより,根 鞘から幼芽,幼板等にClの移行するにほ柔細胞のはか胚盤及び胚器官の維管束を通じて移行するものが多いよ うに認められた 一・方根鞘から吸収されたClほ吸収層を経て.胚乳にも移動することが明らかになった 次ぎに82pに対し根よりの吸収,移動についてほHAGEN(11),葛西(23)等多くの研究があるが根鞘の場合は何 等研究されて.いない そこで′」\麦の根鞘が現われたとき82pを塗和すると24時間後にほ全鼠の11・5∼15.5%が幼芽へ,10け5∼24.5% が幼根に移行することを明らか忙した また板鞘に82pを塗布して2時間後充分に水洗して,種子根が根鞘を破るときに根鞘に附若しているB2pに汚 染しないように注意したが,22時間おいでA11tOIadiogIapbyによって82pほ明らかに幼芽,幼根へ移石している ことが明白にされた この場合82pは幼芽では比較的均一に分布したが,幼根紅はその基部と先端に多く,中央雑に少かった 以上によって種子発芽に当り,根鞘のみが,出現して種子根がまだ現われない場合,根聯が無機物質の吸収を 行っていることはClと82pの実験より考えて一明らかである

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−4る− (3)根鞘の切除が種子根,子葉鞘の生育に及ばす影響 根鞘は.桂子根の現われる迄ほ種子根の代理として,吸水,無機物賀の吸収などの生理作用を行い,発芽の進行 に貢献すると考え.られるので,根鞘の先端が僅かに種被外に現われたとき,種被をめくって丁寧に根鞘を切除し て,根鞘の有否が芽生器官の生育に及ぼす影響力を検したところ,水稲,小麦ともに子葉鞘にほ影響が見られな いが,種子根の伸長に明らかに悪影響が見られた この点について考察するに次章に述べるように水稲では発芽床に置床後12時間で根鞘の先端に澱粉の出現が見 られ,又とうもろこしでは遊離糖が検出された.しかし乍らこのような養分の切除による扱失量は種子の全体よ り見れば軽く僅少であるので,板鞘の切除による種子根伸長への悪影響は主として根鞘における養水分の吸収槻 能のそう失によるものと思われる これを要するに根鞘は種子発芽に瞭し,最初に出現して養水分吸収という重要な生理作用をなし,主として.種 子根の伸長を速かにすることに貢献してこいることが本実験によって.明らかにされた

第2章 根 鞘 の 生 態

前章においては種子発芽に必要な水分,滝皮,酸素を充分に与えて−根鞘の生理生態の一面を明らかにしたが, 更に.発芽に必要な外的条件を異常とし,それらの供給を制限,もしくは不適とした場合の根鞘の生態を明らかに するため,次の如く水分及び酸素の欠乏状態,発芽に対する最高最低温度限界,及び高塩分下における根鞘の生 態を研究した 第1節 水分供給制限下における根鞘の生態 庶糖彼の濃度を変えて種子の吸水に難易をつけるため濃度区別を○・1モルより,1・0モルに至る10区とし対照区 として井戸水区を設けた 供試材料としては水稲香川55号とひえ岩手晩生在来の有梓種子と脱符種子を用いて発芽湿度を500Cとした. 種子ほその胚を含む下草部のみを庶糖液中に浸漬した 1区供試粒数ほひえは50粗,水稲ほ100堪とした なお発芽粗とほ有枠種子でほ胚器官の部が出現したものを,脱梓種子でほ根鞘が種被を破って出現したものとし た,以下の諸実験でも同様に取扱った 結果ほ第14表,第15表のようである 節14表 庶糖液の各濃度におけるひえの発芽種子数 (1954) ()内ほ種子根を発生したもの

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47 第15表 庶糖液の各濃度における水稲の発芽種子数 (1955) 佐藤(¢$)は各濃度の庶糖液における発芽歩合をしらべ,井戸水のそれに対する比が5ロ%以上となる濃度限界を もって中央最高吸水力(MitteIe Saugkraft)としている 本実験における中央最高吸収力はひえの有得では0..5∼0…るモル,脱搾種子では0.9∼1…ひモルに相当し両者の間 にほ実に0.5モルの大差が見られた …・力水稲の粗ほロ.5∼0..るモルに相当し,玄米ではOu7∼08モルで玄米でほ0.2モル高かった 次ぎに種子根の伸長を調査した処,ひえ水稲ともに,井戸水又は低濃度の庶糖液では種子根がよく伸長する が,高波皮の場合ほ根鞘のみ出現し置床後10日に至るも種子根は全然見られなかった なお水稲でほ高濃度において−根鞘出現後子葉鞘のみが僅かに伸長した場合が見られたがそれ以上発芽の進行は 見られなかった 圃場の実際場面において香川県において,麦類の播種期に早ばつに遭うと甚だしい場合ほ発芽しないが,不発 芽と正常発芽の間に根鞘のみ苧じて出現するが,そのままの状態で止っており降雨を待ってほじめて再発芽する ことが観察されている..これは根鞘が極く僅かの水分供給の下でも出現しうることを示しているものである 根鞘ほ水分の供給が制限され,種子板の出現しえ.ない場合でも種被を破って現われる生態を・もつものと云いう るであろう 第2節 酸素供給制限下における根鞠の生態 酸素の供給を制限した場合の種子発芽の研究は多数行われているが,根鞘については僅かに西村(39)の乗につ いて−,NoRSTOG(47)のえん麦について研究があるのみで広く深く研究されていない 水中及びガス状態で酸東の供給を制限した場合の根鞘の生態を明らかにするため,次の実験を行った 第1 実 験 1927年5月より占月に亘り,250ccのユ∴レ ン‥マイヤ−フラスコに少壷の水を入れ種子に ほ充分に酸素供給の状態においたものを標準 とし,酸素供給制限区ほ前掲フラスコに50分 間煮沸した水道水を満たし,水面には流動パ ラフィンを浮べた. 供試作物は水稲はか9種類で,フラスコ1 個につき,とうもろこしほ25粒,その他は50 粒を入れMinesota geIminater中におき, 18…50C∼270Cで種子発芽を行った10日後 に発芽歩合を調査し,幼植物を5%のホルマ リン溶液(硫酸銅加用)に浸漬しておき速か に20個体の調査を行って次の結果を得た 第1占表 酸素供給制限下に應ける各種禾穀類作物の発芽歩 合(1927)

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参照

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